「俺、少しでも先輩に近づきたいんです」
演:山本一輝
概要
山手音楽大学に通う大学一年生。ギター専攻。
学校にはバイクで通っている。
母親は西洋洗濯舗菊池の常連で、昔は店へ共に来たことがあるため、菊池啓太郎と面識がある。
ギタリストを目指して音大に入ったが、両親には夢を理解されず学校を辞めて家の仕事を手伝えと口五月蝿く言われ続けていたことから、反発して家を出て以降は大学の友達の家に泊まり歩いており、連絡も取っていない。
とは言え、両親のことは嫌っておらず、寧ろ心配をかけていることに申し訳無さを感じているが、意見の相違がある内はそれは出来ないと思ってもおり、満足出来る演奏が出来たら聴いてもらって分かって貰おうと考えている。
夢については「ギターのためなら死んでもいい」とハッキリ言えるほど本気である。
実は海堂直也/スネークオルフェノクに憧れており、山手音楽大学を進学先に選んだのは彼が在籍していたから。
海堂曰く「俺と同じ指をしている」とのこと。
ギターの才能は山手音楽大学の教授も以前より一目おいており、海堂のレクチャーを終えたばかりの時点で「昔の海堂に勝るとも劣らない」と太鼓判を押しており、海堂と同じかそれ以上のようである。
劇中の動向
登校直後にかつての同窓生達と揉めていた海堂を目撃する。
その後、心配した和彦の母親に頼まれてやって来た啓太郎に話し掛けられる。
同伴していた乾巧は、最初は「子供じゃないんだからどう生きようが自由だ」と言っていたが、夢だと言って啓太郎が共感した途端、「家に帰れ!」と言い出して啓太郎と内輪揉めをしたのでお流れになった。
翌日、学校で練習している最中、それを耳にした海堂が彼を訪ねたことから、指導を受けることに。
曲の解釈が平凡だとダメ出しされた上に「もっとバカになれ」と忠告されたことから、明日も指導してくれるようお願いし、「気が向いたら」と了承される。
その後、再び自分のもとに来た啓太郎と巧に前述した自分の夢に対する考えを述べたことから、今度は本心から彼の方に寄り添った巧が「俺達の出る幕じゃない」と啓太郎を連れて去って行った。
翌日、最後のレクチャーを終え、海堂から「指を大事にしろ」「お前の指は黄金の指だ」と言われ、偶々演奏を耳にした教授からも絶賛された。
その教授から「君に足りないのは後一つだけだ。それを達成すれば、今の海堂君と同じになれるでしょう」と言われ、その言葉に隠された真意を知らずに上機嫌となった。
実はオウルオルフェノクであった教授は、かつて海堂の夢を潰した時と同じく【才能を潰して惨めに生きる罰】を与えるために、和彦のバイクに細工しようとしていた。
しかし、海堂と同伴していて教授が和彦に掛けた言葉とそれを聞いていた海堂の複雑な表情から違和感を感じた長田結花/クレインオルフェノクと、教授の罪を彼女から聞いた木場勇治/ホースオルフェノクによって和彦は意図せず守られた。
そのことを知る由もない和彦は、満足出来る音楽を奏でられるように研鑽を積んでいる。
そして海堂は、己が果たすことが出来なかった『夢』を和彦に託すことによって、永きに渡る【呪い】から解放されたのだった……。
余談
小説版555では、和彦は登場しないが、海堂は焼肉パーティで巧のギターを聴いて嘗ての自分と同じギターの才能を感じ、巧に自分の夢を託そうとしていた(にべもなく断られてしまったが)。