地獄の傀儡師
じごくのくぐつし
注意
当タグは「金田一少年の事件簿」の犯人のネタバレを含むタグです。
「魔術列車殺人事件」以降の重大なネタバレが含まれるため、以下記事内容及び該当作品の閲覧の際には十分ご注意の上、自己責任でお願いします。
概要
「地獄の傀儡師」は、「魔術列車殺人事件」における犯人である。
自ら「地獄の傀儡師」と名乗る脅迫状を警視庁に送り、警察関係者を呼びつけた上で「死のマジックショー」と称した連続殺人を次々実行していった人物。
↓↓↓ 以下ネタバレ ↓↓↓
※「魔術列車殺人事件」、およびその後の「金田一少年」作品全体に関する重大なネタバレを含みます。
「僕は人を欺くことに快感を覚え……君はそれを見抜くことに”使命感”を感じている」
正体
その正体は、高遠遙一。
「犯罪芸術家」を自称し、「魔術列車~」の後も脱獄し、その後も繰り返し金田一に対峙することとなる、金田一最大の宿敵。
「魔術列車~」で尊敬する母・近宮玲子の復讐に手を染めたことがきっかけとなり、人の死に芸術性を見出す狂気を発露させた。
金田一に犯行を見抜かれ一度は速やかに自白し逮捕されたがこれには意図があり、その意図が達成された後は早々に脱獄。
以後、その類いまれな多才さと能力を活かし、全国各地で殺意を持った人々に完全殺人の脚本を提供し事件発生を唆してはその成り行きを自らの目で監視する「犯罪コーディネーター」として暗躍する。
金田一が祖父の名にだけではなく、自身のプライドをもかけて捕まえると誓った唯一の人物で、お互い相容れないが常に意識し合う宿命のライバルのような関係である。
稀ではあるが、必要に迫られての共闘により一つの事件を解決に導くという、少年漫画のライバルの王道らしい様子を見せることも。
金田一とは考え方や立場は一切相容れないものの、お互いにその能力自体は認め合っており、いざ共闘した際のコンビネーションは抜群である。
性格
「魔術列車~」での初登場時は眼鏡をかけたマネージャーとして線が細く気弱な印象を見せていたが、全て演技であった。
金田一に犯人と見抜かれてからは、その冷酷な恐ろしい本性を現した。
本性は前述したとおりに大胆不敵。プロの殺人者としての冷酷さとマジシャンとしての用意周到さを兼ねている油断のならない人物である。
静かな微笑みと丁寧な口調でどこか掴み所のない雰囲気を醸し出している。口癖は「Good Luck!」
残忍な愉快犯兼サイコキラーとしての一面が目立つが、作品によっては異なった一面を見せることもある。
全体的に見ると、無関係な人間を巻き込むことは極力せず、殺人教唆・幇助も被害者になった人物は(老若男女問わず)救いようもない鬼畜外道のクズであり、そいつらに苦しめられていた人物を対象としている。また、アドバイスはするが自らの手で代わりに標的を殺すことは決してしない。犯人の動機の複雑さや、法律では裁けない外道への制裁をしているため、ダークヒーローのような面も持ち合わせている。これは自身の殺人の動機が「母を喪った」という哀しきものであることが起因していると思われる。実際に彼が関わらなければ、殺された側ものうのうと悪事を続けて同じような犠牲者が現れてしまう可能性も否定出来ない話である(獄門塾殺人事件などのように警察に話したところで大した罪にならずに完全犯罪をしれっと遂行している輩も多いため)。
マジシャンとしての経験と知識から、ある程度の推理力も兼ね揃えている。
無論、ベルモットと違い相手を脅迫し、無理矢理殺人を実行させるマネは一切していない。
自身の逃亡生活に協力してくれた相手には友好的な一面を見せる。また、金田一と協力する時は真犯人を暴いたり、自殺しようとした真犯人を助けるなど、複雑そうな想いを秘めていることが窺える。
金田一と協力していた姿を美雪からは「微妙に似た者同士ね」との評価。『光と闇』のように表裏一体という事だろうか。
また地獄の傀儡師として活動する裏で自身のルーツを追い求めており、実父の正体を探っている。
