概要
東方Projectに登場するキャラクターの内、「妖獣」として語られるキャラクターたちによるグループ。pixivのタグとしては共通要素をもつ全てのキャラクターの集合ではなく、次述のキャラクターたちが複数描かれている作品に広く用いられている。
一般に妖怪のあり方には動物の変化であるというパターンが古今東西多種多様にあり、妖怪を考える際に動物との繋がりは不可分のものでもある。
東方Projectにおいても多様な妖怪が登場するが、その存在性の由来または妖怪性に結び付くにあたって動物(またはその変化)が縁しているものもあり、東方Projectにおける「妖獣」もまたそのような妖怪たちのあり方の一つである。
「妖獣」
東方Projectにおける「妖獣」について稗田阿求が自著「幻想郷縁起」(『東方求聞史紀』)にて記述している。それによれば、「妖獣」という分類全体でみる時、その存在は高い多様性を持ち、多くの場所にあらゆるタイミングで存在している。
妖獣は一般に、動物としての身体能力と「 人語を解する程度の知能 」をもつ。多くはベースとなった動物の特性を備えており、それは個々のパーソナリティの部分にも影響している。その特性として妖獣の場合は妖怪性が身体機能に依拠偏重することが多いようで、妖怪全般における精神攻撃への耐性は他種族よりも高い(東方Projectにおける妖怪は一般に物理的な耐性能力が高く、精神的な攻撃に対する耐性が低い)。一方でそれは同時に存在性を揺るがすような身体へのダメージには弱いという特徴にもつながっているという特徴も持つ。つまりは一般的な動物、生き物と同様に、物理的な体を傷つけられる方が直接的に命にかかわる。精神攻撃よりも直接痛めつけられる方が堪えるタイプである。
妖獣におけるしっぽの数は力(「 妖力 」)のバロメーター。
「妖獣」は直接人を襲う事も多く、人間が警戒すべき典型的な「妖怪」である。
メンバー
2015年9月現在のpixivでは次のキャラクターがメンバーとして挙げられている。
キャラクター名 | 初登場作品 | それぞれの「妖獣」性 | 関連する二つ名の一例 |
---|---|---|---|
橙 | 『東方妖々夢』 | 化け猫 | 凶兆の黒猫 |
八雲藍 | 『東方妖々夢』 | 九尾の狐 | 策士の九尾(※) |
因幡てゐ | 『東方永夜抄』 | 妖怪兎 | 地上の兎 |
鈴仙・優曇華院・イナバ | 『東方永夜抄』 | 玉兎 | 狂気の月の兎 |
※:『求聞史紀』での二つ名。
この他先述の現在時点のpixivにおける「東方妖獣組」には、原作では「妖獣」以外の属性で語られることが多いもののそのキャラクター性にそれぞれの動物の要素を含むものとして、次のキャラクターがある。
キャラクター名 | 初登場作品 | 関連する動物性 | 関連する事項の一例 |
---|---|---|---|
ミスティア・ローレライ | 『東方永夜抄』 | 雀 | 二つ名「夜雀の怪」 |
犬走椛 | 『東方風神録』 | 狼(白狼天狗) | 種族「白狼天狗」 |
火焔猫燐 | 『東方地霊殿』 | 火車(「火の中に棲む猫」) | 黒猫変化 |
霊烏路空 | 『東方地霊殿』 | 地獄鴉 | 種族「地獄鴉_with_八咫烏」 |
ナズーリン | 『東方星蓮船』 | 鼠 | 種族「 妖怪ネズミ 」 |
寅丸星 | 『東方星蓮船』 | 元々は虎の妖怪 | 二つ名「妖獣の成り上がり」 |
幽谷響子 | 『東方神霊廟』 | 容姿に犬を彷彿させる要素がある | |
二ッ岩マミゾウ | 『東方神霊廟』 | 化け狸 | 二つ名「化け狸十変化」 |
今泉影狼 | 『東方輝針城』 | 狼 | 能力「満月の夜に狼に変身する程度の能力」 |
菅牧典 | 『東方虹龍洞』 | 狐 | 種族「管狐」 |
この他、pixivにおける「東方妖獣組」ではその登場は見られないが、原作では次のキャラクターがその造形や来歴にそれぞれごとの動物の要素を備えている。
- 射命丸文(烏、鴉天狗)
- 姫海棠はたて(烏、鴉天狗)
- 飯綱丸龍(鳥、鴉天狗)
- わかさぎ姫(魚、人魚)
- 清蘭(兎、玉兎)
- 鈴瑚(兎、玉兎)
- 高麗野あうん(犬、狛犬)
- 戎瓔花(水母、水子の霊)
- 牛崎潤美(牛、牛鬼)
- 驪駒早鬼(馬、驪駒)
- 豪徳寺ミケ(猫、招き猫)
- 孫美天(猿、猿神)
- 三頭慧ノ子(犬、山犬)
- 饕餮尤魔(羊、饕餮)
- レイセン(兎、玉兎)
- 名無しの本読み妖怪(ファンの間では「朱鷺子」とも。鳥)
さらに広く「動物」との関連という観点からは「虫」を操る妖怪としてリグル・ナイトバグ(蛍)があり、また、同じく「虫」絡みではエタニティラルバ(アゲハ蝶)や黒谷ヤマメ(蜘蛛、土蜘蛛)、姫虫百々世(百足、大蜈蚣)がある。また、個別のキャラクター名称などは語られていないものの動物の要素を持った存在としていずれも通称でモブイナバ(妖怪兎)、モブ天狗、玉兎(個別の名前の設定されていない玉兎)などが登場している。
上記の面々に加えて、二次創作のあり方としてpixivでは「東方獣化娘」に代表されるような元々動物の要素の無いキャラクターに動物の要素を付加して描くという創作アプローチもあり、「東方妖獣組」においてもそういった動物的な付加要素を追加したキャラクターがともに描かれる事もあるなどそのメンバーの構成は弾力的である。
「獣人」との違い
「妖獣」と同様に動物の要素をもつ存在として「獣人」があるが、獣人は普段は人間であり、特定の条件下でのみ動物化する存在である。
妖獣が普段から獣としての身体の能力などを有するのに対し、獣人は平時は人間と変わりない。一般に妖獣は「 知性が低い 」が、獣人は変化後も人間の時の記憶や知識も保有している事が多く、「 妖獣よりは頭が良い場合が多い 」(阿求、「幻想郷縁起」、『求聞史紀』)。
獣人は変化後の姿も完全に動物化するものと人間の姿に近いものとがおり、その違いは「獣人」となった経緯にもよる様子である。
そして一般の人間の視点から見る妖獣と獣人との大きな違いはその友好性にあり、先述のように妖獣が警戒すべき相手であるのに対し、獣人は人間に対して友好的であることが多い。
頼りになることも多いようで、人間からも「 人気のある 」種族である。
獣人として代表的なキャラクターは上白沢慧音。
先述の人間との友好性を明示するように、その住まいは人間の里にある。
阿求は慧音を「 最も賢い獣人 」とも評している。
「東方幼獣組」
「東方妖獣組」と同様に、その主なキャラクター性に動物の要素を持つ者のうち、原作や二次創作においてその容姿がより幼く描かれる事の多いキャラクター達によるグループとして「東方幼獣組」がある。先述の現在時点のpixivでは、「東方幼獣組」には橙、てゐ、ナズーリン、響子の四名が描かれている。