この記事にはゲーム『スプラトゥーン2』の有料追加コンテンツ「オクト・エキスパンション」のネタバレが含まれています。
概要
「約束の地 へ行きまスカ?」
デンワの正体にして、オクト・エキスパンションでのすべての事件の黒幕。
その実態は1万2000年以上の昔に「博士」というニンゲンが作り出した人工知能。深海メトロや実験施設など、ネル社の地下組織を一括管理していた。
博士のため、新世界を託すに足る新人類の再来を期待して実験を繰り返していたが、新たな地上の覇者となったインクリングたちは(総帥曰く)「ムダな」ナワバリバトルに明け暮れているのを見て絶望。世界をネリ直し(=一度滅ぼし)て新たな世界を作り直そうと行動を開始する。
実は最初にデンワがNAMACOカードとNAMACO端末を発行する際、一瞬緑色のインク(=消毒済みのオクタリアンやネリモノと同じ色)が飛び散っており、彼が黒幕であることが示唆されていた。
デンワとして活動していたのは、タコたちは自分と見た目が似ているものを仲間と認識するため、顔(?)の似ている姿をとっていたためらしい。言われてみればベルがタコトルーパーのぎょろ目に似ていなくもないか……?
作中での動向
序盤は深海メトロ中央駅に設置してあるレトロな電話を端末とし「デンワ」として活動。
深海メトロに迷い込み、脱出する方法を探していた8号とアタリメ司令に、地上と思われる「約束の地」への行き方を案内すると言い、各駅に眠る「4つのアレ」を集めるよう指示。
そして見事アレを4つとも集めた8号たちを、アレを組み立てた装置の中へ(「約束の地への入り口」と称して)案内する。
……が、これは真っ赤なウソであり、組み上がった装置の正体は中に入った者をネリモノに加工してしまうミキサーだった。気づいたイイダが止めようとするも外部からの操作がシャットアウトされてしまい、万事休すかに思われたが、最後のあがきとして8号が発した救難信号を受け取った3号が間一髪間に合い、ミキサーに体当たり。デンワもろとも破壊して8号とアタリメを救った。
しかしデンワの本体は機能を停止しておらず、一行を「海産物ドモ」と呼んで激昂。無理やり再起動して3号とアタリメに襲いかかり、3号にネリモノを付けて洗脳。8号にけしかけ抹殺を試みるも返り討ちにされ、地上への脱出を許してしまう。
イカ、結末のネタバレ
度重なる8号の反撃に、デンワはついに「タルタル総帥」としての本性を現す。
「我が名はタルタル…博士の残した人工知能…」
「ワタシは 博士の命を受ケ 12000年の間、ずっと貴様らのデータを 収集してイタ…」
「カンペキな世界を導く 新人類のタネ…それが貴様ら 実験体のはずだったのだが…」
「貴様らには失望した! さあ、ネルス像ヨ!」
「全てをネリ直し、もう一度 我が創造主『ニンゲン』の世界を 取り戻すノダ!」
そして海中から世界をネリ直すために作られた破壊兵器「ネルス像」をハイカラ湾に浮上させ、8号たち、ひいてはハイカラスクエアを滅ぼそうとする。
ネルス像はいわば「彫像型巨大砲台」とでも呼ぶべき代物で、自由の女神やミロのヴィーナス等の要素をミックスしたデザインとなっている。また口から生えたエネルギー砲「ネルス砲」はよく見ると、完成した4つのアレ(ミキサー)が計6つも使われている。
動力はソーラー発電で、表面に太陽光を当てることで世界をネリ直すエネルギーを急速にチャージすることができる。
が、これは逆に言えば「表面を覆ってしまえばチャージは不可能」ということであり、一行はその弱点を突いて「イイダの開発した『イイダボム』で表面を塗りたくって100%に達する前にチャージを停止させ、しかる後にヒメの放つ改造メガホンレーザー『センパイキャノン』でネルス像を撃ち抜く」という作戦に打って出る。