その実父が造り上げた世界で二株しかない無色透明の薔薇、蜉蝣を所有する。
容姿
センター分けに垂れ目が特徴的な優男(一部の作品では、絵のタッチが極端に異なる)。
この手のキャラとしては珍しく、イケメン・美形という設定は設けられていない。一方、不敵な笑みを浮かべるシーンが多く、底知れない暗黒の感情を周囲に曝け出している。
体格は剣持警部に近いが、体重が成人男性としては非常に軽く、体重50kgそこそこ。
(これが上述の事件において、犯人だと暴かれる一旦となっている)
初登場時は眼鏡をかけていたので、デフォルメ気味に描かれた時は佐木竜二と似ていて紛らわしい。後に地獄の傀儡師として活動後も眼鏡をかけた姿で登場しているが雰囲気が全く違う。
母親と似ておらず、全体的に父親似である可能性が高い。
ちなみに高校時代は前髪を下ろしていた。
能力
母譲りのマジックの才能を持ち、これを多様したトリックで金田一を翻弄し、何度捕まっても脱獄している。
得物にはナイフを愛用しており、ナイフそのものやダーツの矢などの投擲のコントロールにも長けている。
また変装のプロでもあり、外見を男女や年代を問わず家族にも気づかれないレベルまで変えられる。
その一方、素顔に仮面をつけた出で立ちも好んでおり、あえて敵の前に出て挑発するなど大胆不敵な性格も持ち合わせている。
さらに、登場当初の気弱な様子など、演技も俳優として通じるほどのレベルといえる。
ただし変装対象となった人物の、理屈では説明できない拘りや信念などまでは演技でカバーしきれない場合もあり、そこから正体を見抜かれたこともある。
学力面も極めて優れている。
明智と同じ私立秀央高校出身で、入試で全教科満点を取った秀才でもある。
しかし自己主張の塊であった明智とは異なり、近寄り難い雰囲気から周囲に馴染めず孤立していた。
留学経験もあり、語学も堪能。
ちなみに、『金田一少年の事件簿』本編では現在のところ高遠の実行した、あるいは実行犯のために用意したトリックは金田一によって全て解ききられており、自身の犯罪も含め完全犯罪に成功した様子は実は一度も描かれていない。
しかしあくまでも“作中で披露された話”の全てであり、金田一が絡んでいない事件に関しては不明。
抜かりの無い高遠は計画に綻びが生じるアクシデントが起きた際のアドバイスもして、完全犯罪を達成させようとしているが、
それでも停電や火事などの予想できないことがきっかけで犯人がボロを出してしまうことが多い。
完全犯罪に拘る彼には「事実は小説よりも奇なり」という諺を投げかけたいものである。まぁそれ以前に後述の『犯人たちの事件簿』にあるように、完全犯罪にこだわる割に、事件の起こる現場に度々一を呼んで犯人に余計な心労を与えていたりもするが。
端的に高遠のことを説明するなら、ルパン三世や怪盗キッドのようなスペックと、ジェームズ・モリアーティのスペックが加わった人物といったところ。なお、ルパンやキッドに近いキャラとしては作中に「怪盗紳士」がいる。
なお「怪盗紳士」の方は、逆に金田一の方が最後の最後で一泡吹かされる場面も多く、高遠とどちらが実力があると言えるかは微妙なところ。
経歴
本編前
世界的マジシャン・近宮玲子を母に持つ。
母とは幼少期に別離しており、父のもとで育てられていたが、少年期に見たマジックショーに心を奪われ、以後は母と同じ一流のマジシャンとなって同じ舞台に立つことを夢見るようになる。
魔術列車事件以前の彼の動向で分かっていることとして、プロのマジシャンとしてラスベガスのホテルでマジックショーを開いていたことがある。
日本に帰国する前なのでまだ犯罪者としての気質が目覚めていなかった頃の高遠の貴重な姿であり、
「マスクマン」という仮面のマジシャンに扮してマジックを披露していた。
そしてこの時に明智警視と接触している。
