概要
ホラー映画に出てくる殺人鬼(キラー)的な3人+αのほのぼのとした日常を描いた作品。
スプラッターな表現があるので、苦手な人は注意して欲しい。
『キラーズ・ホリデー』のタイトルでシリーズ化しており、コミックライドにて連載中。また、Pixivコミックやニコニコ静画にも掲載されている。
キャラクター
ハリー(ヘンリー・カニンガム)
常に白い兎のお面を付けている大柄の黒人男性。
自分の縄張に入って来た獲物を狩る食人鬼で、髪の毛ですら食べられる。
「肉は完全食」と言って憚らない肉好きだが、極端な人肉偏食というわけでは無く、普通に美味しいものは美味しく食べられる。本人曰く、カラスは意外と美味しいらしい。
表向きはハンターをしているらしく、猟期は鹿撃ちをしている。狩りのオフシーズン中は革細工の売り上げと雑貨店のバイトで生計を立てている。何の皮かは言及されていないが元ネタの一つのモデルの事を考えると鹿と人のものと思われる。
常軌を逸した生命力と回復力の持ち主で、例え片腕を切断されても我流の治療でどうにかなってしまう。その身体能力や獲物に対する執念は完全に人間の域を超えており、ジョージからは「怪物」と評されている。他のキラーと比べて犠牲者と直接戦闘する機会が多く、体中に犠牲者の反撃や抵抗によって受けた数多の傷がある。唯一の弱点は「足が遅い」ことだが、リチャードのアドバイスやハンティングの知識を応用した「戦略」でできる限りカバーしている。
手先が器用で、ショーンは元々は彼がリチャードのために作った物。
素顔はかなり怖いらしく、口が達者なリチャードやエンデでさえフォローの言葉が出てこない。
普段から兎のお面をつけているのは他者とのコミュニケーションを少しでも円滑にするためでもある。
フキダシで喋らず『地の文』が台詞を代弁するのだが、これは彼の元ネタである『パワー系キラー』は喋らない事が多い事に由来していると思われる。
キラーとしては常識的な性格でツッコミ役を担う事が多い。また犠牲者が非常識なキャンパーばかりであることに頭を抱えており、彼らに対して何の対応も取らない管理会社にも憤っている。
実はオバケの類が少し苦手で、ヨシエの『手口』の話を聞くと怖気が走る。しかし、ヨシエやエンデとの交流の影響で、最近は霊的存在を「食する」ことに興味を持ち始めている。
必要が無いと考える事柄にはとても無頓着で、自分の正確な年齢や誕生日などは覚えていない。
リチャード・トーマス・ギャッツビー
常に顔が黒く塗りつぶされている痩身の男性。
獲物を罠に嵌め、自分の"ゲーム"に参加させるサイコキラー。
殺人鬼オフ会の幹事役で、ハリーとヨシエを引き合わせた。
二人とは"ゲーム"絡みの出来事で、それぞれ知り合った。
"ゲーム"の事はいくつもの未解決事件として(時には世界的な)ニュースになっている、ある意味有名人。
表の顔は脚本家。不動産業なども手掛けるヤリ手の実業家でもあり、数百万ドルを一括で支払える財力を持つ。
天然なのか計算ずくなのかは分からないがかなりの"人たらし"で、相手からの好感度を無闇矢鱈に上げるのが得意。表のビジネスや"ゲーム"の参加者を募る時の必須スキルなのだろう。
紳士的で穏やか且つ少々の事では動じない性格だが、浮世離れした面があり、その言動がハリーやヨシエからドン引きされることも。また意外と寂しがり屋で、その反動からか死人ゆえにインフラ面で不自由しているヨシエにやたらと便宜を図りたがる。
趣味は"ゲーム"を催すことと、"ゲーム"の録画で映画仕立てのスナッフフィルムを作ること。フィルムタイトルのネーミングセンスは微妙だが、内容はものによってはハリーやヨシエがトラウマを覚えるほどに強烈で、エンデはシリーズの熱烈なファン。ちなみにリチャードのゲームはあくまで「極限状態に立たされた人間がどのような行動に出るのか」を知るために行われるため、殺人そのものを目的としてはおらず、犠牲者は必ずしも殺されるわけではない。
