概要
第6世代から登場したメガシンカという概念はポケットモンスターの対戦を大きく変えた。
マイナーポケモン達にも光が当たり、今までの環境にいなかった様々なポケモンが使われる、と思われた。
・・・ところが
蓋を開けてみると開幕からメガガルーラが大暴れ。
幾度となく対策が立てられるも、それらを悉く跳ね除け、
最終的には「自分もメガガルーラを使うのが最善の対策」とまで言われるようになる。
そのような強いポケモンが出てくる事は今までにもなくはなかったのだが、
恐ろしさはこれだけでは止まらなかった。
なんと対人戦のほぼ全てのルールで同様の状態となったのである。
使用者の99%以上がメガシンカさせると分かりきった状況で悪くて5位という使用率。
これがどのルールでも別個に発生しているのである。
もちろん、総合での使用率は全ポケモン中TOPであり、
メガガルーラを見かけないルールは出場そのものが禁じられた場合のみ。
「1パーティに1体」というメガシンカの仕様から、
メガガルーラが出た分だけ他のメガシンカポケモンが環境から消えていくという現象まで引き起こした。
そして、いつからかトレーナー達はこう呼んだ。
「これはポケットモンスターではない、ガルットモンスターだ」と。
全盛期のメガガルーラ伝説
- 全てのルールで使用率が1位。
- パーティを組む時はまずメガガルーラを入れてから他の5匹を決める。
- 1匹で3タテは当たり前。フルバトルでは1匹6タテも。
- メガガルーラにとっての3タテはねこだまし牽制のやりそこない。
- 先発初手メガシンカ完封勝ちを頻発。
- ガルーラを見た相手の初手降参も日常茶飯。
- メンバー全員ひんし、自身もステロ・まきびしダメージ入った状況から1匹で逆転。
- フリーのネタパも無慈悲にボケ殺し。
- 1ターンに攻撃と攻撃力UPを2回ずつ行える。
- パーティにいるだけで不遇ポケモンが泣いて謝った。いきなり自滅技を選んだポケモンも。
- 相手のどのポケモンより速く動き攻撃した。もちろんそのまま勝利した。
- 相手も同じことを試みたら、平然と返り討ちにして終わった。
- あまりに強すぎるからメガガルーラの攻撃を1ターン耐えるだけで神扱い。
- そのポケモンも2ターン目にはひんし。
- 砂を一掴みしただけで相手の命中率を2段階下げる。
- 選出されずとも2匹は対策ポケモンを呼べるので仕事をする。
- 一致技持たずにサブウェポンだけで戦ってたことも。
- かくとう対面で突っ張るなんてザラ。積みの起点にすることも。
- 最近のトレンドは伝説ポケモンと同じパーティに入ること。というか生半可な伝説より強い。
メガガルーラ対策のガイドライン
- メインウェポンを無効化できるゴーストタイプなら大丈夫だろう、と思っていたらあくタイプと変わらない火力のふいうちで昇天した。
- 1シーズン目の終わりにはきあいのタスキに頼っていたポケモンがほぼ絶滅していた。
- 公式が「対策はゴツゴツメット」と言うので被ってみたら触れない攻撃法を編み出されて負けた。
- メガシンカせずに攻撃、というか元のきもったまを使ってふいうちを持ち出すまでもなくゴーストを退散する。
- C60の特殊型がガチ環境に現れ、攻めも「受けも」全員突破された。
- 「そんな危険なわけがない」と言って出て行ったエアームドが丸焼けになって帰ってきた。
- 「数値が足りないからそうなるの」と言って出て行ったクレセリアも、すぐに堕ちて取り巻きの一人になった。
- 「上から蹴り飛ばせば襲われるわけがない」と言って出て行ったメガミミロップは、戻り次第味方のメガガルーラにポストとメガストーンを奪われてボックスに引き籠もっている。
- メガガルーラを一番倒したポケモンはメガガルーラである。
- 団体戦でメガガルーラへの集中砲火が成功する確率は約1/3。メガガルーラにもサポートが入りやすくなることから「むしろ出場者が増えるほど危ない」。
- ひんし寸前で逃げるメガガルーラは死亡フラグ。クレセリアを犠牲にして体力全快で帰ってくる。
- 1度の対戦で使われるメガガルーラは約3.98体。メガガルーラを体力ギリギリまで使い、回復させて再使用する。これを両方のトレーナーが行うという意味。
- もはや2匹がかりで倒して1:1交換。
- 国際大会でベスト8に入ったトレーナーのうち6人のパーティがメガガルーラ入り。