この頃の高遠は存外に人のいいところがあり、マジックショーの最中、明智警視が監視中の容疑者と揉めてしまった際マジックで彼を助けたり(迷惑な客を追い払いたかった本音もあるっぽいが)、その容疑者がホテル内に隠した金の在り処について明智警視が悩んでいるときには、カードを使ったマジックでさりげなくヒントを与えたりしていた。
またこの事件で明智警視と接触したことが、魔術列車事件で脅迫状を警視庁に送りつけた遠因であるといわれている。
ちなみに、マンガボックスで連載されていたスピンオフ作品『高遠少年の事件簿』では、明智と同じ秀央高校に通っていたことが判明。明智の4学年下であり、また明智以来4年ぶりとなる全教科満点での入学である。なおこの時、明智は高遠を一瞬見ているが、高遠の方は直接明智を関知していない。
本編
母親が死亡したことで、母親と同じ舞台へ立つ夢は永久に叶わないものとなる。
その後は自らのマジシャンとしての知恵と技術を活用し、復讐を兼ねた最高のマジックショーを実行した。しかしそれも金田一に見抜かれてしまったことにより、一世一代のマジックも台無しとなってしまった。それ故に、以降は金田一に勝つことを目的に動き、金田一をライバル視するようになる。
犯罪コーディネーターとして暗躍してからは、他人に犯罪を行わせ、それが失敗すると芸術を汚されたと称して犯罪者を殺害する残忍な行動を取る(※)。また、身代わりを頼んだ人間すらも容赦なく殺すなど、残忍さが強調された場合もある。
高遠曰く父親は何でも完璧を志す存在であったらしく、父親のもとでは自由らしい生活が送られていなかったとも語っている。
しかし高遠本人はその父親とは似ていないと感じており、実際に本当の父親が別にいるようだが正体は不明。そのため現段階での高遠のルーツは不明だが、本当の父親はトリックに都合の良い何らかのからくりが施された館を残すなど、只者ではないことは間違いないようである。
以降は自身のルーツを探るという目的も持ちながら独自に行動を執る。
逃亡中は自身が関与した事件の人形劇を子供たちに披露することが日課になっている。彼自身、幼少期に母親から公園でマジックを教わっていた。
現在はどうやら家を持ってるらしく、喫茶店を経営しながら裏で犯罪者として暗躍している。この家が高遠の実父のものなのか新築のものかは現時点では不明。
※ただし殺人教唆した者を狙うのはそれぞれ1回しか行っておらず、2回目から手出しする場面は無い。そのため「金田一少年の決死行」の犯人と「獄門塾殺人事件」の犯人の1人は最後まで生き残った。
関与事件
以下、犯人の名前などは伏せてますが、ネタバレに注意して下さい。 |
---|
本編内での自らの手による直接的な殺人は7件(魔術列車殺人事件で3件、速水玲香誘拐殺人事件・金田一少年の決死行・獄門塾殺人事件・黒魔術殺人事件で各1件)で、スピンオフでも殺人を犯しているが、こちらは正当防衛である。
また殺人未遂を含めればほぼ登場の度に犯罪行為を犯している。活動のメインである殺人教唆で間接的に殺害した人数は現時点で確認できる限り21人。加えて3回も脱獄している。警察は何をやってるんだとも言えるが、高遠の実力がそれ以上に優れているとも言えるだろう。
なお、世間的には指名手配犯のため変装していることが殆どだが、CASEシリーズ以降は殆ど「こいつ高遠だな」と簡単に連想出来る簡易変装が多い。のに金田一や明智以外の他の登場人物たちはなかなか気づかないことが多い。ぶっちゃけ、高遠であるかどうか以前にどう考えても怪しい人物である。
その際の偽名もDQNネームレベルで人間の名前としておかしい物や非常に珍しい苗字のものが多く、登場人物の名前を並べただけでも誰が高遠か分かることすらある。いろんな意味で、こいつは親にならない方がいい気がする。
ちなみにその事件に高遠が関係するか否かは、冒頭あるいは序盤に高遠が登場するかで判明することが多いが、最終盤で高遠が黒幕だったと明かされるパターンも一部ある。
関与した事件においては、金田一恒例の「怪人名」は大抵は高遠が名付け親となっている。
