『これは、私に与えられた宿命に他ならない』
「皆様の憤怒と絶望……確かに受け取りました。この伊集院が必ずや、犯人を魂ごと引き裂いてみせましょう」
『行き場のない怨嗟を背負う……それこそが、拷問ソムリエの本懐だから』
反町「医療の発展は人類への恩恵、奴はそれに影を落とす無能だ。苦しめて殺してくれ」
「おい…… あれだけの事をしておいて、何呑気に道を歩いてんだ……」
流川「ガソリンを恵みの雨のようにかけます!」
「難病を抱える子の親を利用し、東帝大の医学部受験会場を爆破したな?」
影山「な……何故それを……」
「理由を言え。答えをよっては着火する」
影山「あの事件は悲惨だった! 私も心を痛めている! 偶然、私の患者2名が同時にバスジャックしただけだ! 子供のことが心配で狂ったのだろう!」
「そんな偶然があるかクソ野郎」
流川「キモいタイヤマンだ!」
「フン! フン!」
「相当な臓器損傷だ。緊急手術しかないな」
影山「誰かオペしてェ……」
氷室「出番だな」
流川「とても緊張して麻酔を忘れました!」
影山「このアシスタントを変えてくれェェェッ!」
流川「何だと!? 僕の生活はどうするんだァァァッ!」
「おお! 医療器具で傷つけるとは!」
氷室「すまんな。それでも人材不足で彼しかおらんのだよ」
「医療は未来を切り拓くための希望だ。だがそれと同時に人なのだ」
「お前が奪った若き命は……一人ひとりが将来、多くの命を救う可能性を持った存在だった。お前のやったことはな……最早人類の未来全体への攻撃に等しいんだよ」
「さあ、手術を続けよう。成功するといいなぁ」
流川「縫合する糸を忘れました! あと、免許ないです!」
標的
自身の不手際で経営する病院を傾けておきながら、国立大である「東帝大」の医学部を逆恨みし、高額な治療費の肩代わりを餌に難病を患った子供の親に自爆テロの片棒を担がせたクズ2世藪医者「影山紀夫」に執行。
概要
今回の罪人が腐った医者である事と、爆弾テロで被害者達(実行犯含む)を焦熱地獄に叩き落とした事から着想を得た拷問。
まずかつてと同じタイヤネックレスによって、罪人の首から上を焼き払った上でゴムと同化させ、次は渾身のボディブローを喰らわせて肋骨全損&内臓損傷という放置すれば死ぬ深傷を負わせる。
そこでゲストである氷室一真とそのアシスタントの流川が登場し、緊急オペを開始。麻酔なしで眠る事も出来ない苦痛なれど、"氷室の方は"真っ当かつ凄腕の医療で的確に傷を直しにかかる。
……だが今回の肝は、この度「究極のヤブ医者」に扮した流川の方。
無茶苦茶な言動と共に、あらゆる方向で致命的な医療ミスを頻発する、助かるものも助からない治療という名の拷問により、一応は医療のセオリーを熟知している者にしか分からない絶望(素人でも十分絶望するだろうが)へと叩き落としていく。
経過
知り合いの靴職人である村林の元にバスで向かった伊集院だが、何とそのバスでバスジャックが発生。しかし伊集院は圧倒的戦闘能力を活かしてバスジャック犯を制圧して無力化した。呼んでおいた警官にバスジャック犯を引き渡し、犯人の目的地だった東帝大学医学部の試験会場に向かうと、そこは既に物々しい雰囲気に包まれていた。その直後、医学部キャンパスの方にバスが突っ込んだという報せが入り、伊集院は大急ぎで現場に向かった。しかし最早手遅れであった。現場は阿鼻叫喚の地獄絵図であり、更に途中でバッタリと出会した村林と共に彼の娘である早紀を探したが、そちらも既に手遅れで彼女は爆死していた。現場に木霊する被害者達の悲痛な叫びを伊集院は依頼と解釈。今回の件の黒幕を炙り出すべく行動を開始した。
伊集院が現場から一旦離れ再び戻ると、一人の男がゆっくりと近づいてきた。その男は麻薬マフィア「裏神」の幹部「反町琥治郎」。彼は今回の件の黒幕の情報を代価に伊集院に手合わせを申し込んできたので、伊集院はそれに応じた。卓抜した戦闘科学で伊集院に襲い掛かる反町だったが、伊集院は敢えて古流で対応。反町の戦闘術を所詮はただの学問と断じ、圧倒的な実践力を以て反町を瞬時に叩きのめし失神させた。伊集院は反町を叩き起こすと黒幕である影山の情報を聞き出した。そして反町は「医療の発展に影を落としたあの無能を苦しめて殺してくれ」と圧をかけながら頼み込んだ。それに対し伊集院は「心配するな。奴が味わうのはテメェの想像も及ばぬ真の地獄だ」と圧をかけ返した。