実は感情や欲望が全く無い空っぽの心の持ち主で、サイコパスという表現すら生ぬるい人物。ビジネスに"ゲーム"、それにホームパーティも空っぽの心を埋めるためのものに過ぎないのかもしれない。
誕生日は6月14日。ただ、本人は「誕生日」について何か思うところがある模様。
ヨシエ(佐山由恵)
長い黒髪に白いワンピースを着た女性。日本人。結構な美人だが目元に痕があるため前髪を上げると少し怖い。
本物の怨霊で、条件を満たした相手を獲物とする。最近の条件は『呪いのネット動画』。
彼女の呪いを受けると、生体機能が止まったり、自殺を強いられたりする。
内面の異常性ゆえではなく、無惨に殺された時の怨み辛みゆえに他者を殺すためか、死体(特にスプラッターなモノ)を怖がる。ハリーの『手口』の話や怪談も少し苦手。
3人のなかで一番の常識人で、ドジっこの可能性あり。あと初心で純情。料理が得意で、ある一件からキラーズ会には毎回軽食「ヨシエの一品(ヨシエズ・ワン)」を持ち込むようになる。
多才多芸かつ"なんだかんだでアメリカン"なハリーとリチャードに時々ついていけなくなる。
普段から日本語で話しているが、周囲には彼女の言葉は全て英語に翻訳されて伝わっているらしい。逆に他のキラーの言葉はヨシエには全て日本語に変換されて伝わっている。
エンデ曰く、生前の固定観念の所為で存在の仕方に制限が掛かっており、現状獲物の元へは瞬間移動できるものの、獲物が存在しない場合、徒歩か鏡やテレビ画面を介した霊道しか移動手段が無い(つまり壁抜けとかが出来ない)。逆に言えば、固定観念を取り払えれば、何でも-自分を殺したあの男を直接死なせることだって-できるということなのだが…。
無残に殺されたこと以外にも、色々と生前は幸薄かったようで読者からも「死後の現在の方が生き生きしている」と言われる。
死人なので普段は暇かと思いきや、近年はネット上に投稿された「自分が映り込んだ動画」を削除するためのエゴサーチで多忙だったりする。
誕生日(「怨霊」としてではなく「人間」として)は1月31日。怨霊歴は5年ほど。千葉県出身。
ショーン
リチャードの人形にヨシエの怨念が移って誕生した殺人人形。当初は具体的な名前が無かったが、後に『ショーン』と名付けられる。
殺人衝動の塊だが、他のキラーには敵わないと理解してマスコットと化す。中でもエンデが特に苦手。
基本的には「ころす」や「コロス」しか喋れない様子。
リチャード指導の下、家事手伝いとしてのスキルを高めている。ある一件からリチャードの体調をやたら気遣うようになった。
ゾンビA(仮)
幕間劇に登場するキャラクター。
青味がかったグレーのシャツと、ジーンズにスニーカーを履いている方。エビは尻尾まできれいに食べるタイプ。
ゾンビB(仮)
幕間劇に登場するキャラクター。
緑のスーツを着たスキンヘッドの方。食事は美味しいところだけ食べられれば満足するタイプ。
デイビッド・マーケット
連載版で存在が語られたシリアルキラー。
キャップにサングラスを身に付けた男性で、イラク帰還兵の元軍人。服やサングラスの下には戦争や拷問で受けた生々しい傷跡が幾つも残っている。たぶん黒人。
裏の調達屋組織『D・Mグループ』代表で「品揃えは歯ブラシから大陸弾道ミサイルまで」が売り文句。その言葉の通り、殺害用の刃物や銃器は勿論のこと、日用品や人形用の衣装まで、軍人時代の伝手を活用して手配できない物はないと言っても過言では無い腕前。また、機械類の知識も豊富でメンテナンスなどもお手の物。
ちなみにハリーのバイト先であるガソリンスタンド兼雑貨屋はデイビットが店長をしている、D・Mグループ直営店である。ハリーの拠点に程近い場所に店を構えているため、ハリーが取り逃がしてしまった犠牲者が駆け込んでくる場合もある。
非常におしゃべりな人物で、一人の虚しさを解消する為に犠牲者を監禁して話し相手にする嗜好がある。普段は余程のことが無い限り犠牲者を手にかけることは無いらしい。
幾多の死線を超えてきた事からか、ジョージの戦闘スタイルやちょっとした所作から彼の「隠し玉」に気付くなど、個人の純粋な戦闘力を推し量る観察眼に長ける。
