「俺ァただ壊すだけだ。─────この腐った世界を…!!」
「帰るぞ 松下村塾へ」
プロフィール
ネーミングモチーフは奇兵隊を創設した幕末の長州藩士である高杉晋作。
人物像
鬼兵隊の首領であり、「攘夷志士の中で最も危険な男」と称されるほどの過激派。
女物を思わすような艶やかな着物を着用しているが、潜伏時には落ち着いた風合いの着物も纏っていた。嗜好品として煙管を持ち歩いており、派手な祭り好きでもある。
三味線を嗜み、原作では真選組動乱篇終盤において万斉と伴奏している。
アニメOPなどでも鬼兵隊の甲板や屋形船の窓辺に腰を掛けて、自ら三味線を弾く姿が往々にして見られる。
作者曰く「ボンボン」で武家の長男として生まれ育つが当の本人は「とっくに勘当された身」と発言している(第477訓)。
左目を覆い隠すために包帯を巻いている。
これは瞼を常に閉じているものの傷跡が一見して見えるわけではない。原作者曰く「恨み節」であり、過去の痛みや呪いを忘れないよう目に見える形で表していた。
烙陽篇以降包帯を解いており、顔にかかる両サイドの髪がそれまでよりかなり長くなった。病み上がり故の一時的な容姿と思われたが、最終決戦と現在の二年後に至ってもこちらの髪型のままである。
余談であるが、雰囲気や包帯や髪型に隈など、メインキャラの中では最も容姿の変化が著しいためかコミックスの登場人物紹介のイラスト変更回数は最多(他の人物はほぼ初期から変更なし)。
銀時からは「独善的な勘違い野郎」と評されており、良くも悪くも他人の評価や周囲の価値観に流されず我を貫き通す強靭な精神力を持つ。
一方で幼少期に家長である父親や同門に「恥さらし」と罵られ爪弾きに遭い、のちに松下村塾の門下生らに笑顔で迎えられた経験から、心を許せる仲間に囲まれることを欲している節もある。
過去の経験から自尊感情が高くなく、相手の話を聞く前に自己完結するきらいがあり「勘当」も「破門」も直接言い渡されたものではないが、本人は「されて当然」と考え、それが事実であるように受け入れてしまっていた。
通常、アニメ版にはほぼ口を出さない原作者であるが、劇場版新訳紅桜篇制作にあたり「高杉をよりカッコよくしてほしい」と要望を出している。
高松監督もそれを受け、より大物に見えるように、器が大きく見えるよう(原作では桂の不意打ちで倒れ込んだのを、防御の構えを見せ膝をつく描写に変更する等)随所で改変している。
銀ノ魂篇二年後以降ギャグの量が増えるが、おおよそのキャラクターがやらさせる顔面崩壊や露骨に暴力を受ける描写はほぼ無い。
他人の不可解な言動や行動に淡々と指摘を入れたり、逆に高杉の天然に突っ込まれる等、自己保身に依る誤魔化しや冗談も一切しない精神性のため潔いとも言える。
攘夷志士として
幼少期は、銀時や桂と共に吉田松陽の寺子屋で学問・剣術を修めた。
捕縛された松陽を取り戻すため松下村塾の門下生は攘夷戦争に参加するが、松陽は処刑され、三人を除く他の門下生らも全員戦死していると思われる。(なお、ジャンプアニメツアーにて上映された『白夜叉降誕』では「黒夜叉」なる天人に左目を斬り付けられるシーンがあるが、あくまで嘘予告の内容なので事実とは異なる)。
その後、銀時・桂・高杉の三人は志向の異なりから別々の道を歩むこととなる。
この時、当時高杉が率いていた「鬼兵隊」の仲間達もみな処刑され、首を河原に晒された。
師である松陽を奪った世界に対しての憎しみが行動力となり、現在は新たに鬼兵隊を復活させている。
桂とは銀時・松陽と出会う前からの付き合いで、紅桜篇において今も昔も「嫌い」と言われているが、同時に「仲間」だとも発言されている。
ちなみに桂などは自身のことを国の未来を憂い活動する「攘夷志士」だと自認しているが、高杉は国のため仲間のためなどではなくあくまで自分自身のために攘夷を行っているため「攘夷浪士」だと自称している。(アニメ版では規制のためか「テロリスト」という単語はなく、全て「攘夷浪士」で統一されている)
第453訓「同窓会は思い出したくもない思い出も蘇ってくる」では、回想の中でヤクルコ(ヤクルト)を仲間のために買ってきてやったり、銀時・桂・坂本らと缶蹴りに興じ、銀時と揃って頭に木の枝を巻いて本気のカムフラージュするなどの一面も見せていた。
