2021年。世界はインベーダーによる侵略が始まっていた-。
概要
特撮『ミラーマン』50周年を記念し、TSUBURAYAIMAGINATION及びコミプレで連載されているリブート漫画。2021年7月30日より掲載・連載開始。
著者は久正人。舞台は2021年の横浜となっており、二人の青年が主人公のバディものである。企画自体は久氏の持ち込み。
REFLEXを思わせる和風テイストな怪獣が登場しながら戦闘シーンは人間サイズのものもあり、設定面も初代とReflexの折衷といった趣である。
登場人物
主要人物
「櫛灘探偵事務所」を所有する私立探偵の主人公。ハードボイルド探偵を目指してはいるものの、運動神経は低い。
その名前の字は魔術の観点から非常に力を持った線の並びであり、その文字列を長年に渡って書き続けてきた遊霧は御手洗から「卵と鶏を同時に存在させる特異点」、インベーダーからは魔法陣を完成させる「因果因縁の籠った筆」として特別視される。
もう一人の主人公。二次元人と三次元人の間に生まれたハーフでありミラーマンへ変身する。
- たま
遊霧の知人で本作のヒロイン。クロフネデリバリーのバイト。巨大怪獣に取り込まれ、京太郎達の奮闘によって解放された。運動神経がよく吹き飛ばされる形で解放されたが綺麗に着地した。職業柄、横浜の地理や住人に詳しいため情報屋がわりに使われることもある。
詳細は不明だが格闘技をしており、戦闘術を教わった礼としてファイトマネーで京太郎に高級レストランのランチを御馳走したこともある。
- 御手洗咲耶
京太郎の保護者で御手洗先生と呼ばれている。携帯電話を介して彼に指示を送る。細かい事が気になり些細なことで苛立つ。インベーダーの性質を遊霧に教えた。25年前の彼の母の仇打ちを目指している。
オカルトに興味を持った父親こと健一に嫌気がさし、大学進学をきっかけに東京に移住した。SGMのソル・ガンと似た対インベーダー用の銃を携帯している。
- 町田刑事
秘かにインベーダーの事件を追っていた中年刑事。
元ネタは円谷特撮『怪奇大作戦』の同名のキャラクターで、顔のデザインも演者の小林昭二に近くなっている。
SGM
- 鏡優子
京太郎の母。彼の父と共に25年前に自身の命と引き換えにインベーダーからこちらの世界を守る壁を創った。魔術師研究所を母体とした秘密結社「ソーサリー・ガード・メンバー」の一員で咲耶の護衛で派遣された。
- 京太郎の父/先代ミラーマン
対インベーダーのレジスタンスとなってSGMと共闘する戦士。通称「ミラーマン」。本作のミラーマンの人間サイズ時の姿に特撮版の姿を混ぜたようなデザインをしている。
咲耶の父。原作での演者の宇佐美淳也に近いデザイン。
オカルトにハマっており、資産家でもあったため自身の資金で魔術師研究所を設立、そこからインベーダーの企みを察知しSGMを設立した。
だが、オカルト狂いでかつ偏屈な性格であったため、咲耶からは「頭がおかしい」と思われていた。咲耶に対する態度も冷たく、テレビゲームを使ったダストパンの陰謀に気づいた咲耶を信用しなかったばかりか、彼女の誕生日すら覚えていなかった。そのため、敵であるダストパンには「愚かな男」と看破され、部下である優子にすら「碌でなし」とみなされていた。
インベーダー
二次元世界を蹂躙し三次元を狙う侵略者。身体を怪物のような姿に変える。マルチによって6話以降大勢のインベーダーが押し寄せることになる。オリジナルと違いサングラスに黒服姿に限らず多種多様な人間態が登場する。
八鬼
25年前の「大封印」以前から暗躍していたインベーダーの幹部。
八鬼のリーダー格。
人間態は黒髪ロングの女であり、著名な絵本作家「赤井がろあ」として活動している。
第一話冒頭でミラーマンに敗れる。
「妻の浮気調査」という名目で女を遊霧に尾行させ、その足跡で横浜に巨大な魔方陣を作り出そうと画策。
人間態は「丸池晴人」と名乗るスーツ姿の糸目の男。
