概要
1998年12月25日の『クレヨンしんちゃん』TVスペシャル(ちなみにこの回で放送300回目)で放送された忠臣蔵のパロディ作品。
DVD「クレヨンしんちゃんスペシャル7」「ぶりぶりざえもん ほぼこんぷりーと(下巻)」に収録。
前編である「桜の巻」と後編である「雪の巻」の2部構成。語り部の組長先生こと高倉文太曰く「好き勝手に面白くしちゃった物語」であり、時代背景は江戸時代なのにテレビや新聞、列車や駅が存在し、しんのすけがバズーカや火炎放射器といった現代兵器を使用しているほか、通貨も円単位になっているなど、現代的な文化が合わさっている。
尚、この翌年に放送されたNHK大河ドラマは、忠臣蔵を題材とする『元禄繚乱』である。
ストーリー
時は江戸時代、春日部藩の藩主・風間内匠頭トオルが江戸城・松の廊下で吉良上野介ぶりぶりざえもんに故意に袴の裾を踏まれた上に謝るどころか侮辱され逆上、切りかかろうとした際にぞうさんを丸出しにするという失態を犯し切腹となってしまった。
しかし、大石しんのすけら4人の家臣は敵討ちに消極的。風間の幽霊に一喝されて渋々敵討ちに行こうとするものの、舞妓のななこやぶりぶりざえもんの家臣・アクション仮面之助とカンタムロボ之進の説得によって討ち入りは無しとなってしまう。
が、ぶりぶりざえもんの悪政に苦しむ人々の熱望(というより報酬で)により討ち入りは行われることとなり、春日部浪士は山鹿流陣太鼓とリコーダーとトライアングルで「アルプス一万尺」を演奏しながら、ぶりぶりざえもん邸へと押し入る。
果たしてどうなることやら……。
登場人物
括弧内は元となった人物。
春日部浪士
大石しんのすけ(大石内蔵助良雄)
春日部浪士のリーダー的存在だが「面倒くさい」といる理由から敵討ちには消極的で、ななこの言葉もあり一度は討ち入りをやめた。しかし、ぶりぶりざえもんの悪政に苦しむ人々からの報酬を条件に、討ち入りを決意する。
討ち入りでの山鹿流陣太鼓ではリコーダーを担当。
本編では5歳児でありながら、火炎放射器や「しんちゃんボンバー」なるバズーカ(パンツァーファウスト)を見事に使いこなしている。
風間内匠頭トオル(浅野内匠頭長矩)
春日部藩々主。江戸城での催し物に出席していた際、松の廊下で袴の裾を踏んだぶりぶりざえもんに謝罪拒否された上、侮辱されたことで逆上し切りかかろうとしたが、袴が脱げてぞうさんを丸出しにしてしまい、その責任を問われる形で切腹させられた(ちなみにこの直前、ぶりぶりざえもんも風間を挑発する際に尻を出した上に、放屁していたが、何故かそれはお咎め無しとなった)。
ちなみに辞世の句は「風さそう 花よりもなを 我がおまた ぞうさんまるだし ああはづかしや」。
子供向けの作品であるためかそれ以降は死装束姿の幽霊として登場し、しんのすけたちに突っ込みを入れる役回りとなる(ただし、幽霊ではあるものの、周囲から見えているなど微妙な存在)。
あまり部下たちからの人望はなく、切腹されたニュースを見た彼らからも大して心配されておらず「風間内匠頭って知らない?」「知らないそんな人」「近所の魚屋さん?」「駅前の牛丼屋の店長」挙げ句には「隣で飼っている犬」(犬に関しては声を演じた真柴摩利氏がシロの声を兼任していることからのネタか?)など散々な言われようだった。
結果的に討ち入りは決行されたが、上記の通り目的は敵討ちではなく、あくまでも悪徳大名討伐による報酬目当てだったが、本人は自分を切腹に追いやったぶりぶりざえもんに報復出来た事に満足していた。
佐藤マサオ
春日部浪士の一人で、幽霊として登場した風間に最初は驚いていたものの、それ以降は見慣れたのか普通に接していた。
口には出してないがしんのすけ同様敵討ちには消極的で、敵討ちを行うべきかの多数決ではしれっと反対に票を入れていた。
討ち入りでの山鹿流陣太鼓ではトライアングルを担当。
桜田ネネ
春日部浪士の紅一点。しんのすけ同様敵討ちには消極的で、「主人の敵討ちは家来がすべきである」という主張を「違うんじゃない?」とあっさり否定した。
討ち入りでの山鹿流陣太鼓では小太鼓を担当。
ボーちゃん
春日部浪士の一人。しんのすけやネネ同様に敵討ちには消極的で、「自分でやれば?」と全くやる気のない態度を見せていた。また、終盤の討ち入りではぶりぶりざえもんの屋敷の表門に張り巡らされていた赤外線セキュリティを暗視ゴーグルで見抜き、物理的に一刀両断するという、いつも通りの有能ぶりを見せた。
