『M&W(マジック＆ウィザーズ)』（アニメ版：デュエルモンスターズ）生みの親ペガサス・J・クロフォードが同ゲーム発売の前後にオベリスク、オシリスと共にカードを制作したが、その力を恐れた彼自身の手で他の2枚と一緒にエジプトの地中に埋められ封印されていた。しかし、マリク・イシュタールが結成したカード窃盗団「グールズ」によっていつの間にか盗み出されており、以降はマリク(及び闇マリク)がバトルシティ編で切り札として使用し、終結後は武藤遊戯の手に渡る。

コピーカードを使用した者はラーの怒りに触れて意識不明となり、デュエル中にカードのコントロールを奪った者はラーの特殊能力を使用できずに敗北している。

「王の記憶編」においては遊戯とバクラの3度目の戦いで呼び出され、今度こそバクラのディアバウンドを撃破するが、闇の大神官の横槍によってこの戦いは無かったことにされた。邪神ゾークとの戦いではアテムとしての真の記憶と名を取り戻した遊戯に再召喚され、さらにオシリスおよびオベリスクと融合し、光の創造神ホルアクティとなった。

テキスト欄にはペガサスが古代神官文字の解読ができなかったために、それがそのまま書き写されている。

だが通常時は空欄となっており、ラーの翼神竜の召喚に成功したときにそのソリッドビジョンのラーから放たれる光を浴びることでテキストが浮き出る加工がされている(海馬コーポレーションと提携結ぶ前に作られたとしか思えないラーの翼神竜になぜそんな加工ができたかは不明。闇のゲームによるラーの実体化でも浮かび上がるのかもしれないが)。

原作テキスト

古代神官文字で書かれている。

石版からカードを書き起こしたデザイナーのペガサス・J・クロフォードが文字を解読できなかったため、そのまま書き写されている。

物語の進行に応じて徐々に効果が明らかにされた。

古代神官文字で記されたテキストの全文は(海馬の解析によれば)以下の通り。

「神は三体の生贄を束ねてその力を得る　ただし神を従えし者　古の呪文を天に捧げよ」

「神は地より蘇生する　再生の術と従者の命を与えよ　時はひとつであろうとも戦場の敵は炎によって屍と化す」

「時ひとつとして神は不死鳥となる　選ばれし魔物は大地に眠る」

以下のような効果を持つ。

「古代神官文字」である呪文を唱えたプレイヤーにのみ従う。
罠カード・モンスター効果を受けず、魔法カードの効果は1ターンのみ受け付ける。
ラーを生け贄素材に出来ない。
このカードの攻撃力・守備力は、生け贄召喚時に生け贄に捧げたモンスターの攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値になる。
特殊召喚されても召喚酔いせずに攻撃できる速攻能力がある。(原作ルールだと特殊召喚されたモンスターは特殊召喚されたターンは攻撃出来ない)
特殊召喚に成功したとき(※2)自分のライフポイントを1残すように払う事で、このカードの攻撃力・守備力はそれぞれ支払った数値だけアップする。また、この効果を発動後、自分のフィールド上に存在するモンスターを全て生け贄にすることで、それぞれのモンスターが持っていた攻撃力の合計値分アップさせることが出来る。(後者の能力はバクラ戦では使用していないことから任意で発動可能な模様、海馬の説明によると第二形態の効果である)
- 1度の攻撃で相手フィールド上の全モンスターを破壊する(原作のバクラ戦で、｢全てのモンスターを破壊し、プレイヤーを抹殺する！！｣と説明され、実際に1回の攻撃宣言で相手フィールド上のモンスターを一掃している)。
- ライフポイントを1にする効果はプレイヤーとラーとの融合扱いのため、融合解除を使うことができ、ラーの攻撃力をライフポイントに還元する場面もあった。

最終形態である不死鳥となり、1000ライフポイントを払うことで相手フィールド上に存在するモンスターを耐性を無視して破壊する(※2)。この最終形態状態のラーの翼神竜は不死の能力が備わり戦闘では破壊されない。破壊効果を使わず不死鳥を壁として蘇生（特殊召喚）することもできる。

(※：アニメ版では通常召喚時でも使えるとマリクが発言している)

(※2：使用者の発言から、原作では単体、アニメでは全体が対象と思われる。原作では遊戯のフィールドに3体いるのにオベリスクしか破壊していない)

また、神々の中で最高位の存在であり、他の三幻神のモンスター効果を受け付けないという耐性を持っていた。これによりオベリスクの攻撃力を∞にするゴッド・ハンドインパクトも特殊攻撃であることから無効化している。(オシリスの召雷弾に関しては｢火の鎧に雷の矢ごときが貫けると思っているのか！｣としかマリクは説明していないので神のランクによるものなのかは定かではない。)通常マリクはラーの一部の効果しか把握出来ていなかったにもかかわらず他の神所有者にも勝てると豪語していたが、この耐性によるものと思われる。少なくとも攻撃力固定のオベリスク相手ならラーを4000より高い攻撃力で召喚に成功出来た時点で完封出来る。(ゴッド・ハンドインパクトで攻撃力∞になっても破壊出来ないうえにダメージもゼロになっている)

