前後のストーリー
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恋!バイオフラワー | 今回(前・後編) | 驚天!オモチャの反乱 |
予告
前編
恐ろしい有毒ガスが町に充満する!このままでは世界中の人間がもがき苦しんでしまう!
グリッドマン、緊急出動だ!
ところが、ベノラの毒ガスを吸い込んだグリッドマンに、これまで戦ったピンチの記憶が蘇った!
そして遂に、グリッドマンの最期がやって来た
次回、電光超人グリッドマン『決戦! ヒーローの最期(前編)』
君も、アクセスフラッシュ!
後編
「とにかく有毒ガスの煙は関東一円に広がり、政府は先ほど非常事態宣言を行いました」
世界はカーンデジファーに征服されてしまうのか?
立ち上がれグリッドマン!
その時、スーパーヒーローが誕生した!
次回、電光超人グリッドマン『決戦! ヒーローの最期(後編)』
君も、アクセスフラッシュ!
前編
1993年9月25日放送。
直人たちの棲む桜が丘町はここ数日怪獣の出現がなく、平和が続いていた。
すっかり平和ボケしている一平にゆかが注意するが、まったく気にしていない。その時、直人が何かを見つけて自転車を走らせた。
そこでは直人たちの行きつけのジャンクパーツショップが閉店の準備に入っていた。コンピューターの異常でよく事件が起こり、それで品物が売れなくなって閉店することになったという。店じまいされたら困るというも、店主は仕方がないこととして直人たちに別れを告げた。
新しい店を探そうとする直人たちだったが、今度は引っ越し業者が作業するのを横目に、小金村巡査が主婦たちと立ち話をしている。
このところこの町では気味の悪い事件ばかりが続いている。二度にわたるスーパーのパニック、水道から塩酸が噴き出す…全部直人たちの身に覚えのある事件ばかりだった。主婦たちは小金村に何とかしてくれと迫るも、小金村だけでは解決できない。
直人たちはそそくさと立ち去った。
町はずれの展望台から直人たちは町を眺めていた。直人は自分たちはカーンデジファーの送り込む怪獣たちを倒して町の平和を守った気になっているだけで、本当は何も守れていないんじゃないかと思い込む。直人の言う通りかもしれないというゆかに一平はどこへ逃げようがコンピューターワールドに怪獣が出る限り同じことだという。それに納得はしつつも、ゆかは自分たちの行いは決して無駄ではないと直人を励ます。
現実世界に出ようとした怪獣を止めたり、自動車暴走事故から直人の父を守ったり、流通のストップを食い止めたり、天文台の影響で狂った時間に苦しめられた人々を救ったり、家に閉じ込められたゆかの母と兄を救ったり、町中に殺人音波を流そうとした善良な電子アニマルを救ったり、エアコンを操作する兄弟怪獣から弟をはじめとした人々を守ったり、レジを爆弾にする恐怖の買い物ゲームを食い止めたり、パーマ機器を暴走させて美容院を燃やそうとしたのを防いだり、水を塩酸に変えて水不足に陥れた怪獣を倒したり、ショベルカーの暴走から恐竜の化石を守ったり…
ナレーター「直人、ゆか、一平の3人は、これまでに起きた様々な事件を振り返った。魔王カーンデジファーの送り込んだ怪獣によって苦しめられた人々の顔を思い出すことにより、カーンデジファーへの新たな怒りがこみ上がった」
何とか立ち直った直人は、これからも共に戦っていこうと三人で決意を新たにした。
ナレーター「だが、そのころ武史は……」
工場地帯を歩いていた武史は、煙突から出るスモッグに悪態をついていた。そのまま信号のない横断歩道を渡ろうとしていたが、わき見運転をしていたトラックにひかれそうになる。
慌てて止まったものの、トラックの運転手は武史に罵声を浴びせ排気ガスを吹き付けて逃げていった。
