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昭和元禄落語心中の編集履歴

2016-06-08 23:12:55 バージョン

昭和元禄落語心中

しょうわげんろくらくごしんじゅう

雲田はるこの漫画。それを原作としたアニメ作品。

概要

講談社の『ITAN』創刊号の2010年零号から2016年32号にかけて連載された雲田はるこ漫画作品。

全10巻完結。

タイトル通り「落語」がテーマで、ある落語家の一代記ともなっている。


伝統的な大衆演芸の場として育まれた寄席文化および落語を、若者世代に広く明快に紹介した功績と、噺家のを描いたストーリーテリングの妙が高く評価されている。


2012年このマンガがすごい!」2位。

2013年『第17回 文化庁メディア芸術祭 マンガ部門優秀賞』受賞。

2014年『第38回 講談社漫画賞 一般部門』受賞。


構成

江戸落語物語の主題に据え、落語家を志す天涯孤独の任侠崩れ「与太郎」と、落語界の生ける伝説有楽亭八雲」、その八雲を殺したいほど憎みながらも同居する「小夏」との間で展開される奇妙、且つ複雑な人間模様、同時に3人ので見え隠れする落語の亡霊有楽亭助六」の存在を描く。


作品は全3部構成となっており、それぞれに時代背景が大きく異なる。


  • 第一部『与太郎放浪篇』:昭和末期~平成初期

いままでに見たいちばん偉ぇ人に付いてこうって決めたんだ!


  • 第二部『八雲と助六篇』:昭和初期~後期

昭和元禄落语心中…野ざらしという噺でございました


  • 第三部『助六再び篇』:近現代

昭和元禄落語心中読みました。


特徴

昭和の名残を色濃く残す落語家が、物語を彩る主要人物として関わるため、それに準じた風景や小道具が数多く登場する。

また、古今東西を問わず様々な落語)が登場し、そのあらすじや見所に対して解説を交えながら一部始終を披露する他、単行本の巻末には、寄席演芸を楽しむためのコラムなどが収録されており、落語の入門書やガイドブックとしての側面を持っている。


アニメーション

第一部『与太郎放浪篇』は、2015年OVAとして全2話でアニメ化された。

2016年1月から『アニメイズム』枠において、第二部『八雲と助六篇』を描くTVアニメが放送。

第1話は先行映像化された『与太郎放浪篇』を45分に再編集した構成となっており、第2話より本格的にスタートとなった。

また第7話は、完全なアニメオリジナル回となっている。

アニメ制作スタジオディーン

二期の制作も決定している。


主題歌

OP「薄ら氷心中」

作詞・作曲・編曲 - 椎名林檎 / 木管編曲 - 村田陽一 / 歌 - 林原めぐみ

ED「かは、たれどき」

作曲・編曲 - 澁江夏奈


登場人物

有楽亭一門

江戸落語を代表する亭号の一つ。「八雲」は有楽亭一門の止め名(最高位)であり、どの代も名人と謳われた実力者揃いであるため、この大名跡を襲名するには八雲の重責を全うするに足る品性と実力を兼ね備える必要がある。


定紋は『に並び』だが、八雲のみ替紋『瑞雲』(ずいうん)の使用が許される。


  • 有楽亭与太郎(ゆうらくてい よたろう)

てげれっつの ぱ ぁ!

声優関智一


主人公苗字は不明だが本名は「強次」(きょうじ)で、背中に『』(鯉の滝登り)の筋彫りを持ち、初期は茨城訛りと思しき語尾(だべ、だど)が見られた。


幼い頃に両親を亡くして心から頼る身寄りも無く、兄貴と呼び慕う不良を追う形で任侠の道に入るがどうしても馴染めず、抜けの条件に提示された懲役3年の肩代わりを承諾して刑務所に収監され、服役生活に入った元チンピラ


模範囚として平穏に刑期を過ごす中で慰問演芸会に訪れた八代目八雲が演じた『死神』に惚れ抜き、満期出所したその足で八代目八雲の下へ訪れ、直談判の末に初めての内弟子として引き取られた。弟子入りまでの経緯から教養こそ浅いものの、持ち前の人懐っこさと不思議な可笑しみ、天真爛漫な性格で人に好かれやすく、風変わりな様子を八代目八雲が落語になぞらえて「与太郎」と呼んだことから通り名、ひいては前座名となった。


自身の境遇と重なる滑稽噺『出来心』(『花色木綿』の原型)の会心の出来を通じて演者としての落語の魅力に開眼したが、前座修行中に取り返しの付かない失態を犯して一度は破門の身となる事態に直面し、八代目八雲が提示した3つの条件