また、仲間内で遊郭にくり出した際には銀時と遊女を取り合ってケンカするなど、仲の悪さはこの頃から健在だったようである(坂本曰く喧嘩するほど仲がいい)。
背が他の攘夷組・成人済主要キャラと比べて低い。そのため銀時からは低身長をネタによくからかわれていた模様(後に銀時は村塾の頃から身長をからかっていたことが判明)。
難解かつ詩的な言い回しを多用することから、銀時からは中二病扱いをされている。
他人の本心を見抜く資質から人心掌握の術に長けており、宇宙海賊春雨の第七師団団長である神威をはじめ、見廻組の佐々木や一橋派の喜々、その他幕府内部の高官とも密かに繋がりがある模様。
普段は和装の着物を着ているが、攘夷戦争時代と銀ノ魂篇において陣羽織を着用し機動性に富んだ装いをしている。
原作とアニメで上半身の衣服が異なっており、細部でも違いが見られる。言うなれば原作銀ノ魂篇の陣羽織はアニメ版から逆輸入した衣装で、アニメ版は過去に着ていたものとほぼ同じ姿形ということになる。
攘夷時代(原作) | 銀ノ魂篇(原作) | 攘夷時代(アニメ) | 銀ノ魂篇(アニメ) | |
---|---|---|---|---|
陣羽織 | ノースリーブ | 長袖 | 長袖 | 長袖 |
インナー | 長袖 | 七分袖 | ノースリーブ | 不明 |
手袋 | なし(稀にあり) | なし | あり | なし |
初期設定では明治時代の学生のような出で立ちで黒マントを着用する衣装だったのを担当編集にダメ出しされ、今の和装となったという(公式ファンブック『広侍苑』より)。
作中での実力
登場してから長い間は、まともな戦闘シーンが(アニメでは回想やOPでしか)描かれていなかった。初登場時には背後を取った銀時に真剣を握られ彼が拳を振りかぶったところで描写は途切れているものの退けられた様子。
紅桜篇では桂と銀時を高杉の同志であったと失言した似蔵に本気で斬りかかるも、妖刀紅桜と一体化した彼の右腕に止められ、またエリザベスに扮した桂の一太刀を避け切れずにまともに受けて倒れて(劇場版では地に膝を付いて)しまったりと、初期は返り討ちにされてしまう描写が目立っていた。
実写版では似蔵との勝負後、早くも銀時との一騎打ちが実現。最後は肉弾戦となり力で押し切られたものの、剣においては互角の勝負を繰り広げている。
かぶき町四天王篇の後日談の悪党回では、象をも一瞬で混濁させる猛毒の矢が何本も刺さった状態の神威に一太刀を入れ、その後暴れ回り二十余名を殺害した神威の手にかからず投獄を補佐。
夜兎をも拘束する錠を粉砕する剣技を見せ自由の身となった神威と背中合わせで共闘し、阿呆提督の手下を鬼兵隊・第七師団らと共に一掃した。
将軍暗殺篇では将軍の影武者と真っ向から対峙し無傷で葬る。忍の里では銀時と本気で渡り合い、銀時の木刀による猛攻を食らっても立ち上がり反撃に転じるほどの互角ぶりを見せつけた。幼少期から続く銀時との勝負はの結果は246勝246敗であるとのことで、その記憶力もさることながら、出会ってからの十年間で平均してもほぼ週一の頻度で戦ってきたことが判明。
幼少期
武家の長男として生まれ、桂と同じ名門私塾「講武館」の出身であったが、周囲には馴染めず屈折した幼少期を送っていた。
家族仲も良好とは言えず、身分を笠に着て威張り散らす門下生達とも度々衝突しており、その喧嘩の最中に松陽らと出会い、彼らに興味を抱く。銀時に対しては、『俺が勝つまで』と半ば道場破りのような形で勝負を挑んでいく。何度も銀時に惨敗し、塾生にも後ろ指を指され父親にも「一族の面汚し」呼ばわりされながらも挑み続け、ついに一本を勝ち取る。
しかし高杉の父親は松下村塾の悪評に感化されており、高杉も松下村塾行きを禁じられてしまう。更に高杉への報復のため講武館の門下生らが松下村塾に関するあらぬ噂を吹聴し、父親を介して役人による松陽の摘発を図ったことで状況は一変。彼らを叩きのめしたことから勘当は避けられなくなったこともあり、桂・銀時と共に松陽の摘発に向かう役人の足止めに赴く。この一件がきっかけで正式に松陽に師事することとなった。
