眷属タクミ
けんぞくたくみ
「僕が・・・・・・・・・殺る・・・・・・!」
「殺す・・・お前だけは僕が殺す・・・」
『ファイアーエムブレム』シリーズにおいて「主人公の弟」がラスボスとなるのは、『聖戦の系譜』のユリウス以来19年ぶりとなる。
ちなみに白夜篇のほうがラスボスの見幕を暗夜篇より一足早く拝める…というより「風神弓」を持ってカムイ軍に襲いかかってくる。ラスボスでありながら暗夜王国では計5回も戦闘する機会がある。白夜を含めると計6回と、全王族の中で一番対峙する回数が多い。
白夜篇・暗夜篇では暗夜軍の攻撃で無限峡谷の底へと突き落とされ今回の黒幕・透魔竜ハイドラの毒牙に堕ちていた。毒牙に落ちてしまったのはきょうだいに対する劣等感と自己顕示欲ゆえだと思われる。
同じくハイドラの影響下にあるガロンとは自覚のないまま繋がっており、ガロンたちが蝙蝠と呼んでいる白夜側に紛れ込んだ内通者の正体である。
白夜篇ではサクラやヒノカに襲い掛かるもアクアの尽力によって洗脳を打破し、暗夜軍であるはずのゾーラに救われてからやマクベスに利用されていた(後述)事に怒りを覚えて自らもその劣等感を克服する事となる。
ハイドラの影響下に置かれている間も、少なくともタクミ本来の意思は消えておらず所謂二重人格のような状態に置かれていたものだと思われる。マクベスとの戦闘によると記憶をかき消した上で白夜王族で同士打ちを仕掛けるようにと仕打ちを受けていたのかが判明する。
一方、アクアの歌の恩恵を受けず、主人公が白夜王国の敵になった暗夜王国篇では、主人公への憎しみもあって徐々にその心は「透魔」の力に蝕まれていった(その証拠に10章の戦いでのBGMは他の白夜兄弟と同じ「汝、光の同胞よ」だが、13章と23章は透魔系敵将のBGMである「傀儡の宴」になっている)。
そしてガンズを始めとする暗夜軍の王城侵攻とヒナタ、オボロ、オロチ、ユウギリ、クリムゾンをはじめとする多くの白夜兵・シュヴァリエ兵、市民が戦死してしまった事により、主人公及び暗夜王国への憎しみが限界を超えてしまい、主人公との決着をつけたあと「もう逃げ場はないのだから諦めて投降しろ」という最終通告(そもそも主人公はこの時点で白夜王国も暗夜王国も救う策を思いついている為それへの協力も求めようとしていた)を跳ね除け、「透魔」の兆候を見せながら「逃げ場ならあるさ」と呟き城から身を投げ出してしまう。
その後主人公やガンズの部隊が彼を捜索したのだが、彼おろか所有物ですら見つからず、そのまま暗夜軍は王城侵攻することとなる。その先はヒノカとリョウマが防衛していたのだが、共に敗れてしまい、リョウマは自害、サイゾウ、カゲロウをはじめ、多くの白夜兵や市民も戦死してしまい、白夜王国は暗夜王国に蹂躙されるという最悪の結末になってしまう。
そして再びタクミが現れたのは主人公たちが策を成功させ、ガロン及び直属軍を倒したあとである。その間に彼は飛び降りた影響で「タクミ」としては完全に死亡してしまい、ハイドラの完全な支配状態となった生ける屍である「眷属タクミ」となってしまう。
主人公たちの前に現れた時には、「白夜王国は自分が守る」という強すぎる思いと「自分の国を壊滅的な被害を出した」カムイおよび暗夜王国の全ての人への強い憎しみをもったまま暗夜王国の全てを根絶やしにする存在となってしまった(後述のタクミ自身もあれは自分ではないと否定しており、ミコトも眷属タクミを「あの者」と呼んでいる)。
主人公は「白夜王国をめちゃくちゃにしてしまった」と「タクミに兄(姉)として何一つしてやれなかった」ことの罪悪感からタクミの憎しみ全てを受け止めようと攻撃を喰らい、瀕死に陥った時に夢の世界でミコトやリョウマ、そして本物のタクミと再会を果たす。
