概要
日産自動車がこれまで市販車として販売した「キックス」として、
- 2008年から2012年までに三菱自動車からOEM供給を受けて販売していた軽自動車規格のSUVの「KIX」
- 2016年から生産販売する普通自動車規格のクロスオーバーSUVの「KICKS」
- 2019年から2023年までインドで生産販売された中型SUV型ハッチバック車「KICKS」(P16型)
の3車種が登場。
開発主体とコンセプト、車両規格、設計思想、走行性能などを見ても、同じ名前だけで全くの同一車種ではない。
また、コンセプトカーとして・・・
- 1995年の東京モーターショー出展車「XIX」
- 1998年のパリモーターショー出展車「KYXX」
という、ロゴスペルが異なる2車種もある。
軽SUV(KIX) (PA0(H59A)型)
2008年から2012年まで販売された三菱パジェロミニのOEM提供車。
グリルなど一部の外装デザインや設定カラーが異なる、4WDのみでFR仕様車がない、などを除けばほとんど変わりはない
軽自動車でありながらもオフロードや悪路での走行性能に優れる。
TVCMでは「日産ミニ四駆」のキャッチコピーで、コミカルミニ四駆の同車両(市販化はされていない)が登場し、ナレーションに野沢雅子が起用されていた。
普通クロスオーバー車(KICKS) (P15/RP15型)(メイン画像)
日本での基準において中型の普通自動車となった他、世界中の全ての仕様車がFFとなった。
2016年にブラジルで初めて生産販売され、リオデジャネイロオリンピックのオフィシャルカーにも使用された。
その後中華人民共和国やカナダ、米国、台湾、タイでも販売を開始し、現地生産の国と地域も増加。
日本ではジュークの実質的な後継車種として2020年6月に市場へ投入された。生産は4代目マーチと同じタイで行われ、先行のブラジル仕様車とはサイズが多少異なる。 また国内仕様車の動力システムはシリーズ式ハイブリッドシステムのe-POWERのみで、安全運転支援システムのProPILOTを標準装備する。22年7月のマイナーチェンジまでは駆動方式は2wdのみだった。
現行車はあくまで2代目ノートとプラットフォーム※を共有する「クロスオーバーSUV」である。
足回りについては先の軽SUVのものとは異なり、至ってスタンダードな設計となっている。
導入された当時は、日産が経営再建に本腰を入れたばかりであり期待も大きかった。それだけに、SUVであるにも拘らず4WDの設定がなかったり、4年遅れで導入されたなどといった点がネガティブな方向で取り上げられてしまった。また欧州向けにはスタイリッシュに進化した新型ジュークが登場したにも拘らず、日本市場には導入されなかった。代わりに決して知名度は高いとは言えなかったキックスが導入されたという点も、一部のファンからの反発を招く結果となってしまった。
だが、実際にはまずまずの売れ行きを見せており、月販5000台に到達する時もあった。
2022年7月19日のマイナーチェンジで、念願の4WD仕様車となる『e-POWER 4WD』を新たに設定。フロントだけではなく、リアにもモーターを搭載した電動四輪駆動である。さらにe-POWERも第1世代から3代目ノートと同様の第2世代へと進化した。
ただし既に発売されているSUV系のアリアやエクストレイルとは異なりe-4orceは搭載されていない。あくまでも日常利用を想定した車なので購入時は気をつけよう。
安全装備では、コンパクトSUVとして、『インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)』を初採用し、全車に標準装備した。
合わせて内外装のデザインが刷新された。内装ではシフトレバーが3代目ノート以降のデザインへと一新された。合わせてセンターコンソールの形状も刷新され、内装の印象アップに成功した。カラバリも増え、最近の日産車では最多の4種類に増えた。
外装面での変化は少ないが、AUTECHと新たに追加されたスタイルエディションではリアのテールランプにガーニッシュが追加され、一文字型の形状に進化した。しかし、刷新された内容が大きい割には、肝心の日産ロゴが新しいロゴに刷新されなかった。メキシコやフィリピンに投入されたキックスe-powerは新しいロゴを搭載しており、国内でもスカイラインやエルグランドなどといった車が一部改良で新しいロゴを搭載した。なぜキックスが旧ロゴのままなのかは謎である。
インド仕様車
2019年、インド市場で日産・ルノーアライアンス下で共同開発されたルーマニアのダチア社の新プラットフォームを使用したSUV型車が登場し、「キックス」として販売開始。
P15型より大型化されており、兄弟車に該当する関係にはない。
販売不振や排ガス規制などにより2023年に生産終了した。
脚注
※ 使用されているプラットフォームはVプラットフォーム。本来であればパーキングブレーキはサイドパーク式であるがこのキックスに関しては電動式である。
関連項目
ロッキー(ダイハツ) ・・・ダイハツが製造するライバル車。こちらは5ナンバーのBセグメントクラス。OEMでトヨタ(トヨタ・ライズ)及びスバル(スバル・レックス)でも販売している。