- ベスト8でメガガルーラを使わなかったトレーナーは2人ともベスト4までに消えた。
- ガルットモンスターオメガブリアスアルファイアロー。
以上の太字部分は単なる強調ではない。ほぼノンフィクションの実話である。
ポケモン界隈の問題点
独特の名称が作られるほど(おそらくこれが元ネタ)、ゲームバランスをぶっ壊したメガガルーラだが、別の視点に根本的な問題が提示できたりする。
それはユーザーと運営の態度。
現在、疑問に思う人も多数いるとは思うが、ポケモンプレイヤーはなんでもかんでも対策できるならそのままでOKで済ませようとする傾向がある(今で言うカプ神、ランドロス、バシャーモ、ギルガルド、過去のガブリアスなど、汎用性ゆえの高使用率はともかく本当に対策で済むやつはまだそれでいいのだが)。彼らが得意げに述べる対策もすでに多くの人が試したであろう内容ばかりまたは明らかに横暴な案(メガガルーラにはゴツメゲッコ、ゴローニャでメタなど)であり、結果としてその対策が機能していなかったとしても、それすら「対策不足」で切って捨ててしまうような風潮が存在する。
これは上記のWCS2015のガルットモンスター確定後ですら例外ではなかった。
そんな彼らは「ガルーラを好きで使ってる人もいる」「みな今の環境を頑張っているし、満足している」「ゲーフリに合わせろ」「今はそれがルールとして認められているのだから」など、いつもながらのもっともらしい台詞を淡々と述べてくれるが、あのぶっ壊れた現実を見せつけられて、そんなありふれた台詞が通じると思っているのだろうか?
また、このようなあからさまなバランスブレイカーはアップデートで早期の調整が入るのが今のゲーム界の主流となっているのだが、なんとこのガルットモンスターは7世代までのおよそ3年間一切アプデ調整なし!
6世代最後のアプデと言えば、ランダムバトルでニックネーム有効に→次のアプデでニックネーム無効にするだけという完全にユーザーをコケにしたものであった。
ここでもユーザーは怠惰さを発揮し、上記の通りアップデート調整が主流になってた頃なのに、XYの頃から「7世代には調整を」とか吞気に構えていたのである。
元ネタの事件の経験者ならば、この杜撰な様をどう思うだろうか…
余談
メガガルーラは飛び抜けてバランスがおかしかっただけであり、何も彼女達だけが問題を抱えていたわけではない。
2015年世界大会のベスト4では
という状態で、どの選手が当たっても6匹中3~4匹が同じ、4匹を出し合うダブルバトルという性質上全戦がミラーマッチという、最早間違い探しに等しいメタゲームとなっていた。
選手の名誉の為に言っておくと、強いポケモンで味気なく貪欲に勝ちを狙いに行くのは競技性が高い大会では当たり前であり、個性やこだわりを捨てる事自体は何ら悪い事ではない。その選択肢があまりにも狭すぎたのである。
流石の公式も事態を重く見たのか、『サン・ムーン』(第7世代)では各種調整と公式大会でのメガシンカ禁止(正確にはメガストーンを持たせる事ができない)というレギュレーション変更に踏み切り、少なくとも公式大会におけるガルットモンスターは終焉を告げる事となった。
一方メガシンカが続投した平常のレーティングマッチでは、着々と第7世代仕様のメガガルーラが作り出されてもいるのだが、最近では新勢力の台頭からこちらもやや鳴りを潜めている。
…と言うかメガガルーラ自体が弱体化・Zワザの登場で以前より倒されやすくなっている。当たり前だ。
関連タグ
ポケモン メガシンカ メガガルーラ 厨ポケ バランスブレイカー
またお前か 勝てる気がしない もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな
別ゲームの類似事例
ポケモンに限らず、プレイヤー間の対戦を伴うコンテンツでは『大会環境がそれ一強になり、他が上がってこられなくなる』という「暗黒時代・暗黒期」が発生する事が多々ある。
以下はメジャーコンテンツでの一例である。
- デュエル・マスターズのボルバルマスターズ,サファイア地獄
- 遊戯王のEMEm,八汰ロック,十二獣モンスターズ
- マジック・ザ・ギャザリングの「Momaの冬」,「ジェイスの夏」
- ヴァイスシュヴァルツの「とあるの夏」,「艦これの夏・ニセコイの冬」
- マリオカートWiiの「ファンキーバイクWii」