技術開発を担当する。頭脳労働が専門と語り、戦闘の際には光線銃のような機械を使用する。
物事の進捗を割合で話すが合計すると10割を超えていたり、「唯一の計算外」と言いつつ計算外の要因が複数あるなどいい加減な性格。
人間態は白衣を着て大きな眼鏡をかけた女。
戦闘を担当する。魔力を全て肉体強化に割り当てているため腕力・防御力ともに非常に強い。
よく諺や格言を引用するが、複数の言葉が混ざった出鱈目な事ばかり言う。
人間態はサングラスをかけた長身の女。
人間態は小柄な少女。
対ミラーマン用に作られた人造インベーダー。空間を折り曲げることによる局所的な超光速移動(瞬間移動)、ミラーマンの肉体を破壊する反射鏡面魔術などの能力を持つ。
人間態は革ジャン姿の寡黙な老人。
詳細不明。ミーティングに参加しないなど協調性に欠ける様子。
その他のインベーダー
マルチが巨大魔方陣を完成させたことで、人々のスマートフォンに密かにインストールされていたアプリの画面を通じ8000体ものインベーダーが三次元世界に現れた。人間を殺して入れ替わり社会に潜んでいる。
半魚人のような外見。
剣に変化させた腕を武器とする。戦闘力はミラーマンには到底及ばないが、剣で容易く人体をバラバラにするなど常人にとっては十分すぎるほどの脅威となる。
改造を施された個体。左腕のサーベルを灼熱化させる能力を持つ。
ザイラスの研究施設への物資運搬ルートの護衛を担当していた。
26年前に先代ミラーマンと交戦。その際にミラーマンの角の一部を切り落としており、この部位が後にノアの核「魔鏡」となる。
ダストパンが『妖精少女』というゲームにバグとして仕込んだ魔法陣の画面から召喚された。
しかしそのことが魔術の要素の一つである「名前」に影響し、虫(バグ)の姿になってしまった。
ランドマークタワーでの作戦に志願したインベーダー。キンダーに分解され町田刑事を取り込む。
ストーカー男が偶然手に入れた「実験体」を追う二人組の下級インベーダー。
水族館で京太郎と遭遇し二人まとめて倒されるが…。
怪獣
二次元の存在であるインベーダーが三次元体(人間)を取り込むことで次元の高低差で発生したエネルギーにより巨大な怪獣へと変身する。
たまのスマホから出現した個体が彼女と融合し巨大怪獣と化した。
誘拐した少年をインベーダーと融合させた怪獣。
町田刑事がデュスモダスに取り込まれ怪獣化した姿。
ザイラスの実験により作り出された人間サイズの怪獣。
コントロールを受け付けず処分される予定だったが……。
その他の人物
- 落書き犯
第1話に登場。
タロットカードに因み、低偏差値の高校、手品バー、「ハイプリエステス」という名前のマンション、「女帝」の異名を持つバレー監督の自宅と次々に落書きを行う。
- 丸池の妻
浮気調査として遊霧が尾行を依頼された女性。
実際は浮気どころか妻ですらなく、金で雇われ指示通り横浜市内を移動していただけだった。
- 郵便配達員
配達が嫌になり大量の年賀状を捨てた結果インベーダーに狙われるようになった。
- 漫画家
売れない漫画家。
年賀状に虎の絵(実は縞模様に魔術的な意匠が仕込まれている)を描くアルバイトをしていたが、配達員の一件から計画が露見した事によりゴールドサタンに始末されそうになる。
- 一星(父親)
- 一星衛司
休日に野毛山動物園を訪れた親子。
息子がインベーダーに誘拐されてしまう。
- 長沢
横浜の水道関係の地下遺構を研究している人物。
使われていない水道管のルートから衛司をさらったインベーダーのアジトを割り出した。
- 平田
大黒埠頭の食堂に住み込みで働いている。
風の強い夜に現れデートに誘ってくる謎の女(たまと瓜二つ)に心奪われており、彼女の調査を遊霧に依頼する。
- 富井レオ
行方不明となった青年。
両親と婚約者の両方から櫛灘探偵事務所に捜索が依頼されている。
- 安藤麗
富井レオの婚約者。
本物の安藤麗は交通事故で亡くなっており、正体はザイラスの研究所を脱走したパンジェス。