FILEシリーズ
高遠の初登場から、因縁のライバルとしての出演まで。
魔術列車殺人事件
初登場であり、真犯人となった事件。
母の死を訝しんだ高遠は出自を隠して幻想魔術団に潜り込んでいた。
そして母が一部メンバーによって事故に見せかけて殺害されていたことを知り、復讐を決意し実行に移した。
これを機に「犯罪芸術家」としての狂気を自覚するようになった。
「一世一代のショー」を嘯き、わざわざ観客として警察や金田一を挑発し呼び寄せたうえで犯行に及んだ。
しかし、その金田一によって真相を暴かれることになる。
この事件ではマジックのトリックをいくつも応用し、隙のない犯罪計画を実行した。
……のだが、自身の体重が軽すぎたことが仇となって滑車の原理による脱出トリックに失敗、その時とっさに考えた逃亡手段(翡翠を持って重くする)がきっかけとなって犯人であることを見抜かれてしまっている。
他人の犯罪の完成度に厳しい割には、意外と初歩的なミスをしている部分が窺える。
金田一に追い詰められた際、名指し直後は演技の延長として怯えた様子で無罪を主張していたが、徐々に証拠が揃っていくにつれて開き直り、言い逃れできない状況になった時点で眼鏡を投げ捨ててその本性を完全に現し、「母の教えに従って」として自らの出自や動機を堂々かつ淡々と語り、あっけなく逮捕された。
この様子は、金田一の殆どの犯人が「名指しされた直後は開き直って堂々と自らの無罪を主張するが、証拠を突き付けられるにつれて徐々に焦り、言い逃れができない状況になると感情のままに動機を自白し自暴自棄になる」のと極めて対照的である。
「母の教えに従って」として速やかに自白し逮捕されるが、この行動も「舞台の最終幕を母に譲るため」の意図的なものであった。
復讐が未完で残った1人を、母が遺した欠陥マジック(※)で、以降はサブレギュラー的存在として金田一の行く先々で暗躍する。
なお、犯人を暴いた後で、その犯人が思惑通りに殺人を完遂したのは金田一史上これが最初で最後である。
※この場合も相手が死ぬとわかった上で放置したため、「未必の故意」という形で殺人が成立する。
よってこの事件は親子の共同で復讐劇を完遂した…という形で幕を下ろした。
速水玲香誘拐殺人事件
リニューアル前最後の金田一少年の事件簿の事件にて登場。「地獄の傀儡師」として最初の犯罪教唆を行う。
この時は変装しており「小渕沢英成」と名乗って容疑者の一員に紛れ込んでいた。
犯人を見抜かれるとその犯人を殺害し、最後に金田一の前に姿を現しては得意のマジックを使ったかのようにその場から消えてしまった。
Caseシリーズ
金田一少年の第一期完結まで。このシリーズの高遠はアンチヒーローのような一面を持つクールなキャラクターとして描かれている。
露西亜人形殺人事件
この事件は高遠の逃亡生活を手助けした人物の依頼で関わることになる。前回は誰1人高遠であることを見抜けなかった程の変装の腕前を見せながらも、今回は仮面をつけてしかも奇術師「スカーレット・ローゼス」と名乗って登場。金田一にもすぐに正体を見抜かれる。
※ただしこの件に関してはそもそも依頼人の頼みで館に来たらその場に金田一がいたと言う形である為そもそも金田一が来るからバレないように変装しようと言う考えがなかった可能性が高い。
後に高遠への依頼人が殺されてしまい、その仇を討つために金田一と推理勝負を持ちかける。最終的には金田一と協力する形で犯人を暴くこととなった。
また、この時の犯人の動機が高遠自身が殺人を行うきっかけと似ているためか、自殺しようとした犯人を助け、殺人事件の舞台をあとにした。
最後にこの事件の裏に隠された真相について金田一と話した後に、自身と金田一の関係を「平行線」に例えた。その後宣戦布告をして、いかにも悪役らしい去り方をした。高遠自身が事件に直接関わっていない初の事件。
金田一少年の決死行
金田一少年の事件簿が不定期連載になる前のいわば最終回の事件にて、ラスボスの如く登場する。
