概要
監督:立川譲
脚本:櫻井武晴
前々作『純黒の悪夢』(以下『純黒』)で活躍した安室透(降谷零)をメインに据えた作品。
爆破事件の容疑者となった小五郎の逮捕を巡り、コナンと安室が「正義とは何か?」をテーマに激突する。
警視庁・警察庁・検察庁にそれぞれ存在する「公安」に所属する人々の思惑が複雑に絡み合うハードかつシリアスな展開で、警察組織や裁判にまつわる難しい専門用語が多く登場するなど、刑事ドラマとしての側面が強い大人向けのストーリーとなっている。
『純黒』で初登場した彼の部下・風見裕也も再登場。
また、原作で黒の組織のNo.2「ラム」の候補とされている警視庁捜査一課管理官・黒田兵衛が劇場版初登場を果たした。
監督は、前作まで7年連続で務めた静野孔文氏に代わり、TVアニメ『デス・パレード』『モブサイコ100』の監督や『進撃の巨人』『劇場版BLEACH 地獄篇』などの絵コンテ・演出で知られる立川譲氏が担当。
脚本は、これまで『絶海の探偵』や『純黒』を手がけた櫻井武晴氏が担当する。
主題歌は福山雅治が歌う「零 -ZERO-」。
福山氏と『コナン』とのタイアップは、TVシリーズ含め今作が初。また劇場版主題歌としては、第19作『業火の向日葵』以来3年振りにビーイング以外のアーティストが担当することとなった。
劇場版『コナン』史上初の7週連続動員数1位の快挙を成し遂げ、公開から約1ヶ月で前作『から紅の恋歌』の最終興行収入(68.9億)を上回り、6年連続で興行収入の最高記録を更新。
『スターウォーズ』や『アベンジャーズ』といった有名作品を抑え、最終87.0億予想で2018年上半期公開映画のトップを獲得した。
更に、全国各地の劇場で「応援“執行”上映」と称した応援上映が実施された他、10月には3週間限定で「4Dアトラクション執行上映」が開催され、中国でも劇場上映が決定。
累計興行収入は91.8億円(2019年12月中旬時点)を記録し、全世界累計では100億円を突破している。
ストーリー
4月28日。東京サミット開催の地となる東京湾の新施設「エッジ・オブ・オーシャン」。サミット当日の5月1日には2万2千人もの警察官が出動するというこの超巨大施設で、突然大規模爆破事件が発生。
そこには、全国の公安警察を操る警察庁の秘密組織─────通称「ゼロ」に所属する安室透の影があった。
サミット当日ではなく事前に起きた爆破事件と、秘密裏に動く安室の不可解な行動に違和感を禁じ得ないコナン。
そんな中、現場の証拠物に残された指紋が、かつて警視庁に在籍していた小五郎の指紋と一致。小五郎は爆破事件の容疑者として逮捕されてしまう。
これは何者かによる陰謀なのか?小五郎逮捕を巡って敵対し始めるコナンと安室。
果たして謎の存在・安室透は、敵なのか?味方なのか?
ゲストキャラクター
ゲスト声優担当キャラクター
反響
SNSでは
- 「『ゼロの執行人』を観た」ことを「執行した(された)」「執行済」と表現する書き込みが多く見られる。
- ファンの間で『安室を100億の男にしよう』企画(=今作の興行収入100億円超えを目指す)なるものまで立ち上がっており、松竹の公式Twitterアカウントや東宝関係者の会議でも「安室透を100億の男にする」話が出ていたとのこと。そして来たる2018年11月13日、ついに日中上映合計で興行収入が100億円を突破した。やったぞ安室さーん!!!!
- クライマックスの安室のとある台詞から、鑑賞後に「安室の女になった」と書き込むファンが続出。安室人気を特集した日テレ系WS「スッキリ」でも、「安室の女」という単語が複数回登場した。
安室(降谷)バブル?
- 本作を特集し、コナンと安室が表紙を飾った『アニメディア』2018年6月号の売切が続出。『コナン』のTVアニメ20周年記念を特集した2016年2月号以来、2度目の重版となった。また安室の公式スピンオフ『ゼロの日常』の初回が掲載された『週刊少年サンデー』(2018年24号、5月9日発売)も入手困難となり、小学館は翌週該当号の無料公開に踏み切った。
- 現実には非常に珍しく、全国でも30人ほどしかいないとされる「降谷」姓の印鑑が、今作公開後に突然たくさん売れ始めるという現象が発生。とあるハンコ店では専用の注文フォームが作られたほどで、初日だけで500本の発注があったとのこと(通常年間2、3本)。
- 上記などを受け、あらゆるメディアで特集が組まれ、一連の安室にまつわる出来事を社会現象と謳っている。
- 2018DIMEトレンド大賞のキャラクター部門を、安室透が漫画の登場人物で初めて受賞した。同時受賞は欅坂46。
- 古谷氏は本作の演技が評価され、第12回声優アワードで助演男優賞を受賞した。『巨人の星』から半世紀以上のキャリアを持つ同氏であるが、意外にも個人としては今回が初の栄誉となった。
備考
公開に関して
- 前作に引き続き、タイトルに関しては原作者・青山剛昌氏が「〇"〇の〇o〇〇〇ん」であると前もって公表していた。
- 前作の本編終了後の予告で安室らしき声が「ゼロ」と唱えていたことから、最初の「〇"〇」が「ゼロ」だと予想しやすかったファンが多かった模様。
- 配給会社である東宝の方針転換により、劇場版『コナン』も今作以降は土曜日ではなく金曜日が公開初日となる。
- 特に今作の公開は13日の金曜日であることが一部で話題になっているが、狙ったのかどうかは定かではない。
再登場組
- メインビジュアルや予告カットから、蘭の母親であり小五郎の妻である弁護士・妃英理の今作への登場が確定。英理の劇場版への登場は、第10作『探偵たちの鎮魂歌』以来実に12年ぶり(メインビジュアルへの登場は第4作『瞳の中の暗殺者』以来18年ぶり)。
- 英理の秘書・栗山緑も、同様に12年ぶりの登場となる。
- 前作では舞台の関係上出番のなかった警視庁の面々(目暮・白鳥・高木・佐藤・千葉)も、今作では揃って登場。
コラボレーション
- 公開1か月前に放送された『ポプテピピック』第10話に、高木刑事役の高木渉と小五郎役の小山力也、目暮警部役の茶風林が出演。作品自体にも露骨に『コナン』のパロディが用いられていた。
- 放送直後には劇場版『コナン』公式が明らかに同話を意識したツイートを発し注目を浴びた。
- ソーシャルゲーム『グランブルーファンタジー』で映画公開に合わせてコラボイベントを実施した。詳細は「名探偵コナン〜謀略の歯車〜」を参考。
- 古谷徹氏が両方でメインキャラクターを演じている関係で、今作と『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』(2018年5月5日公開)とのコラボポスターが制作された。今作からはコナンと安室、『ガンダム』からはアムロ・レイとシャア・アズナブルが登場しており、古谷氏やガンダムファンの『コナン』原作者・青山氏の喜びのコメントも掲載されている。
TV放送
2019年4月26日の『金曜ロードSHOW!』にて地上波初放送された。本放送は放送枠20分拡大・本編ノーカット・EDも一部放送という劇場版名探偵コナンのTV放送では異例の好待遇、さらに解説副音声(アイパートナー)を沖矢昴&綾小路文麿役の声優・置鮎龍太郎氏が担当したことで大きな話題となった。
(※イラストはイメージです)