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大怪獣バランの編集履歴

2021-08-12 12:44:57 バージョン

大怪獣バラン

だいかいじゅうばらん

東宝が1958年に公開した怪獣映画。

概要

黎明期の東宝特撮映画の一つで、ゴジラシリーズからは独立した世界観の作品。

ストーリー自体は秘境探索ものと王道怪獣映画を足したようなシンプルな内容である。

カラー映画の『空の大怪獣ラドン』より後にあたる1958年公開作品なのにモノクロ映画として撮影されている。というのも、本作は元々連続テレビドラマとしての公開を予定していたらしく、モノクロフィルムが使用されているのはその名残である。

そのため主役怪獣バランの体色は作中不確定で、宣伝ポスターでは深い色、後の『怪獣総進撃』における飛び人形は茶色で描かれている(下記着ぐるみの項も参照)。

「現地住民にとして崇められる怪獣」という設定は後の『大魔神』『モスラ』などに受け継がれている。

原案は、『空の大怪獣ラドン』を手掛けた黒沼健

ストーリー

「東洋のチベット」と(作中で)称される秘境、北上川上流の岩屋部落で杉本生物研究所の調査員が奇怪な死を遂げた。杉本博士の部下・魚崎率いる調査団が再調査に向かうが、迷信深い岩屋部落の神主は調査を拒み、湖付近で行方不明になった部落民の子供すら見捨てようとする。憤慨した魚崎は部落民たちを扇動して子供の捜索に向かうが、そのとき湖から巨大な怪獣・バランが出現してしまう。

バランは岩屋部落を破壊して海上へ逃亡、自衛隊の攻撃をものともせず羽田空港へ上陸する。対策委員会の藤村博士が開発した、ダイナマイトより強力な「特殊火薬」に一縷の望みが託されるが、その威力すらバランには通用しない。しかし、杉本博士はバランのある習性に注目し、それを利用した作戦を立案する。果たしてバランの東京侵攻を阻止する事は出来るのか。


バラン

バラン 【ニコニコ動画用イラスト】バラン

別名「むささび(ムササビ)怪獣」または「東洋の怪物」

北上川上流のに棲息する中生代の大怪獣。学名は「バラノポーダ」。生息地付近の岩屋部落においては「婆羅陀魏山神」として神格化されている

バラダギ様

護衛艦すら破壊する程の怪力を持つ上に水中でも活動が可能、更にムササビ状の皮膜を拡げて飛行することができる。公開当時はゴジラの戦闘力とラドンの飛翔能力を併せ持った新怪獣と宣伝された。飛行速度などの身体データは資料によってまちまちだが、基本的に身長は50m、体重は1万5千t。

背びれに毒を持つという設定があり、全身の表皮は柔軟性が高く頑丈で、戦車砲や爆雷などの通常兵器はまったく通用しない。湖に毒を流されても生きていたことから生命力も非常に高いと思われる。しかし、ゴジラの放射火炎のような派手な特殊能力を持っておらず、「発光する物を飲み込む」という習性を利用されて照明弾ごと特殊火薬を飲み込み、体内からの爆発で退治されてしまった為、極めて強力な怪獣という扱いはされないことが多い。

また、ゴジラと異なり、その設定に『核を用いていない』事も特徴の一つ。


名称

学名の『バラノポーダ(varanopoda)』は、実在する大トカゲの属名『ヴァラヌス(varanus)』と、『脚』を意味するギリシャ語『poda』から取った名前。つまり『大トカゲの脚を持った怪獣』という意味になる。

『ヴァラヌス』は実在する属であり、様々な環境に生息できる適応力を持つ。


着ぐるみ

作品自体はモノクロだったが、造形を手掛けた村瀬継蔵氏によると、着ぐるみには実際に色彩設計が為されていたとの事。ゴジラと差別化するためか、チョコレート系のセピアカラーでまとめられていた。

