概要
シリーズに登場する多くのトランスフォーマー達が機械や乗り物、あるいは動物に変形するのに対し、ユニクロンはなんと惑星に変形する。同じく惑星に変形する創造神プライマスとは対になる存在で、宇宙の破壊と混沌を司り、「星間帝王」、「破壊神」、更には「カオスブリンガー(混沌を齎す者)」とも呼ばれている。
また、その途方もない大きさだけでなく、劇中での暴れぶりからトランスフォーマー達が最も恐れる存在として描かれている。一方で世界や命を創り出す力も備えており作品によっては単純に倒さねばならない相手で済まず立ち位置においても特殊な存在といえる。シリーズによって誕生の経緯などの設定が微妙に異なるが、「ユニクロンはどのパラレルワールドにおいても同一人物」という設定はいずれのシリーズにおいて一貫している。
G1
CV:オーソン・ウェルズ/吹:鈴木瑞穂(ザ・ムービー)、石井敏郎(2010)
初出は『トランスフォーマーザ・ムービー』だが、日本では放映された時期の関係上、『トランスフォーマー2010』での登場が先となっている。
惑星に擬態しながら宇宙を彷徨いつつ、他の惑星を捕食するという宇宙に生きる生命体全ての脅威。『ザ・ムービー』冒頭の戦いでコンボイの死亡およびその直前のやり取りから、自身を滅ぼす存在「マトリクス」を感知。それを排除するべく負傷兵としてスタースクリームらによって宇宙に放逐されたメガトロンをガルバトロンへと再生。他のデストロンの負傷兵達もサイクロナスやスカージ、スウィープスとして再生させマトリクスを始末する事を命じるが、ガルバトロンはマトリクス強奪後に反乱を起こす。
その報復としてセイバートロン星を襲撃するも(ちなみにこの少し前にセイバートロンの衛星を二つ喰っている。)マトリクスを奪回したホットロディマスがマトリクスを解放したことで身体が崩壊。頭部のみを残して爆散した。因みに演出の都合上、全長は数千kmから数百mまで可変する。
続編にあたる『2010』では、頭部のみの状態で機能停止しセイバートロンの軌道を衛星の様に周回。第一話でガルバトロンの行方をメモリーから分析する為にサイクロナスが訪れた他、ガルバトロンに処刑されて幽霊化したスタースクリームと彼に取り憑かれたスカージにより再起動させられ彼らを利用してセイバートロン星を新たなボディにして復活を企む。しかし、復活を恐れたスカージは離脱し、生身のボディの復活を目的としていたスタースクリームに出し抜かれた上にサイバトロンに復活を阻止されてしまう。
また、別のエピソードでは120億年前銀河系が誕生したばかりの頃から存在する大天才プリマクロンによって製造された事が判明。やはり反乱を起こして彼に重傷を負わせ離反している。その後、脳内で精製されるアンチエレクトロンを求めたデストロンとサイバトロンとの激戦が繰り広げられて、天才となったグリムロックによって内部の部品を使ってテックボットが産み出された。因みに『ザ・ムービー』は原語版でユニクロンを演じたオーソン・ウェルズの遺作である。
玩具
当時はユニクロンの玩具の試作品が何点か作られており、製品化の暁にはオーソン・ウェルズの音声による会話ギミックも付く予定だったが、諸事情により製品化は見送られてしまう。アレだけのサイズならば必然的に玩具も大型化せざるを得ず、それを考慮すれば他のTF達よりギミックとプロポーションの両立は容易かった筈なのだが、実際の試作品は胴体が惑星形態そのままという、余りにも酷い出来であった。
2019年には今までに発売されたトランスフォーマーの大きさを優に超える超巨大サイズのユニクロンの変形玩具のクラウドファンディング企画がハズブロパルスのサイト内にてスタート。日本でもタカラトミーモール内にて7月26日より受付が開始され、2019年8月31日までに海外分の受注数との合計で応募者が8000人に達すれば企画成立となる。
公開された試作品によれば、ロボットモード時の全高は約68.5cm、惑星モード時は環の部分も含めて直径約75cm、重量は8.6kgにも及ぶ。ロボットモード時は50か所の関節が可動し、目と口も可動する。後述の『マイクロン伝説』版と同様に指は1本づつ動かせる様になっている。惑星モード時の巨大な口には可動ギミックがあり、『ザ・ムービー』で惑星を捕食したシーンを再現出来る。