タクミはバケモノになってしまった自分を止めて欲しいと主人公に託し、「叶うことなら兄弟として過ごしたかった」と言う生前は伝えられなかった本音を告げることができた。そして「夜刀神・暗夜」を破壊された主人公に自身の弓・「風神弓」を託し、兄や母と共に最後の戦いに向かう主人公を見送った。
死闘の末、ようやく眷属タクミを倒すと、最後に主人公へのお礼の言葉を述べ、そのままタクミの肉体は泡と化して消えて行った。暗夜編ではリョウマ達とは違い、いろんな意味で1番悲惨な目に遭っていると言える。
眷属タクミの兵種は暗夜13章と23章と同じ「弓聖」。
この時の軍は白夜王国軍ではなく謎の軍で、白夜兵種と暗夜兵種の混同軍になっている。
終章では一定のターン経過ごとにHPが半減する衝撃破で全体攻撃をしかけてくる。
(ノーマル・ハードでは3ターンに1回、ルナティックでは2ターンに1回)
これを防ぐには竜脈を発動させ防御壁を張らねばならない。しかし竜脈の数には限りがあるためもたもたしていると防御壁を張れなくなってしまい無限に沸いてくる敵(特に増援で登場するノスフェラトゥは防御壁を破壊してくる。)に囲まれるという事態に陥る。
武器は風神弓ではなく、風神弓とよく似た異界の魔弓「スカディ」を所持している。スカディは北欧神話の女神の名(ただしドイツ語読み)であり、古代北欧の言葉で傷つくるもの、損害、危害、死を意味するという。
劇中でも上記の通り「夜刀神・暗夜」を破壊した上で、主人公を一度瀕死に陥らせている(ただし、「夜刀神・暗夜」が復活した後は本物のタクミと心が通じ合ったのか破壊されなくなる)。
「スカディ」は攻撃力が高く、命中95、射程は1-4と広範囲かつ必殺回避+20,魔防+2のチートクラスの魔弓で後述の「竜呪」のことも考えると、なるべくターンをかけずに撃破すべし。後述の「竜鱗」や「スカディ」の相性も踏まえて「夜刀神」を持つ主人公(カムイ)や弓殺しを持ったユニットを主体に戦いたい(一応眷属タクミを一発で倒せる方法はあるのだがそこまでやるには相当の苦労を要する)。
また、この「スカディ」の最大の特徴は常に写し身を影として後衛に生み出す効果をもっていて、通常の防陣と違いスキル「攻防一体の陣」によって写し身も追加攻撃してくる。それだけでなく防陣による能力向上及び自身の個人スキルの発動もしており、スカディの欠点である必殺-10を相殺している。 また、白夜篇のガロン同様敵専用スキル「竜鱗」を持っており、他にも戦闘後に全能力を下げる「竜呪」も持っている。ハードでは「復讐」、ルナティックでは更に「生命吸収」のスキルも持っている。
このように歴代でも屈指の難易度を誇る「暗夜王国」を象徴するやっかいな性能であり、黒幕であるハイドラよりも強いともっぱらである。
とは言え、HP以外のパラメータはルナティックでも並程度で、ウィークネスや竜呪によるデバフも通るため、武器性能やスキルの強烈さに反して撃破自体はさほど難しくない。
どちらかと言えば、撃破の方法よりも如何にして眷属タクミに接近するかが終章攻略の鍵になっている。道中があまりに厳しすぎて、あるいは白夜・透魔のラスボスが眷属タクミを下回るほど弱いため、強い印象が付いているのかもしれない。
もし眷属タクミが鬼のように強かったら、終章が地獄のような難易度になっていただろう・・・
ちなみにゲーム画面ではタクミと写し身が並んで立っていることから、ネット上ではこの暗夜終章のタクミは「多クミ」というあだ名で呼ばれている。
FEHでは、ラスボスなので当然実装されない……と思われていたが。
水の眷属 タクミ
「ここはどこだ…?
