王国
おうこく
王国とは王や女王が君臨する国家のことで、君主制の国家の一形態。ただし形態として王国でも「〇〇王国」と名乗っていない場合もある。
なお「天皇」「大公」「公爵」「首長」など、「国王」以外の称号を持つ君主の国もあるため、世襲制の君主がいる国が全て王国というわけではない。ただ、日本語では「国王」と便宜上翻訳されていても厳密には王とは違うタイトルを持ち、国号を王国としない場合もある。具体例としてはイスラーム文化圏の君主国で、
君主の称号(アラビア語) | 英語 | 国号(英語) | 国号(日本語訳) | 例 |
---|---|---|---|---|
マリク(国王) | King | Kingdom | 〇〇王国 | サウジアラビア、ヨルダンなど |
スルタン | Sultan | Sultanate | 〇〇国 | オマーン、ブルネイ |
アミール(首長) | Emir | Emirate / State | 〇〇首長国 / 〇〇国 | UAE、カタールなど |
このうちスルタンに相当する確固たる日本語訳はない(1922年まで存在したオスマン帝国のスルタンは皇帝とされることが多いが、現代のオマーンやブルネイのスルタンを皇帝と呼ぶことは一般的でない)。
このため、本来一般に王(King)と訳しているマリクとは違うし国際的にKingdomと自称しているわけでもないのだが、分かりやすいように便宜上「オマーン国王」「ブルネイ国王」という言い方をすることが少なからずある。
王国においてなんらかの理由で王が欠けた場合は、摂政がその任を代行することが多い。甚だしくはかつて存在したハンガリー王国は建国以来一度として国王が置かれたことがなかった。逆にルーマニア王国(1881-1947)の最後の王ミハイ1世のように、法的には王政を廃止して共和国となった後も王自身が存命で国民の象徴として機能した例もある。
比喩としては、宗教的に理想とする国家や、何らかの産業や文化が特に盛んな地域を「〇〇王国」と呼ぶこともある。
創作においては、ファンタジー系では共和国よりも王国を舞台とする世界観が多く見られる。
実在する王国
歴史を遡れば過去に王が統治していた地域は多数あったが、2024年時点において「王」(英:King/Queen)を国家元首としている、もしくは「王国」(英:Kingdom)を国号としている主権国家とその王朝は下記である。
英国王でない独自の王を持つ王国はヨーロッパとアジアに多く、アフリカに3ヶ国とオセアニアに1ヶ国あり、南北アメリカには存在しない。
ヨーロッパ
王族同士が親戚であるケースがしばしば見られ、同じ家系を王家とするノルウェー・デンマークや、かつてのフランス王家でもあったブルボン家(スペイン語ではボルボン)を王家とするスペインなどの例がある。
- グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国 / ウィンザー朝
ほか、イギリス王はイギリス以外に英連邦に所属する14カ国の君主も兼任している。(下記)
- オランダ王国 / オラニエ=ナッサウ朝
- ベルギー王国 / ベルジック朝
- スペイン王国 / ボルボン朝(ブルボン=アンジュー朝)
- スウェーデン王国 / ベルナドッテ朝
- デンマーク王国 / グリュックスブルク朝※
- ノルウェー王国 / グリュックスブルク朝※
※正式にはシュレースヴィヒ=ホルシュタイン=ゾンダーブルク=グリュックスブルク朝
アジア
- サウジアラビア王国 / サウード朝
- バーレーン王国 / ハリーファ朝
- ヨルダン・ハシミテ王国 / ハーシム朝
- タイ王国 / チャクリー朝
- カンボジア王国 / ノロドム朝とシソワット朝の2王家から選出する選挙君主制
- マレーシア ※国内9州のスルターンから1人を「王」として選出する連邦君主制
- ブータン王国 / ワンチュク朝
他に、ネパールも比較的近年(2008)まで王国だった。現在は共和制。
オセアニア
- トンガ王国 / トゥポウ朝
英連邦王国
旧英領の中には、現在ではれっきとした独立国家であるものの、英国王を国家元首と設定して立憲君主制をとっている国がある。イギリス自身を除けば現在では北中米とオセアニアに計14ヶ国ある。このため独自の王を持っているわけではないが、理論上は下記も王国と呼べる。
北中米 (多くはカリブ海諸国)
カナダ / グレナダ / バハマ国 / ベリーズ / ジャマイカ / アンティグア・バーブーダ / セントクリストファー・ネイビス連邦 / セントルシア / セントヴィンセントおよびグレナディーン諸島
※2021年まではバルバドスも該当したが、これを廃止して大統領を元首とする共和国になった。
オセアニア
オーストラリア連邦 / ニュージーランド / パプアニューギニア独立国 / ソロモン諸島 / ツバル