ちなみに「次にまた松下村塾に行けば勘当だ」と父親から釘を刺されてはいたものの正式に勘当を受けるより先に高杉自身が家を飛び出したらしく、家に背く息子を本心で疎んでいたのか息子に後ろ指さされぬ人生を送って欲しいがゆえの親心だったのか、父親の本意は定かではない。
左目の真相
攘夷戦争時代、経緯は不明だが桂と共に奈落に捕らわれる。その際に一人だけ刀を握らされた銀時は「仲間を斬るか師を斬るか」の天秤に掛けられ、松陽の首を斬る。この件より以前に「自分が先に死んだ時は先生を頼む」と銀時に託していた高杉は、我を忘れて銀時に飛び掛かったが、朧によって左目を潰されてしまう。
その左目に最後に映ったのは、虚ろな目で涙を流す銀時だった。
忍の里にて
将軍暗殺篇の後半、忍の里にて銀時と熾烈な死闘を繰り広げる。互いの痛みを最も知っており、故に言わばもう一人の自分自身ともいえる宿敵を相手に、時に自身の胸中を吐露しながらの壮絶な戦いの末、互いに身動きが取れぬ程の状態にまで追い込まれる。
その最中、銀時の「松下村塾の高杉晋助の魂を護る」という決意を聴き、自身がまだ松下村塾を破門されてなかったことを悟って、憑物が落ちたような表情を見せた。
しかし直後、朧の凶刃により突如腹部を貫かれ、致命傷に近い手傷を負い意識を失う。かろうじて立ち上がり、自分を護るために烏と戦っていた銀時に加勢し、かつての意趣返しのごとく朧の左目を潰す。駆けつけた神威と共にその場を去るが、騒動が静まると同時に昏睡状態に陥ってしまう。
烙陽にて
烙陽決戦篇では、春雨本隊や奈落による鬼兵隊と第七師団の殲滅作戦が開始される。その中で、第七師団が制圧したはずの要塞「南天楼」の自爆作戦や星海坊主の参戦により、鬼兵隊と第七師団は壊滅の危機に陥る。虚率いる春雨の追撃から逃れるべく、鬼兵隊と第七師団の残党によって緊急避難先の異星・烙陽にある隠れ家に匿われていた。だが、そこも春雨の大艦隊による爆撃を受け、撤退を余儀なくされる。さらに奈落の砲撃により、部下に担がれていた高杉は意識不明のまま崖から転落してしまう。すぐ下にいたまた子が彼を救わんと必死に手を伸ばすが、わずかの所でその手は届かなかった。
その直後、奈落の大軍に囲まれ窮地に陥っていた万斉にとどめを刺さんとした敵兵が、不意に飛来した何者かの一刀の下に倒れ伏す。その場にいた者が目にしたのは、意識を取り戻した高杉の姿であった。崖から転落して絶命したと思われた彼だが、麓にいたフード姿の男によって一命を取り留めていたのである。
その後、朧の命によって自身を殺さんと向かってきた奈落の大軍を相手取り、丸腰の状態で目潰しや無刀取りを駆使して次々と返り討つ。
そして丸腰の高杉を援護しようと敵に近寄った新八と定春が窮地に陥ると、その場に転がっていた木刀・洞爺湖を手に取り新八の眼前に迫る敵を刺し殺す。再び銀時と相見えんと鬼兵隊総督の名に違わぬ戦いぶりを見せる。そして遂に銀時と再会を果たし、桂や坂本達とも合流した。
なお、この時すでに亡き師・松陽が虚と同一人物であることを勘づいている描写がある。
四人の集結後も、奈落は移動式兵器「土竜」を投入し攘夷達の殲滅を図るが、鬼兵隊の援護のもと、これらを全て撃破。この時は犬猿の仲であるはずの銀時や高杉も、互いに憎まれ口をたたきながらも一定の協力を行っている。
そして、神楽のもとに向かい戦線を離脱した銀時と新八へ「銀時(そいつ)の首を誰にも渡すな」と再戦を誓う形で新八に銀時を託す。二人を見送った後、残る三人は奈落との戦いに趣いた。
桂や坂本と分断された高杉は、奈落の追手を撃退しつつ進んでいたが、そこに朧が立ち塞がる。自身と同じ松陽の弟子(それも一番弟子)であったことを明かす彼と対峙し、両者とも一歩も退かない激しい死闘を繰り広げる。
一度はその刃に倒れたかに見えたが、すかさず立ち上がって反撃に転じ、死闘の末に朧を絶命に至らせた。その際因縁の宿敵であり、兄弟子でもあった彼の口から虚の素性の詳細や真の目的を直接告げられており、後のその全容を武市を介して銀時らにも伝えさせた。
