失敗作
失敗作(しっぱい さく)とは、作ろうとして上手く行かなかったもの。失敗と見做す作品。
上手に作れなかった料理、思うように表現できなかった作品、成果が少なかったりトラブルを起こしてしまったりした製品、想定外に問題が発生してしまった建造物、等々。
毒親に「失敗作」などと言われてしまう可哀想な子供や、自らをそのように評価してしまう大人も、世の中にはいる。
他方、失敗作がセレンディピティ (cf.Wikipedia) を通じて大きな成功に繋がった例も世界には数多く存在する。
身近なセレンディピティの例として、貼って剥がせる低粘着性の糊付き付箋「ポスト・イット」があり、これは、強力な接着剤を発明しようとして正反対のどうしようもない低粘着性の失敗作を生み出してしまったが、そこに天才的閃きが働いて便利な発明品を爆誕させたというものである。
英語
英語では、様々な表現で「失敗作」を表す(※a)。
とりわけ面白いのは、「失敗作」「売れない製品」「時代遅れ」などを意味する "Edsel(音写例:エドセル〈cf.Wikipedia〉)" で(※b)、これはフォード社の自動車 "Edsel" が多額の宣伝費を投じられながら消費者からそっぽを向かれて悲惨な売上高を計上してしまったことに由来し、その名が「失敗作」の代名詞になったものである(※b)。
また、映画や演劇などの興行の失敗については、様々な言い回しが存在する(※a,c)。
pixivでは
pixivでは、自らの作品を「失敗作」と公言する作者を見掛けることがある。
ただ、物事の評価はおしなべて人それぞれであるため、他者が作者の自己評価に共感するとは限らず、どこが失敗なのか判らないといったようなことも珍しくない。
それは、巨匠と呼ばれているような才能溢れるクリエイターでも同様で、ファンが名作と賞賛してやまない作品でも、作者自身は駄作もしくは失敗作と感じているなどということが、ままある。
一方、pixivで「これはひどい」タグを設定される作品の中に、作者側の評価と関係なく閲覧者側が失敗作と感じる作品も、わずかながら含まれている可能性がある。
関連イラスト
世の失敗作
左から順に(以下同様)。
1. 手作りチョコ (cf.) に挑戦して失敗してしまったおねえさん。
3. こちらはオムライスの成形で盛大にやらかしている失敗作。
4. あ! フライパンから勢いよく飛び出す目玉焼き。ここからのリカバリーは無理っぽい。
5. 古代エジプトのピラミッドも、その建造時代の黎明期には、重力を克服できずに途中で崩壊が起こったためにやむを得ず角度を緩めて完成させている、「失敗作」とも言える「屈折ピラミッド (cf.Wikipedia)」の存在が知られている。
6. パンジャンドラムは「しくじり兵器」の筆頭とも言える世紀の大失敗作。なぜ戦場で通用すると思ったのか、わけがわからないよ。なお、史実では役立たずもいいとこだったので、このイラストのように量産なんてしてません。
7. フレスコ画 "Ecce Homo(この人を見よ〈cf.〉)" の修復は、美術修復史上に残る大失敗作で、「猿のキリスト」と揶揄された。
8. pixiv作品。作者のキャプションによれば、生体実験 (cf.) で生み出された失敗作とのこと。しくじり兵器としての人造兵士とか、そういうことか。
自称「失敗作」
1. 描くほどにどんどん修正が利かなくなってしまったらしい。あるある。
2. デッサン力の不足が招いた失敗。これは初心者あるあるで、練習あるのみ。
3. どこ見てんの、怖いって。瞳(黒目)の描き方がマズくてそうなってる。この人の初期作の癖で、けど、この後に続く十数作品目あたり、期間にして1年と3か月ほど後には改善されてる。
4. 言うほど悪くはないと思うんだけど、作者は気に入らなかったらしい。思ったように彩色できなかったってことだろうと推定。
5. 作者は失敗作と言ってる。どのへんが? 表情がキツすぎるところ、確かにキャラクターに合ってないかもしれないけど、そのつもりで描いたんだろうから、いいと思うんだけどなあ、見てる側としては。でも、本人が言ってるのを否定なんてできない。
6. 松岡修造とのことだけども、失礼ながら、確かにあんまり似ていないかも。
Ibの「失敗作」
フリーゲーム『Ib』の ver:1.04以降に登場した、ゲルテナの作品の一つ。
2周目以降の追加ダンジョンに登場する作品の一つ。顔を黒く塗りつぶされた灰色の服の男の肖像画で、「失敗作」と銘打っておきながらしっかりと額縁に納められてたりする。
所謂無個性や赤い服の女のように絵画から突然飛び出してきて、接触するとダメージを受けてしまうのだが、顔を塗りつぶされているせいか、プレイヤーを認識して追っては来ない。もっとも、こいつの場合はそのいびつな動きがかえって不気味なのだが。
ゲルテナがどういった経緯で彼を失敗作と銘打ったのかは、ゲルテナ作品である無個性等を眺めていると自然と分かるかもしれない。もしかすると「作者に失敗と断じられて顔を消されてしまった絵」として、意図的に無様な姿に描いた皮肉な作品なのではないか、という見方もできなくはない。
脚注
出典
※c "Edsel" 『英辞郎』
※b "turkey" 『英辞郎』