概要
アメリカ合衆国大統領(アメリカがっしゅうこくだいとうりょう、英語:President of the United States of America、略称:POTUS)は、アメリカ合衆国の国家元首にして行政府の長たる官職。1945年の第二次世界大戦終結後は超大国の最高指導者として、国内・全世界に強大な権力・影響力を有する。
時には大統領の言動1つで世界経済に変動を来たし、同盟諸国を率いて戦争を起こすほどで、他にも人類史上唯一核兵器の実戦使用を命令した国家元首でもある。アメリカは世界で最も強大な経済力を有する国である為、大統領が誰になるかは世界情勢・経済情勢ともに大なく影響を受けるため、4年に1度行われる大統領選挙は世界中の注目を集める。
任期は連続2期8年となっており、立候補には35歳以上でアメリカ国内における在留期間が14年以上・出生によるアメリカの市民権保持者である事が条件。
選出方法は国民が選挙人団(特定の候補への投票を誓約する有権者団体)に投票し、それで勝利した団体同士が誓約した正副大統領候補に投票して当選者を決定する間接選挙となっている。ご存じの通り、アメリカは広大な国土を有しており、選挙にかかる期間はかなり長い。
※詳しい選出の流れや大統領の権限などは外部リンクを参照。
歴代大統領
代数 | 氏名 | 所属政党 | 特記事項 |
---|---|---|---|
初代 | ジョージ・ワシントン | 無党派 | 独立戦争の総指揮官で建国の父。ラシュモア山に彫られた1人。 |
第2代 | ジョン・アダムズ | 連邦党 | ホワイトハウスで政務を執行した最初の大統領。アメリカ海軍の創設。 |
第3代 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | 独立宣言の筆者で、アメリカ合衆国独立の理論的指導者。ラシュモア山に彫られた1人。 |
第4代 | ジェームズ・マディスン | 民主共和党 | 1812年戦争当時の大統領で憲法制定の中心人物。 |
第5代 | ジェームズ・モンロー | 民主共和党 | モンロー主義を発表した。 |
第6代 | ジョン・クインシー・アダムズ | 民主共和党 | ジョン・アダムズの息子で、親子で大統領となった最初の例となった。 |
第7代 | アンドリュー・ジャクソン | 民主党 | 民主党からの選出かつ初の非WASPの大統領。インディアンに対する過酷な弾圧でも知られている。 |
第8代 | マーティン・ヴァン・ビューレン | 民主党 | 独立宣言の後に出生した初の大統領。 |
第9代 | ウィリアム・ハリソン | ホイッグ党 | ホイッグ党選出の最初の大統領。在職中に死去した初の大統領。 |
第10代 | ジョン・タイラー | ホイッグ党 | 副大統領から大統領に昇格した最初の人物。 |
第11代 | ジェームズ・ポーク | 民主党 | テキサス共和国の合併などの領土拡張を実施する。 |
第12代 | サガリー・テイラー | ホイッグ党 | 軍人出身初の大統領。 |
第13代 | ミラード・フィルモア | ホイッグ党 | ホイッグ党選出の最後の大統領。日本に国書を送る。 |
第14代 | フランクリン・ピアーズ | 民主党 | 時代の変化に対応出来ず、使い捨てにされた傀儡。 |
第15代 | ジェームズ・ブキャナン | 民主党 | 練達の外交官だったが、彼をもってしても南北戦争は防げなかった。 |
第16代 | エイブラハム・リンカーン | 共和党 | 共和党から選出された最初の大統領にして南北戦争当時の大統領で、現職の大統領として初めて暗殺された。ラシュモア山に彫られた1人。黒人の解放者にしてインディアンの弾圧者である。 |
第17代 | アンドリュー・ジョンソン | 民主党 | リンカーン政権の副大統領を務め、1865年4月に先代が暗殺されたのを受けて就任した。 |
第18代 | ユリシーズ・グラント | 共和党 | 南北戦争の英雄で、大統領としては最低という評価がある。岩倉使節団と会見した。 |
第19代 | ラザフォード・ヘイズ | 共和党 | |
第20代 | ジェームズ・ガーフィールド | 共和党 | 暗殺された2人目の大統領。 |
第21代 | チェスター・アーサー | 共和党 | ガーフィールド政権で副大統領を務め、1881年7月(同年9月に死亡)に大統領が暗殺された事で昇格した。 |
第22代 | グロバー・クリーブランド | 民主党 | 自由の女神が完成した当時の大統領。後に24代として歴代で唯一の連続では無い再任であった。 |