1.「八雲と助六の型をマスターする」

2.「落語の生きる道を探す」

3.「自分より先に死なない」


を飲む形で破門を許されて以降は下火となりつつある落語界で必死にを磨き抜き、遂に迎えた真打昇進に伴って『三代目 有楽亭助六』を襲名し、寄席にテレビにと駆け回る忙しい日々を送る。


声優:石田彰


世間からは「昭和最後の名人」、席亭の主人連中からは在所に因んで「向島の師匠」と呼ばれ、有楽亭一門宗家たる八雲の大名跡を今に受け継ぐ孤高の落語家。前座名は『有楽亭菊比古』(ゆうらくてい きくひこ)。


「おまいさん」「あすこ」などの下町言葉を常用する戦前の風雅を色濃く漂わせ、生家が芸事を生業としていたために一通りの歌舞音曲にも深く通じる一方、スリーピースなどの洋装も自在に着こなす。芸事のとして生まれた上に足を悪くした二重の悲運から半ば捨てられる形で七代目八雲の下へ弟子に出され、さらにそこで出会った後の二代目助六が見せる天賦の才に惚れつつも嫉妬を隠せないなど、外観の精悍さに反して苦悩に満ちた半生を送った事実から極めて気難しく複雑な性格を持つ。


二代目助六との死別を契機に『八代目 有楽亭八雲』を襲名し、落語の衰亡を誰よりも怖れる一心から「有楽亭を名乗る最後の一人」として第一線を走り続ける中で与太郎と出会い、寄席の前で松田に食い下がる与太郎がカタギでない事を一目で見抜いた上で話を重ねるに連れてその風変わりな内面に面白さを覚え、道楽半分に内弟子としてその身を預かった。


その数年後、まるで覚悟の違う与太郎が予期せず起こした失態に失望にも似た怒りを覚えて破門を言い渡すも、どうあっても離れようとしない与太郎に3つの条件を飲ませて破門を解き、真打昇進の際に久しく途絶えていた助六の名跡を預けた。


  • 有楽亭助六(ゆうらくてい すけろく)

寿限無

声優:山寺宏一


小夏の。八雲と共に戦後の江戸落語界を牽引し、妙技を尽くす天才の名を欲しいままにしながら影に埋もれていった末に早逝した非業の落語家。前座名は『有楽亭初太郎』(ゆうらくてい はつたろう)。


両親の顔すら知らぬ捨て子であり、寄場暮らしをしつつ天狗連(=アマチュア芸人集団)に所属して落語を演じていた老人に拾われて養ってもらっていたが、その老人の死を契機に七代目八雲の門を叩きに向かったその日に後の八代目八雲と出会った。入門当時から既に大ネタの『文七元結』『野ざらし』『明烏』『船徳』『よかちょろ』などを聞き覚えていた上、多大な縁故を前提に入門した八代目八雲の通学、疎開などの優遇に反して七代目八雲のカバン持ちとして戦地慰問のために満州にまで赴いた。


帰国後、二つ目昇進に際して養い親の老人が使っていた白扇に記されていた名前と同じ空き名跡を一門の系譜から探し出し、『二代目 有楽亭助六』を襲名してようやく「格好悪い」と渋っていた初太郎の名から開放され、生来の溢れる才能に戦地慰問の経験を加えた緩急自在の話術で瞬く間に頭角を現した。


ところが、伸ばし放題のボサボサ頭に無精ヒゲ、襟垢に塗れたヨレヨレの揃えに股引下駄履きで平然と市中を歩き回り、寄席の稼ぎや質屋の借入を遊びに注ぎ込み、分をわきまえず臆面も無く大ネタを掛けるなど長老連中からことごとく毛嫌いされ、後年になって誰よりも落語を愛する心を決して曲げない意志、さらには自身が名乗る助六の因縁が災いして七代目八雲と激しく対立し、遂に破門を言い渡されて表舞台から忽然と姿を消した。


  • 七代目八雲

声優:家中宏


八代目八雲と二代目助六の師匠。


かつて色々と世話になった知古の縁から八代目八雲を、時を同じくして押し掛け同然で転がり込んだ二代目助六を二人揃って内弟子に迎え入れた。しかし、「絶対に有楽亭八雲の大名跡を受け継ぐ」と大言して憚らず、若手随一の実力を持ちながら女癖の悪さや金銭の無心など日頃の素行、不敬に等しい反骨精神が目に余る二代目助六を段々と疎ましく感じるようになり、落語の行く末を憂う意見の対立から「有楽亭助六の看板を背負ったまま破門」という生殺しに等しい重罰を課した。


