レナウン
れなうん
レナウン(Renown)とは、元来は「有名・高名」を意味する英語の単語である。
- イギリス海軍の由緒ある艦名の一つ。第一次・第二次世界大戦に参加した巡洋戦艦が有名。本項で解説。
- 上記の巡洋戦艦を擬人化した戦艦少女の登場キャラ。声望のタグが付けられる。
- かつて存在した、及び名称が復活した日本のアパレル関係の企業の一つ。
上記全て本記事で解説。
巡洋戦艦レナウン
上は改装後のレナウン。
イギリス海軍の巡洋戦艦レナウン級の一番艦。姉妹艦にレパルスがある。
イギリス海軍の戦艦・巡洋戦艦はイギリス自身の経済不振で日本海軍のそれらのような大規模改装を受けたものは少ないが、レナウンは改装を受けられた数少ない1隻である。艦橋をネルソン級戦艦以降のような箱型のものに、副砲を高性能な高射砲に換装、防御も強化した。
第二次世界大戦では、巡洋戦艦戦隊旗艦、H部隊旗艦などを務め、ドイツの通商破壊艦捜索や、地中海・インド洋で終戦まで活躍している。またナルヴィク沖海戦ではドイツのシャルンホルスト級巡洋戦艦二隻と第二次世界大戦では珍しい巡洋戦艦同士の撃ち合いを行い、自らも二発被弾して無線機などを破損するも、敵旗艦グナイゼナウに二発を命中させて後部砲塔を使用不能にさせている。戦闘自体は悪天候の中の遠距離で行われ、護衛の駆逐艦を擁するイギリス側に対して護衛のないドイツ側は駆逐艦の雷撃を警戒してか距離を縮めず砲戦を行い、ナルビク占拠を図る駆逐艦部隊から充分に目を逸らさせたと判断してか撤退して戦闘を終えている。
巡洋戦艦という艦種が、日本の金剛型4隻、自国のフッドと姉妹艦のレパルス、新型であるドイツのシャルンホルスト級2隻、フランスのダンケルク級2隻が次々と戦没していくなか生き残った事実上最後の巡洋戦艦である。
修理や改装が多かったことからHMS「Refit」(女王陛下の修理号)のあだ名をつけられた。
外部リンク
1902年創業の老舗アパレル企業。創業時の屋号は佐々木商会。後の社名は上記の巡洋戦艦がイギリス皇太子エドワード(のちのエドワード8世)の御召艦として日本に訪問した折に創業者佐々木八十八が見たレナウン水兵の帽子のRenownの文字が印象的だったことにちなむ。またレナウンのブランド「ダーバン」は巡洋戦艦レナウンに随行した軽巡洋艦ダーバンに因む。
1960年代には日曜洋画劇場のスポンサーとなり、「レナウン娘」と「イエイエ」のテレビCMで一世を風靡した。
1970年代には四色傘のブランドマークで知られるアーノルド・パーマーとブランド契約を行い展開を始める。
その後はバブル景気も手伝い、1990年にはアパレルメーカーとして世界最大の売り上げを記録した。
またモータースポーツ分野では1980年代後半から1990年代前半にかけてマツダのスポンサーとしてル・マン24時間レースに参戦(上イラスト参照)。1991年にはマツダ・787Bが日本車初の総合優勝を果たした。
しかしバブル崩壊後は世間の人々の消費意識の冷え込みと、それに乗じたノンブランドやディスカウント衣料(しまむら、イオングループなど)およびファストファッション(無印良品、ユニクロなど)の強力な攻勢、さらにレナウン同様に70年代から80年代に隆盛を誇ったブランド(そごう、ニチイ、山一證券、セゾングループなど)の凋落による年代そのものに対するイメージ悪化の巻き添え(要はこれら破綻した各社と同じ穴の狢のように見られた)を食らい、資産運用もしくじるなど、様々な複合的要因(いわゆる"80年代バブルのツケ")が一気に折り重なり、一転して売り上げが低迷し業績不振に至る。
2010年には中国企業の傘下となり経営改善に取り組んだものの、2019年末からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、ただでさえ危なかった業績がさらに急速に悪化。2020年5月に民事再生法の適用を申請するも、10月に適用を断念。118年の長きにわたる「レナウン」は社としては消滅することとなった。
ただし展開ブランドの商標が全く無くなった、というわけではなく、レナウンインクス(靴下・肌着)はアツギ(神奈川県海老名市の下着メーカー)へ、ダーバン(のち「レナウン」も含む)は小泉アパレル(大阪府大阪市中央区の繊維会社)へ、アーノルド・パーマーは水甚(岐阜県岐阜市の服飾メーカー)へ、それぞれ譲られている。
ただし、上述の大騒ぎで破綻と消滅のイメージがつきまとってしまったため、ブランドを譲られた各社がこれを活用できるかどうかは未知数となっている。
ちなみに、旧レナウン(佐々木営業部)はTPOという言葉を生み出したファッションプロデューサー石津謙介が独立創業して発生したヤングメンズブランド「ヴァンジャケット(VAN)」および、連続テレビ小説「べっぴんさん」のモデルとなった日本屈指の子供服アパレルブランド「ファミリア」の源流・母体となった会社である(石津氏は元レナウン社員、ファミリア創業者の坂野惇子はレナウン創業家佐々木家の出身)。
社名の復活
2024年11月に旧レナウンから譲渡された「アクアスキュータム」「ダーバン」を展開する小泉グループのオッジ・インターナショナルが「レナウン」へ社名変更をした(発表は同年9月)。社名変更に際し、旧社名の「株式会社レナウン」から「レナウン株式会社」と後株表記に変更されている。
レナウン株式会社(旧オッジ・インターナショナル)