その体鬼神のごとく
駆けること光のごとく
走ること疾風のごとし
死してなお屍を残さず
生きてなお影のごとし―
その名も―
Gの影忍
概要
「サイバーコミックス」誌上に短編読み切りの形で散発的に掲載され(毎号掲載されているのは内緒)、初の連載となる『百騎夜行』をもって完結する。
「宇宙世紀時代にMSを使って歴史の影で暗躍する忍者がいる」という設定そのものがギャグと言える(まあSDガンダムであるSD戦国伝だと忍者のガンダムはしょっちゅう出ているけど)が、ストーリーの内容自体はシリアスな回が多い。
また、忍者仕様に改造されたMSのデザインやギミックも見所の一つであり、著名な作家陣によって小学校低学年のお友達による投稿という体で提供されている。
今川泰宏監督は「機動武闘伝Gガンダム」製作時に本作から大いに影響を受け、もし次にガンダムを作ることがあれば本作を映像化したいとLD-BOXのブックレットで語っている。
長らく入手困難な状態であったが、電撃コミックスにて復刊され、電子書籍化も相成った。
更には柳瀬敬之によるガンダムのリファイン・ガレージキットの販売などもなされている。よい時代である。
現在も同人誌にて新作エピソードが描かれている。
そして機動戦士ガンダムUCにイフリート・ナハト、イフリート・シュナイドが登場し、(設定・運用のコンセプトのみではあるが)MS忍者が公式化することとなる。
月刊モビルマシーンでは怪文書化した記事において、百騎夜行が語られている。(が、眉唾物でまともに扱われていない)
MS忍者
あえて火器を装備せず、発熱を抑えた構造にすることで隠密性を高めたMS(モビルスーツ)。
と本編中では解説されているが、実際にはそんな単純な存在ではなく、パイロットの技量(忍術)によって堅牢なスペースコロニーの外壁を容易く引き剥がして盾にしたり、ガンダムをドムに変装させ、敵を盾に大気圏突入の空気摩擦をしのぎ、あるいは太陽の表面に直立する(ついでに潜る)、通常のMSでは考えも及ばない「超人的」な性能を発揮する。
武装
多くの機体は暗器などを含めた格闘戦に秀でた武装を多く装備し、射程武器は手裏剣などの非常に原始的なものに限っている。
これは実弾でもビーム兵器でも銃火器は発熱を伴い、隠密性が著しく失われるため、秘匿性を重視したMS忍者には嫌われるからである。
機動性
MS忍者はパイロットである忍の動きを再現するため、極限までその機動性が高められており、さる文献によれば、一夜のうちに四パーセクも駆け抜けたとされる。
編者が思うに、これなどは明らかに誇張された文章ではあるが、忍のもつ特異性と怪異性が
兵たちの心に畏怖と驚異を植え付け、このような伝承が生まれたことは想像に難くない。
隠密性
MS忍者のもっとも大きな特性はやはりその隠密性である。
その性能は桁外れであり、移動中などにスラスターの熱を感知されることはあっても、隠れることに専念し息を潜めた忍は最早察知することは不可能である。
このような場合、同じ忍は心眼センサーによって殺気を感知することで索敵を可能にするがこれは忍びにのみ可能な技であり、常人が行うのは不可能である。
またミノフスキー粒子がレーダーの機能を阻害するジャマーとして機能するのは宇宙世紀において一般的な知識であるが、忍者はこれを用いる際、トリカブト・マツの実などを混ぜ、粉末状にすることを好んだ。
RX78-3「Gの影忍」
一年戦争中にデギン・ソド・ザビ配下の忍者・ヒョウガらによって強奪され、その後一度はヒョウガの手に渡ったものの、仲間割れによる戦闘の爆発光を敵と誤認したザンジバル級の砲撃によってコクピットを大破したG3ガンダムを改造したMS忍者。
パイロットは物語の主人公である牙一族の「リョウガ」(忍故に本名かは不詳である)。
肩と腰周りを中心に徹底的に装甲を削ぎ落とし機動性を高めた機体は、老朽化により核融合炉の限界を迎えつつあった「シャアの動乱」期においても一線級の性能を発揮する。
主にビームサーベルでの格闘戦を得意とし、他のMS忍者が多用する手裏剣も本編中ではほとんど用いていない。
『百騎夜行』では元より理論上は切断不可能なものは存在しないビームサーベルにあって、「この世に斬れぬものなし」とする「金剛宝虚空剣」を装備する。
胸部には展開式の「心眼センサー」が内蔵されている。
『百騎夜行』
「シャアの反乱」と同時期に行われた、全MS忍者を動員した一大作戦。立案・依頼者はシャア。
その目標は、外宇宙からやってきた謎の敵=地球外生命体である。
「機動戦士ガンダム00」の劇場版「A_wakening_of_the_Trailblazer」におけるELSについて解説される際、
『ガンダムシリーズ初の地球外生命体(コミック等除く)』と断りを入れるのはだいたい「Gの影忍」のせいである。
また人類に興味を持ち木星から飛来するなど「2001年宇宙の旅シリーズ」に影響を受けていると思われる設定なども共通していたりする。
MSと同化したり擬態したりする点も同じなのでもしかすると設定自体にも影響を与えているかもしれない。
余談
一度も参戦したことはないものの、『スーパーロボット大戦V』にて、ショーグン・ミフネ(『マイトガイン』の悪役)配下の忍者がガンダム系列機から被弾した際の台詞に
「心眼センサーを装備しているのか!?」
なんて代物がある。
- ガンダムビルドファイターズトライでのドムの中からガンダム
- 鉄血のオルフェンズでの大気圏突入の際に敵機を盾として突入
等の後発作品で似た出来事があると話題になっている。
関連タグ
ガンダムシュピーゲル・・・本物の忍者ガンダム
ガンダムAGE-1・・・バリエーションのひとつ「スパロー」が速度重視の近接格闘戦特化仕様であり、体型や武器のナイフを逆手持ちする等、モチーフとしている可能性がある。
シャドー忍伝:SDガンダムでの忍者ガンダム。
アクメツ ・・・こちらも機動戦士ガンダム00制作に多大な影響を与えた作品