なぜか牧師として教会に潜んでいたところ、殺人事件のタネとなるネタを収集。金田一を犯人に仕立て上げる犯罪計画を実行するも見破られ、最終的に剣持警部そっくりに変装していることも見抜かれる。実際はそれ自体も計算済みで、自殺に見せかけるマジックショーで逃亡を企てていた。
しかしそのことも見抜いた金田一達によってついに捕まり、再び刑務所へ送られることとなった。その後は天性の嗅覚で嗅ぎつけた、これから殺人事件が起こるであろう場所、あるいは殺人が起こるように仕組んだと思われる場所を記した「犯罪ガイドマップ」を作り上げ、金田一に手紙として渡した。
因みに後述の「剣持警部の殺人」にて金田一は「高遠は犯人にとって全く関係ない人間を巻き込む計画は決して立てない」と言っているが、この事件では犯人にとって無関係な明智警視が被害者として殺されかけるという事態が起きているため、さりげなく矛盾が生じている。
不定期連載の新シリーズ
新シリーズによる金田一少年の事件簿の連載が再開してから、一度は決着がついた高遠との対決も復活。本シリーズでは冷酷かつ残虐な人物として描かれている(原作者曰く、現代社会を考えた時、殺人者がカッコいいと思われる状況を良くないと考えたとのこと)。
吸血鬼伝説殺人事件
直接高遠が関わったことを示唆する場面は無いが、高遠の「犯罪ガイドマップ」に載っていた場所で起きた殺人事件であり、かつ犯人の使ったトリックがマジックショーでよく使われる「困難の分割」であったため、何らかのタネをまいた可能性は考えられる。
獄門塾殺人事件
「オペラ座館・第三の殺人」の終盤にて高遠が脱獄し、本格的に再始動した。
この時もまたどういう訳かゴムマスクをつけただけという簡素な変装をしており、外見はどう見てもスケキヨ。偽名の「赤尾一葉」も自分の名前を並べ替えただけとなっていて、この段階で「こいつ高遠だろ」と確信した読者多数。アニメ版では当然声も同じなため、もはや分からない方がおかしいレベル。
こういった変装をする場合があるため、後の「雪霊伝説殺人事件」における仮面をつけた弁護士が高遠ではないかと疑った人もいるのではないだろうか。
謎を解かれた場合は犯人を見逃すという約束を金田一に取り付けられたが、無視して殺害した(※)。
これまで格闘術を作中で披露することは無かった(尤も、のちの外伝『犯人たちの事件簿』でも言及されているが、高遠の殺人方法は一部の超人的なものを無視してもかなり身体能力が高くないと難しいものも多い)が、逃亡先の偽装工作を見抜いた金田一に追いつかれた時は1対1で対峙し、隙を見て腹パンを食らわせ逃亡に成功している。
アニメ版だと町中で地獄の傀儡師状態で子供達に風船を配った後で明智警視にマリオネットを送りつけていて(金田一には犯罪ガイドマップを)そのマリオネットが煙突に待機していた地獄の傀儡師状態の高遠のところに飛んでいき、高遠は赤い薔薇と共に消失マジックを披露していた。お前何やってるんだとつっこみをいれたくなるだろうが彼もマジシャンだったのでやりたかったんだろう。きっと。ブラッディローズ(赤血薔薇) 炎の脱出マジック。
※以下ネタバレ注意
この事件では真犯人が2人いたが、うち一人が他の犯人を庇う形で高遠の攻撃を受け止めたために、犯人の1人は生存している。
黒魔術殺人事件
他よりも高遠の残忍さが強調された事件。仮面とカツラをつけた黒魔術師「黒瓜鬼門」として登場。またお前かと思った人は数知れず。いい加減にその名前のセンスをどうにかしろ。
なぜかこの事件に登場する高遠はやたら顎が長く描かれている。さすがにアレほど酷くはないが。また眉毛などが微妙に濃く、探偵学園Qのケルベロスにキャラが引っ張られている可能性がある(誤解のないようにいっておくが、ケルベロスの顎はそこまで長くない)。
自身の身の安全を優先して逃亡したために、この作品ではトリックを見抜かれた犯人が高遠に命を狙われることは無かった。…ただし、事件に無関係な人物(高遠自身が用意した黒瓜の身代わり)が殺害されている。
