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セクハラの編集履歴

2022-07-31 19:12:07 バージョン

セクハラ

せくはら

セクシャルハラスメントの略称。

概要

昭和日本までは存在すらしなかった概念

1989年流行語大賞に選ばれてから「そんなものが世に存在するとは」と日本人男性が初めて知ることになったハラスメント行為のこと。

このため特に昭和世代のオッサンたち(特に昭和漫画を読んで育ったオッサンたち)は、一体どこからがこのセクハラにあたるのかの想像すらつかない人が多く、令和になってもナチュラルに職場で女性社員にスリーサイズや男性経験を聞くなどして、気づかぬままセクハラ親父と化している。

セクハラは年齢に限らず、また女性から男性に対しても、同性同士でも起こっている事である。


詳細は⇒セクシャルハラスメント


本項目ではフィクション作品における独自の熟語としての「セクハラ」(所謂「逆セクハラ」含む)、および、時代の変化によりセクハラとの認識が広まった例について解説する。


フィクションにおける独自熟語・概念としての「セクハラ」

略称としての「セクハラ」はフィクションにおいて、犯罪としてのそれの他、「(視聴者から見て)エロくじゃれつく」という描写に使われている。

ピクシブ百科事典内にもこの用例の「セクハラ」の名を冠したタグが複数存在する。

親記事とそうした転用を分ける意味合いから、本記事の子記事には便宜的にそうしたタグを収めてある。


版権作品の公式キャラ解説で使用される事もある。例えば『閃乱カグラ』の葛城(女性⇒女性)、『僕の彼女がマジメ過ぎる処女ビッチな件』の有山雫(女性⇒男性)。


女性同士の乳を揉む描写がコミカルに演出されることもある。

合意が成立している濃密な接近やスキンシップも「セクハラ」と呼ばれるのだが、同意・合意が存在するなら「ハラスメント」ではないため言語矛盾となる。

また、創作上の独自概念としての「セクハラ」にはされる側がびっくりする描写もある。つまり、「していいか」の確認は必ずしも明確では無い。この系列の描写にはスカートめくりも含まれる。

その点で、次の節で扱う「現実世界で行えば告発対象となる描写」と繋がっている。受ける側の反応も現実世界とはかけ離れた「お約束」に基づいているのであり、現実と混同することは絶対に許されない。


コミカルに表現する作品においては、「犯罪」や該当する恐れのある行動としては言及されない形となる。


現実世界で行えば告発対象となる描写の歴史

昭和時代や平成初期に開始された有名作品(R-18ではない全年齢向け作品である)には、「女性の尻を触ったりするが、シリアスな否定はされない」キャラクターの描写があった。

例えば『ドラゴンボール』の亀仙人や(初期DBにはブルマの体を触る為に睡眠薬を盛るウーロンのシーンもある)、『ダイの大冒険』のマトリフである。

こうしたシーンにおいては強い口調で「エッチ」「スケベ」と言われたり、怒った相手に殴られるというオチはなされるが、現実の被害者にあるような萎縮して反応できなくなったりしまうような側面は描かれない。

上の二例でも味方や仲間としての関係じたいは問題無く存続できている描き方になっている。


成人でないキャラクターが覗いてしまう描写があり、こちらもシリアスな否定はされていない有名作品として『ドラえもん』がある。

原作でのシーンはこちら(静香の入浴シーン徹底分析&のび太の「助平シーン」全レビュー)。

原作では意識的に風呂場での裸を含んだ覗きを継続するシーンがある。


平成時代に入ってからしばらくして生まれた作品でも『ハイスクールD×D』などにおいて「風呂場・温泉をのぞく(覗き)」事柄がネタ的に描写された。

こちらも「キャー!」という悲鳴は表現されはする。しかし覗き被害が生む甚大な心的ダメージ等については描かれない。


2014年から連載され、アニメ化された『僕のヒーローアカデミア』の峰田実は「女子に触ったり、覗き(個性=超能力を使った事もある)もするコメディリリーフ」というキャラ造型である。


2018年放送のアニメ版『ウマ娘プリティーダービー』一期1話では、男性トレーナー(通称沖野T)がレースを観戦しているウマ娘に断りなく、背後でしゃがんで太股を両手で触り、蹴り飛ばされるシーンがある(この構図は最終話で他のウマ娘相手に繰り返される)。その後も自身が受け持つチームのウマ娘の足を同じように同意確認せずに触って蹴られるシーンがある。

このときウマ娘側は顔をひきつらせたり固まる反応をしている。「競走馬の足の筋肉を触ってチェックする」「後ろから馬に近づくと蹴り飛ばされる危険がある」を知性を持つ種族のキャラクターに置き換えた結果、セクハラシーンとなった。作中でも「やっぱり痴漢じゃないですか」「なにもっともらしい事言ってエロいことをしてやがるんだ」と言われている。

このトレーナーは「スケベキャラ」的造型ではないが、それ以外の「コミカルな演出」「やった側が強烈な物理的反撃を喰らう事でオチとする」「その後もされた側と良好な関係が築かれたり維持される」は昭和・平成初期の表現と共通している。

