概要
日産自動車が開発したシリーズ式ハイブリッド動力システム。
「新しい電気自動車のカタチ」と銘打って発売された通り、100%駆動を電動モーターで行う。ただしその電気エネルギー源は、ガソリンを燃やして回すガソリンエンジンによる発電に由来するため、2つの動力を備える車=ハイブリッドカー(シリーズ式ハイブリッド)に分類される。
普通のガソリン車と同じ運用で電気自動車を手軽に体験できる点や、市街地走行ではモーターのトルクを活かして快適かつ効率良く運転できる点がメリットとなる。
2016年の2代目ノートのマイナーチェンジの際に初搭載される。モーターは電気自動車のリーフの開発で誕生したものを使用。
搭載車には「e-POWER」のエンブレムがフロントドア下とバックドア右下に装備するが、モーターが車輪軸と直結しているため変速機は搭載されない。
量産型コンパクトカーへのシリーズ式システムはこれが世界初とされている。トヨタ・ホンダがエンジンを発電にも駆動にも参加させるために複雑な機構を四苦八苦しつつ開発していたのに対し、エンジンを完全に発電用だけに任せるという割り切ったこの発想はまさにコロンブスの卵であった。この機構の優秀性は後にダイハツもe-SMART_HYBRIDとして真似することになる。
またアクセルを緩めると強力な回生ブレーキがかかって減速する「ワンペダルモーション」も市街地走行の多い日本では好評で、トヨタが2代目アクアでこれに追随している。
e-POWERは瞬く間に人気となり、2代目ノートはモデル末期ながらマイナーチェンジ月に月間販売台数1位、2018年には年間販売台数1位にまで上り詰めた。
2020年11月に登場した3代目ノートはe-POWER専売車種となり、カーボンニュートラルを目指す日産の電動化戦略のイメージリーダーとなった。
モーターやインバーターなどは刷新され、次世代型が搭載されている。さらに3代目ノート以降の4WDではリアに軽自動車並みのモーターを搭載している。つまり、リアにサクラが載っているイメージ・・・というよりかはサクラに流用することを初めから想定してリアモーターに採用した可能性が濃厚である。
2022年3月に発表された3代目キャシュカイ(日本未導入)及び、2022年7月発表された4代目エクストレイルに搭載されるe-POWERは1.5リッターVCターボエンジン(可変圧縮エンジン)と駆動モーターを組み合わせたシステムになっている。
3代目ノートとその高級版であるノートオーラはガソリンエンジンのみのモデル(コンベンショナルモデル)を廃止し、e-POWER専用モデル化した。この結果日本カー・オブ・ザ・イヤーとRJCカー・オブ・ザ・イヤーを同時受賞という快挙を達成した。また同時に刷新され、エネルギー効率と快適性を大きく改善した第二世代e-POWERも、RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。