怒り狂った武史は急いで帰宅し空気清浄機を起動させ、パソコンの前に座る。人間は公害の危険性を叫びながら空気を汚すのをやめようとしない。ならばもっと苦しめばいいと毒煙怪獣ベノラを作り出した。さらにカーンデジファーの提案で煙に細工を施しグリッドマンを倒そうという。カーンデジファーには考えがあるようだ。
そのころ、直人の弟の大地は一平の妹のカナを呼び出しデートに誘う。そつなく断るが、ソフトクリームをごちそうすることをちらつかせ、何とかデートに誘うことに成功していた。
ついにベノラは完成した。体の突起から毒ガスを噴射し、口からは火炎弾を発射する強敵怪獣。カーンデジファーのライフ・エナジー・ビームで実体化したベノラは工場のコンピューターワールドへ送り込まれ、システムを次々と破壊。コンピューターそのものから排煙が噴き出し、人々を苦しめていく。
大地とカナはのんきにソフトクリームを食べていた。すると通りすがった一般人が黒雲が流れてくることに気づいた。
一方直人たちはジャンクのある地下室で勉強中なため、異変に気付いていない。一平が飲み物を買ってこようと外に出ると、黒雲は一平の家の近くにまで迫っていた。
直人たちに異変を知らせる一平。ようやく異変に気付いた直人とゆか。一平の両親の会話から排煙処理施設から毒ガスが噴き出していることを知る。その時Gコールが鳴った。やはり怪獣が現れたのだ。
直人はグリッドマンと合体し、コンピューターワールドへ向かう。巨大化したグリッドマンは機敏な動きで立ち回り、ベノラに反撃の隙を与えない。
だが、ようやくグリッドマンが現れたとほくそ笑む武史はベノラに毒ガスを噴射させる。直撃を受け苦しむグリッドマン。
ナレーター「ベノラの毒ガスを吸い込んだグリッドマンの体に、何かが起きた……。」
グリッドマンの精神にこれまで倒してきた怪獣たちが現れる。ジェネレドン、テラガイヤー、フレムラー…グリッドマンの異変に気付くゆかと一平だが、ベノラはさらに容赦なく毒ガスを噴射する。
ステルガン(2回)、メカバモラ。訳も分からず幻覚の怪獣たちに攻撃しようと手足を振り回すグリッドマン。キックを外し、転倒したグリッドマンをあざ笑うベノラ。そしてふらつく足で近寄ってきたグリッドマンをたやすく受け止めると、腹に膝蹴りを食らわせ、投げ捨てた。
毒ガスが原因であると突き止めたゆかは毒ガスの解析を開始する。その間にもニセアノシラス、マグネガウス、メタラスが現れる。
ナレーター「グリッドマンは、過去に戦った怪獣たちの悪夢に苦しめられていた!これはすべて、毒ガスの影響だった。ベノラが吐き出すガスの中に、グリッドマンの中枢神経をマヒさせる物質が仕掛けられていたのである!」
武史はグリッドマンの無様な姿をさらしてやろうとコンピューターワールドから光を放ち、煙を媒介にデッド・プロジェクターを起動させ、現実世界の空にグリッドマンとベノラの戦いを映し出す。大地とカナがそれを目撃する。やがて毒ガスは二人に迫り、排煙を吸ったり浴びたりした人々が咳き込み、倒れていく。
もはや立ち上がる気力もないグリッドマンをベノラは容赦なく痛めつけていく。一平はドラゴンフォートレスを出動させ、ミサイルで弾幕を張ってベノラを引き離した。
さらにダイナドラゴンに変形させるが、ベノラのタックルでグリッドマンは吹き飛ばされた。ダイナドラゴンがキャッチする。そのままベノラに向かっていくが、相手は火炎弾を連射してダイナドラゴンを近づかせない。
ベノラの火炎弾を受けるダイナドラゴンの姿を見せられて、またもグリッドマンの脳裏に怪獣が現れる。シノビラー、メカフレムラー、メカバギラ。グリッドマンはのどをかきむしり、ついに倒れ動けなくなった。
一平とゆかはグリッドマンに撤退を呼び掛ける。ついにグリッドマンを倒したと喜ぶ武史。カーンデジファーはベノラをさらに暴れさせるのだった。
ナレーター「魔王カーンデジファーの陰謀に、ついにグリッドマンが倒れた。空を覆った有毒ガスは、東京中を覆い始めていた……。このままでは、世界はカーンデジファーに支配されてしまう!どうした、グリッドマン!目を覚ませ!立ち上がれ、グリッドマン!!」