(なお、2020年から放映のアニメ版二期と翌年配信開始されたアプリゲーム版ではこうしたセクハラ描写はされていない。ゲーム版ではタップしても「触る」系のボイスもない)


被害者が背負うトラウマ等について実態が社会に広まっておらず、ハラスメントやコンプライアンスについての意識が薄かった時代からの「お色気」系描写の系譜と言える。


ゲームにおけるタッチボイス

ゲームの中には、キャラクターや画面をタップやクリックした際にボイスが再生される作品が複数ある。

多くは「会話をしている」という演出となるが、タップ・クリックした際に反応が変わる作品もある。それが胸部である場合「πタッチ」(π=パイ、「おっぱい」の略)と呼ばれる。


その中に「プレイヤー(キャラ)が作中のキャラクターの体に触り(「おさわりボイス」という)、明らかな拒否や違和感の台詞を返す」というものがある。

艦隊これくしょん』や『アズールレーン』などで該当例がある。

ゲーム中の仕様として、拒否や違和感を返すキャラクターがその場でユニットとして離脱したり他にペナルティがあったり、特別な注意がされたりはしない。

基地で上官からセクハラが行われ、ゲーム仕様も相まってプレイヤー側との関係自体に禍根は残さず、「ケッコン」的システムも可能という描写であり、こちらも批判者がいる。


少女☆歌劇レヴュースタァライト -Re LIVE-』(スタリラ)では当初「おっぱいタッチ」とプレイヤーから呼ばれる仕様があったが、2018年12月に削除された。


逆に後になって画面タッチボイスを導入し、その反応に「触る」の結果であるものが含まれた事で批判を受けた『メギド72』の例もある。


媒体による修正

ワールドトリガー』の迅悠一は、原作漫画では女性キャラクターの尻を触るシーン等があるが、アニメ版ではカットされている。


批判

フェミニスト、女性からこうした作品のセクハラ描写が批判される事がある。

フェミニストを名乗らない人からも「キツい」といった反応や「ただのセクハラ、痴漢」として扱う反応はある。


『ドラえもん』の風呂シーンの削除を求める署名も行われた(#ドラえもんのお風呂シーンのカットを希望します)。「表現の自由」の観点からこれに反対する動きもある。

この署名では「どこでもドアを使って源静香のもとに行こうとするが、ちょうど入浴中だった風呂場に偶然出てしまう」という流れについても疑問が呈されている。

この展開が描かれたのは一度ではないため、最初が偶然としても二度目以降は知った上でやっていることになる。現実なら意図的だと疑われる他ない。

原作ではどこでもドアで入浴中に野比のび太に風呂場に上がり込まれた静香が「また」と返すシーンもある(32巻「腹話ロボット」)。

アニメ版でも2017年6月2日放映回の「アヤカリンで幸運を」エピソードで「本当にもう君には呆れた! どうしてそういつもいつもお風呂にばっかり入ってるの?」とどこでもドアで風呂場に来たのび太が発言している。

にも関わらず、源静香は未来で野比のび太と結婚する相手ともされている。


問題とされているのは、覗き、「裸を見られてしまうこと」への扱いの軽さである。

『ドラえもん』のような低年齢層向けのメジャー作品の場合、覗き行為や「裸を見られてしまうこと」等への軽い扱いが子供達に刷り込まれる、という危惧もなされている。


ドラえもんの「お色気」路線は時代を経るごとに削られてきてはおり、その中にはきせかえカメラで高露出のコスチュームを静香に着せる、というものも含まれる(2020年度版の『超大作特撮映画「宇宙大魔神」』)。


後年に修正される例

『ダイの大冒険』にアニメ版の場合、1991年度版アニメではマトリフのセクハラシーンはそのままだったが、2020年度版では削除されたり(エイミのスカートに手を突っ込んでめくるシーン)、マァムの胸をうしろから掴むシーンが未遂に終わって蹴り飛ばされる、といった改変がなされている。強烈なセクハラ発言の描写はされている。


のだめカンタービレ』(2001年~2010年まで連載)では登場人物フランツ・フォン・シュトレーゼマンが主人公のだめに後ろから両手で乳を掴むシーンがあった。それが2021年9月から刊行の新装版では位置関係はそのままに右手を首もとの高さからまわして彼女の左肩にあてる、という形で置き換えられている(『のだめ』“ミルヒー”のセクハラ描写が変更されていた 原作者「私の中にもいろいろな時代があるようです」)。

作者・二ノ宮知子はTwitterにて「これを機にのだめの原作を読む方々。この作品には数々の暴力、セクハラシーンがあるのでご注意下さい 描き始めた2001年の二ノ宮規格がもうね。。」とツイートしている。

新装版では新たな世代の読者に向けて、古い表現についての注釈を入れているが、シュトレーゼマンのセクハラ描写については「それはちゃんと「この人最低だな」って思ってほしいので、そのままでいいと思っていました!」とフォローは入れていない(二ノ宮知子が語る、『のだめカンタービレ』と歩んだ20年 「やるからには読者の方に喜んでもらいたい」)。


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