また朧の最期を看取った後その遺体を収容しており、地球に埋葬することを仄めかす描写がなされている。
天鳥船神(アメノトリフネ)にて
宇宙船が被弾し動けなくなった桂らの船の背を押す形で、圓翔軍に追い込まれた坂本たちのもとへ参戦。
地球を破壊しようとするアルタナ解放軍に対し「この世界を壊すのは俺だ」と宣言。地球を壊す破壊兵器・火之迦具土神(ヒノカグツチ)の破壊を自ら引き受け、鬼兵隊と共に進撃する。
将軍暗殺篇にて担ぎ上げておきながら裏切り、また裏切られた喜々に対し詫言と激励をおくり、桂と坂本を指して「コイツらは裏切らねェよ お前もこの国も」「だから国(おまえら)も侍(コイツら)を…」と喜々が最も望んでいた言葉を伝えた。
兵力の差から春雨の残党である馬董・范堺・猩覚そして神威の協力を得る。
側近たる万斉を含む多大な部下の犠牲の末に、ヒノカグツチの深部に辿り着き破壊に成功する。
しかし充填された強大なエネルギーの逆流により宇宙船・アメノトリフネは制御不能の状況に陥ってしまう。船ごと地球に堕ちるよう計画方針を変えた圓翔を止めるべく、桂と坂本が交戦する。桂・エリザベス・坂本・陸奥の四対一でありながら圓翔は圧倒。地球側の兵の士気も失いつつあったその時、高杉が到着した。
ただそこに立っただけで戦場の空気を一変させる存在感を放ち、桂と坂本と共に圓翔と対峙。最後の戦いに臨む。
桂と坂本の援護により圓翔の両腕を使用不能の状態に追いやりとどめを刺せた直前、視界が揺らぎ躱されてしまう。己の身を代償に破壊兵器を斬った高杉は既に半死半生の重傷あったことがここで発覚する。
形勢が逆転し膝をつき動けなくなったところを圓翔に狙われるが、また子の銃撃で隙ができた刹那を逃さずその腕を斬り落とし、決着をつけた。
余談であるがこの戦闘で、本誌掲載時は猩覚視点から高杉が兵を奮起させる英雄として生き、その姿を追ってきた鬼兵隊がもう高杉を幻想でなく一人の人間であることを知りながら共に在ろうとする様を客観的なモノローグで語っていた。
単行本ではこの部分が大きく改変され、高杉視点で自分は英雄などではないと自覚しており、虚勢を張って部下を鼓舞しなければいけないと重責を担っていたが、鬼兵隊はそれらを知って尚ただの人間である高杉のそばにいると気づく高杉自身の心情に変わっている。
また「どのみち宇宙中と大喧嘩しなきゃならねェ」「悪い奴程長生きする」「俺達には死すらなまぬるかろう」など、今後の展開を彷彿とさせる発言をこの時点でいくつも重ねていた。
地球側の最終決戦にて
アルタナの暴走により機械兵器が使用可能になってしまった江戸で解放軍の艦隊に攻め込まれる危険に苛まされた銀時に、通信で宇宙からの攻撃は気にするなという言伝と発破をかけた。
瀕死の身体に応急手当を受けながら、銀時から「解放軍を止めただかなんだかしらねェが まさかその程度で燃え尽きちゃいめェな」と挑発を受け「首洗って待ってな」と返し、誰もが予想外の方法で命を繫ぐ手段に出るのであった。
最終決戦から二年後
ヒノカグツチを破壊した際の爆発により完全な致命傷を負い、死を待つだけの身でありながら行方不明となっていた。松下村塾があった廃屋に朧の墓を建てており、墓参りをし線香を上げていたところ、やって来た銀時と遭遇する。
互いの目的を探るような会話をし、剣を交える。そして銀時につけられた頬の傷が、虚を彷彿させる蒸気を発しながら常人より遥かに早く治癒・修復している。
土方の介入がありその場は引き、「俺が終わらせる」と銀時に万事屋へ帰るよう告げ再び行方を眩ませた。高杉の現状の考察を土方から聞いた銀時は高杉を捜索するようになる。
その後、銀時とまた子、武市らが襲われているところに助けに入り、銀時と水中と舟上にて共闘する。
将軍暗殺篇及び烙陽篇の件でわだかまりは解けてきているようで、銀時とのやりとりでツッコミを入れるようになった。
墓参りで銀時の頭を踏み台に跳んだり、銀時を敵の目くらましとして蹴って送り出したり顔面を掴んで投擲武器としてぶん投げたりと、扱いが非常にぞんざいであるのにこれらの行動に銀時は一切文句を言っていない辺り、幼馴染故の気安さが垣間見れる。