僕は… ああ、そうだ…僕は…
あいつを倒す… そのために…」
属性 | 無 |
---|---|
兵種 | 弓/歩行 |
武器 | スカディ(専用) |
奥義 | 復讐 |
A | 獅子奮迅3 |
C | 速さの紫煙3 |
多くのプレイヤーの予想を裏切り、2018年8月の大英雄戦で実装。
通常版とステータスを比べるとHPと攻撃は落ちているが魔防と速さは上がった。
専用武器「スカディ」は3ターン目のみ、自身を中心とした縦3列の敵の強化を反転し、さらに10ダメージを与える効果を持っている。ステータス反転には恐慌の奇策と異なりHP条件もなく、範囲も広い。何より、このゲームにおいて、実装当初は戦闘を介さずに敵にダメージを与える唯一の方法であった。現在も、他にはガロンの「暗夜竜のブレス」やガーネフの「マフー」等のレア効果である。
ターン制限がなく敵が攻撃範囲に入るまで待ち構えているタイプのマップの場合、問答無用で先制攻撃を叩き込む事も可能。速さの紫煙で戦闘後には敵の周囲2マスの敵の速さを-にするデバフも所持している。
その一方、縦列のみであるため敵との位置関係が横並びとなるマップでは中々使いにくい。3ターン目の1回しか発動してくれない、と言った欠点も非常に大きく、無視出来ない。さらに通常のタクミとは違い、近距離反撃を所持していない。HPが低く、復讐とは噛み合わないためスキル継承は必須である。
総じて、癖が強いもののオンリーワンと言える効果であるため、マップを選べば活躍してくれるだろう。
2021年6月のアップデートで錬成武器対象に。2ターン目から効果が発動するようになり、パニックを付与する効果となったが固定ダメージは7に減った。特殊錬成効果は自分のHPが25%以上あれば戦闘中、攻撃速さ+5。さらに攻撃していれば戦闘後に戦闘した敵と周囲二マスの敵に固定ダメージ7与える。これでデバフ発動のターン数が増え、固定ダメージに特化した新たな個性を得た。
なお、直近の新英雄召喚イベント「闇に堕ちた英雄」に関連するイベントとなり、そちらの召喚でも覚醒のラスボス・邪竜の化身 ルフレが(微妙に異なる形でだが)参戦している。
この大英雄戦マップは、暗夜王国篇の終章「光去りゆく黄昏」を、2体のタクミ、飛んでくるマップ兵器、厄介な杖、増援などがしっかり再現されており、「月長石 ヴァルター」と並んで歴代最高難度と言われている。
ちなみに、この大英雄戦で使用されたマップは、これ以前にも戦禍の連戦mini『新たな年を拓く者』の最終マップとして使われている。眷属タクミは実装されてなかったので、こちらのボスは通常のタクミであった。
なお、透魔篇ではハイドラの影響を一切受けておらず、参戦時もイズモ公国で公王イザナとヒナタとオボロと多くの人々と一緒に普通に捕まっていると言う何ともヒロインじみた登場の仕方をしていたりする。というか闇に満ちる前のタクミの姿を見ることができる。
ただし、もう少し救出が遅れていたら暗夜軍によって無限峡谷に突き落とされて白夜篇・暗夜篇と似たような状態に陥った可能性は高い。
白夜篇または透魔篇でタクミと結婚したときにifパルレを繰り返すと、「もしもどこかの世界で僕が君に手をかけるようなことがあれば、その時は、殺してでも僕を止めてね」とこの暗夜篇のことを示唆する台詞がある。ちなみにエリーゼやフローラにも同じような台詞がある。
タクミが好きな人、もしくは先に白夜王国をクリアした後に暗夜王国をプレイした人からしたらショックな事でもありトラウマになる人もいる。
また、ファイアーエムブレム0第6弾・閃駆ノ騎影ではハイドラの毒牙に満ちていたタクミが登場している。スキル「スカディ」は味方を一人犠牲にする代わりに自身と他のユニットが距離を問わず攻撃できるという、原作の再現に忠実した能力となっている。
第15弾・輝く世界では「魔弓を携えし眷属 タクミ」のスキルに「攻防一体の影」は味方に『タクミ』がいても出撃させることが出来、あなたの『タクミ』は同時に2体まで戦場にいることが出来るという、原作の「攻防一体の陣」の再現に忠実した能力となっている。
FE無双では登場しない……が、タクミの覚醒奥義で何事もないようにタクミが分身する。
プレイヤーの腹筋を崩壊させたのは言うまでもない。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALのスピリッツでもタクミが登場しているがスピリッツボードでの対決では彼に憑依された天使が原作再現なのか2体同時に登場する。恐るべし任天堂・・・。