ビーストウォーズ
CV:ブルー・マンクマ/吹:中村秀利
G1シリーズのユニクロンと同一人物。登場人物達の(本来の)時代ではセイバートロン星が別の恒星系へと移動したため軌道上から外れてセイバートロンの圏内から姿を消していたが依然としてトランスフォーマー達が恐れる存在として語り継がれている。
舞台である惑星エネルゴアで実験活動を行なっていたヴォック(エイリアン)がビーストコンボイの記憶から作り出した映像として登場。これはヴォックは肉体がない為に仮の姿として見せた事、彼らに自分達はユニクロンの如く恐るべき存在であることを示した為。続編の『ビーストウォーズメタルス』では、タランスやデストロン評議会の3人の長老がユニクロンの眷族である事が判明した。
ビーストウォーズネオ
CV:小村哲生
『メタルス』の前に放送された日本版独自の続編となる『ビーストウォーズⅡ』、『ビーストウォーズネオ」』では、物語の遥か昔デストロンが住み着いていた惑星ダイナソアを喰らって半壊させた張本人でもあった。グレートウォーと呼ばれたサイバトロンとの戦争(この戦争がG1のものとは明言されていない)で敗れ、肉体はほぼ全壊、エネルギーも抜き取られて惑星ガイアに封印されていた。このエネルギーは幾年月も経ちアンゴルモアエネルギーと呼ばれるようになり、惑星ガイアに眠る神秘の力として伝えられていた。
ガルバトロンは宇宙征服の戦力と同時にユニクロンが復活の時が来ても対抗出来る力を得る為にもアンゴルモアエネルギーを求めていたが、ライオコンボイ親子の力でアンゴルモアエネルギーは無数のアンゴルモアカプセルに封じて分離、エネルギーを取り込んでいた人口惑星ネメシスの爆発の影響で宇宙中に飛散してしまった。後にビッグコンボイ部隊やマグマトロン部隊はアンゴルモアカプセル争奪戦を展開していくが、ユニクロン復活の為にブレントロンもカプセルを入手していく。
ネメシスの崩壊で散ったガルバトロンの姿を模してエネルギーで構成された体で覚醒、出会い頭にマグマトロンを葬り、復活の野望に乗り出す。実体ではないエネルギー体であるため、ビームなどのエネルギーの攻撃は通用しないどころか吸収してしまうのだが固定されてない姿のため長期間その身を維持できず、かつての肉体は使い物にならなくなっていたので、セイバートロン星に目をつける。ベクターシグマに慈悲の言葉を持ちかけられるも拒否、サイバトロン艦隊を壊滅させ、ベクターシグマを乗っ取り、セイバートロン星を自身のボディとした。しかし、執念で復活を果たしたマグマトロンの手でベクターシグマから引き剥がされてしまい、ライオコンボイの加勢も得たビッグコンボイ部隊の奮戦の末、サイバトロンの心の力を宿したマトリクスバスターを吸収しきれず消滅(ベクターシグマは終戦後間も無く自動修復機能で復活している)。これによって、G1世界における永きに渡る因縁(作中世界では数千万年。視聴者目線でも10年以上)に漸く決着が付いた。
漫画版の『ネオ』では序章の頃から姿を見せており、アンゴルモアエネルギーを受け継いだビッグコンボイとマグマトロンを誕生させた後、黒球(ブラックボール)に姿を変えて、彼らを利用して、カプセルを回収させていった。
アニメ版ではガルバトロンのボディを使っていたが、漫画版ではオリジナルの頭部が最初に復活し、セイバートロン星と合体後、オリジナルそのものの姿と化す。マグマトロンの形見のマグマブレードを用いたビッグコンボイに倒されながらもゲル状の姿で生き延び、ビッグコンボイに寄生するもののマトリクスの力を解放したビッグコンボイもろとも消滅する。
当時はユニクロンの玩具化も検討されていたが、やはり諸般の事情であえなくボツとなっており、代わりに依り代としたガルバトロンの玩具が再版された。
ユニクロン三部作
『マイクロン伝説』と続編『スーパーリンク』では物語の鍵を握る存在として登場。『ギャラクシーフォース』では劇中未登場だが、しっかり設定されている。
マイクロン伝説
