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煙管の編集履歴

2020-05-22 19:59:25 バージョン

煙管

きせる

煙草を吸うための道具。 細切れにした煙草を先端に詰め込み、それに火をつけて煙を吸い、味わう。 和風アイテムとして人気があり、現在でも愛好家がいる。

煙管とは煙草を吸うための道具。


概説

刻んだ煙草の葉を詰める火皿(ひざら)、火皿と羅宇を渡す曲線部分である雁首(かりくび)、中間の管部分の羅宇(らう)、を吸うための吸口(すいくち)で構成されている。

羅宇は高級木材を使うこともあるが、ほとんどはで拵えられる。それ以外の部分は金属製で、亜鉛やそれらからの合金で作られる。


ポルトガルから日本に煙草葉が伝来したのが16世紀の事と言われており、慶長17年(1612年)に現在の徳島県近辺で刻み煙草用の煙草葉が栽培されはじめた。

これに伴い、喫煙具として煙管が登場したが、庶民の間で一般的な嗜好品となり、煙管が商品として流通し始めたのは江戸時代に入ってからの事である。

日本では主に生葉のまま煙草葉が流通しており、喫煙する際にはそれを細長く刻む。

細長く刻む作業を代行する“賃粉切り(ちんこぎり)”や、煙管で喫煙しているとどうしてもヤニが溜まったり羅宇が痛むため、これをクリーニングしたり取り替えるメンテナンスの専門職として“羅宇屋”という職業もあった。


庶民の間で喫煙文化が広がるとともに、喫煙具である煙管も様々な装飾を凝らしたものが登場し、特に武士や豪商、番頭などは特注で凝ったものを作らせるようになった。

これに伴い、煙草入れや煙草入れを帯に止めるための根付なども凝った装飾がなされるようになり、独自の文化を形成した。

江戸っ子たちの間ではいかに粋なポーズで煙管を吸えるか・・・という競争もあり、様々な「かっこいい煙管の吸い方」が考案されていたようである。

ちなみに余談として、「やに下がった」という表現の語源はこれで、格好つけて雁首を高く上げて煙管を吸っているとヤニが下がってくる事から言われるようになったらしい。


現在でも花魁が持っているようなイメージで描かれる事がしばしばあるが、実際江戸時代の遊女の中でも上級にあたる太夫などは朱塗りの長羅宇煙管を帯に挟んでおり、格が高ければ高いほどこの羅宇が長くなるという決まりがあった。

また、遊女が客を選ぶ際にもこの煙管は使われ、一口吸ってから吸口を軽く拭い、差し出された煙管を客が受けると客の側も遊女が気に入ったという意思表示となる「吸いつけ煙草」という文化があった。

有名な歌舞伎の演目『助六由縁江戸桜』でも、「煙管の雨が降るようだ」というセリフがあるが、これは江戸一のイケメンだった助六の姿を見て、遊女達が次々とこの吸いつけ煙草を差し出したという意味である。


また、上で述べたように歌舞伎の中でも煙管は重要な小道具として登場しており、持っている煙管や持ちかたでその登場人物の素性や役割を示す為に使われた。

小道具として作られているため、客席から見えるように実際の煙管よりもかなり大きめである事が多い。

後の漫画や映像作品などでもしばしば見る事がある、煙管の灰を灰吹き(灰皿)にカーンと音を立てて落としてからキメゼリフを言うという所作も、実は歌舞伎が発祥だったりする。


携行できる武器として作られた「喧嘩煙管」と呼ばれるものもある。こちらは喫煙ではなく、あくまで武器として作られているために総金属製のものがほとんどで、長さは40cmから50cmほどのギリギリ煙管と言い張れるサイズ、羅宇の部分を角ばらせたり金属製の突起を付けるなど、煙管の格好をした金棒といった武器である。

町奴が好んで携帯していたが、その理由としては、彼らの身分はあくまで町人であり、武士のような長い刀や脇差を持つ事が禁じられていたからである。

江戸時代には「傾奇者」という若者文化が生まれたが、その中には旗本奴と呼ばれる文字通り武士の家に生まれ、長大な刀や脇差を差している一派が存在していた。

帯刀を許されていない町奴たちがこれに対抗して作らせたのがこの喧嘩煙管であると言われており、江戸時代を題材にした作品ではこれをイメージしてか、「煙管で相手をぶん殴る」「煙管で相手の刀を止める」というシーンがしばしば登場する。

また、明治維新の廃刀令によって刀を持てなくなった後にも、一部の士族たちが鉄扇やこの喧嘩煙管を護身用の武器として持ち歩いていたと言われている。

先の話に立ち戻るが、歌舞伎におけるやくざ者や無頼漢、豪傑などのキャラクターはこの喧嘩煙管をイメージしてか、ひときわ目立つ巨大な煙管を持って登場する事があり、特に有名な例としては石川五右衛門が持つ真鍮手綱形太煙管がある。

名前の通り、総真鍮で綱のようにねじれた装飾が入っているのだが、その大きさが尋常ではなく、長さ30cm、直径は最大部分で数センチはあろうかという代物である。


江戸時代には煙草による火事がきっかけで大火事になってしまったり、上記の喧嘩煙管を傾奇者達が持ちある事への牽制、米農家が煙草葉農家に転向してしまい年貢米が減る・・・などといった事から何度か禁止令が出されているが、当然ろくに守られる事もなく、かなり多くの人が煙管で喫煙していたようである。


紙巻き煙草の普及や煙草の専売化により、刻み煙草葉を扱う業者がほぼ絶滅した為に現在、街で煙管で喫煙している人を見る事はほぼ無くなったものの、愛好家は少なからず存在しており、「こいき(小粋)」という銘柄だけは販売され続けている。

現在では外国製のブレンド葉を使用したベルギー産の「宝船」という銘柄も新たに売られるようになり、この2種類のみが煙管用の煙草葉と言える。

なお、みみっちい話であるが紙巻き煙草の吸い殻(シケモク)を先端にねじ込んでフィルターギリギリまで吸う為に使われる事もある。


創作作品では、和風の「大人っぽさ」「妖艶さ」を強調する為に、和服姿のキャラクターが持っていることが多い。pixiv内では、とくに女性のイラストが多い傾向にある。

また、『花の慶次』の前田慶次や『がんばれゴエモン』シリーズのゴエモンなど、煙管と縁のある著名なキャラクターも存在する。


煙管を使用するキャラクター一覧


関連タグ

キセル

煙草 タバコ パイプ

遊女

羅宇屋

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