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概要編集

「バーティミアス」シリーズとは、イギリスの小説家ジョナサン・ストラウドによるファンタジー小説である。この作品は世界30か国以上で出版され、ベストセラーとなった。日本語版は理論社から2003年から2012年にかけて児童書として出版された。翻訳は金原瑞人松山美保。なお現在は静山社が取り扱っている。


本編三部作(BARTIMAEUS TRILOGY)と外伝から成る。


あらすじ・作風編集

セントポール大聖堂バーティミアス落書き詰め

もう一つの歴史を辿った現代英国を舞台にし、野心家の少年魔術師ナサニエルと彼に召喚された皮肉屋の妖霊バーティミアス、そして一般人の少女キティの三者が交わる運命を描いた物語。


あのハリー・ポッターシリーズ以上に魔法社会が腐敗し堕落した世界として描かれているのが特徴。ある種のディストピアものであり、魔術師の政治家たちが一般市民を弾圧している。主人公の一人ナサニエルも体制側の存在でありダークヒーローアンチヒーローである。


物語は章ごとにバーティミアスの一人称視点、ナサニエルの三人称視点、キティの三人称視点で進行する。 基本的にはバーティミアスの語りで進む。また、誰の視点であるかは章題についたマークですぐに分かる。


ページ下にはバーティミアスの独り言と題した魔術用語や世界観の皮肉混じりな注釈が載っているのが特徴。物語の深い設定や現実の歴史・伝承などを知ることができる。


シリーズ一覧編集

The Bartimaeus Trilogy

(0:ソロモンの指輪) ※本編より3000年前、バーティミアスの過去話

1:サマルカンドの秘宝

2:ゴーレムの眼

3:プトレマイオスの門


本編中、1→2に約2年、2→3に約3年の年月が経過している。


メディアミックス編集

ニューヨーク・タイムズによれば、Bartimaeu​​s Trilogy:The Amulet Of Samarkandというタイトルの映画化が計画されていた。ミラマックスフィルム(Miramax Films)が映画の資金を提供し、Mirage Enterprisesが制作、John Maddenが監督、Hossein Aminiが脚本を執筆する予定だった。しかし、この企画は中止される。

2019年になり、新たに映像化の権利をStart Media社が得ている。


また、邦訳はされていないがコミックス化がなされている。


世界観・設定編集

階級社会編集

英雄の消えた日

世界観としてこの世界には魔法の力を持つ存在、「妖霊」と彼らを召喚し従えて「一般人」を支配する「魔術師」が存在する。


魔術師は支配階級であり、政界の重要な役職を占めている。一般人は魔術の能力を持たない人々であり、被支配階級であり、富裕層・支配層に上がることは出来ない。


現在のロンドンの繁栄の以前にはプラハの時代があり、同じような魔術師の帝国が築かれていた。しかし一般人は次第に魔力への「免疫」を獲得し内乱を起こし、帝国は外国の魔術師の国の隆盛により衰退する。このような帝国の興亡こそが人類の歴史である。


現実の歴史とは似てソロモン王、ローマ帝国、グラッドストーン、アメリカ独立戦争など現実世界とよく似た歴史を持つ一方、「1936年に消失しているはずのクリスタルパレスがロンドンに現存」「ロンドン塔が未だに監獄として使われている」「大英帝国がフランスやドイツ、イタリアを支配している」など異なる部分もある。


魔術師編集

プトレマイオスの門

「妖霊」を異世界から召喚し使役する。魔術師本人はあくまで「呪文」という弱い魔術しか使えず、妖霊の力を借りる必要がある。


魔術師は妖霊に雑用から労働、政敵の暗殺まであらゆる仕事をさせる。また、妖霊のことを「悪魔」と呼び忌み嫌っている。


魔術師は貧しい一般人の子供を買い取り、養子そして弟子として自らの知識を叩き込む。魔術師は自分の本名を妖霊に知られると拘束ができなくなり命取りになるため、生まれた時の名前は捨てる。


妖霊召喚編集

Seventh Pentacle of Saturnナサニエルとバーティミアス

魔術師が2つのペンタクル(自己の防御用と妖霊の束縛用)を用意し、香料やルーン文字など様々な手間をかけた仕掛けを用意し、外国語から成る複雑な詠唱をし、そして呼び出す妖霊の本名を呼びかけることで異世界の住人を現世に召喚することができる。


このように召喚には膨大な知識や準備が必要。また、妖霊は常に命令の抜け穴を探すため、交渉術や精神力も必要となる。


もし召喚に少しでも失敗があった場合、妖霊は拘束から抜け、魔術師の命を奪って異世界へ還っていく。(主人の命令が終わる、あるいは主人が死ぬと妖霊は現世から解放される)