影山はあれだけの事をしでかしておきながら何も感じておらず、完全に護衛なども用意しておらず無防備だった。伊集院は瞬時に影山を絞め落として確保した。拷問室に影山を叩き込み、下準備を終えた伊集院と流川は、影山にガソリンをぶっかけて叩き起こし、伊集院が「テメェは自分の患者の親を洗脳し、爆破テロをさせたな? 理由如何によっちゃあ着火する」と詰め寄った。
すると影山は厚顔無恥にもしらばっくれ「あの事件は悲惨だった。私も心を痛めている」「バスジャック犯がたまたま私の患者の親だったが、子供の事で発狂したんだろう」というまさに「何言ってんだコイツ」としか言いようがない言い訳をほざき散らかした。当然ながらそんな言い訳など相手の目の奥の光で全てを見抜く伊集院に通用する筈がなく、「そんな『たまたま』などあるものか」と吐き捨てられて着火された。更に伊集院は影山の胴体に渾身のパンチをぶち込んで肋骨と内臓を全損させた。そして「相当な内臓損傷だ。緊急オペが要るかな」と吐き捨てると、そこに盟友・氷室一真と謎の助手(に扮した流川)が現れた。そして氷室と助手による緊急オペが開始されたが、それは茶番かつ罪人の理屈の再現(+意趣返し)。
こうして始まったオペでは初っ端から麻酔を忘れるという暴挙からスタートし、メスを用意させれば前日に使ってから全く消毒していないもの(こんな事もあろうかと、拷問用に消毒していないものを常備しているのだろうか?)を渡してきたり、汗を拭けと言われれば自分の汗を拭きだしたり、輸血を用意したと言っておきながら中身は血では無く美容点滴用のプラセンタ溶液だったりとミスを連発し、挙げ句の果てには天才である氷室ですら(おそらく故意に)ミスをしでかし外道の肉体にメスを突き刺したりして治療するどころか影山の肉体を更に損壊させていった。最終的に影山は耐えられなくなり、「今すぐ助手を変えろ!」と絶叫。しかし謎の助手はその言葉にキレて「僕から仕事を奪う気か!」と医療器具で影山をぶん殴った。更に氷室が「俺の医院は人材不足でな。こんなのしか居ないのだよ」と意趣返しを叩きつけた。そして伊集院が「医療ってのは未来を切り拓く希望であると同時に人そのものなんだよ」「テメェが仕出かした愚行は人類の未来を閉ざす事と同義なんだよ」「さてオペを続けようじゃねぇか。成功すりゃあいいな」と言い放って影山にトドメを刺した(その後ろでは助手が縫合用の糸を忘れたし、何なら実は無免許という伊集院以上に恐ろしい発言をしていた)。
最終的に影山は助手の医療ミスによって両手足まで切断され、絶望のあまり絶叫しながらショック死した。
登場人物
- 影山紀夫(かげやま のりお)
今回の罪人。私立白鳳医科大学付属病院の経営者。いつぞやの大手海運会社社長と同じく、親の威光を傘に着て放蕩の限りを尽くすゴミ以下のクズ2世。
学生時代はろくに勉強をしていないのか、親の脛齧りで遊興に耽って「親ガチャ成功者こそが真のエリート」などと思い上がっていた。だが彼の人生はこの時がピークであり、亡き父親から病院を引き継いだが、当然ながら経営の才など微塵も無く、早々に無能の馬脚を現して病院の経営を傾けさせてしまう。
ニュースで東帝大の新病棟設立と医学部学生枠を拡大すると知り、それに対し「国立は私立の枠を奪う害悪」とお門違いな逆恨みをし、自身の病院に入院している難病患者の親を傀儡にして東帝大を襲撃するバスジャックを行わせた。いつぞやのクズ2世と同じく自身の最低最悪な愚行に関して微塵も悔いておらず寧ろ当然と思っていたという凄まじい腐れ外道で、伊集院の尋問にも上っ面だけの反省や自己正当化の逆ギレでもなく堂々としらばっくれて幼稚な言い訳をほざく始末。その後、伊集院の拷問によってタイヤと首から上を溶着させられ、その上で氷室と謎の助手によって人為的な弩級の医療ミスを連発され、ダルマとなってショック死した。
- 村林(むらばやし)
伊集院が購入した靴を受け取りに行く予定だった靴屋の店主。
娘の早紀が東帝大の受験をするはずだったが、爆発に巻き込まれた娘が命を落としてしまう。
- 村林早紀(むらばやし さき)
今回の被害者。村林の娘。東帝大医学部の受験生だったが、受験会場が本校だった為、バスジャックからの爆破テロに巻き込まれて死亡してしまった。
- バスジャック犯
今回の被害者その2。難病を患った娘がおり、今回の外道こと影山に「治すには保険適応外治療が必要だから3000万円という高額な治療費を肩代わりする代わりにバスジャックをしろ」と強要され、ガソリン缶を背負ってバスジャックを起こしたが(脅しをするだけで本当に爆破はしないと影山から説明されていた)伊集院に無力化され、通報しておいた警官に引き渡された。
