概要
日産自動車が開発したシリーズ式ハイブリッド動力システム。
「新しい電気自動車のカタチ」と銘打って発売された通り、100%駆動を電動モーターで行う。ただしその電気エネルギー源は、ガソリンを燃やして回すガソリンエンジンによる発電に由来するため、2つの動力を備える車=ハイブリッドカー(シリーズ式ハイブリッド)に分類される。
エコという観点からはエンジンを完全に発電用にすることで最も燃焼効率の良いエンジン回転数を使い続けられることや、回生ブレーキを備えることで運動エネルギーを回収できる点が強みとなる。
ユーザー視点からは普通のガソリン車と同じ運用方法で電気自動車の運転感覚を手軽に体験できる点や、市街地走行ではモーターの豊かなトルクを活かして快適にキビキビと走れる点がメリットとなる。
トルクは初搭載となったE12型(3代目)ノートで250Nmで、これは2.5Lの自然吸気エンジンに匹敵する。マツダ・デミオの1.5Lディーゼルエンジンでも同等のトルクがあるが、デミオは1,500回転以上からなのに対し、ノートはモーターゆえに0回転からこれを発生することができる。
ただしモーターは高速走行ではエネルギー効率が悪くなるのが弱点で、そのため速度域の高い欧米では不利とされる。
搭載車には「e-POWER」のエンブレムがフロントドア下とバックドア右下に装備するが、モーターが車輪軸と直結しているため変速機は搭載されない。
量産型コンパクトカーへのシリーズ式システムはこのe-POWERが世界初とされている。
トヨタ・ホンダがエンジンを発電にも駆動にも参加させるために複雑な機構を四苦八苦しつつ開発していたのに対し、エンジンを完全に発電用だけに任せるという割り切ったこの発想はまさにコロンブスの卵であった。この機構の優秀性は後にダイハツもe-SMART HYBRIDとして真似することになる。
またアクセルを緩めると強力な回生ブレーキがかかって減速する「ワンペダルモーション」も市街地走行の多い日本では好評で、トヨタが2代目アクアでこれに追随している。
歴史
2016年の2代目ノートのマイナーチェンジの際で初登場。
モーターは電気自動車のリーフの開発で誕生したものを使用した。
e-POWERは瞬く間に人気となり、2代目ノートはモデル末期ながらマイナーチェンジ月に月間販売台数1位、2018年には年間販売台数1位にまで上り詰めた。
2020年11月に登場した3代目ノートはe-POWER専売車種となり、カーボンニュートラルを目指す日産の電動化戦略のイメージリーダーとなった。
モーターやインバーターなどは刷新され、次世代型が搭載されている。さらに3代目ノート以降の4WDではリアに軽自動車並みのモーターを搭載している。つまり、リアにサクラが載っているイメージ・・・というよりかはサクラに流用することを初めから想定してリアモーターに採用した可能性が濃厚である。
3代目ノートとその高級版であるノートオーラは日本カー・オブ・ザ・イヤーとRJCカー・オブ・ザ・イヤーを同時受賞という快挙を達成した。
また同時に刷新され、エネルギー効率と快適性を大きく改善した第二世代e-POWERも、RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
2022年3月に発表された3代目キャシュカイ(日本未導入)及び、2022年7月発表された4代目エクストレイルに搭載されるe-POWERは1.5リッターVCターボエンジン(可変圧縮エンジン)と駆動モーターを組み合わせたシステムになっている。
搭載車(日本国内)
搭載車(日本国外)
関連動画
関連サイト
関連項目
e-SMART HYBRID…ダイハツ版e-POWER