アニメ版ではこの耐性がなく、代わりに「階級制度」という魔法カードが登場している。

アニメGXでの活躍

アニメ遊戯王GXではI2社の社員だったフランツが盗んだラーのコピーカードを使用した。

《神縛りの塚》というフィールド魔法を発動することにより制御に成功し、鎖で強引に拘束する形で怒りを抑え込んだ。

ちなみにこのコピーカード、本物よりも強化されているように描写されていた(事実、詠唱は必要なく、モンスターの効果にも僅かに違いがある)。

その後、ラーの翼神竜を蘇生させた十代によっても使用されており、コピーとはいえ三幻神の中で唯一二人の遊戯王主人公に使われたカードとなった。

ちなみにこの時十代は神縛りの塚無しでもラーの怒りを受けずにすんでいたが、その理由は不明。視聴者の間では「墓守の長からもらったペンダントに千年アイテムと同等の力があった」「フランツの支配から解放した十代の優しさにラーが応えた」「十代が覇王十代の力を秘めているという伏線だったのでは」等の説が挙がっている。

特に、覇王（覇王十代）の力が「宇宙が育んだ生命を守る正しき闇」を統べるものであることは、三幻神を使役していたアテム（闇遊戯）は劇場版『光のピラミッド』では「闇のファラオ」とされているため、宇宙全ての闇を統べる力であればラーを召喚・制御できたことについてしっかりと説明がつく。

ちなみに、VSラーのエピソードは「光の結社」編のものであり更に十代がネオスとネオ・スペーシアンを手に入れた後のものであるため、惑星イオでアクア・ドルフィンから「宇宙が育んだ生命を守るのは闇」「それを根絶しようとしているのが破滅の光」という世界の概念の説明は既にされており十代が前世から持ち続けてきた覇王の力についても伏線が張られている状態であった。

OCG版

テキスト

効果モンスター

星１０/神属性/幻神獣族/攻 ?/守 ?

このカードは特殊召喚できない。

このカードを通常召喚する場合、３体をリリースして召喚しなければならない。

(1)：このカードの召喚は無効化されない。

(2)：このカードの召喚成功時には、このカード以外の魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。

(3)：このカードが召喚に成功した時、１００ＬＰになるようにＬＰを払って発動できる。このカードの攻撃力・守備力は払った数値分アップする。

(4)：１０００ＬＰを払い、フィールドのモンスター１体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

解説

「生贄に(リリース)したモンスター3体の各攻撃力・守備力の合計値がこのモンスターの攻守値になる」能力が備わっていないため、攻守の増加方法が召喚成功時のライフの支払い他のみになっている。

また、魔法・罠・モンスター効果の対象にならないという召喚後の耐性効果もない。

そして極めつけにして最大の問題点が、特殊召喚が出来ない。つまり、原作のような墓地からの召喚成功時の効果発動ができない。肝である不死鳥要素死す。

このようにOCG化に当たって、原作で猛威を振るった効果が削られ、大幅な弱体化を受けてしまった。このことから、OCGラーは「ヲー」など不名誉な呼ばれ方をすることも少なくない。

歴史

2015年に発売された「デュエリストパック－決闘都市編－」では新たに《ラーの翼神竜－球体形》、更に「MILLENNIUM PACK」では強力な《ラーの翼神竜－不死鳥》のOCG化が決定、2020年の「冥闇のデュエリスト編」における各種サポートカードの登場により、ようやく原作のテキストを再現できるようになった。

この球体形は、自分または相手のモンスター3体をリリースして召喚するモンスターで、攻撃できず相手の対象にならない効果や、自身をリリースして《ラーの翼神竜》を攻撃力・守備力4000で特殊召喚する効果を持つ。正直OCGラーよりも使いどころが多いのではないだろうか。

そして不死鳥によって疑似的にだが、マリクや遊戯のようにラーの翼神竜を墓地に置くことを不死鳥蘇生の布石とすることができるようになった。

充実したサポートカードによってラーに特化したデッキ構築も可能になり構築次第ではあるが

1ターンで神を降臨させライフを払い爆発的に攻撃力を上昇させたラーによる1ターンキルコンボが現実的に可能な点は他の神との大きな違い。

他の2体の神は《死者蘇生》など一般的なカード、《真実の名》によるデッキからの召喚にも対応し豊富な特殊召喚カードの恩恵にあずかれ、あらゆる場所からフィールドに呼び出すことが可能になっている。

しかし汎用性のあるカードは悪用防止の為に何かしらの制約や事前準備が必要なものも多く

1ターンでカードを用意し展開する事が重要視されるOCGのゲームスピードには神の召喚にどうしても1手遅れがちな点は否めない。

現状、元々の使い難さから数々の強力な専用サポートカードを用意されたラーの翼神竜は素早く神召喚の場を整えることが可能になり、三幻神による勝利という1点を目指した他の神とは一線を画するデッキとなっている。