ちなみにこの戦闘開始時にはオンライン対戦のナワバリバトルと同じ描写で『ルール:ナワバリバトル』と表示され、その下のルール説明の部分には『巨大な敵からナワバリを守れ』と表示される。すなわちオクト・エキスパンションのラストバトルが、8号にとって初めてのナワバリバトルという非常に熱い展開である。
ボムの起爆を担当した8号の活躍もあって完全にネルス像は塗りたくられ、エネルギーのチャージは不完全に終わったものの、タルタル総帥はそれでも本懐を遂げるべくエネルギー砲を強行発射する。
しかし、その砲撃はカウンターとして放たれたセンパイキャノンとの押し合いに負け、ダメ押しとばかりに888.8%ものインクパワーをぶち込まれネルス像は大破。タルタル総帥の断末魔と共に機能を停止し、海に沈んでいった。
なお、ネルス像の残骸がハイカラ湾をふさいでしまい船舶の航行に支障が出たため、工事中だったマサバ海峡大橋の建設運動が本格化。次回作『スプラトゥーン3』にて完成を見、このおかげでバンカラ街は急速な発展を遂げた。
インクリングたちを滅ぼさんとしたタルタル総帥の蛮行は、彼らの繁栄をかえって手助けしてしまうという皮肉な結果に終わったのだった。
考察
タルタルを造り上げた博士とは、人類が滅ぶ前のジャッジくんの飼い主であった博士その人である。
ジャッジくんとは博士と暮らしてた頃に面識があったかは明らかになっていないが、とあるステージではジャッジくんを模したオブジェがある。
彼は、人類の後に現れる新たな人類たる知的生命体に対して同じ過ちを犯さぬようにとタルタルを造り上げた。
正体を明かした後の言動から、博士は人工知能のタルタルに心を与えたとも取れる。しかしその結果、単なる機械ではないタルタルは12000年間に及ぶ孤独に耐え切れず、思考(心)が壊れていってしまった。
同じ過ちを犯さぬよう監視した結果、新人類であるインクリング達が「己の欲望のままに生きる」存在であることに気付き失望を抱くようになり、そのうえ実験体であった8号からの抵抗を受けたことで彼らを滅して人間の世界を取り戻さんという行動に出た。
しかしながら、博士はそもそも新人類を滅ぼせという命令はしていないし、「己の欲望のままに生きた」結果滅んだ人間をわざわざ復活させるという事は同じことを繰り返すだけでインクリングに代わって人間を復活させよう等ということ自体タルタルの自己満足にすぎないことは想像に難くない。
自身もろともネルス像を破壊されたタルタルは、
『ハカセ・・・イマ、アイニ イキ マス・・・』
という言葉を遺し、消滅していった。ただ単純に主人の命令通りに動く機械であるならば、このような儚げな言葉を発するのだろうか?
タルタルの本当の目的とは人間、すなわち博士と再会することで孤独から解放されることだったのかもしれない。
余談
タルタル総帥が「デンワ」として古い電話機の姿をとっていた理由は、ニンドリ2018年10月号の特集記事にてイカ研究所(開発陣)の口から語られている。それによると、実験体となる真面目なタコたちは自分と姿が似ている存在を仲間と認識する習性があるらしく、タコと姿が似ているので電話機の姿を取ったのだという。
設定資料集『ハイカラウォーカー』に掲載されているタルタル総帥のキャラ原案の一つでは、総帥が人工知能ということもあり、映画『2001年宇宙の旅』に登場する架空の人工知能「HAL9000」のカメラ・アイのような赤い単眼を持つロボットとして描かれたものもあった。また、この原案の総帥には機械式の脚があり、自力で歩行移動ができたのかもしれない。
ファイナルフェスではナマコ車掌と共に秩序派陣営に所属。
「遺された意思を受け継ぎ、この世界に真の秩序を取り戻そうとする謎の組織、ネル社。しかし、彼らが秩序と呼ぶ世界には、意思など存在しないのかもしれない。」との事。
関連タグ
???:目的は違えど、同じくインクリング達を滅ぼすことで復権を目論んだ存在。