概要
ローマ教皇への絶対服従、神と教皇の戦士として伝道に努めることを使命として、1534年にイグナティウス・ロヨラ(スペイン人)らによって結成された修道会。
「イエズス会」というのは「イエス・キリストの伴侶」という意味で、「ジェズイット教団」ともいう。日本では「耶蘇会」と言われる。1540年に教皇パウルス3世から認可を受け、対宗教改革の矢頭に立ち、活動を開始した。
歴史
当時ヨーロッパ各地ではプロテスタント(新教徒)が猛威をふるっていた。彼らに対する攻勢から、カトリック教会の信仰を守るには、カトリック教会自身の改革も必要であると考えるようになった。それは教皇を批判するのではなく「教皇に絶対服従する強固な信仰で実現できる」という信念から、イエズス会は対抗宗教改革の実戦部隊となっていった。
まずマルティン・ルターが宗教改革をはじめたドイツ、オランダなどのプロテスタント地域でのカトリックの復興を進め、ついでアメリカ新大陸、アジアなどの新天地での積極的なカトリックの布教活動を行った。その一環として、フランシスコ・ザビエルは日本伝道を行った。はじめて中国(清朝)伝道を行ったマテオ・リッチなどもイエズス会修道士である。
18世紀の中頃まで積極的な海外布教を展開し、キリスト教宣教師としてラテンアメリカや中国、日本などで信者を増やした。しかしその間、日本では豊臣秀吉や江戸幕府などにより厳しいキリスト教禁教令がだされて国外追放になったり、中国では典礼問題などで他の修道会との対立した上でキリスト教の布教禁止となるなど、苦難が続いた。またヨーロッパでは、中央集権化を進める絶対主義諸国の国家政策との対立などから問題が生じ、1773年には教皇クレメンス14世によって解散させられた。
その
イエズス会の中心思想はロヨラの提唱する『霊操(宗教的真理に達するための瞑想)』にもとずく会則のもと、徹底した教皇への服従と、軍隊的な規律であったと言われる。
また布教にあたっては、子供の教育や女性を通じて自然に信仰心を育てるという手段を重視し、各地に学校を設立した。イエズス会系列の教育機関は世界中に拡がっている。
現在の日本では上智大学などを運営する上智学院が有名である。
特徴
イエズス会の会憲では、彼らは通例の修道会ではなく、拠点としての修道院に拠らないある種の結社であり、それまで見られなかった特異な組織であった。会士は司祭の資格を有し、通例は修道士の行う三つの誓願、すなわち❶清貧❷貞潔❸服従のほかに、第❹の誓願として教皇への服従を行った。
またあの特徴的なカッパ頭はトンスラといい、カトリック修道士の伝統的なスタイルである。
メンバー
創始者
メンバー
- マテオ・リッチ・・・中国で伝道した宣教師。
- ジュゼッペ・カスティリオーネ・・・康熙帝、雍正帝、乾隆帝に仕えた宣教師。清と近世西洋の架け橋となった人物。
- ルイス・フロイス・・・織田信長の元で歴史を記した。ポルトガルの時の総長から日本史の記録を命じられたので、フロイスは心を燃やしこの事業に力を入れる。
- ニエッキ・ソルティ・オルガンティノ・・・フロイスと共に京都で布教。人柄がよく、日本人から慕われ時の権力者とも繋がり激動の戦国の目撃者となった。
- ガスパル・ヴィレラ・・・フロイス、日本人修道士のロレンソ了斎と共に京都で布教。織田信長と揉め事を起こす。
- アレッサンドロ・ヴァリニャーノ・・・イエズス会東インド会社巡察師。天正遣欧少年使節の派遣を計画した。日本に初めて印刷機を持ち込んだ人物でもある。
- ガスパール・コエリョ・・・司祭。秀吉に対する強行姿勢で彼の怒りを買い、バテレン追放につながったとされる。
- 天正遣欧少年使節団
- コスメ・デ・トーレス・・・大村純忠に洗礼を授けた司祭。
創作に出てくるイエズス会
映画・ドラマ
- 沈黙・・・遠藤周作原作の映画。監督はマーティン・スコセッシ。
- ミッション・・・南米パラグアイでの先住民グアラニー族に対する布教開始からイエズス会追放までの約150年間の歴史を、ガブリエルという1人の宣教師の物語として描いた作品。
- MAGI・・・天正遣欧少年使節の活躍と顛末を描いたドラマ。序盤からスプラッタなので視聴には注意が必要。
漫画
ライトノベル
ゲーム
- ザビー(戦国BASARA)・・・いわゆるネタキャラ。
関連タグ
参考資料
- 世界史の窓