概要
目のビタミンとも言われており、暗いところで物を見る際に視細胞の感光タンパク質が利用されるときにビタミンAは常に消費されている。そのためビタミンAが欠乏すると、暗いところで物がよく見えなくなる「夜盲症(とり目、トリ目)」という状態に陥る。
また皮膚や髪などの上皮組織形成にも関わっていて、欠乏により皮膚が乾燥しやすくなったり髪が細くなったりする。
さらに免疫機能にも関与しているため、不足すると風邪をひきやすくなったり、感染症にかかりやすくなる。組織の形成に関わるため、特に妊婦さんや赤ちゃんにとって重要なビタミンである。
緑黄色野菜など一部の食品にはレチノールではなく前駆体のカロテン(カロチン)の形で存在しており、体内で必要な分だけレチノールに変換される。
一般的にレチノールの形で存在する食品はうなぎやレバーなどの動物性食品に多いと言われる。
ビタミンAを多く含む食べ物
カロテンの形で存在する食べ物
主に緑黄色野菜に多い。
ビタミンA不足による欠乏症
ビタミンAが不足すると前述の夜盲症のほか、目の乾燥を起こし、ひどい場合は失明することもある。発展途上国では毎年25万~50万人ほどがビタミンA不足によって失明していると推定されている。
ビタミンA不足の主な原因
ビタミンAの過剰症
ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、水溶性ビタミンのビタミンCなどと違って、簡単には体外に排泄されない。そのため、欠乏症だけでなく、摂り過ぎによる過剰症にも注意する必要がある。特にうなぎやレバーなどビタミンAの豊富な食品を毎日大量に食べるのは良くないだろう。
過剰症の主な症状としては、頭痛、肝臓機能の低下、奇形出産などがある。サプリメント以外にもイシナギなど一部の魚やクジラ、ホッキョクグマなどの肝臓には大量のビタミンAが含まれており、一口食べただけでも全身の皮膚がはがれ落ちるなど激しい中毒を起こし死亡することもある。
ちなみにカロテンなどは余剰分は脂肪組織に蓄積され(人体の脂肪が黄色いのは貯蔵されたカロテンの色による)、必要な分だけ体内でビタミンAに変換されるので過剰症は起こりにくいとされる。