どうもこの事件の高遠だけ作画も性格も原点から大分ズレているようだ。
アニメ版では尺の都合上、役者は雇われず高遠本人が黒魔術をやっている。
また、金田一とも直接対面している。しかしその際に「後は私の人形達が芸術的な犯罪を完成させてくれる」と、地味に吹き込みをした相手が複数いることをバラしてしまっている。
尤も原作にないシーンのため、ここで金田一が複数の人物によって事件が展開されたことに気づくわけではない。むしろ2回目を見た視聴者、もしくは原作を既読した視聴者宛の伏線と思われる。
剣持警部の殺人
指名手配もされている人物なのだが、変装もなしに牧師として普通に警察関係に介入して犯罪者と面会している。何やってるんだ警察。
この事件においては最後に犯人が自殺することを考慮してか、トリックを見抜かれた後に高遠に命を狙われることは無かった。
なお、犯罪教唆したのは高遠だがその状況を作った原因は警察や弁護士らにもある(そもそも真相に繋がる証拠を発見していたのに誤った解釈をし、それがどういう品かを調べもせず見逃した結果がこの事件に繋がっている)ので、作中での高遠の「犯人は大人に裏切られた」という発言は事実である。
20周年記念シリーズ
登場した回は1つだけで、高遠の殺人教唆による事件ではなく、むしろ味方として活動した珍しい回となる。
この辺りから自身のルーツを気にするようになり、父親だと言われていた人が養父であることが判明。実父が残したっぽいモノを殺人教唆しつつ追いかけている。
薔薇十字館殺人事件
20周年記念シリーズの最終章に登場。冒頭にて久しぶりにマスクなどではない本格的な変装を見せた。
ローゼンクロイツ(ドイツ語で「薔薇十字」の意)と名乗る謎の人物から、高遠さえ知らない異母妹を人質に取ったという内容の脅迫めいた招待状が送られ、金田一達に協力を申し込んで薔薇十字館へと向かう。
本人はフラワーアレンジメントの「遠山遙冶」と名乗って舞台に紛れ込んでいるが、変装はしていない。作中で招待客の1人によって高遠遥一である事が暴かれると、他の人物によって監禁されるなど警戒されたが、それまで変装どころかマスクやメイクの1つさえしていない指名手配犯本人と対面しておきながらなぜ怪しもうとすらしなかったのか疑問である。
事件解決後は当初の約束通りに警察へ出頭するもあっという間に脱獄し、ある目的地にたどり着いた模様。
また、露西亜人形殺人事件と同じく高遠が手を下していない事件であり、あの事件以上に金田一と高遠が協力するシナリオとなっている。
高遠と美雪がまともに会話するシーンがあるのは、実に魔術列車の一件以来となる。彼曰く美雪は金田一の助手的存在らしいが、あながち間違ってはいない。
なお、これも露西亜人形殺人事件と同じく高遠が犯罪に手を染めていない事件に数えられる……かと思われたが、ファンからは強制猥褻が罪状に加えられている。
金田一少年の事件簿R
地獄の傀儡師としての活動を再開。しかし、ルーツ探りを最優先にしているためか、完全犯罪にこだわるような描写が薄く、真相が見抜かれたからと殺人鬼に仕立て上げた人物に直接手を加えなくなっている。
亡霊校舎の殺人
薔薇十字館殺人事件の最終回にて高遠が訪れた山中の洋館を拠点に暗躍。今回はとある人物の思惑を探るため、その人物によって改造された黄金島の中学校を事件の舞台に選んだ。金田一達を誘導したことにより、獄門塾以来となる金田一と明智警視の共闘が実現している。また、今回の犯人「亡霊教頭」は高遠が作った『完全犯罪の扉』というサイト(推理小説の感想サイトに偽装されていた)を見たことがきっかけで教唆のメールが送られていた。
事件前は今回の計画を基にした紙芝居をしており、事件後は島で発見した黄金の一部を持ち帰り新たな資金源としている。
なお、この事件で高遠と犯人は始終無線でやり取りしていたため、金田一達と顔を合わせることはなかった。
蟻地獄壕殺人事件