  • 初代助六

声優:未定


二代目助六の養い親。


寄場で日銭を稼ぎ、天狗連に属して落語を披露する日々の中で二代目助六を拾い、寄場と寄席を行き来する貧乏所帯の二人暮らしを営んでいた老人。高座名の「助六」を通り名にしていたが、後に有楽亭の系譜を調べた二代目助六によって、その正体が二代目助六と同じく型に捕らわれない芸風を信条とし、それに怒った六代目八雲から破門された当人であった事実が判明した。


円家一門

上方落語を代表する亭号の一つ。東西落語界通じての長老であり、戦前から落語界を支え続ける萬歳が一代で築き上げ、今や上方落語界で押しも押されもせぬ一大勢力を形成している。


定紋は『丸に三つ輪違い』。


  • 円家萬歳(つぶらや ばんさい)

声優:茶風林


萬月の父にして総勢100人超の弟子を抱える上方落語界の重鎮。本名は『淀川公男』(よどがわ きみお)。


八代目八雲の高座が湯呑みを備える江戸落語伝統の形を取るのと同じく見台、膝隠し、小拍子、叩きの4点を備える上方落語伝統の形を取る。七代目八雲の頃から催していた恒例の二人会を通じて有楽亭一門と深い繋がりを持ち、八代目八雲が自身のネタに加えてさらに練り上げたほどの絶品とされる怪談噺『応挙の幽霊』を得意とする。


近年では高齢から来る体力の衰えに加えてのもつれが顕著になりつつあり、それでも高座に上がり続ける「落語家の業」と言える姿は実子の萬月を苦悩させる。


  • 円家萬月(つぶらや まんげつ)

昭和元禄落語心中

声優:遊佐浩二


萬歳の息子


幾度と無く八代目八雲の門を叩いたが断られ続けて遂に諦めた苦々しい過去を持ち、改めて萬歳に弟子入りしてもなお尊敬の念を絶やさない反面、内弟子に入り込んだ与太郎にはあからさまな嫉妬を抱いている。


その他

  • 小夏(こなつ)

鹿芝居なっつん

声優:小林ゆう


二代目助六の


立て続けに両親を失い、身寄りの無い所を八代目八雲に引き取られたが、父を死に追いやった元凶が八代目八雲にあると信じて疑わず、同居こそしているものの事ある毎に憎しみを露わにして糾弾する。女の身であるがために父の遺志を継いで落語家になれない事実を心底悔しく思い、それでもなお父の落語を愛するがゆえに隠れて稽古に勤しむ一面を持つ。


与太郎が内弟子となってからは形式上の兄弟子として稽古に付き合うようになり、自身の成果を通じて助六の型で演じられた『出来心』を仕込んだ。


  • 松田(まつだ)

声優:牛山茂


八代目八雲と二代目助六の様子を入門当日から有り有りと知る唯一の当事者。


七代目八雲の頃から女将と共に炊事、洗濯掃除などの家守に務める使用人であり、独身を貫く上に内弟子を取らない八代目八雲からはカバン持ち、スケジュール管理、での送迎なども一手に担うようになった。


常日頃から静かで穏やかな雰囲気を漂わせる一方、事あらば与太郎ですら恐れ慄く激しい怒気を垣間見せる。


  • アマケン

声優:山口勝平


文芸評論家。


幼い頃から落語を愛し、同じく文芸評論の道を歩んだ父に連れられて数多くの名人巧者の楽屋に出入りした経験を持つ。世評に反して「二代目助六の落語は邪道」と言い切るほど八代目八雲を尊崇する熱烈なファンであり、好ましくない人物に対しては痛烈な嫌味を含んだ物言いが目立つ反面、行き詰まりを感じていた与太郎の心境をはっきりと言い当てる確かな分析力と観察眼を持つ。


声優:林原めぐみ


小夏の


戦前は芸者を務め、その縁から八代目八雲と出会って密かに心を寄せていたが意思の相違から破談となり、時を同じくして破門の身となった傷心の二代目助六と共に東京から姿を消した。後に、八代目八雲が行方を突き止めて地方温泉街に足を運んだ時には既に二代目助六と小夏を捨て、再び行方をくらましていた。


関連タグ

講談社 漫画 ITAN

落語

有楽亭八雲


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