1000万年前から始まったサイバトロンとデストロンの戦いをセイバートロン星の衛星に擬態し監視、細胞から自らの尖兵となるマイクロン達を生み出し、サイバトロンとデストロンの争いを助長させるように仕向けて生まれる負の感情を吸収し共倒れを狙っていた。
その正体はビークルモードへの変形機構を持たない特異なマイクロン「ミラー」を核とするトランスフォーマーのダブルフェイス。自らの頭脳=本体であるダブルフェイスを使い、「ダブルフェイス=ユニクロンの眷属」というミスリードを誘う等しつつ両者を巧みに焚きつけていたが、マイクロンが地球人達との触れ合いで自我と争いを好まない気質を持ってしまい離反、消去して再び支配下に置こうとするも拒絶されて計画は失敗。最期は悪足掻きとばかりにビークルモードで突撃した際にコンボイのアストロブラスターによる一撃で核であるミラーごと破壊されてしまう。これは人間で言う脳死に当たり、全機能が停止した後、何処かへとワープしていった。
なお、前述の異名のひとつ「カオスブリンガー」は本作では胸部に内蔵された主砲の名称とされている。
G1、『ビーストウォーズネオ』と商品化検討の度にボツになっていったユニクロンの玩具も3度目の正直で漸く発売。背丈はフォートレスマキシマスには及ばないものの、トランスフォーマーの玩具の中でも屈指の大きさを誇る一品となった(劇中設定でも全長4万kmを誇るとされている)。後年にもカラーリングや一部パーツの造型を変更して度々発売されている。
スーパーリンク
前作を引き継ぎ、機能停止状態で登場。嘗てユニクロンに捕食された惑星の生き残り「アルファQ」がユニクロンの力を利用して自らの惑星を復活させようとするも、前作でユニクロンに飲み込まれたメガトロンがガルバトロンとして復活し、アルファQが頭部を分離させ逃亡、ガルバトロンは胴体を掌握する。
中盤でアルファQがエネルゴンを吸収して喰らっていた星々を再生させるが胴体側が吸収していたエネルゴンと衝突し合った事により宇宙が裂けて別の宇宙へ通じる穴を作り出してしまった。その宇宙でアルファQは頭部と共に再生させた星々へと成長させるためのエネルゴンを送り込む太陽と化す。一方ガルバトロンはその星々を襲いエネルゴンを強奪し胴体側を再生させた後力づくで頭部を手に入れさせ完全体にするも自我が芽生えていきガルバトロンを浸食、ダブルフェイスの後釜と化して暴走、デストロン達すら襲い星々を破壊し始める。
オメガコンボイとの死闘によってボディを破壊されるが、その精神はガルバトロンの内部に溶け込み
彼を操ろうとする。しかしそれを拒んだ本人がプライマスが作り出したエネルゴンの太陽へと特攻した為に再び野望は潰えた。
実はユニクロンのその実態はトランスフォーマーの負の感情の化身ではないかとされており、トランスフォーマーが存在する限りその種ともいえるものは存在し続けるのだという(前作での「憎しみがある限り自身は倒せない」「自分はマイクロン達自身(自身の細胞というだけでなく彼らがユニクロンと戦うと思っている=争う意思があるため自分の種が芽生えていると解釈できる)」といった発言もそれを示唆している)。そのため単なる力では倒せず負仲間を信じあう心の結びつきで負の感情が覆せることが必要だとも語られている。
また、プライマス曰くユニクロンは破壊と創造の力を兼ね備えるのでありどちらが発現するかが問題に過ぎずその力が宿った太陽はアルファQが再生させた宇宙と星々を育む力となった。
ギャラクシーフォース
グランドブラックホールの発生に関与しており、身体の消滅によって宇宙を漂っていたユニクロンのスパークの一部がファイヤースペースに幽閉されていたマスターメガトロンに吸収されてしまった為に宇宙におけるプライマスとユニクロンの力のバランスが崩れてしまったことが原因とされている。また、海外版『Transformers Cybertron』ではプラネットXとユニクロンとの関係が示唆されている。
トランスフォーマープライム
CV:ジョン・ノーブル/吹:中村秀利
物語の開始当初から既に「ユニクロンの血液の結晶とされるダークエネルゴンが出現し、本人も「ガイアユニクロン」としてストーリーの終盤にその姿を現す。