これまでの高遠の「地獄の傀儡師」としての活動が絡む事件では冒頭にて高遠の存在を仄めかすのがお決まりになっていたのだが、この事件は裏で糸を引いていたことが中盤に発覚するという珍しいもの。
どうやら今回の舞台である蟻地獄壕も高遠のルーツを探る上で何かしら重要な要素を持っているようだったが、本編では明らかにされなかった。
今作はいつき陽介を意図的に巻き込んだ初の事件となっている。
かつてのマネージャーに似た姿で犯人となる人物の前に現れ、言葉巧みに殺人計画へと誘導。事件中には本気の変装をして容疑者の中に紛れ込んでいたが、金田一が事件を解決して変装がバレてからは正体を堂々と現し、ナイフで防御しつつ部屋の鍵をかけて逃亡した。
金田一二三誘拐殺人事件
喫茶店と葬式会場に紛れ込むことで事件のことを嗅ぎ付け、完全犯罪のためのトリックを伝授した。
今作では珍しいことに、意図的に金田一を巻き込まずして「地獄の傀儡師」としての殺人教唆をしている。そのためか冒頭どころか道中でも彼が関与したことを疑わせる描写がない。
そもそも陰でやり取りできる状況の無い犯行とはいえど、高遠が状況を見守っているような様子さえもない。
金田一は「完全犯罪」というワードを滑らせたことと、一般人にしてはよく出来たトリックから裏に高遠がいることを見抜いた模様。だが、それは高遠が関わっていないこれまでの犯人のことを否定するかのような物言いである。
ただし、誘拐目的に見せかけた計画殺人という点では「速水玲香誘拐殺人事件」に通じるものがあるので、デジャブを感じていた可能性も有る。
また、薄々感づいていた人もいるかもしれないが、カフェふくろうの店主の正体が高遠であることが発覚した。
高遠が殺人教唆した「亡霊校舎の殺人」と「蟻地獄壕殺人事件」に両方ともカフェふくろうが登場していたため、関連を疑った読者もいるのではないだろうか。
どのようにして喫茶店のマスターに転職したのかは謎だが、初登場が「亡霊校舎の殺人」であることから、手に入れた金塊を利用して店を立てた可能性が考えられる。
同【マガジンポケット】
金田一少年の事件簿 外伝 犯人たちの事件簿
今までの金田一に登場した事件を、犯人側の視点で見ていくというスピンオフ作品。うち第4シーズンにて登場。
同作作者をして「こいつの事件を書いてもつまんないでしょ」と言わしめられたが、読者投票の結果書かざるを得なくなったという顛末を持つ。
同作では犯人たちが事件トリックを実現するための苦労(実際にやると相当無茶なトリックも多いため)が描かれるが、高遠は大体難なくやってみせ、自ら「つまらない」と言い出す傲岸不遜な態度を見せる。
更には第四の壁を堂々と超えて視聴者に語り掛けるシーンまであり、他の犯人とは違うレベルである様子が窺える。
一方で、窮地に陥れた金田一が奇跡的な手段で生還したり自ら犯人を絞る環境(第2の事件の際)を作り出したりしたことに「ハメ技」「何なんだこの男」と思わず突っ込んでいる。
第6シーズン「速水玲香誘拐殺人事件」を取り上げた際にも登場。実行役からは「高遠の金田一に対する執着も問題」「探偵連れてくる必要ある?」と言われてしまっている。
後の「黒魔術殺人事件」の犯人からもわざわざ金田一を呼ぶことから「お前のせいでハードモードだ!」と突っ込まれており、他の事件の殺人教唆の際も「スパルタ」「すごく詰め込み教育」「根性論」と盛大に指摘されている。さらに、代犯人の中からも「高遠被害者の会」が結成される始末である。
殺人教唆した者が実行する場面も一部の事件で描かれており、前述の外道共の制裁を見ることができる。
ちなみに黒魔術殺人事件本編にて彼が正体を明かす際に「『彼』までがここに現れるとはいささか予想外でしたね」と言っているシーンがあるが、この事件一を呼んだのは高遠であるので矛盾している。
このことは本作でも盛大に突っ込まれているが「『彼』までが」と言っているので、ここでいう『彼』とは剣持警部のことを指しているのだと思われる。