概要
漢字では銀鮭と書く。
天然産は千島列島から米国・カリフォルニア州中部にかけての海域及びそこに注ぐ河川を生息域とする。
一般的なサケの仲間と同じく淡水魚として川で生まれ、そのほとんどが海に降りて成熟し産卵のため再び川へ遡上する。
基本的に全ての個体が降海すると見られ、河川にとどまった例は知られていない。
日本本土に恒常的に産卵する川はないが、北太平洋北部を広く回遊するのでたまに北海道や東北地方の沿岸で漁獲されたり、稀に川に迷入する事もある日本近海種である。
標準和名の由来はサケの仲間でも特に体全体が光り輝く銀白色であることに由来し、現在一般ではあまり使われていないが「ぎんます(銀鱒)」という別名もある。
日本近海種としては淡水でも海水でも特に冷たい水を好み、水温上昇に弱い。
体長は通常60〜70cmまで成長し、最大で1m近くまで成長する。
詳細は後述するが、多方面でも水産上の重要魚である。
食用魚として
代表種であるサケ(シロザケ)やベニザケと比べると脂がのっており、身がふっくらしているのが特徴。
成長が早い事からサケ科としては完全養殖化が早く進んで商業化された事もあり、日本ではシロザケやベニザケの代用品として昭和中期から最も一般的な鮭となった。
スーパーの弁当やコンビニのおにぎりの鮭のほとんどがギンザケである。
料理や食材としては定番の塩焼き、ホイル焼き、ムニエル、フライ、からあげ、煮付け、鮭チャーハン、石狩鍋、ちゃんちゃん焼き、クリームシチュー、塩鮭、西京漬け、鮭フレーク、スモークサーモン、刺身、マリネなど、レパートリーが非常に豊富である。
国内養殖は宮城県が最大産地であり、新潟県佐渡島、島根県、近年は千葉県の東京湾沖でも行われている。
現在では日本の国際協力事業で発展した南アメリカのチリ共和国産の養殖モノも多く出回っているが、基本的に国産より特に安いというわけでもないので可能ならば国産も選択肢に入れて頂きたいところである。
釣魚として
サケ科の仲間は形態的特徴や全体的に完全養殖化が進んでいる事もあって、釣りの対象魚として非常に人気がある。
本種も主に冬春期に日本各地の淡水の釣り堀に放されたり、天然の大型魚を狙って米国やカナダへ渡航する愛好家もいる。
アングラーの間では英名の一つである「コーホー・サーモン」と呼ばれる事が多い。
近年は各地の有名水族館の敷地内に併設された海水の釣り堀でも見かけるようになっており、客がオキアミなどのエサで釣りあげた魚をスタッフがからあげなどに調理して提供される。