後編
1993年10月2日放送。
ナレーター「魔王カーンデジファーは、工場の排煙処理システムに、毒煙怪獣ベノラを送り込んだ。工場の煙突から吐き出される煙で、人々はパニックに襲われた。直人は、グリッドマンと合体して、怪獣を倒しに向かったが、ベノラの毒ガス攻撃を受け、あえなく倒されてしまった……。果たして、グリッドマンは?」
倒れたグリッドマンは指一本動かなかった。グリッドマンの代わりにダイナドラゴンがベノラに立ち向かうも、弾幕を張られ近づけない。その様子は、武史が用意したデッド・プロジェクターで現実世界にも投影されている。
グリッドマンが死んだと悲しむ大地。カナはそんな大地を励ましながら一緒に毒ガスから逃げる。
グリッドマンは必死で体を動かそうともがいていた。ゆかがそのすきにパサルートを開いてグリッドマンとダイナドラゴンを撤退させた。
グリッドマンと分離した直人だったが、ベノラの毒ガスは直人も蝕んでいた。一平は折り畳み式ベッドに直人を寝かせる。なんとか話せいる状態の直人は、グリッドマンは怪獣の毒ガスでやられたとゆかが教える。
直人は頭の中に怪獣が現れていたと語る。ゆかは頭痛薬を取りだし、直人に飲ませた。一平は元気が付く料理を作って来ると言って飛び出していった。
ゆかに言われ、眠りにつく直人。
一方、勝利を確信したカーンデジファーはベノラをさらに暴れさせ、毒ガスを広げていた。逃げ回っている大地とカナは宗一郎に助けられ、一路直人の家に向かうことに。
3人は命からがら家にたどり着いた。直人の母・道子は家に毒ガスが入ってこれないよう各所に目張りしていた。町では小金村巡査が人々を救おうと奮闘している。
毒ガスは桜が丘だけでなく、押上、銀座、渋谷といった都市部にまで広まっていた。
翔家では大地がグリッドマンが負けたからこうなったという。宗一郎も実際に見ていた。道子も今までの異変がすべて怪獣の仕業だったと知る。
ジャンクの部屋では直人の絶叫がジャンクの地下室に響く。
ゆかの助言で眠りについたはずの直人は、夢の中でもダズルバに苦しめられていたのだった。
うなされ、悶える直人。吹き出す汗を、ゆかが必死に拭っている。
ゆかの必死の呼びかけで、直人は落ち着きを取り戻した。ようやく安静になった直人を優しく見つめるゆか。
直人に向かってゆっくりと顔を近づけ、そして──
直人が目を覚ました。自分の唇をぬぐい、体を起こす直人。そんな彼はゆかにもう勝てないかもしれないと弱音を吐いた。
これまでどんな困難でも乗り越えてきたというゆか。カーンデジファーのバリアに阻まれたグリッドマンを助けたこと、ゴッドゼノンの初登場、ドラゴニックキャノンを発射するグリッドマン、ゴッドタンクがグリッドマンを援護する、ダイナファイターとキングジェットで透明怪獣を打ち破ったこと。
自信を取り戻してというゆかに直人は何とか立ち直った。
ようやく一平がキノコのスープをもって戻ってきた。外は工場の煙で大変な騒ぎになっているという。
テレビのニュースでは政府が非常事態宣言を発令したことと、ついに人類にコンピューターワールドと怪獣の存在が知られたことを報道していた。
テレビではグリッドマンとベノラの戦いも報道されていた。この現象はグリッドマンの敗北によって起こったとアナウンサーが報道する。
その時、突然ノイズとともに映像が切り替わり、デッド・プロジェクターに投影されたカーンデジファーの姿が大写しになった。カーンデジファーは正式に人類に宣戦布告してきたのだ。
ボロボロの体に鞭打ってもう一度戦おうとする直人。一平はかつて作ったサンダーグリッドマンのような防毒マスク付きのアーマーをダイナドラゴンで作ろうと思いついた。一平はさっそくダイナドラゴンの検証を開始するが、直人はアーマーは完成次第送ってくれという。これ以上カーンデジファーの好きにさせるわけにはいかない。グリッドマンも覚悟はできているという。