バランの着ぐるみの背中に並ぶトゲは、当時の東宝の水飲み場にあった透明なビニールホースを斜めに切って取り付けたものである。

また、バランの両脇に伸びる翼は、天竺布を用いて造形されている。天竺布は当時、ラドンやモスラ、キングギドラの造形物にも使用されていた。


客演

怪獣総進撃』では幼体(公式設定かは不明)として顔見せ程度に登場。

小型の飛び人形しか製作されていない為、怪獣との戦闘シーンや都市破壊シーンは無い。

一方で、本作のソノシートでは主役怪獣のような位置に描かれていた。


ゴジラ対ガイガン』(1972年公開)、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』(2001年公開)で復活の機会があったが大人の都合で没となった。『大怪獣総攻撃』では「風の聖獣」として登場する予定だったらしく、それを意識した白く神々しい姿のイラストが描かれる事もある。


怪獣黙示録』では複数の個体が登場。限定的な飛行能力を持つため脅威度の高い怪獣と見なされている。

1体目はアメリカもしくはその同盟国によって駆除された。

2体目は2030年にバラゴンアンギラスと共にロサンゼルスを襲撃し、脅威度の高さから真っ先に攻撃対象にされて集中砲火を受ける。だが実際は怪獣さえ恐れる脅威から逃げていただけで人類側の攻撃から逃げようと飛び立つがその脅威が放ったと思われる青白い光線に体を貫かれて死亡した。なお、本作でバラゴン、アンギラスと共演したのは上述の『大怪獣総攻撃』没案を意識したためらしい(地の文でも「まるで怪獣たちの総攻撃だ」と描写されている)。


ゴジラS.P』のOPにてバランに酷似した怪獣のシルエットが映っていた(一方、その背中には赤い海棲恐竜同様ゴジラに類似した背鰭があり……)。


ファミリーコンピューターのゲーム『ゴジラ』では2面以降のボスとして登場、飛び道具は持たないものの近接攻撃の威力とリーチが優れている。ゲームボーイの『怪獣王ゴジラ』では5面『ゴジラVSメカゴジラ』ステージの中ボスとして登場。常に飛行しているので(HP消費を強いられる)放射熱線でしか攻撃出来ず、何故か口から火球を連発してくるので意外にもゲーム中屈指の強敵である。また、海外で発売されたWiiソフト『Godzilla Unleashed』でも飛行能力を持つほか、やはり何故か口から熱線や光弾などを吐き出す飛び道具が使用できる。


キャスト

魚崎健二 - 野村浩三

新庄由利子 - 園田あゆみ

杉本博士 - 千田是也

藤村博士 - 平田昭彦

馬島博士 - 村上冬樹

堀口元彦 - 松尾文人


スタッフ

監督 - 本多猪四郎(本編) / 円谷英二特撮

脚本 - 関沢新一

原作 - 黒沼健

製作 - 田中友幸

音楽 - 伊福部昭

撮影 - 小泉一(本編) / 荒木秀三郎(特撮) / 有川貞昌(特撮)

編集 - 平一二

配給 - 東宝


余談

  • 1954年に公開された『ゴジラ』の映像がいくつか流用されている。
  • ラドンのテーマ曲はバランのテーマ曲をアレンジしたもの。なお、バランのテーマは伊福部昭氏が1983年に発表した「SF交響ファンタジー」にも収録されている。

関連タグ

映画 邦画 怪獣映画

特撮 怪獣 東宝 東宝特撮


バラダギ安永航一郎のマンガ「県立地球防衛軍」に登場するヒロイン。名称は婆羅陀魏山神からで、本名は原瀧龍子(はらたきりゅうこ)。両親は「昔、羽田空港で照明弾喰って死んだ」と、バランの最後を彷彿とさせている。同作のOVAでは、その時の様子が回想で登場。アニメで「バランの最後のシーン」が再現され描かれていた


サンサーラ・ナーガ2押井守監督、桜玉吉キャラデザインのRPGゲームで、第三階層に皮膜がマントの素材になる「バラタキモモンガ」という似た姿のモンスターが登場する。


外部リンク

大怪獣バラン - Wikipedia

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