概要
主人公詐欺とは、主人公ではないキャラクターを主人公のように見せることである。
長谷川町子原作の漫画・アニメ作品『サザエさん』の登場人物・磯野カツオは、作中では主人公・フグ田サザエを差し置いてカツオが視点人物になっていることが多く、彼を主人公と勘違いする読者・視聴者は少なくない。
尤も、主人公と視点人物が一致しない作品は決して珍しい訳ではない。上記の作品の他にも、やなせたかし原作のアニメ作品『それいけ!アンパンマン』は、主人公・アンパンマンが話の中心になることは少なく、むしろ悪役であるばいきんまんやその他のキャラクター達が視点人物になっている場合が大半である(特に映画版ではゲストキャラクターの成長が描かれる作品が大半であり、アンパンマンにスポットが当てられる映画作品は実はそれほど多くない。劇場短編に至ってはテレビシリーズのサブキャラクターが主役となり、アンパンマンの出番が極端に少ない作品も複数ある)。
連載やアニメ放送が終了した近年の作品では、けらえいこ原作の漫画・アニメ作品『あたしンち』の登場人物・母や、『じょしらく』の登場人物・蕪羅亭魔梨威が該当する(前者は原作者が「立花みかんが主人公」と明言しており、後者は公式設定で防波亭手寅が主人公とされている)。
昔の作品では『うる星やつら』の登場人物・ラムや、『GS美神極楽大作戦!!』の登場人物・横島忠夫が該当すると言えるだろう。しかし前者は原作者が主人公認定こそしていないもののメインヒロインであることは疑いようが無く、後者も同じく原作者が主人公と断言こそしていないものの、終盤は主人公・美神令子と並んでもう一人の主人公とも言える活躍をしていると考える読者もいる。
他には「絶対無敵ライジンオー」が該当しキャスト順及び公式が主人公として扱っているのは日向仁だが、作中のナレーションやモノローグは星山吼児がしており彼の視点で話が進む展開が多かったりする。
更に古い作品だと『ピーナッツ』の登場人物・スヌーピーが該当する。主人公・チャーリー・ブラウンを差し置いて作品の代表キャラクターになってしまったのは有名な話である。
更に深夜アニメの男主人公の萌えアニメやヒロインが多いゲーム等ではメインヒロインが主人公と勘違いする者もいる。有名な例としては涼宮ハルヒの憂鬱の涼宮ハルヒがある。逆のパターンとしては這いよれ!ニャル子さんの八坂真尋がある。彼は公式サイトでは主人公と書かれているが、作者からはヒロインだと明言されている(ちなみに真の主人公はニャル子)。
のび太は主人公詐欺を行っていない
『ドラえもん』の作者は連載後期~末期に「ドラえもんが主人公でのび太は副主人公」と名言しているというのは悪質なデマである。
作者の藤子・F・不二雄のインタビュー等では、のび太は「主人公」と呼ばれることのほうが多い(作品タイトルが『ドラえもん』なのでのび太は「副主人公」と呼ばれることもたまにあるというだけの話で、主人公はドラえもんとのび太の2人である)。
したがって「のび太は副主人公であり、主人公ではない」というのは誤り。
詳しくはのび太は「主人公」か「副主人公」か問題を参照。