※正式表記は「𠮷野家」だが、「𠮷」が常用漢字でも人名用漢字でもないのでタグを「吉野家」としている。
概要
株式会社吉野家ホールディングスの子会社である株式会社吉野家が運営する、日本の牛丼チェーン店。愛称は「吉牛」。
松田栄吉により日本橋(東京市)で創業された。元々魚河岸内の食堂として創業したという経緯があり、その後市場が築地、豊洲と移転してもなお市場内に店舗を構えている。
他の牛丼店と比べ、薄味と言われている。
歴史が長いだけあって、不祥事の多さはすき家と並んでトップクラス。
同業他社
- 「松屋」創業者の瓦葺利夫は中華料理店を営んでいたが、吉野家築地店で牛丼の味に感動し毎日通った。松田瑞穂は2号店のスタッフとして瓦葺を誘ったが、瓦葺は自分で事業を興すつもりだったので断った。「松屋」1号店(江古田)の最初期は食材卸を吉野家と共有していた。
- 「ゼンショー」創業者の小川賢太郎は、4年ほど吉野家で働いたことがあった。生麦(横浜市鶴見区)で開いた弁当店「ランチボックス」が不振だったため吉野家時代を思い出し、牛丼店「すき家」を開いた。
沿革
1899年、東京府東京市日本橋区(現在の中央区日本橋)の魚市場で個人商店吉野家として創業。市場で働く人達のため、素早く出せる牛丼一品に特化した。
1926年、日本橋の魚市場は関東大震災で被災し、築地へ移転。吉野家も築地場内へ移転した。
1952年、24時間営業となる。
1958年、2代目の松田瑞穂が吉野家を株式会社化。
1968年、チェーン展開を開始。
1973年、フランチャイズ事業を開始。
1980年、120億円の負債を抱えて倒産。
1983年、セゾングループ傘下となり、再建が始まる。
1987年、債務を完済。
1988年、「ダンキンドーナツ」を経営する株式会社ディー・アンド・シーを合併し、商号は株式会社吉野家ディー・アンド・シーとなる。
1997年、持ち帰りすし店チェーン「京樽」を子会社化。
1998年、「ダンキンドーナツ」を全店閉鎖しドーナツ事業から撤退。
2001年、伊藤忠商事グループに入る。低価格競争に追随し、牛丼並を280円に値下げ。
2004年、BSE問題の影響で牛丼の販売を休止。豚丼が販売される。「はなまるうどん」運営会社の株式会社はなまるをグループ企業化。
2007年、株式会社吉野家ホールディングスに商号を変更。ステーキレストラン「どん」を子会社化。
2008年、牛丼の24時間販売を再開。牛丼チェーンの店舗数で「すき家」に首位を奪われた。
2009年、「どん」の13店舗でO-157による食中毒が発生し、営業停止処分を受ける。
2011年、伊藤忠商事が資本提携解消を申し出、同社保有株を自社株として買い取る。
2021年、「京樽」の全株式を、FOOD&LIFE COMPANIES(「あきんどスシロー」の持株会社)に売却。
キャッチコピー
1970年代以降のキャッチコピーは「早い、うまい、安い」だった。
1983年の経営破綻で松田家が経営を離れてからは「うまい、早い、安い」に変わる。
2000年代に「うまい、安い、早い」となり現在に至る。
店名の由来
通説では創業者・松田栄吉が西成郡野田村字吉野(大阪市福島区吉野)の出身であったため吉野家としたとされていたが、創業120年となる2019年に社史制作のため親族に問い合わせしたところ、栄吉の出身地は住吉村(大阪市住吉区)の出身であり、吉野(奈良県)の桜を好んでいたことから「吉野家」と命名した事がわかった。
経営危機
過去に2度、経営危機があった。
1980年
店舗数の急増で輸入牛肉が供給不足となり(牛肉・オレンジ輸入自由化は1991年以降)、輸入制限が適用されないフリーズドライ牛肉を使用した事で牛丼の味が悪化し、客離れを招いた。
堤清二(元セゾングループ代表)のバックアップで、7年後に債務を完済。
2003年
アメリカでBSEに感染した牛が確認され、アメリカ産牛肉の輸入が中止になった。他チェーンではオーストラリア産牛肉等に切り替える所もあったが、吉野家はアメリカ産牛肉でないと品質を維持できないとして牛丼を販売休止とし、豚丼を主力商品とする。
牛丼の完全復活は2008年まで持ち越された。
黒い吉野家
吉野家の看板は基本オレンジをバックに江戸勘亭流体の黒文字が一般的だが、中には黒をバックに白文字看板の黒い吉野家も存在する。オレンジ看板は文字が真ん中よりだが、黒看板は文字左に牛をかたどったロゴがでかでかと付く違いがある。
この店舗では通常の吉野家にはないから揚げなどのメニューが充実しているのが特徴。どこにあるかは明確には公開されていないが、ネットニュースでは秋葉原や恵比寿にあることが判明している。
黒看板店舗の所在地の基準も曖昧だが、都内だと東京メトロの駅周辺に多く見られるように思える。実際、上記2店舗はどちらも日比谷線出口寄りにある。
ただし、最近では観光地店舗の景観保護を理由に既存のオレンジ看板を黒看板に変更しただけの店舗も増えてきており、黒看板=限定メニュー取り扱いとは限らない点には注意してもらいたい。
また、紺色の看板の吉野家もあり、こちらは『そば処吉野家』として牛丼の他に十割蕎麦・天丼などを販売。2000年代から展開している
はなまるうどんとの複合店
2015年6月に愛知県一宮市の名神高速道路・尾張一宮パーキングエリア(上り)に初めて『吉野家』と『はなまるうどん』の複合店舗を開業、高速道路のサービスエリア・パーキングエリアを中心に複合出店も展開している。
中央自動車道の屏風山パーキングエリア(上り)など『そば処吉野家』と『はなまるうどん』の複合店舗でうどん・そばが食べられる店も存在する。
関連イラスト
竹達彩奈は筋金入りの吉野家党で知られ、キャンペーンガールに採用された事もある。故にこんなイラストも。その発想はあった。