背面に密着された状態で背中から足を回して蹴る、水を吸った着物を着たまま自分より背の高い銀時の顔面に上段蹴りをする等、身体の柔軟性が非常に高い。そして基本的に足癖が悪い様子。
また、カナヅチの銀時とは対照的に泳ぎが得意ということが判明した。
今後は目的を同じとする銀時と行動を共にしている。
銀時が辿った二年間を聴き終えたのち、銀時に対し「てめェのいう救いってのは何だ」と問い、奈落の更に奥に潜む黒幕の存在を仄めかした。
それを問い質す銀時の前で、限界を迎えた朧と同じように喀血する。
二年前のアメノトリフネの船内で、高杉は不死の血に生かされ続ける天導衆らを終わらせるために鬼兵隊とも離れ一人行動していたのであった。
しかし虚が引き起こした戦争やアルタナの暴走により愛する者を喪った解放軍の兵達により、全身を串刺しにされてしまう。不死者の存在を目の当たりにした彼らは死んだ者も生き返る可能性に縋り、その障害となる高杉を殺害したのである。
薄れゆく意識の中で尚、松陽を救うために高杉は起き上がる。朧を「兄弟子」と呼び、懐に仕舞っていた朧の遺骨を自分自身の心臓に取り込み不死の回復力を得たことで生き返る。
ここまで高杉の延命は天導衆の血を使ったとミスリードされていたが、朧の遺体を松下村塾に埋める約束が伏線となった構成になった。虚(天導衆)の血ではなく松陽(朧)の血を受け継いだとも解釈できるため、高杉は朧(一番弟子)との兄弟弟子としての関係性が最も強く描かれている。
しかし元々再生力を使い果たした朧の骨でしかなかったそれを使っても、高杉にはもう微々たる時間しか残されてはいないと言う。宇宙中を単身で、天導衆が教祖に収まった宗教「星芒教」の活動を潰すことに尽力していた模様。
銀時に「先生とお前はもう十分苦しんだ」と銀時の十年を認め、松陽を「ただ救いにいこうぜ」と道を示した。
銀時と共に星芒教テロの次なる標的である江戸へ降り立つ。
江戸に到着後、銀時と一旦離れ単独行動を起こす。
土方と山崎の尾行がつきかけていたが、風船配りのヌイグルミのオッサンや桂の政策に反対する一団を利用し、官邸内部への侵入を果たし桂と相対する。
総理大臣の立場で食事風景をツイッターにアップしては暗殺の情報収集に使われる桂に律儀に指摘を入れ、「ツッコミするならもっと声を張れ」と返されるも、「ツッコミって何だ」と衝撃発言し桂を驚愕させ作中随一の電波キャラに「お前…大ボケか!」と言われる天然ぶりを明らかにした。幼少期と青年期を銀時・桂・坂本と過ごしておいてツッコミの概念を知らない(現在進行形)のである。
その後桂と共謀し、周囲から人を遠ざけた上でターミナルを爆破。
銀時は復興がようやく形になりつつあった江戸に再び混乱を起こした高杉へ怒りを抱く。高杉は銀時から心臓を奪い、かぶき町に帰るよう再度通告しその場を去ろうとする。
しかし直後に桂が心臓を奪取。三人で星芒教の追っ手を薙ぎ払った。
ここでは桂が誤ってビル下へ落とした心臓を確保するために銀時と桂の顔面を踏みつけたり当の二人に足首を掴まれて後頭部を敵に叩きつけられたりと、対等な幼馴染としてギャグを繰り広げている。
高杉の願いも桂の願いも、二人の選べなかった選択肢を全て取り零さずに進むという銀時の「まっ白でいく」覚悟を聞き、共にターミナルへ向かう。
スピンオフにおいて
3年Z組銀八先生
イラストでは3巻のおまけポスター、小説本編ではリターンズから登場。
→「冷血硬派高杉くん」
銀魂高校の不良グループ「鬼兵隊」のリーダーで、左目には包帯の代わりに眼帯を付け、制服の下に黒みがかった赤いシャツを着ている。リターンズで登場するまでは、停学処分を受けていた。万斉から鬼兵隊という名のバンドに誘われているが、「“そろばん塾に通っている”」という理由で断っている。似蔵からは「晋ちゃん」と呼ばれている。
原作では殆どボケないため、土方からは「ボケ主体の銀八シリーズじゃ動かしづらいと大崎知仁からクレームがきている」と言われている(リターンズで登場してからは、かなりボケを連発している)が、作中で「長い脚」と設定されており扱いは好待遇。
TV版のショートアニメ『冷血硬派 高杉くん』にも、3年Z組の生徒として登場している。