だがもう一人実行犯が用意されており、こちらは別のバスで受験会場に突入した直後に影山の遠隔操作で起爆装置が作動してしまい、バスもろとも大爆発して消し炭となった。
- バスジャック犯の娘
影山の病院に入院していて、彼女の治療費と引き換えに父親がバスジャック事件を起こした。反町によると、既に手の施しようのない容態で最初から助かる見込みがなかったらしく、事件後に影山から見捨てられて死亡した模様。
伊集院の盟友である凄腕の闇医者。今回は拷問のスペシャルゲストとして呼ばれ、「オペ」と称した茶番で影山を徹底的に甚振った。自身の経歴とプライドもあってやはり影山には相当ブチギレており(人為的な)医療ミスという名の制裁を加えまくった。
なお、拷問で茶番をするのも初めてであったが、これは影山を更なる絶望に叩き落す為のブラフであった。
また、実質的に氷室が主体となって処刑を行った初の回となった。
今回のゲストキャラ。マフィア「裏神」に所属するインテリ武闘派。学術的な戦闘を実践する事を得意とし、その実力は世界に通用するレベル。
影山の情報を教える交換条件として伊集院との手合わせを望んだ。
しかし戦闘には非常に長けていても、相手が学問が及ばぬ戦闘技術と戦闘勘を持つ伊集院だったのが運の尽き、伊集院から情け容赦ない古流の殺人技を叩き込まれ、最終的に失神した。そして伊集院に叩き起こされた後、影山の情報を吐いた。
しかし今回の惨敗は彼にとって非常に良い学びになった模様。また伊集院も勝利したとはいえ、「手加減は危険な相手」と実力を認めていた。
実家が医者で自身は東帝大医学部の卒業生でもあり医療関係者の端くれである為か、影山の所業には相当憤っていた模様。
余談
氷室の過去回を除いて伊集院の開眼シーンが実装されたのはデスゲーム以来約一年半ぶりである。
この回では村林氏の娘が死亡し、バスジャック犯の娘も恐らく死亡しており、その後の描写もない事から、受験生達の仇を取る事が出来たものの後味の悪さが残る結末となった。
その一方で、前々回振りに登場した流川が茶番を演じるなど、後半のシリアスさは控え目である。また、月を見上げるシーンで氷室も一緒に見上げるシーンはこれが初である。
珍しく、外道が限りなく完全犯罪に近付いた回でもあるが、現在進行形で警察が探っている情報を、反町が調べ上げた経緯に謎が残る。
恐らく、爆弾の入手ルートなどから状況証拠を積み上げたものだと思われる。
また拷問を始める前に伊集院が外道に悔恨の意思があるか質問する際に、いつもなら外道が醜悪な論理で自己正当化して逆ギレするか、薄っぺらい反省の言葉を述べて命乞いするかの2択になるのが定番なのだが、今回の外道である影山は実行犯の二人に罪を押し付けてしらばっくれようとするなど、いつもとは少々異なる展開となり、伊集院も質問を早々に打ち切った。
今回は反町が伊集院シリーズに登場したが、裏神の反町派閥では初めての登場となった。
また戒炎のOBでもあるため、戒炎に関係ある人物が伊集院シリーズに登場したのはかつての上司である我妻京也以来二人目となった。
関連タグ
ダルマからの正拳突き→似非医療という名の茶番→[[]]
氷室による臓器全摘と鼠の餌、伊集院茂夫による耐G訓練装置、伊集院茂夫と氷室一真による人間糸人形の刑:罪人が医者・医療従事者繋がり。また人間糸人形の刑ではタイヤネックレスの拷問があったり(あちらは冒頭)、伊集院が開眼したりする。
伊集院茂夫による人間煎餅の刑:罪人が難病の娘を持つ父親の弱みに漬け込んだ挙句、傀儡にして犯行を働かせる点と、罪人が体の一部を焼き潰された上で伊集院の強烈なボディブロウを喰らう点が共通する。
伊集院茂夫によるラファニドーシスでの若返り実験:流川の変装スタイルを見て思い出した人は多数いた模様。
伊集院茂夫による猛獣刑(豚):今回の拷問スタイルは完全にコレ
伊集院茂夫による猛獣刑(鮫):罪人が親の威光を用いて遊び呆けるクズ2世繋がり。更に経営能力が皆無で親から受け継いだものを傾けた事も共通。
蓮見紀次による二重昆虫拷問:罪人の情報を持っていたマフィアが伊集院に手合わせを引き換えに情報交換した事が共通している。但し、こちらは反町と違い一方的に(しかも手心を加えられた上で)やられた。
成り行き的に仕事になった回
ダルマからの正拳突き→似非医療という名の茶番→[[]]