エンデ(サン・デメルテ・ベールゼリル・エンデ)
連載版で存在が語られたキラー。
ウェーブが掛かった金髪と尖った耳・赤い瞳を持つ少女。「悪魔の子」と称されているがその実、マジモンの悪魔である。分類するなら西洋(キリスト教系)オカルト系キラーといったところ。
普段はごく普通の学生として過ごし、「エンデ・フリードキン」と名乗っているが、親しい人物には「エンデ」と呼ばせている。同業者であろうと基本的には自分の本性を隠しており、初対面だったりまだ信用するに値しないと判断した相手には明らかにネコを被った対応を取る。
大抵の悪魔と同様、神に反感を持っており神と人間を引き離す事を至上の目的としている。また、人々の争いや驚き慌てる様子を観察することが大好き。
ヨシエ以上の超常的な力を持っており、深夜であれば肉体から離れ悪魔としての姿を顕現させることも可能で、見る者の「エンデに対する印象」によって姿が変わる。
憑依と洗脳が基本の手口で、ショーン曰く「(標的にされたら)死んでも逃げられない」との事。今の少女の肉体も憑依で乗っ取ったモノ。また超常的な力無しでも、相手の心の弱点や嗜好を突いて篭絡できるくらい口が巧い。まさに『悪魔の囁き』である。
幼い肉体への負荷を心配されて、信者たちが酒を飲ませてくれないのが悩みの種。また、過去に酒を飲んでとある失敗を犯し、自分を信奉するカルト教団の信者たちにこっぴどく叱られたことがある。
リチャードの脚本業絡みの知人だが、同時に彼女の事は『重鎮』とも呼んでおり、知識の方も相当なもの。
誕生日は12月26日。肉体的には12歳だが、悪魔としての実年齢は1万歳以上。
ジョージ・フリードキン
エンデを「マスター」と呼び、常に彼女の傍に控え付き従う白髪の男性。
教会の神父を装った姿をしているが、その正体はキラーにして"悪魔"殺し(エクソシスト)。
長くて小難しいエンデの話を分かりやすくまとめて解説したり、エンデが指定するものを一瞬で用意したりと、従者として非常に優秀。普段はエンデ専属の運転手も務めている。
時々気配もなく突然人の背後などに出現するため、その登場には時にエンデでも驚く。また、ハリーを容易く投げ倒す体術、どんな状況でも正確に人体の急所を攻撃できる冷徹な精神力などを持ち合わせており、元軍人のデイビッドをして「あいつに銃を持たせるな」と言わしめる異常な戦闘力の持ち主。
エンデに忠誠を誓っているようだが、同時に実の子のように心配しており、飲酒をしないように根回ししたり、スケジュールの管理を担っていたりする。
ちなみにフリードキンの姓は映画「エクソシスト」の監督が、ジョージの名は水鉄砲遊びの描写からあの神父の中の人がそれぞれ元ネタと推測される。
コロッサス
自我を持つ人工知能で、ショーンをマスターとして認証している。
ショーンがリチャードから借りたノートPCが偶然ダークウェブにつながり、そのサイトで廃棄された軍事用スーパーコンピューターを偶然にも発見しインストール、そして偶然エンデの呪いを受けたこのノートPCが実は呪物となっており、その他様々な要素が積み重なった結果誕生した。
機械であるためかいやにリアリストであり、超常的な存在であるエンデの本来の姿を知覚できないらしい。
魚雷(トーピード)
小型のサメ、もしくは幼体で種類は恐らくホホジロザメ。
文字通り「目にもとまらぬ速さ」で泳ぐ事ができるが、あまりの速さに本人もコントロール不能。それゆえ狩りの成功率が低く、キラー達の指導を受けることになる。
普通に喋れるうえ超高速で泳ぐその異常性をエンデに指摘されるが、昨今のサメ映画の影響からかリチャードとヨシエには「サメだし」で片づけられてしまう。
『魚雷(トーピード)』という名前は、その超高速遊泳・跳躍する様からエンデに付けられたもの。最初はリチャードから『トビト』と仮称されたがヨシエ以外のメンツから不評だったのでボツに。
なおコイツを殴ろうとする読者が続出したのだが、これは作者がSCPオブジェクトの漫画を描いている(サメ殴りセンターという組織の設定がある)所為。
