ストライクダガー
すとらいくだがー
「調子に乗るなよ!コーディネイターが!」
概要
地球連合軍が開発した初の、量産型モビルスーツ。
ヒロイックなガンダムのものとは異なる、ムスッとした顔立ちが印象的。
ヘリオポリスで開発したG兵器の強奪によって他機の開発データが不十分で有った事から、ベースにはストライクが選ばれている。
元々は制式量産機である生産型機体としてダガーが設計されていたものの、戦時下において急速なMS普及が必要で有った為、ビーム兵器に関する技術を除いて試作機に標準装備されていた新技術(フェイズシフト装甲、ストライカーパックシステム)はオミットされており、いわゆる簡易量産機という位置づけである。
これに伴って制式化時期が「ダガー」と逆転した事と、第1期GAT-Xシリーズ中唯一奪取されなかったストライクにあやかった為に、本機に「ストライク」の名が冠される事に成った。
兵装面においてはジンの通常装甲を一撃で破壊し得るビーム兵器を標準装備として採用し、大戦後期の投入ながら戦力の巻き返しに貢献した。
ユニウス条約後の環境では時代遅れな機体と化していき、ストライカーパックシステムに対応して無い事も追い打ちとなり、上位機種であるダガーの配備の拡充やダガーLへの切り替えに伴い、大西洋連邦では退役。
二線級の連合加盟国への払い下げや、MA用の部品に成る等の運命を辿った。
ナチュラル用のOS
早期の戦力投入を可能とする為、ナチュラル用のM.O.Sの完成を待たずに機体生産はスタートされ、ナチュラルの身体的な不利(コーディネイターに比べて劣るシナプス代謝速度)がボトルネックと成っていた神経接合の不適合は、予め決められたモーションパターンをOSにインプットする半自動操縦方式で解決した。
これは戦闘のパターン化から対処される新たな弱点も生んだが、敵機に対する多対一戦法を基本とする事で穴埋めしている。
100フレーム(X100フレーム)
簡易型とはいえ内部機構は優秀であり、ストライクで洗練されたX100フレームを受け継いだ100フレームを採用、その稼働域による運動性はジンを圧倒する。
ストライクのフレームが下地の為、内部にストライカーパックシステムのコネクタもそのまま残されているが、配線の類を省略している為か簡易的なアタッチメントとしての機能しか持たない。
105ダガーからの変更点
ボディカラーや内部構造以外の、外観的変更点は以下の通り。
- 肩とバックパックをストライカーパックシステム非対応に
- 頭部メインアンテナとイーゲルシュテルンII、ES01 ビームサーベル搭載数を半分に削減
- 頭部サブアンテナの省略
- ビームサーベルの設置箇所を腰からバックパックへ移動
- 胸部~腹部にかけての装甲の形状を変更
- 脛部のスラスターを省略
- 脚部の12.5mm対人機関銃をエアインテークに変更
この様に簡易モデルと言えども、変更箇所は決して多くはない。
デザインについて
デザインが同じ大河原邦男である事もあって、SEED版ジムと言った趣のデザインに成っている。
一方で、ジムではよくツッコまれる「なぜビームサーベルが右手で抜き辛そうな左肩側に装備されているのか?」という点を反省してか、ビームサーベルの装備箇所が右肩側に移動しているという違いもある。
劇中での活躍
第37話「神のいかずち」で初登場。
この時のストライクダガーは第13独立部隊に所属し、集団戦法でジンの大部隊を追い詰めたが、電磁兵器グングニールにより戦闘不能に追い込まれる。
それ以後も本機は第2期GAT-Xシリーズやメビウスと共に活躍し、歌姫の騎士団やザフト正規軍のMS群に対峙した。
同時期の量産機では、M1アストレイやゲイツがライバルに成っている。
続編のDESTINYでは、スペシャルエディション4とTVSP「FINAL PLUS」(及びHDリマスター版第50話)にてデスティニー・プランに反旗を翻した地球連合艦隊が使用しており、メサイア攻防戦にて歌姫の騎士団やオーブ艦隊と共闘した。
ちなみに「21世紀のファーストガンダム」として制作されたSEEDにおいて、ファーストガンダムを彷彿とさせる「第13独立部隊」の名が前述通り復活したが、ファーストガンダムのそれとは異なり、所属陣営は実質的に主人公と敵対している。
武装
M703 57mmビームライフル
連合軍が開発した初の量産機用ビームライフル。
形状はストライクの物よりデュエルの物に近い。グレネードランチャーを装備する。
オマージュ元のジムと同様、射撃音は原型機とは異なる物に成っている(こちらの銃に近い)。
ただし、アーケードゲーム「機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T.」を始めとした各種ゲーム作品ではアニメの物とは異なる射撃音を使用している。
なお、後続のガンダムシリーズでは「機動戦士ガンダムAGE」に登場する量産機ジェノアスが装備するビームスプレーガンの射撃音もアニメのストライクダガーと同様のものを使用していた(SEEDシリーズ、AGE共に効果音制作会社が同じフィズサウンドであり、TV版DESTINYからSEEDシリーズを担当している藤野貞義(※)がHDリマスター版SEEDでも担当になった際に同時期にTV放送していたAGEも音響監督として参加していた繋がりもある)。
