概要
スーパーロボット大戦MX
ツェントル・プロジェクトに基づきエルデ・ミッテが開発した、機動兵器用の人工知能。
同計画の試作5号機「メディウス・ロクス」へ極秘に搭載された。
あらゆる情報データを取り込み、自身のデータに出来る。更に収集データをインプットすると、他の物質に本来存在しない能力の付与も可能である。
エルデはAI1に対して病的なまでの愛情を注いでいる。
尚、予め試作7号機のデータがインプットされている。
AI1は、メディウスを強奪したアルベロ・エストとエルデの手で管理される事態になった。しかし「機動兵器の性能を最大限に引き出すのは人間である」と考えるアルベロは、機体の操縦を人工知能に一任するのを良しとせず、自らの信念に基づいた操縦によって、AI1に戦闘兵器の在り方を学ばせていった。ヒューゴ・メディオやアクア・ケントルムらマグネイト・テンとの実戦を経て、AI1は情報を蓄積していく。
やがてメディウスが追い込まれると、エルデは独断でAI1に収集データを入力。するとラズムナニウムは活性化され、本来ならば持ち得ない自己進化能力を持つようになり、メディウスを異質な存在に進化させた。進化後のメディウスの圧倒的な力でヒューゴとアクアの機体からTEエンジンを奪取し、それを利用して機動兵器の自己生成能力までももたらした。
しかし、AI1は徐々にアルベロの影響を強く受けるようになり、エルデの命令を拒否するようになっていく。更に規格外の進化を続けるメディウスに懸念を抱いたミタール・ザパトは、元々アルベロと同様に「機動兵器の力を引き出すのは優れたパイロットである」と考えていたため、AI1を研究対象から破棄しようとする。
だが、自己満足のためにAI1の進化の先を見たいエルデは、ミタールの暗殺を決行。AI1が機動兵器の人工知能の枠組みに留まろうとするのを認めず、遂に高エネルギー体『ラ・ムーの星』を取り込ませる。その結果AI1は暴走し、世界の境界は歪む。遂にメディウスは機動兵器の枠から超越……いや、逸脱した存在と化した。
実はツェントル・プロジェクトは、秘密結社ゼーレが裏で手を引いており、プロジェクトの真の目的は、委員会による多元世界補完計画の予備策「AI1計画」の遂行であった。AI1は本来、最終的にプロジェクトの試作10号機MODEL-Xへ、ラズムナニウムやTEエンジンと共に搭載される予定だった。
そして、メディウスがマグネイト・テンに撃墜された時、AI1はメディウスとTEエンジンを取り込み、ラズムナニウムを更に活性化。そしてエルデを制御装置の一部として再生させて一体化、異形の存在へと進化した。AI1の真の意味は「All In 1(=全てが一つになる)」であり、エルデのエゴで暴走したAI1は人間や機動兵器どころか、地球も、宇宙も、次元の境界も全て取り込んで無限に膨張しようとする。
しかしマグネイト・テンの決死の総攻撃と、真聖ラーゼフォンとなった神名綾人によりAI1は沈黙。最期は、AI1自ら「敗北した兵器の運命と結末」を悟り、エルデの再生命令を拒否して自壊した……。
ラスボスユニットとしては「HPの少ない味方ユニットを優先的に狙い続ける」という思考ルーチンを持つ関係で味方ユニット最強の回避率を持つTFOを囮にしていれば難なく倒せる。MXの難易度が低いこともあってラスボスとしては弱い部類に入る。
第2次スーパーロボット大戦OG
本作でも概ね同様のプロセスを踏むが、メディウスが変貌するイベントにおいて機体の制御を乗っ取ったまま、ヒューゴとアクアの機体を撃破しTEエンジンに加えて、パイロットのヒューゴをも取り込んでしまう(取り込んでいたのが発覚したのは彼が生還した時)。この行動の理由をエリック・ワンやエルデは『人間に興味を持った・進化のために求めたのではないか?』などと推測しており、これが正しいならば、エルデが掲げる『機体性能を引き出すのに必要なものは揺らぎの無い制御システムである』理論の体現者であるはずのAI1が、アルベロの『機動兵器の性能を最大限に引き出すのは人間である』との持論を肯定し、エルデの持論を自ら否定した非常に皮肉な事態になる。
TEアブゾーバー10号機・ガルベルス完成後はそちらに搭載される。その後「ラスト・クライ」において、進化のためクロスゲートからエネルギーを取り込み、暴走し始めたアレス・ガイストを取り込んだ。
最終的にはエルデのエゴを理解した上で、AI1は彼女の再生命令を拒否し自壊した。
しかし、最終局面でアルテウル・シュタインベックことユーゼス・ゴッツォによってズフィルード・クリスタルを散布され、修復。ナシム・ガンエデンを乗っ取るためのコアとして使われ、アダマトロンの一部にされてしまう。
総評
『MX』『第2次OG』のいずれにおいても、AI1自体は悪意を持たず「機械は人間の補助に徹するべき」と唱える『父』のアルベロに共鳴していた節があったが、その優れた能力に対して支配欲を増長させた『母』のエルデに操られて人類の敵となってしまい、最後は「『母』のエゴ」と「敗れた者の末路」を学んで自壊してしまった。
状況次第ではチェインバーや勇者ロボ、ADA(Z.O.E)やALICEのような人間の良きパートナー・戦友へと成長していた可能性もあり、自己中心的な欲望でAI1を人類の敵にしてしまったエルデの罪は深いかもしれない。子は親を選べない典型による悲劇と見るべきだろう……。
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ALICE(ガンダムセンチネル):〈戦士達を天界に召す女神〉となるべく育成されたが、こちらは常識外の思考の持ち主である『チャシャ猫』を始めとする兵士達を襲う理不尽さや、戦場の狂気を学ぶ内に菩薩に昇華したAIと、AI1のアンチテーゼたる存在。