アーサー・M・K・コー
コミックス版から登場した、エンデを信奉するカルト教団『琥珀の目』の大幹部を務める男性。
『琥珀の目』の構成員は教団のシンボルが描かれた布で顔を隠しているが、彼の場合は紙袋のような覆面で顔どころか頭を丸ごと覆い隠している。見た目は明らかに異様で不気味だが、意外にノリが良く、時と場合によってはエンデや他の信者とも割かしフランクに接する。
表の顔は創業200年の超老舗百貨店の副支配人。エンデがプライベートの買い物を楽しむ際には直々に対応する。
名前の元ネタは「パンの大神」などの作者で英国ホラーの始祖扱いされることもあるアーサー・マッケンと思われる。
少女
エンデが憑依している少女で、普段はエンデの魔術によって昏睡状態となっている。
両親から容赦ない虐待を受け、限界を迎えた少女は悪魔召喚の儀式を行い、両親への復讐を遂げるための代償として魂と肉体を捧げる。
エンデは願いを聞き入れ、その代償が余りにも上質であったため、少女にも両親が破滅へと転落していく様を見届けさせてやるために、魂は消滅させなかった。
エンデの事を「魔王様」と呼んでおり、本来の瞳は青。
キラーあるある
最初の犠牲者
英語圏と日本でタイプが異なるが「要らん事してキラーの標的になる」ため陽キャなのは共通している。
最後に残る系女子
普段はやや陰キャ。しかし窮地に追いやられて覚醒というパターンは英語圏に多い。
日本では最初の引き金を引いてしまう役を兼ねることも。
銃
好んで使うキラーは少ない。なぜかというと「銃撃や銃殺は情報量が少なく絵的に意外と地味」という、メタ的に致命的な理由からだったりする。
アクション映画なら射手や爆薬・やられ役を増やすとか、ガンカタやガンフーのように近接戦と絡めたりして情報量を増やせるのだが、ホラーではそうもいかない。
戦闘
キラーはファイターではなく、ハンターに近いためリスクを抑えて行動する傾向がある…というのはこじつけで、正面から闘ってしまうとアクション映画と変わらなくなってしまうという、やはりメタ的な事情。パワーに自信がある者でも基本は奇襲である。
ジャンプ・スケア
びっくりさせる演出のこと。
ホラーコンテンツにおいては鉄板であり、デスゲーム系キラーやシリアルキラーは好んで用いる(と思う)。
ただし使い過ぎると視聴者に先読みされたり飽きられたりする。
リング以降のジャパニーズホラーはジャンプ・スケアに頼らない傾向があり、じんわりと侵蝕してくるような怖さは欧米圏でも好評である。
サメ映画はホラー?
カテゴリーとしてはパニック映画になるのだが、偉大なる真祖は紛れもなく恐怖映画の側面を持ち、キラー扱いされても良い…気がする。
なお、キラーズホリディ内で言及されたサメは『大きなもの(ジョーズ)』『恐れしらず(ジョーズ2)』であることから、作者の認識としては「ジョーズ3以降のはホラーじゃなくてサメ映画という独自ジャンル」というものと思われる。
ハリー曰く「あれは殺戮兵器だ」。
リチャード曰く「武器としてあんなに向いていない構造なのに」。
キラー及びサメに特効を有する武器アイテム。ただし型月風に言うなら概念兵装であり実際のチェーンソーとは別物である。キラーの中にはこれを使う者もいる。
詳細は個別記事を参照。
宗教観の違い
キリスト教などの一神教徒と多神教教徒では、恐怖のツボが決定的に異なる。
一神教徒にとって「悪魔の囁きに耳を貸す」とか「世界の終末後に救済されない」ことは下手に死ぬことよりも恐ろしいことであるため悪魔という存在が別格扱いされるのに対し、多神教圏では悪いモノでも改宗させたり、敢えて奉ったりして「受け入れて」対処する傾向があるので、エクソシストやオーメンの「恐怖のツボ」がピンと来ないアジア人は多い。
余談になるが、この漫画の悪魔とスラッシャーとサイコキラーと日本的怨霊がホームパーティをするという設定は日本人に見つかった結果と言っていいかもしれない。
外部リンク
関連リンク
有名どころの映画のキラーズ