行方不明となっている富井がその素体であり、事故の日に麗が買い物に行くのを止めなかった事への強い後悔の念が記憶から偽の人格を作り出し安藤麗に成り切っていた。
- フェイ
水族館のシロイルカ。
- ストーカー男
イルカのフェイに異常に執着しており、プレゼントと称して釣った魚を水槽に混入させるなどの迷惑行為を繰り返している。
各話リスト
No. | サブタイトル | 登場怪獣 | 更新日 |
---|---|---|---|
#1 | 依頼 | アイアン | 2021年7月30日 |
#2 | 足跡 | マルチ | 8月28日 |
#3 | 開戦 | マルチ | 9月24日 |
#4 | 共闘 | サークルエンド | 10月29日 |
#5前編 | 跳躍 | 〃 | 11月26日 |
#5後編 | 跳躍 | 〃 | 12月24日 |
#6 | 暁光 | 〃 | 2022年1月28日 |
#7 | 葉書 | 下級インベーダー | 3月25日 |
#8 | 描線 | 下級インベーダー | 4月29日 |
#9 | 戦力 | ゴールドサタン | 5月29日 |
#10 | 鉄拳 | 〃 | 6月29日 |
#11 | 往昔 27年前 | 名称不明 | 8月26日 |
#12 | 消失 | - | 9月30日 |
#13 | 切断 | ザイラス | 10月28日 |
#14 | 実験 | 〃、ゾープ | 12月2日 |
#15 | 奪還 | 〃 | 2023年1月6日 |
#16 | 開花 | ヴァンダリニア | 1月27日 |
#17 | 蠱動 | ノア、キンダー | 3月24日 |
#18前編 | 恋情 | 4月21日 | |
#18後編 | 恋情 | 下級インベーダー | 4月28日 |
#19 | 狂風 | 5月19日 | |
#20 | 光速 | ノア、ザイラス、ダストパン(回想) | 7月28日 |
#21前編 | 鏡像 | ノア | 8月25日 |
#21後編 | 鏡像 | ノア | 9月1日 |
#22前編 | 往昔1995 | ダストパン、虫型インベーダー | 9月22日 |
#22後編 | 往昔1995 | 〃 | 9月29日 |
#23 | 階下 | ヨーグマック | 10月27日 |
#24 | 剣戟 | 〃 | 12月22日 |
#25 | 海水 | 〃 | 2024年1月26日 |
#26 | 頂上 | 〃 | 2月23日 |
#27 | 怪獣 | パンジェス | 3月22日 |
#28 | 着火 | キティファイヤー | 4月28日 |
#29前編 | 会遇 | 5月31日 | |
#29後編 | 会遇 | 下級インベーダー | 6月21日 |
#30前編 | 擬態 | 7月26日 | |
#30後編 | 擬態 | 8月23日 | |
#31 | 奇警 | 9月20日 | |
#32前編 | 一擲 | 10月18日 | |
#32後編 | 一擲 | 11月15日 |
用語
魔術関連
この世界における「魔法」や「魔術」は線と図形を用いた二次元世界の科学のことであり、二次元人は「悪魔」と呼ばれて忌み嫌われたという設定である(魔法陣にお札に描かれた言葉、ナスカの地上絵といったものもそうした力を行使する為の図形ということになっている)。タイトルの2Dとは彼らを呼び出す為のゲートとなる「平面」を指すものと思われる。
- ファンカンの発動陣
半円と六芒星を合わせたような魔法陣。外側の6つと内側の3つ、計9つの丸を結ぶ。インベーダーを三次元に召喚する。
丸池=マルチは横浜中の丸い建物や地形を結ぶように遊霧を歩かせ巨大魔法陣の完成を目論んだ。
- クイン=ヤズ身体法
次元体へ接続する方法。真横に突き出した両腕を徐々に頭上に掲げ胸の前に振り下ろす動作を鏡の前で行う。いわゆるミラーアクション。
遊霧とミラーマンが向かい合った状態で同時にこれを行う事で巨大ミラーマンへと変身する。
- ウォルバーグの描線