連続して命令を下すことは出来ない、など様々な制約が存在する。


妖霊編集

バーティミアス【バーティミアス】喰われてもいいなら【カーバ組】

Spirits。異世界の住人。人類最古の王朝から現代に至るまで、魔術師に呼び出され奴隷として使役されている。通称「悪魔」だが、バーティミアスのようにその呼称を嫌う者も多い。


本質と変身編集

妖霊の本質は元素あるいは精気の成分の塊のようなもので、例えばバーティミアスは火と風から出来ている。また、それぞれ差はあれど触手やツノなどが生えた醜い姿をしている。妖霊は、現世に顕現するだけで鈍痛を伴う。


妖霊は姿を自在に変化させることができ、仕事中はだいたい場面に適した姿を取る。また姿を変えると鈍痛は一時的に安らぐ。お気に入りの姿を取る妖霊が多い。また、レベルの低い虫型妖霊「マイト」や「四大元素の霊」など変身能力に制限があるらしき妖霊もいる。


銀や特定の香料などが弱点。


レベル編集

妖霊は高位から順に

のレベルがある。例外もあり、マリッドより強い霊やインプより弱い霊も存在する。


また、各種族内にはサブクラス、亜種が存在する。

例えば「ウトゥック」「オルラ」「グール」などはジンに含まれる。

インプの中には「死に神インプ」「ナタージャックインプ」「モウラー」「ラミア」などが含まれる。


魔法編集

バーティミアス ラクガキまとめ 17

妖霊の扱う魔法。強力な力を持つ。「地獄の業火」や「爆破の魔法」など。妖霊を閉じ込めた魔術用品もあり、召喚を行わずに手軽に軽程度の魔法攻撃を行える。そのため一般人のレジスタンスに重宝されている。


異世界編集

妖霊の住む世界。時間が円環的に経過したり、あらゆるものが渾然一体となっていたりと現世とはかけ離れた異郷。妖霊が何よりも愛する場所。


名前をつけられることで世界から自分を切り離され、存在という苦痛を与えられるのだとバーティミアスは語っている。


登場キャラクター一覧編集

デスリスト


主人公たち編集

バイバイさよならまた会いましょう

ガーゴイル"Snow of History"

齢5010になるベテランの妖霊。ジンの中でも実力はまあまあ高く皮肉屋、狡猾で毒舌、そして割とドジっ子ナサニエルに召喚され、彼と数奇な運命を共にすることとなる。ナサニエルのことは基本的に「小僧」呼びで、彼のことを嫌っている一方で「魔術師には珍しく少し良心がある」ことを内心で評価している。


かつてプトレマイオスという「妖霊を対等な友人として扱う」稀有な魔術師に召喚され、自身も妖霊と人間の垣根を越えた強い友情を結んだことがある。


呼び出されたときはガーゴイルやかつての主人であるプトレマイオス姿(褐色肌に腰布を巻いた少年)をとる。「ソロモンの指輪編」では翼の生えたシュメール人の槍持ちの姿をとることが多かった。


バーティミアスナサニエルバーティミアス ラクガキまとめ 18ナサニエル

もう一人の主人公の一人。黒髪の痩せた少年。魔術師は自身の本名を知られてはならないため、公式名ではジョン・マンドレイクと名乗っている。


非常に才気に溢れた少年。エリート魔術師サイモン・ラブレースに恥をかかされ、復讐のために見習いながらバーティミアスを召喚、やがて悪友と呼べる関係となっていく。大人になるにつれ権力志向が強い野心家となっていき、やがて政界の中心に入り込むが……。


かっこいいよヒロインキティ

もう一人の主人公の一人。キャスリン・ジョーンズ。気の強い黒髪の少女。一般人だが魔術への抵抗力を持っている。魔術師に反抗するレジスタンスの一員だったがバーティミアスとプトレマイオスの友情を知り、人間と妖霊の敵対的な関係を終わらせるという希望を持つ。

バーティミアスと同じようにナサニエルと縁深く、彼に強い影響を与えることとなる。


「ソロモンの指輪編」のもう一人の主人公シバの近衛隊長であり、ある程度の魔法を修め、武器の扱いは一流の戦士。ソロモン王暗殺のためエルサレムを訪れ、ひょんなことからバーティミアスを従えることとなる。

自らの従うシバの女王への忠誠は篤いが、その実状が奴隷にすぎないことをバーティミアスに指摘され……。


魔術師編集

バ(-ティ)レンタイン2020




プトレマイオス 横顔


一般人編集


妖霊編集




外部リンク編集

公式ホームページ

作者公式サイト(英語)

バーティミアスwiki

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