第23代 | ベンジャミン・ハリソン | 共和党 | ウィリアム・ヘンリー・ハリソンの孫。祖父と孫で大統領となった唯一の例。 |
第24代 | グロバー・クリーブランド | 民主党 | 22代と同じ人物で、1期ほど間をおいて再任した。 |
第25代 | ウィリアム・マッキンリー | 共和党 | 暗殺された3人目の大統領。 |
第26代 | セオドア・ルーズベルト | 共和党 | アメリカの大統領として初めてノーベル賞を受賞し、独禁法の制定などの改革を進めた。ラシュモア山に彫られた1人で、テディベアの語源になった。マッキンリー政権では副大統領であり、1901年9月に大統領が暗殺された事で昇格した。 |
第27代 | ウィリアム・タフト | 共和党 | 大阪の名物であるビリケン人形の語源になった。 |
第28代 | ウッドロー・ウィルソン | 民主党 | 第一次世界大戦当時の大統領。ノーベル賞受賞者。 |
第29代 | ウォーレン・ハーディング | 共和党 | |
第30代 | カルビン・クーリッジ | 共和党 | |
第31代 | ハーバート・フーバー | 共和党 | 大恐慌に翻弄された不運な人物。1931年3月に「星条旗」を国歌として正式に採用する。 |
第32代 | フランクリン・ルーズベルト | 民主党 | 第二次世界大戦当時の大統領で、在職期間は4期12年と歴代最長である。セオドア・ルーズベルトの甥。 |
第33代 | ハリー・トルーマン | 民主党 | 第2次世界大戦時の大統領。日本への原爆投下を指示した。 |
第34代 | ドワイト・D・アイゼンハワー | 共和党 | 陸軍の出身で、第2次世界大戦のヨーロッパ戦線で活躍した功績から高い人気を誇った。 |
第35代 | ジョン・F・ケネディ | 民主党 | アメリカ初のカトリック教徒の大統領。キューバ危機によるソ連との軍事衝突を回避したが、在職中にダラスで暗殺され、これは歴代の大統領としては4人目となった。 |
第36代 | リンドン・ジョンソン | 民主党 | ケネディ政権の副大統領で、1963年11月に先代が暗殺されたのを受けて就任した。 |
第37代 | リチャード・ニクソン | 共和党 | 任期中多くの外交的成功を収めるが、一大スキャンダルにより辞職した唯一の大統領。 |
第38代 | ジェラルド・フォード | 共和党 | 日本を公式訪問した最初の大統領で、史上唯一選挙を経ずに大統領に就任した。 |
第39代 | ジミー・カーター | 民主党 | 大統領を退任した後の2002年12月にノーベル平和賞を受賞した。対話による平和外交を打ち出したが、民衆の支持を得られず失敗に終わった。 |
第40代 | ロナルド・レーガン | 共和党 | 元々は俳優として活躍し、米ソ冷戦を終結させる道筋を開いた。 |
第41代 | ジョージ・H・W・ブッシュ | 共和党 | 湾岸戦争当時の大統領。1989年12月のマルタ会談で米ソ冷戦を終結させた。 |
第42代 | ビル・クリントン | 民主党 | 先住民族(チェロキー族)の血を引く史上初の大統領で、モニカ・ルインスキーとの不倫騒動で弾劾裁判にかけられる。妻はオバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントン。 |
第43代 | ジョージ・W・ブッシュ | 共和党 | 9.11当時の大統領で、ジョージ・H・W・ブッシュの息子である。かつてMLBのテキサス・レンジャーズのオーナーだった。 |
第44代 | バラク・オバマ | 民主党 | 初の非白人大統領で、2009年10月にノーベル平和賞を受賞した。2016年5月に現職として初めて原爆の被爆地を訪問した。 |
第45代 | ドナルド・トランプ | 共和党 | 不動産王と呼ばれ、過激な発言から「暴言王」の異名も持つ。 |
第46代 | ジョー・バイデン | 民主党 | 2021年より在任。オバマ政権の副大統領で、大統領としては史上2人目のカトリック教徒である。就任時点で史上最高齢。 |
存命中の大統領経験者(2023年9月現在)
- 39代:ジミー・カーター(1924年10月1日 - )※存命最高齢
- 42代:ビル・クリントン(1946年8月16日 - )
- 43代:ジョージ・W・ブッシュ(1946年7月6日 - )
- 44代:バラク・オバマ(1961年8月14日 - )
- 45代:ドナルド・トランプ(1946年6月14日 - )
大統領を経験した者は、退任した後も「ミスター・プレジデント」と呼ばれる。1958年8月に成立した元大統領法によって年間20万ドルの年金の支給・医療保険の付与があり、身辺警護の費用は退任から10年は公費で賄われる。