金魂
オフィシャルアニメーションガイド「銀魂 あにめガヤガヤ箱」の登場人物欄において、銀魂セルフパロディ作品『金魂』では便利屋「万事屋晋ちゃん」を経営しており、危険な依頼しか受けないショートアニメ版では額縁に「狂気」と書かれており、壁には似蔵の写真が飾られている。服装は銀時の物。
読者からの人気
彼の出番は長い連載期間の中では少ない方で最終章で漸く出番が安定してきたが、読者(視聴者)からの人気は高く、人気投票は第一回・第二回・第四回は4位、第三回は5位を獲得した。人気投票篇では長谷川からは「包帯巻いてるだけで何もやってませんよコイツ」とツッコまれている。
週刊最終回にて募集され、GIGAで発表された最後のキャラクター人気投票(第五回)では銀時、土方に続く3位を獲得。銀ノ魂篇二年後以降の出番の多さと物語における裏主人公的な側面が描かれた影響か。
10周年企画「第1回表紙登場権争奪『銀魂』オールキャラ総選挙」では3位を獲得している(銀時は不参加)。
余談
作者は公式キャラクターブック「銀ちゃんねる!」内にて「高杉はボケないので動かしづらい」と述べており、トレーディングカードの属性には「ギャグを言わない」とあるが、他のキャラクター達(主に武市や、アニメではハタ皇子など)が、彼のシリアスな雰囲気をネタとして使うことがある。
二次創作においても、そのシリアスさゆえにネタにされることが多く「天然」や「アホの子」として描かれる事が多い。特に高杉フルボッコというタグで検索すると、イメージ・キャラ崩壊が酷いイラストが出てくる為、かっこいい高杉が好きなファンは検索しないことを薦める。
外部出演
モンスターストライクとのコラボで、降臨ボスとして出演。「万事を護る者たち」と、それの全難易度をクリアすることで挑戦できる、超究極「仇」の二種類のクエストを持つ。
クエストをクリアすることで自身の使用キャラとすることも可能。だが、素のアビリティは何もなし、ゲージショットでアンチ重力バリアとSSターン短縮が発動するというひどい性能。
が、超究極クエストをクリアした際ミッション報酬で得られる「最も危険な男」高杉晋助は、上記の性能に加えてマインスイーパーMとレーザーストップを素のアビリティに持つようになり、かなりの高性能となった。おまけにわくわくの実という強化アイテムを装備可能である。
……勘のいいモンストプレイヤーの方なら、あの恐怖を連想しただろう。(というかモンストにおけるコラボクエストの超究極は、トラウマの宝庫である)
ここからは、超究極「仇」がいかに難しいかを箇条書きで示していく。
- 即死級の全面ダメージウォールと大ダメージの地雷による、適正キャラの制限
- サムライ雑魚の放つ、SSターン遅延攻撃
- ビットンの落雷で約4万のダメージを受ける(ステージによっては雑魚の反射レーザー攻撃も同時に食らう)
- 天使雑魚の反撃モードによる、敵全体の攻撃力アップ&ダウン
- それに伴う、ヒーリングウォールのの理不尽な仕様(アップ時は回復量2667だが、通常時は398、ダウン時に至ってはたったの40。HWマスターの紋章力がないとかなりキツイ)
- 勿論、ハートの出現なしクエスト
これら以外にも、高杉の放つ拡大衝撃波×4が複数のキャラに当たりやすくなっていたり、6ターン後にはせっかく処理した厄介な雑魚モンスターが蘇生されたり、直殴り倍率アップに伴う敵の体力の高さなど、数々の鬼畜要素を備えている。
その甲斐?あってか、某攻略サイトでの攻略難易度は、最大★15の中で★13。爆絶クエスト並みである。
しかし、その超難易度のクエストを突破して使える高杉の性能はかなり優秀(というかドロップする方の高杉が使い物にならない)で、爆絶クエストエルドラドでも活躍できることから、難易度の高さに悲鳴をあげながらも、多くのプレイヤーがこのクエストに挑み続けた。
関連イラスト
幼少時代
攘夷戦争時代
現在
関連タグ
銀魂 鬼兵隊 攘夷 真選組 見廻組 春雨 天照院奈落 平賀源外 徳川喜喜 吉田松陽
エロテロリスト エロ杉 ふつくしんすけ 二の腕ショック 僕の修羅が騒いだ 萌えしかあるめーよ 中二病