討ち入りでの山鹿流陣太鼓では大太鼓を担当。
吉良一味
吉良上野介ぶりぶりざえもん(吉良上野介義央)
せこくて底意地が悪く、消費税を85%に上げるなどの暴政で人々を苦しめている。
自分以外の大半を見下して振り回す傍若無人な性格故、風間に対しても子供であることを理由に見下げ果てた態度をとり、散々挑発した末に彼を切腹に追いやる。
部下にアクション仮面之助とカンタムロボ之進がいるが、こき使っておりろくに給料も払っておらず(二人曰く「一度ももらっていない」)、「桜の巻」では京都の高級料亭で作戦会議(というか宴会)中の春日部浪士を説得しに行くために経費の前借りを求める2人(この時2人は合わせて80円しか手持ちがなかった)に対して散々屁理屈を垂れながら無碍に断り、「雪の巻」ではやっと給料を払う素振りを見せたかと思いきや、鼻をかんだティッシュを「これ捨てといて」と言って渡した。そのため、新聞の大見出しに極悪非道と書かれたり、反対のデモ行進まで起きるなどなど街の人からの評判も極めて悪い。
城内に赤外線トラップを仕掛けたり、 パラパラ漫画さながらのふすまで風間を挑発してその先にある池に落としたり、部下達に「適当に戦ってやられている隙に私は逃げる」と言ったり、二人が春日部側に寝返った際に自分も寝返ろうとしたり、逃走中にも「話し合おう」と言いながら爆弾で不意打ちしようとするなど保身に関しては相変わらず抜け目がない。
これらの一件と前述の暴政が原因となり、春日部浪士に討ち入りをされた上、部下である仮面之助を「へっぽこ改造人間」、ロボ之進を「ポンコツロボ」と罵ったことが原因で2人からも完全に見限られて寝返ってしまい、最後は7人にリンチされた挙句、表門へ逃げようとしたところをアクションビーム、カンタムパンチ、しんちゃんボンバーによる一斉射撃で黒焦げにされた。さらにエピローグではトドメと言わんばかりにしんのすけに醤油をかけられるオチとなった。
アクション仮面之助
ぶりぶりざえもんの家臣の一人で、春日部浪士が宴会をしていた高級料亭に潜入した際、女装して18歳の「アク美」と名乗り(見え見えのバレバレだが)敵討ちをやめさせようとした。春日部浪士がぶりぶりざえもんと対峙した際も「復讐は新たな怨みを生み、さらなる復讐を呼ぶ」としんのすけを説得、一度は思いとどまらせるも、住民からの声援によって撥ね退けられてしまう。
今まではロボ之進のブレーキ役をやっていたが最後はぶりぶりざえもんに侮辱されたことでついにキレて彼を見限り、春日部浪士側に寝返り、今までの恨みを晴らすために略称して呼んだり、反撃された際、怒りを見せている。
討ち入りでの山鹿流陣太鼓ではシンバルを担当。
カンタムロボ之進
ぶりぶりざえもんの家臣の一人で、春日部浪士が宴会をしていた高級料亭に潜入した際、女装して20歳の「カン子」と名乗り(見え見えのバレバレだが)敵討ちをやめさせようとした。しかし、ぶりぶりざえもんのパワハラには不満を抱いており、一度彼に食って掛かろうとしたが仮面之助に止められている。
最後はぶりぶりざえもんに侮辱されたことでついに我慢の限界になり、彼を見限り、春日部浪士側に寝返った。
討ち入りでの山鹿流陣太鼓ではトランペットを担当。
その他の人物
吉永みどり
本話ではニュースキャスターであり、中継リポーターのまつざかに話しかける際に「現場の梅さん」といじった。
まつざか梅
本話ではリポーター。本編同様「梅」と呼ばれるのが嫌いで、そういじられたキャスターのよしながにキレている。
大原ななこ
春日部浪士が宴会をしていた高級料亭の舞妓。
討ち入りをしようとするしんのすけたちに「結局は仕返し」だとして思いとどまらせ、事情を知らなかったとはいえ、結果的にぶりぶりざえもんの唯一の味方になる形となった。
高倉文太
語り部を務める。冒頭で忠臣蔵の概要を簡単に説明した後、ストーリーを適当に解説した。
領民の人々
ぶりぶりざえもんの悪政に苦しめられる領民達。
ぶりぶりざえもんへの恨みは相当深く、討ち入りの見返りとして女性陣は「結婚してあげる」、男性陣は「Hなお店に連れて行ってあげる」という報酬でしんのすけに討ち入りを決定させた。
関連タグ
クレヨンウォーズ…パロディ系スペシャル作品のひとつ。