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自律神経失調症

じりつしんけいしっちょうしょう

ストレスなどにより、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こる体の不調の総称。
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概要編集

人間は通常副交感神経睡眠時の休息状態、交感神経起床時の活動状態を促すように自律神経を切り替える事で疲労回復する。

しかし、不規則な生活で慢性的な寝不足に陥っていたり、心身に過度のストレスがかかったりすることで、副交感神経が機能不全を起こし、常に交感神経が機能し続けてしまう事がある。これによりさまざまな体の不調を起こしてしまうこと、またその症状を総称して自律神経失調症という。

いわゆるヒステリーに分類されることもある。


精神医学的には「自律神経失調症」という病気があるわけではなく、さまざまな要因により交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまい、身体的な症状が現れている状態のことを指す。このため、うつ病、不安症など精神的な病気の症状の一つとして現れる場合も含まれる。甲状腺の機能障害や更年期障害などでホルモンのバランスが乱れることなども要因となる。

「自律神経失調症」と診断される場合、基本的には「身体症状の訴えがあるものの、その症状が他の病気に由来するものでない」、つまり器質的な病変(特定の場所に特定の病変が見られること)や、精神疾患などがなく、自律神経の状態に原因があるとみられるものを指す。たとえば「腹痛と吐き気がある」という時、実際に胃炎が起こっていることが検査によって分かった場合などは自律神経失調症とは区別される。


ストレスなど心理・社会的要因で身体に症状が現れる心身症(身体表現性障害)とは別物であるが、原因や症状が類似する場合が大半であるため、同じように扱われることが多い。心身症との違いとして、自律神経失調症は「不摂生、慢性的な寝不足のような生活習慣、ホルモンバランスなど、精神的な要因以外も発症に関係する」・「身体のさまざまなところに症状が現れる」・「器質的な病変がない」という点が挙げられる。


このほか、医療の現場では、患者自身が主体的に体調の不良を感じ訴えているが、実際は検査しても症状がはっきりせず、原因となる病がわからない状態のことを「不定愁訴」という。


主な症状編集


このように多種多様な症状を呈するため、他の疾患との見分けが困難なことがある。


原因と治療編集

ストレスがトリガーとなることが多いため、働きづめの社会人や多感な時期の若い世代(学生)がかかる病気と思われがちだが、逆に時間を持て余した無職引きこもりも漠然とした不安感や昼夜逆転生活による不摂生で発症し得る。さらに、症状が原因で仕事や学校生活がなかなか続けられなかったり、社会復帰の見通しがつけにくくなったりという問題もある。

近年では、デジタル社会の発達でスマートフォンの普及やパソコンを用いたデスクワークなど、本来休むはずの夜間にも眩しい光や音、作業で交感神経を刺激されて脳が覚醒状態に入ってしまい、睡眠障害をはじめとする不調に悩まされるという人も少なくない。


先述の通り「自律神経失調症」自体は特定の病気を指すものではない。診断にあたっては、原因となる(身体的な)疾患がないかよく調べることが必要となる。また、発症した本人が心身の不調について「一時的に自律神経のバランスが乱れているだけだから」と軽視することで、その原因となっている他の疾患を見逃してしまう可能性もある。このため、検査を受けた上で、「自律神経のバランスが乱れていることで症状が起こっている」と特定し、治療に移っていくこととなる。

治療にあたっては、まずストレスの原因となっている環境を良くすること、仮に何かの疾患が原因であれば、そちらの治療が行われる。特に眠りにトラブルを抱えている人は過度な飲酒カフェインの過剰摂取が体調を崩す原因となっていることもあるため、適切な量になるよう指導が行われる。

対症療法として、それぞれの身体症状を抑える薬のほか、自律神経調整薬や、不眠がある場合は睡眠導入剤、精神的な不安が強い場合は抗不安剤などが処方されることがある。


自律神経失調症の改善には、まず心身ともにストレスを減らし、リラックスできる状況を作ることが必要である。もし不安なことがある場合は一人で抱え込まず誰かに相談し、趣味に打ち込む、友達と会話するなどして、ストレスを解消していくこと。夜更かしや偏食など不摂生も原因となりうるため、きちんと体を休められる環境を作り、バランスの良い食事を摂る、適度に体を動かすことも大切である。



自律神経失調症を公表している人物編集

  • 長嶋一茂読売ジャイアンツ時代に自律神経失調症を発症し、その後パニック障害と診断された。選手引退後は回復したものの、未だ完治には至っていないという。他にも高木美保IKKOらが、同様に自律神経失調症とパニック障害に悩まされたことを告白している。
  • 氷室京介:1993~94年に自律神経失調症を発症する。日本でのレコーディング活動に限界を感じていた事が発症した原因らしく、後にロサンゼルスに住居とスタジオ拠点を移すきっかけとなった。
  • 石田明NONSTYLE):多忙な活動から自律神経失調症を発症。その後希死念慮など精神的な不調から病院を受診したところうつ病と診断されたという。
  • 川崎宗則:メジャー移籍後、慣れない生活のストレスもあって体調を崩す。帰国後も心身の不調は続き、2018年に「怪我に加え、自律神経系の病気になってしまった」と告白。ほかに円形脱毛症もあったことが取材で判明している。
  • ケンドーコバヤシ:多忙な活動から睡眠不足が続き、ついには無意識のうちに失禁していたことで慌てて受診したところ自律神経失調症と診断された。
  • 薬師丸ひろ子:デビュー作となった『野性の証明』の撮影中、「病気になって(スケジュールに穴を開けて)はいけない」という緊張や疲労から、撮影終了後に自律神経失調症となった。
  • 立原啓裕:主に関西で活動する俳優。多忙な活動から自律神経失調症・不安神経症・パニック障害を発症し、一時活動を休止する。その後復帰と共に「メディカルタレント」宣言をし、独自の健康法や自律神経の安定法についての講演を行うなどしている。

余談編集

GABA(γ-アミノ酪酸)は元々体内にある神経物質の一つで、脳や神経をリラックスさせる効果がある。GABAを摂取する、またGABAの代謝を促進する成分を摂取することで自律神経失調症の改善にある程度効果があると考えられる。

GABAが比較的多く含まれ、手軽に取り入れやすい食べ物だとトマトがある。ほかにも、「GABA配合」を売りにしたお菓子やドリンク、サプリメントなども幅広く販売されている。

他にも、体の中からGABAを増やすため、タンパク質からアミノ酸への代謝を促進するビタミンB6を摂取するのも重要である。サプリメントなどのほか、(特に秋刀魚などの青魚)、にんにく、ヒレ肉やささみなど脂身の少ない肉に多く含まれている。

GABAは過剰摂取しても問題はないが、欠乏すると興奮系の神経伝達物質が過剰に分泌することを抑えきれず、衝動的になるリスクが高くなる。


鶏肉に多く含まれるイミダゾールペプチドは、抗酸化作用により疲労回復効果があるため、タンパク質が豊富であることと併せて取り入れたい食材の一つと言える。


また、ドーパミンノルアドレナリンを制御して気分を安定させるセロトニンの量を調整する作用があるビタミンDも効果がある。とくにきのこ類などに多いとされる。

セロトニンの元となり、また睡眠を促すメラトニンの元ともなるトリプトファンは体内で生成できないため、食事から取り入れることが必要となる。大豆製品や牛乳チーズなどの乳製品、穀物、バナナなどに多く含まれている。


関連タグ編集

病気 精神疾患

自律神経 神経 ノイローゼ神経症

覚醒 不眠 目まい 吐き気

昼夜逆転 不摂生

起立性調節障害

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