※TV版SEEDのみ浦上靖夫が担当。
75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
頭部に内蔵されているバルカン砲。量産する前提の為、装備されているのは片方のみ。
対ビームシールド
耐ビームコーティングを施したシールド。ジンの重斬刀を受け止める事も可能。
初期設定では、ストライクが使うシールドと同じものが使われる予定だったらしい。
バズーカ
実弾を発射するロケット砲。GENERATION of C.E.では、何故か装備として有った。
オプション装備
ES01 ビームサーベル
連合軍が開発した初の量産機用の接近戦武装。
背部に装着されるオプション式のビームサーベルラックに1基のみ装備されている。
ビームの色はイージスと同じく黄色。
試作機のストライクではエールストライカーを装着しないと使用不可能だった武装だが、連合が受領する前にストライカーパックやビームライフルも無い状態のままザフトから襲撃される想定外の事態が発生した反省を活かしてか、量産機のGATシリーズでは共通して最初から本体に付いている。
余談だが、ストライクの改修型のストライクEではサーベルでは無くビームライフルショーティーの方が本体に装備されている。
パラシュートパック
上空の輸送機から降下する際に使われるオプション。
背部のアタッチメントに装着される為、ビームサーベルラックとは選択式になる。
この装備に換装するとビームサーベルが無くなるので接近戦では丸腰となってしまい、接近戦へ持ち込まれた際にはシールドを構えてタックルをする事で対処している。
関連動画
立体物
フィギュアは「モビルスーツ イン アクション!」や「ROBOT魂」等で発売されていたが、プラモデルは本放送終了後に発売された簡易キットのコレクションシリーズのみでの発売であった。
2022年10月、プレミアムバンダイ限定発売では有るものの待望のHGCEストライクダガーの発売が決定。
ストライクダガー用の新規外装に加えて劇中に登場したパラシュートパックも付属する。
HGシリーズでの1/144ガンダムSEEDの3陣営の量産機では、プレバンながらも最初にHGCE化を果たした。
ダガーLからパーツを一部共通しているが、上半身・腰のサイドアーマー・各種武器は新造されている。プラモデルオリジナルギミックとしてストライカーパックの装着が可能となっている(原作では不可能)。また、これに伴いパラシュートパックがアタッチメントへの装着では無くなり、ストライカーパックの様に他の機体へ流用可能になっている。換装する際は背部からビームサーベルラックに加えてコネクタのカバーパーツを外す必要がある。
更に、ダガーLからの余剰パーツで二本目のビームサーベル(ストライクダガーのサーベルラックは一つのみなので余剰となる)とビームカービンがそのまま組める為、事実上のボーナスパーツとなっている。
余談
EMP対策について
- 本機について『急造した事で電磁パルス対策は不十分である』とやたら言われているが、電磁パルス対策そのものは必要な物がきちんと施されている。
- 『不十分』と言われているのは、ザフトの戦略兵器「グングニール」に対する電磁パルス攻撃に無力化された事にあるが、この戦略兵器による被害はストライクダガーだけでなく地球連合軍のパナマ基地の設備(マスドライバー含む)、リニアガン・タンクと言った兵器類の全てが壊滅している。この理屈で言えば、当時の地球連合軍の全ての設備や兵器に施された電磁パルス対策が『不十分』と言える。
- 劇中でのラウ・ル・クルーゼに「奴らのEMP対策など、たかが知れてる」と言われており、そもそもグングニールも従来のEMP対策を想定した上で通用する代物である。
立体化に関して
- SEED HGにて105ダガーが発売されたものの、105ダガーとはストライカーパック対応の胴体以外にも細かな相違点が多く、コレクションシリーズとのニコイチする放送当時の作例ですらほぼ全改修する等、難易度は高めであった。
- ちなみに、DESTINY放送当時は105ダガーを素体にニコイチすら不可能なダガーLの作例が製作された事もある。
- デザイン的に共通箇所の多いダガーLのガンプラは本放送当時は発売されず、前述の通り、2021年になってHGCEからようやく新規ガンプラとして一般発売された(関節パーツのみ2013年発売のビルドストライクガンダムから流用)。
- このキットにはランナーにスイッチが複数存在し、元の形状も共通箇所が多い事からストライクダガーのHGCE化も秒読みと言われていた。
- ジンとM1アストレイ共に現状では1/144HGシリーズではガンダムSEED専用シリーズだったSEED HGのみの発売だが、ジンはシリーズ初期の2003年に発売されたキットで時代相応の可動や造りだったのに対しM1アストレイはHDリマスター放送期の2012年に新規に発売されている。
- 現在の目線で見ても完成度が全体的に高水準と言われるHGガンダムAGEシリーズと同期なだけあり造形や可動面なども引き継いでおり後のHGCEの機体と並べても見劣りはしない為、本機体と並べても違和感は少ない。
- もっとも、HGCEストライクダガーの関節ランナーはM1アストレイの翌年発売のビルドストライクの流用というのも違和感が少ない理由だろう。