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もしかして→鯨神


概要編集

宇能鴻一郎による文学作品。1961年芥川賞受賞。

一見するとメルヴィルの『白鯨』を思わせるが、双方が作品を通して描き出すものは驚くほど異なっている。


翌年には大映映画化。大映にとっては初の怪獣映画で、本郷功次郎勝新太郎が主演を務め、伊福部昭が音楽に携わっている。


1971年にはさいとう・たかをによって漫画化された。


「鯨神」とは、長崎の和田浦沖沿岸を毎年回遊していた一頭のセミクジラで、体長30mという規格外の個体であった。地元の人々から「悪魔の鯨」と呼ばれる程恐れられていたが、人間が自分たちから襲っていって返り討ちにされているだけなのに悪魔と呼ばれてしまっている....。

  • これは、現実にも例えばコククジラ「悪魔の魚」と呼ばれたことと似ている。

あらすじ編集

明治時代初期の九州沿岸。そこにある村では何十人もの漁師を死に追いやった悪魔の鯨「鯨神」と恐れられる巨大な鯨が現れ、村人が鯨神と恐れていた。

鯨神に家族を殺された若き漁師・シャキは復讐心から名主の提案に一番の名乗りを上げるが、流れ者の鯨漁師・紀州が現れる。


鯨神を打つことに執念を燃やすシャキと、対抗心を燃やす紀州、どちらが鯨神を倒すかの戦いが始まった。


余談編集

撮影編集

撮影時には等身大の鯨神のモデルを作っており、「セミクジラのモデルを作った」という意味では『クジラの島の少女』にも似ている(どちらもリアルではない部分があるが)。

怪獣名編集

OMEGA遊撃隊の書籍『強いぞ!ガメラ』には、『ガメラ対双頭怪獣W』の「大映怪獣総登場」という煽り文句から推測される東宝の『怪獣総進撃』に似たシナリオが掲載されている。この書籍には湯浅憲明高橋二三などの関係者が直接関わっているため、この様な構想が公式関係者の間にもあることは事実だと思われる。


バイラスジグラテラ同盟を組んで地球に攻め込んで来る危機に対し、パイラ人によって復活した地球怪獣達がガメラと力を合わせて戦うものだが、この時地球側の怪獣として登場する巨大な鯨は「鯨神ゴッドゲイン」という名で呼ばれており、とてつもなく力が強く、ジグラの細胞活動停止光線も無効化させる。大西洋を南北にかけて戦ったが、ジグラとニューヨーク沖で相打ちになるとされている。ネット上では個体としての鯨神を表現するのにこの名が用いられることもある。


また、『平成ガメラパーフェクション』に掲載された『ガメラ3』の最終稿の一つでは、ガメラセミクジラの親子と一緒にいるというシーンが検討されていた。


また、金子修介の監督初作品も宇能鴻一郎作品であったため、この偶然性について言及する書籍も存在する。


その他編集

伊福部昭は、栃木県日光市の久次良町(くじらまち)という場所に住んでいた事がある。伊福部のファンが現在でも訪れる事がある。


GAMERA-Rebirth-コードテルソス』に登場した「ソオラ」もヒゲクジラの面影を持つ怪獣であり、他の怪獣も歴代の大映のキャラクターへのオマージュが見られることから、ソオラも鯨神へのオマージュだと思われる。

関連タグ編集

大映特撮


大海獣:作中で「鯨神」と呼ばれるだけでなく、大映の鯨神がインスパイアしたと思われる部分がある。また、水木しげるは「怪談かえり船」にも鯨神を登場させている。伊福部昭は『ゲゲゲの鬼太郎』とも無関係ではない『大魔神』シリーズの音楽も担当しており、伊福部の教え子の一人は4期鬼太郎の音楽を担当した和田薫である。


もののけ草紙:「鯨神」というエピソードがある。


T・Pぼん:作中に登場したセミクジラが「悪魔」と呼称されていることから、本作を意識した部分もあると思われる。





※以下映画のラストのネタバレ注意



















鯨神の正体

 本編のクライマックスで鯨神はシャキによって討ち取られるが、その後のラストでシャキは鯨神の亡骸を見て自分が鯨神になることを暗示する終わり方をしている。このシーンから推測すると鯨神とは「海に散った者や海に業を積んだ者の魂が鯨に姿を変えたもの」ではないかと考察される。

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