概要
フランス・イタリア・スペイン・ポルトガル・ルーマニア・モルドバといったロマンス語圏を中心に居住する民族である。アメリカ大陸にも多く移住している。
スラブ人、ゲルマン人などと同様、ラテン民族は言語の系統によって定義され、人種ではないため、見た目で非ラテン系の白人と区別をつけることはできない。ヨーロッパにおけるラテン人の最も優勢な遺伝子はケルト人由来のハプログループである。また居住地が他のラテン系民族と大きく離れているルーマニア人は先住のダキア人がローマ化されたものと考えられている。
また、中南米諸国がラテンアメリカといわれているのは、ヨーロッパより多くのラテン系移民が移住したからである。中南米諸国のうちブラジルはポルトガル語、他の多くの国はスペイン語を話すが、ハイチなどのフランス語圏や、英語圏のジャマイカやガイアナなどもある。彼らは現地でインディオなどと混血し、ラティーノ(男性形)とかラティーナ(女性形)と呼ばれている。
ステレオタイプ
ラテン人の典型的な特徴(ステレオタイプ)としては
- 濃色の瞳にオリーブ色の肌(白人としては体色は濃い目)
- ウェーブのかかった黒髪や茶髪
- 彫りの深いハッキリとした顔立ち
- 白人としてはやや小柄かつ短足
- 総じて陽気かつ情熱的な性格で、音楽やダンスを好む
- 敬虔なローマ・カトリック信者が多い
など。比較的日本人に近い特徴を持つが、ケルト人の血が濃いフランス人や北部イタリア人、ガリシア人(イベリア半島北西部にルーツを持つ人々)の多くはこういった特徴が必ずしも当てはまらない。中には生まれつきの赤毛や金髪といったゲルマン人的な風貌を持つ人もいる。
近年の西欧・南欧では(非ラテン系のアイルランドなどを含めて)カトリック信仰が薄れつつあり、若年層の教会離れが著しい。なお、ルーマニアに関しては歴史的に正教圏であり、現在でもルーマニア正教会の信仰の伝統が根強い。