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以下重大なネタバレあり
永遠
GIGA開幕からの銀時の怒涛のボケに対し、ギャリック砲を撃ってその暴挙を沈静した。
この際物理的に銀時が吹っ飛んでおり、当然のようにギャリック砲を撃ちそれに誰も突っ込んでいない。
ターミナルの上階に上がるべく進む中で銀時と桂が崩壊した床と共に落ちかけるが、銀時の手を掴み救う。
師を救う戦いにこの三人で臨める奇跡のような現実に、ここで人生が終わろうと悔いはないと胸の内を明かす桂に、「憎しみ合い殺し合い、それでも断ち切れねェそんな腐れ縁に、そんなバカどもに振り回されんのは今生限りにしてェもんだ」と遠くない終わりを受け入れようとする高杉。
だが銀時は今生も来世もまだ終わらせはしない、死なせはしないと二人に誓う。師も相弟子も殴り足りない、言いたいことが山ほどある――そう意気投合する三人は、「永遠なんかじゃ足りねェや」と笑い合うのであった。
万事屋や真選組、かぶき町の面々が銀時の願い(依頼)を叶えるためにターミナルへ集結する姿を見て、心臓を渡して彼らのもとへ帰るよう再三に渡って銀時に言い募るが、銀時はこれを無視。
帰巣
仮死状態であった変異体は龍穴からアルタナを吸い上げ、一気に大人の姿にまで成長する。そのままフラスコを割り復活した変異体は天導衆最後の一人を消滅させ、己の望みは「虚(わたし)を消し去る事」だと語る。
高杉はその変異体に宿る意志が松陽であると確信し「ツラ見りゃ解るぜ アンタ 虚なんかじゃねェ 俺達の吉田松陽(せんせい)なんだろう」と迷子を導く親のような笑顔を浮かべながら「帰ろうぜ 俺達と一緒に 松下村塾へ」と告げた。
松陽へと手を伸ばすも、左腕を失いほとんどの血を流し尽くした高杉は力尽き倒れてしまう。
そんな高杉に やっと口を開いた松陽は「私はもう君に先生と呼ばれるような存在ではない」、自分には虚の記憶も吉田松陽の記憶も存在するという事実を打ち明け、儚げな顔を浮かべた。
暴走したアルタナを止める代償として己は今から無となる覚悟でいる。故に高杉と共に彼岸に逝くことはできない、虚の血を宿す高杉を救う(生かす)こともできない。
そう言って高杉に歩み寄ると松陽は「だれかを救えると思っていたが それは傲慢以外の何ものでもなかった 弟子を…本当に護りたかった者達を 私は誰一人救えなかったのだから」と涙を零し、「すまない」と語りかけた。
それを聞いた高杉は自身の刀で松陽を刺し、「謝る必要なんてないさ」「お前が何も護れない事など私はとうにしっている」と別人の口調で告げる。
「待っていたよ この時を」「あの時お前がそうしたように 松陽 お前の心にスキが生まれる瞬間を」「お前の大切な 弟子の中で」――取り込んだ変異体の血を媒介に、高杉は虚に身体を乗っ取られていた。そして高杉の肉体を使い、虚はとどめを刺すようにまた刀を振り上げる。
銀時がその場に駆けつけた時、そこには倒れた松陽と銀時に振り返り笑みを浮かべる高杉がいた。
虚の因子を宿した他の者達と同様に、高杉は虚に支配された。そう気取った銀時は、虚と対峙する。
銀時は木刀を抜くと 高杉はどんな悲劇に見舞われようが もう終わりにしたいなんか言わない アイツはそんな時こう言うのさ…
その瞬間 虚の背後に高杉の幻覚が映ると「俺ァ ただ壊すだけだ 虚 てめェがのうのうとのさぼってる この腐った世界を」
その瞬間 虚は自分が倒れている事に気づく
あの時、虚がとどめを刺そうとした瞬間に 高杉の体の中にいた朧が体を操り 振り上げた剣を 朧は松陽に当たる すんでの所で止め、高杉はその刀を自らの身に刺して 虚を止めたのだった、そして倒れた高杉は 最後に松陽をその場から逃した。
その事に気付いた虚は立ち上がり、銀時に向かって刀を振り上げるが銀時には当たらない。高杉は虚の支配を受けながらも、魂の内側から銀時を護っていた。
そして銀時は虚――高杉の肉体に攻撃を与えるたびに松下村塾で高杉と過ごした記憶を思い起こす。高杉の愛刀を左手に、右手に変わらぬ己の魂を以て虚を制した。