ゆかと一平の応援を受け直人は再びグリッドマンと合体。コンピューターワールドで暴れるベノラへ戦いを挑んだ。カーンデジファーはまたグリッドマンの敗北を見せつけようとデッド・プロジェクターを起動させる。
グリッドマンは今度は連続で攻撃を浴びせることでベノラに毒ガスを出させるすきを与えないようにしていた。一平はアーマーの製作に難航しているようだった。ダイナドラゴンでは複雑すぎるという一平に、ゆかはもっとシンプルに考えてみたらといった。それを聞いた一平は、ダイナドラゴンではなくキングジェットと合体させることを思いつく。
グリッドマンはベノラの肩に飛び乗って毒ガス攻撃の死角となる後頭部を攻めるが、振り落とされてしまう。
それでもマウントをとってパンチの連打を浴びせるが、至近距離から火炎弾を吐かれて劣勢に陥る。
カーンデジファーの命令で再び毒ガスが噴射された。再生シノビラー、メカバギラ、メカギラルス、メカジェネレドンが現れる。
ベノラがとどめの火炎弾を撃ち込んでいく。
デッド・プロジェクター越しにアナウンサーがグリッドマンを応援する。翔家とカナも応援するが、グリッドマンはいまだ劣勢。
地下室にはすでにジャンクの警報音が鳴り響いている。アーマーのデザインは、すでに8割ほど組み上がっていた。
しかし、当のグリッドマンは毒ガスと火炎弾を交互に浴び続け、初戦時と同じように力なく倒れ伏してしまった。
だがついにアーマーに色が付けられ完成した。
グリッドマンを守る新たな鎧、その名はキンググリッドマン。さっそくダイナドラゴンが送り込まれる。渾身の力を込めて立ち上がるグリッドマン。
ダイナドラゴンの手足が分解し、グリッドマンの肩、腕、足に装着。そのままジャンプしたグリッドマンの上半身にアーマーが装着され……
「合体竜帝!キンググリッドマン!!」
ついにニューヒーロー、キンググリッドマンが誕生した。唖然とする武史。カーンデジファーはベノラに毒ガスを噴射させるも、ガス兵器対策が施されているキンググリッドマンには全く通用しない。
ベノラの毒ガスを噴射する突起にパンチを叩き込んで破壊、連続パンチを顔面にぶち込んでいく!
火炎弾で反撃するベノラだったがやはり通用しない。必殺のキンググリッドランチャーで毒ガス発射口は完全に破壊された。
「キンググリッド……ビーーーーーム!」
そしてトドメのキンググリッドビームが炸裂。直撃を受けたベノラはついに消滅した。
ついにグリッドマンが勝った。喜ぶ一平とゆか。悔しがる武史とカーンデジファー。
キンググリッドマンはフィクサービームでシステムを修復。コンピューターワールド内と汚染された現実世界は修復された。
直人たちは再び展望台から町を見下ろしていた。
一平「いやー、今度こそはグリッドマンも終わりかと思ったぜ!」
ゆか「本当、危なかったわ」
直人「実は俺ももうダメかと思ったんだ」
一平「だろうなぁ」
直人「でも、あの時声が聞こえたんだ」
一平「なんて?」
直人「『私がついてるから頑張って』って」
一平「……誰の声だよ」
直人「へへん」
一平「……ゆか?お前、あの時……!」
ゆか「きっと空耳よ」
一平「ちっきしょ~、なんでゆかは直人ばっかり……」
ゆか「だから、空耳だって言ってるでしょ」
一平「俺がスープ作ってる間になんかあったんじゃないかぁ?」
ゆか「なんにもないわよ! 私は介抱してただけ。何かあったとしたら、それはグリッドマンと…… ね、直人!」
ゆかが展望台の階段を下りていく。
直人「あ、ああ」
一平「な~んか怪しいな…… おい、正直に話せよ」
直人「なんにもないって! 俺、覚えてないもん」
一平「ほんとか!」
直人「ほんとだってば! あっ、それよか行こうぜ!」
直人と一平もゆかを追って地上に下りていく。
ナレーター「こうして、グリッドマン最大の危機は去った。しかし、本当の戦いは、まだ始まったばかりかもしれない。この青い空と、人類の平和を守るために、戦え直人!戦え、グリッドマン!」