特殊な図形。悪魔(二次元世界の存在)を溶かしたインクで紙に描き、それを重ね合わせる事で現世(三次元世界)で活動するための肉体を与える。1体につき約1000枚の紙が必要とされる。
インベーダーはウォルバーグの描線を仕込んだ虎の絵の年賀状を大量に用意して部下たちを三次元に渡らせようと画策した。
- マンチェクの断面
ザイラスの光の剣により「空間的には切り離されていながら繋がっている」という矛盾した状態を生じさせる特殊な断面。断面に浮かび上がる魔法陣はオリジナル版のザイラスの顔に似ている。
- ラムZの召喚発動陣
迷路のような形をした魔法陣。
二次元物質を召喚するため、風力発電のプロペラに特殊なライトを取り付け強風で高速回転させることで巨大な魔法陣とした。
技術・道具
- 二次元物質
水晶に似た物体。インベーダーを怪獣化させるのに必要となる。
- 怪獣化装置
インベーダーが三次元体を取り込み巨大怪獣に変身するための装置。
29話時点で量産・軽量化に成功しており、外観は菱型の小さな機械。これを持って手を変型させた拳銃で怪獣化を行う。
- 実験体
ザイラスの作った実験体。不定形だが普段は半透明な魚の姿をしている。
ストーカー男に釣り上げられる。
- SOL(ソル)
対インベーダー用の拳銃型装置。原典でのソル・ガンに相当すると思われる。#31掲載時点で正式名称不明。2022年現在は御手洗咲耶が所持している。
大倉先生という人物が開発したもので、#22『往昔1995』にて1995年のダストパンとの交戦時に鏡優子が勝手に持ち出して初使用した。
「そる」という文字の書かれた魔法陣を発射するもので、威力は非常に強力でダストパンが召喚した虫型インベーダーを次々に粉砕した。だが、咲耶曰く「実証実験も済んでいない」「人体にどんな影響が…(あるかわからない)」代物らしく、気にせずにぶっ放しまくっていた優子には実際に何らかの異変が生じた。そのためか、2022年現在では咲耶はインベーダーに対する脅しの手段としてしか使っていない。
(#10『鉄拳』では咲耶が「これを撃てば無事では済まないわ、お互いに」と発言しており、#20『光速』ではザイラスが「そんな度胸があればあの日に使っておったろう?25年前のあの日にのぉ」と発言している)
地理・施設
横浜を舞台とするため実在する施設が多数登場する。
インベーダーはアイアンとマルチの粒子が漂う横浜港近辺の限られた地域でしか怪獣を作り出せない、一度作戦が失敗した場所には失敗という「意味」が刷り込まれるためその場所で同じ作戦を行えなくなる、などの制約が課されている。
- 櫛灘探偵事務所
高架下にある遊夢の事務所。以前の住人のものと思われるオカルト関連の本が大量に残っている。
- 横浜ベイブリッジ
第1話冒頭でミラーマンとアイアンが交戦した。
- 横浜マリンタワー
山下公園近くの展望塔。サークルエンドとの戦いでミラーマンがよじ登った。
- 鶴見配水池配水塔
通称「ねぎ坊主」。役目を終えて閉鎖された配水塔。密かにザイラスが研究施設としていた。
- 大黒海づり施設
- 横浜港大さん橋国際客船ターミナル
八鬼がミーティングに使用した。
横浜港の海水を大量に含んだヨーグマックを最上階で爆発させ、それを気流に乗せることで「横浜港近辺」を日本中に広げようと画策した。
金沢区洋上の人工島に存在する水族館。
関連項目
- ミラーマン(特撮)
- ミラーマンREFLEX、ミラーナイト:初代ベースの作品。前者は設定のみのリブート、後者はゼロのような同種族の次世代戦士。
- ULTRAMAN(漫画):円谷プロの漫画作品。
- SSSS.GRIDMAN(コミカライズ版):上記と同じく円谷プロの漫画作品であるが本作と同じ円谷ヒーロー作品でもある。
- 超光戦士シャンゼリオン:主人公が探偵の特撮作品の前例。
- 仮面ライダーW、風都探偵:同上。本作のミラーマンの初回巨大化変身はこちらと似通っていた。
- 久正人、上述した通りコミカライズ版作者。