本作のユニクロンは何と地球の核を成している存在であり、遥か昔に創造神プライマスとその配下である最初の13人のプライム達との戦いに敗れ、放逐されたユニクロンが放つ引力に引き寄せられた岩石が集まって生まれたのがプライム世界における地球なのである。それが地球に並んだ惑星直列の影響で意識が覚醒を果たしてしまった。
要は地球そのものとも言えるユニクロンが覚醒して動き出す事即ち、地球の消滅を意味する。
無論、ユニクロンを倒そうものなら同様に滅んでしまうので、如何にかして再び眠りに付いて貰うしか無いのである。
地球の生命は自分から誕生した存在とオプティマスは説くが当人は眠っている間に勝手に現れていただけと意にも介さず宿敵の力を受け継ぐプライムを抹殺しようとする。一方メガトロンは共に地球を支配しようと持ちかけるがプライムを倒せていない者など手を組む意味など無いと拒まれる。
人類を守りたいオプティマスと、支配するべき地球が破壊されるのが我慢ならないメガトロンとの
利害が一致し、一同はメガトロンの案内の下ガイアユニクロンのコアへと向かう。途中、バルクヘッドが転落しそうになったり、エアラクニッドがメガトロン不在の隙を突いて下克上しようとしたつもりがサウンドウェーブに返り討ちにされるという様な事もあったが、最終的にオプティマスの持つマトリクスによってガイアユニクロンは再び活動を停止した。
完全に目覚めていない状態でも地球中が災害に晒され火山の活性化でダークエネルゴンが地表に流出しダークエネルゴンを吸収している者を逆に操る、岩石から際限なく自分を模した傀儡を作り出す。プライマスの力を地球のどこにいても感じ取れるといった力を発揮していた。
ウォーブレークダウン同様、玩具はアメリカ本国を差し置いて日本と一部のアジア諸国限定(日本を除くアジア地域で限定発売されたボイジャークラスのオプティマスとのカップリング品)で発売。玩具オリジナル形態としてスペースシップ(と言うよりは顔の付いた人面岩)にトランスフォームし、ガイアユニクロンの腕に装着可能なクロー(爪)に変形するモグラ型のアームズマイクロン「ボグ」が付属。更にボイジャークラスのオプティマスプライム・メガトロン双方の玩具と合体できる素敵仕様となっている。
日本版・アジア限定品のパッケージの記述を統合すると、ガイアアーマーはレオプライム(アニメ未登場)が自身のエンシェントソードを用いてユニクロンの残骸から作り出した鎧であり、着用者に絶大な力を与えると言われているが、ダークエネルゴンの闇の力に飲まれない様にする為に精神統一が必要、との事である。
トランスフォーマーユナイテッド
幾多の世界でオートボット(サイバトロン)に倒された為に精神体となって彷徨い、復活の機会を伺っていた。ユナイテッドの世界に辿り着いた彼はそこでその次元のディセプティコン(デストロンの手を借り、オートボットの宇宙船に憑依、「アークユニクロン」として誕生した。アークユニクロン自体はSF戦車に変形するが、至る所にユニクロンの面影を残している。ロボットモードは下半身が細くなっているものの、不気味さが増した。
尚、海外版と色が若干異なっている。
実写映画
第5作目『最後の騎士王』においてその一部とその名が登場した。
本シリーズのユニクロンはプライム版と同様、地球そのものである。
サイバトロン星そのもの接近に呼応して一部が目覚めてしまい、地球の6ヶ所にその角を出現させている。角の表出個所こそは表面的には何の共通点も無い様に見えるが、地球の古代のパンゲア大陸へと配置を変更すれば6個所の角の所在地の中心地にストーンヘンジがある。ディセンプティコンとクインテッサが執拗に地球を破壊しようとしているのはユニクロンの殺害こそが真の目的だからである。そして地球のエネルギーを吸収する事で抹殺と同時にサイバトロン星を完全復活させようとした。
しかしながら『最後の騎士王』の国内興行収入の低迷を受け、ユニクロンとの決着は「無期限延期」となってしまった。
余談
名前の語呂が語呂なだけに某衣料品店とかけられやすい。実際、ユニクロンではないがTFとのコラボレーションもあっただけにますますネタにされ易くなった。日本語吹き替え版『トランスフォーマープライム』ではエアラクニッドが本編でこのネタを披露し、原語版ではユニコーンと間違えられるネタを披露している。