概要
奇蹄目ウマ科の哺乳類の総称。野生種(家畜が野生化したものではない、本来の野生種)はシマウマ、ノロバを除き絶滅している。
主に競走馬、農耕馬など、家畜として馴染み深い一般的なイエウマの祖先も現存しない。モウコノウマが、シマウマやロバではない野生種の「馬」とされていたが、近年の研究で古代に家畜化されたのが逃げ出し野生化したものだと判明した。
走るのに適した1本指の四肢(後述)、長いタテガミと尾(実際は短い尻尾に長い毛が生じている)が特徴。牛とは違い反芻を行わないため、食料を牛より多く必要とする(牛飲馬食)。
知能は牛や犬と同様に人間の3歳児並みと高く、例えばイエウマは自分の主人と他人を明確に識別し、自分で解決出来ない問題を見知った人間に解決してもらうよう誘導したりと、人間の感情や行動の機微を感じ取って行動することが明らかになっている。
かつては乗用(乗馬)に用いられることが多く、ユーラシア大陸やアフリカ大陸では騎兵の乗り物としても使われていた。
馬の飼育に適した草原地帯の遊牧民の軍事力を支えていたが、自動車の普及とともにその優位は失われていった。
また、食用にもなり、肉は桜肉と呼ばれる。アメリカ合衆国やイギリスなど食のタブーとする地域も多く、日本でも競馬関係者にとっては馬肉食はタブー。遊牧民でも「食べるなんてとんでもない」派と「貴重だから大切に食べる」派に分かれている。
一般的に大型の動物とされるが、アルゼンチン原産の種「ファラベラ」は子犬ほどのサイズである。
矛盾する身体構造
偶蹄目は複数の胃を持つことで、胃に細菌を飼って彼らに草を発酵してもらうことでタンパク質やミネラル類を得ているが、奇蹄目の馬にそうした器官はないため逞しい見かけによらず体組織の再生能力が弱い。
このため重度の骨折を負った時点で死が確定する。予後不良の競走馬に安楽死の処置がなされるのは、骨折が治せない時点で歩行能力を欠いて運動不足となり、そこから芋づる式に疾病を併発してさらなる苦しみを味わわせることになることへの、せめてもの救済といえる。
特に走るために改良された競走馬は、自然界にない過酷な走行環境に晒されるため、より骨折のリスクが付きまとう。ゆえに「ガラスの脚」と呼ばれ、細心の注意が払われる。
自動車で言えばF1並みのエンジンを積んでいるに等しい心臓も、この脚を損ねればポンプ機能が停止してたちまち機能不全に繋がり、四肢をはじめとした末端の壊死に繋がる。
その原因は歪な消化器の構造も関係しており、胃と腸の比率が【1:20】と大変に極端で、体を維持するために小さな胃をフル稼働させざるを得ない。「牛飲馬食」と言われるのは、そもそも胃の小ささゆえなのだ。
さらに腸を体に固定する腹膜の一種である「腸間膜」も未発達なため、ふとした衝撃で簡単に腸の位置が動いてしまい、腸捻転や腸閉塞といった腸に関する物理的な疾患にもかかりやすい。加えて胃の入り口である「噴門」の筋肉が非常に発達しており、げっぷも嘔吐もできないため胃にガスを溜めがちで胃破裂も起こしやすい。
総括すると心肺機能と筋肉にステータスをガン振りして後がぐずぐずという、凄まじき特化型。
抜群の身体機能を誇る馬だが、その進化の過程で犠牲にしたものも多い歪な生き物でもある。
馬の蹄の数の秘密
現在の馬の蹄は一本だが昔は3~4本あった。進化し続けた結果、蹄が一本になるように進化したのである。
4本(原始的な馬)
- ヒラコテリウム(始新世)
3本(進化途中の馬)
1本(現在に近くなった馬)
- プリオヒップス(中新世)
pixivでは
本物の馬のイラストの他に、馬の特徴を持ち合わせた空想上の動物(幻獣)や馬系獣人のイラストにもこのタグが見受けられる場合がある。
ウマ科一覧
現存種
絶滅種
始新世
- ヒラコテリウム(エオヒップスとも)
漸新世
中新世
鮮新世
更新世
馬のマスク
ニコニコ動画では、動画に出演する際、素顔を隠す為に馬のマスク(馬マスク)を使用するユーザーが多い。ある意味素顔よりもインパクトが強い。