概要、感染経路
デング熱(デングねつ)はネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊が媒介するウイルス感染症である。感染症法の4類感染症に分類されている。
天狗熱やテング熱など時々表記揺れを起こしているのが現状だが、正しい表記はデング熱(「て」ではなく「で」)である。言うまでもなく、天狗の仕業ではないし天狗とは何の関係もない。デングという言葉はスペイン語「denguero」からきており、英語の「dandy」と同じ意味。日本語で言えば「洒落男」。患者がデング熱で筋肉に強烈な痛みを発した際に、その痛みを庇いながらゆっくりと歩く姿が洒落て歩いているように見える事から、この名が付いた。天狗と似た響きなのは只の偶然なのである。
従来は東南アジア・アフリカ・中南米・オセアニアなどの熱帯・亜熱帯地域で流行する感染症というイメージが強かったが、海外からの旅行者などに感染者がおり、その血を吸った蚊が国内で感染を起こしていると見られる例が最近はある。
2014年には代々木公園で行われたイベント参加者の間で患者がまとまって発生し、都内の公園が封鎖されたり蚊の駆除が行われるなどし騒動となった。
症状
デング熱の主な症状は38℃以上の高熱、頭痛、筋肉痛、発疹で、一見、風邪やインフルエンザのようにも見えるが、デング熱では特に頭痛や筋肉痛などの痛みが激しいのが特徴であり、しばしば「骨が折れるような痛み」と形容される。嘔吐や下痢などの胃腸炎症状を伴う人もいる。
その症状の激しさに反して、多くの場合、1週間以内に自然に治ることが多く、死亡することはほとんどない。
しかし、ごく稀に重症化してデング出血熱(デングショック症候群とも呼ばれる。鼻血・吐血・血便など、全身の出血症状を示す。)となることがあり、この場合は死亡することもある。
デング熱を起こすウイルスは4種類ある。同じ型のウイルスに再度感染しても免疫によって軽症で済むが、2回目に違う型のウイルスに感染すると免疫が過剰に働き、重症化しやすいと言われている。
診断
血液検査でデングウイルスを検出する。
また白血球数や血小板数は減少、AST・ALTは増加していることが多い。
治療方法
デング熱を起こすウイルスを殺す薬は存在しないので、症状を抑える治療を行い、自然に治るのを待つ。脱水症状・衰弱を防ぐために点滴を行う。
なお、デング熱を予防するためのワクチンは今のところ存在しない。
予防方法
上記の通りワクチンが無いため、基本は虫除けや蚊帳などで蚊に刺されるのを防止すること、蚊を駆除することである。蚊による感染症はマラリアや日本脳炎などもっと重いものもあり、その意味からも大事である。
関連タグ
節足動物媒介感染症 マラリア デング熱 日本脳炎 黄熱/黄熱病 ウエストナイル熱/西ナイル熱 チクングニア熱 リフトバレー熱