概要
『∀ガンダム』は1999年から2000年にフジテレビ系で放送されたTVアニメ作品。
2002年にはアニメーション映画として『地球光』『月光蝶』の2本にまとめられ、劇場公開された。
監督・製作総指揮は富野由悠季。
「過去の文明の産物が失われて長い年月が経過した地球が舞台」という、それまでのガンダムとは大きくかけ離れた独自性の強い世界観を成している。
特に物語初期は政治的な駆け引きが物語の中心に据えられ戦闘が行われない事も多く、また物語全体を包み込む牧歌的でノスタルジックな雰囲気から「ガンダムの世界名作劇場」と評されることもある。一方で、物語終盤の迫力のある戦闘とそこに秘められたドラマなどに対する評価も高い。
また、本作に於けるキーワードである「黒歴史」を通じた「全てのガンダムの否定と肯定」を作品の根底として置いており、(本作が劇中劇とされているガンダムビルドファイターズなど一部を除いた)本作以降に制作されたガンダムシリーズを含めた全てのガンダムの世界観は∀ガンダムの世界観に統括されると言われている。
一方で、主役機であるターンAガンダムの「ヒゲ」が特徴のデザインや女装・全裸姿を披露する主人公等で話題になっている。地味に4クール放送のTVシリーズでは全編通して主役機交代がないという珍しい作品である。また、舞台が舞台なためか最終決戦ではよくありがちなフルアーマー○○のような最終決戦仕様に換装される事もない。∀以前のガンダムシリーズを見ても乗り換えがなかったのはファースト以来となる。
また、主題歌は西城秀樹、エンディングは谷村新司が手がけるなど、アニメソングらしからぬ歌手起用も見どころである。
その他、「機動○○」といったサブタイトルが付かないなど、あらゆる面でシリーズにおける異色作となっている。
なお、「∀」の文字は「すべて」を表す論理記号。日本語入力システムによっては「すべて」と打てば変換可能。これは、「全てのガンダムを内包する」という意味でつけられた。
また、「ターンA」という読みは、「最初(のアルファベットであるA)に戻る」という意味で、シリーズの再出発にかけて、また、文明を原初に戻してしまう∀ガンダムの能力にひっかけたものである。
登場キャラクター
ハイム家
イングレッサ・ミリシャ
グエン・サード・ラインフォード(CV:青羽剛)
ルジャーナ・ミリシャ
ディアナ・カウンター
ギンガナム艦隊
メリーベル・ガジット(CV:夏樹リオ)
アグリッパ派
アグリッパ・メンテナー(CV:石丸博也)
民間人
登場メカニック
発掘兵器
ムーン・レィス
ミリシャ
劇場版・アニメ版には未登場の機体
- ムーンバタフライ:小説『月に繭地には果実』に登場。蝶のような姿の大型モビルアーマー。
- 月光蝶:佐藤茂著の小説版に登場。月光蝶システムと同名だが全くの別物で、ここでは機動兵器の名前となっている。
- ブラックドール:佐藤茂著の小説版に登場。所謂サイコガンダム。
- 4LEG:シド・ミードにデザインされながら本編未登場に終わった機体。
- モビル・カウダータ:漫画『∀ガンダム 月の風』に登場。小型化されたフラットとも言うべき機体。
備考
本作は「フジテレビ系列で放送された最初で唯一のガンダムのTVシリーズ」であるが、東名阪はともかく、放送地域がまちまちであり(北海道や東北地方のように、比較的多くの県でネットされていた地域もあるが、四国地方の高知県のように1県しか視聴できないところもあった)が、ヒドい所では中国地方では一切放送されなかった(地域で言えば岡山・広島・鳥取・島根・山口であるが、岡山は放送エリア上は香川県も含まれる。また山口にはフジテレビ系列局はないが、山口県のごく一部では福岡県のフジ系列局であるテレビ西日本で視聴出来た)。そのため中国地方在住(前述した山口県の一部エリアを除く)のガンダムファンの間でも「雑誌で見たことはあるが、アニメは見たことない」「DVD(あるいは劇場版2部作)で初めて知った」「そんな作品はない!」(本当に作品を知らなかったり、ネタ的に発言する者も含む)と本作の存在に関しては各人異なった認識をしている、とされる。