「………そう…か…」
「人は…虚(うつろ)だ」
「だが…それをしるがゆえ 人を容れ…人の中に…生き」
「死別(し)をもってさえ…滅ぶ事なく…」
「魂(そこ)にあり続けられる…のか……」
己の半身とも呼べる存在を失うことになろうとも、その想いは己の魂に在り続ける。
二年前、江戸の人々の恐怖と戦う「人」の強さを見てもなお世界を終わらせんとした虚。
銀時と高杉の生と死に隔たれようと変わることない想いに彼はやっと敗北を認めたのであった。
虚が倒れると精神は高杉へと戻り、銀時は高杉を仰向けに支えてやる。
やがて高杉は目を開き「二百四十六勝 二百四十七敗」「俺も…ヤキが回ったもんだぜ」「最後の喧嘩他人に預けて白星もってかれちまうなんざ」と苦笑する。
「………虚(アイツ)を斬ったのは 高杉お前の剣だよ」
「松陽を護ったのも 俺を護ったのも 全部お前だ」
「今回ばかりは 一本……とられちまったよ」
かつて「アイツ等よりも 強くなりてェ」と願った二人を護り、松陽が勝てなかった虚を斬った高杉に負けを認めた銀時。
銀時のその言葉を受けて高杉は苦笑う。
「……ヘッ、お情けでもらった白星ほど惨めなもんはねェ」
「だがどうやら借りだきゃむこうに持ちこさずにすみそうだな」
「お前には もう先生を斬らせるわけにはいかねェからよォ」
「先生に比べりゃ俺ァ随分斬りやすかっただろ」
「………ああ、こんだけ殴り慣れた憎らしいツラもいねェからな」
「顔を見合わせる度やり合って ちったぁ背丈がのびて 大人になりゃマシになんだろうと思ってたが」「結局…どこまでいってもガキのまんま お前にいたっては背丈も全くのびなかったな」
「のびたわ」と幼馴染らしい会話を繰り広げた。
戦い合う宿命、そういう星の下に生まれたのかもしれない。それでも、と銀時は懐を明かす。
「俺ァ…俺ァよ 交わした剣の半分でもいい てめェと…酒も酌み交わしてみたかったよ」
高杉はほんの少し答えあぐね「………ヘッ ガラにもねェ そんな暇があんならあと一回でも多く てめェから一本とってらァ」と笑った。
咳込み血を吐く高杉に動揺し、その名を呼ぶ銀時に、それでも「さっさといきな」「てめェにゃ剣(そいつ)で護らなきゃいけねェ未来(もん)がまだあんだろ」とその背を押す。
最期に高杉は彼を力づけるように、腹心を布いた。
「…銀時 俺のこの………潰れた左目は あの日…最後に見た光景を焼きつけたまんま…閉じられちまった」
「俺ァ…てめェのシケたツラ うんざりするほど…この左目で眺めて生きてきたんだ」
「右目が……閉じる時まで ふぬけたツラ…見せてんじゃねェよ」
「あの日 俺の前に…立ちはだかった…男は」
「ずっと……ぶっ倒したかった男は」
「追いかけた……男は」
「そんなもんじゃ……ねェだろ」
薄れゆく意識の中で高杉の右目は銀時の笑顔を映した。
必死に堪えたその表情とともに、銀時は高杉に宣戦する。
「地獄で首洗って待ってな高杉」
「勝ち逃げはさせねェ…次は必ず俺がとるぜ」
「上…等 だ…」
その言葉を最後に、高杉は目を閉じる。
残された銀時は空に輝く太陽を見つめ、高杉の頰に涙を落とした。
最終訓にて、松陽は己が身を使って暴走するアルタナを鎮め、消滅した。その際のアルタナの噴出により高杉の骸はアルタナの中に呑み込まれたという。
江戸に平和が訪れた後、鬼兵隊の来島また子はかつての銀時と同じように各地の龍穴を巡り旅をするように。
武市曰く、彼女は銀時に「死に囚われたあの人の笑顔をまた見れた」と感謝の念を抱いていた。
「ここからは自分の番」だと、立ち止まることなく進み続けたまた子はある龍穴で黒髪の赤ん坊を見つける。何者かも解らぬその子をまた子は涙を流しながら抱きしめた。
『広侍苑』に掲載された作者の言では、「高杉は元々、松陽を失った事件の時に死んでたようなもん」でありずっと彼は「死に方を探していた」、「生き死にでアイツを量るのはちょっと違う」と生死よりも侍としてどう生きるのかに重きを置く高杉の人生を語っている。
ある人にとっては、ただ純粋に、たったひとつの目的のために魂を懸けた高杉の生き様は、強くしなやかで美しいものであったことは違いないのだろう。