概要
タイムふろしきとは、藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードはTC2巻収録「タイムふろしき」。
見た目は時計模様の風呂敷で、生物をこの風呂敷で包むと若くなったり年を取ったりする。古代生物の化石やワニの革のような死体の一部だったとしても、生前の状態まで時間を戻して生き返らせることが出来る。物なら時間を戻してピカピカの新品にしたり、時間を経過させてボロボロに古くしたり出来る。
また、壊れた物の破片や欠片一つだけに被せて時間を戻した場合、破片だけが新しくなるのではなく失われていたり欠けている部分を含めた完全な状態に復元することが出来る(下記の「無人島へ家出」ではのび太が既に身に着けていなかった衣服まで復元してその場に出現させている)。
他のひみつ道具に対しても有効で、下記の「強~いイシ」や「しんじゅ製造アコヤケース」ではタイマー式のひみつ道具に使用して時間を進めることで有効期間及び必要時間を短縮している。
包んだ物の時間が過去に逆行するか未来に進行するかは、表裏どちらで包んだかによって決まる。
原作版及び大山のぶ代版アニメでは、エピソードによって表と裏の効果が入れ替わっていることが多いのだが、水田わさび版アニメでは「赤色を表にして包むと逆行し、青色を表にして包むと進行する」という仕様で統一されている。
下記の『恐竜』では、包んだ物体の時間を1億年戻す際はそこそこの時間を要していたが、同じく下記の「化石大発見」では数億年の時間を瞬時に経過させている。
また、人間や生物の年齢を若くしたとしても、風呂敷を被る前の記憶は保持される(下記の「赤いくつの女の子」ではこの仕様を利用し、のび太が小さい頃に喧嘩別れしてしまった女の子と仲直り出来るようにする為、ドラえもんがタイムふろしきを使用してのび太を幼稚園児の頃の姿に戻している)。
参考として『ドラえもんのひみつ道具使い方事典1』では、外観こそ薄い布だがハイテクメカが搭載されており、「時流漏洩防止膜」、「未来流ファイバー」、「タキオン織りこみゾーン」、「過去流ファイバー」、「時流漏洩防止膜」の五重構造となっており、中央から放出されるタキオンエネルギーが、過去流ファイバーあるいは未来流ファイバーを通し、風呂敷で包まれた空間内に作用することで、包まれたものの時間が逆行あるいは進行すると解説されている。
同じく参考として『ドラえもんひみつ全百科』(『てれびくん』1980年6月号の付録)では、この道具は「四次元ポケット」の中(四次元空間)では機能しないと解説されているが、漫画版『新魔界大冒険』では、四次元空間内でも普通に機能する様子が描かれている(原作版の作中では、この道具を四次元空間内で使用したことはない)。
主な使用例
原作版短編
幼稚園児の頃に喧嘩別れしてしまったノンちゃんに謝りたいと考えたのび太の為に、ドラえもんはのび太を連れて「タイムマシン」で過去へ向かった後、この道具を使用してのび太を幼稚園児の頃の姿に戻した。
- 化石大発見!
エイプリルフールということで、化石を発掘しようとしているお爺さんを驚かせようと、ドラえもんとのび太が生ゴミを地面に埋めてその上に風呂敷を被せ、ゴミを化石にして埋め直した。しかし、これを元の生ゴミに戻そうとした時にある事件が起きる。
のび太の10年間の家出を無かったことにする為、ドラえもんがこの道具を使用し、20歳になったのび太を子供の頃の姿に戻した。
雪山で遭難した未来のしずかを助ける為、のび太がこの道具を使用して大人になり、「タイムマシン」で未来へ助けに向かった。
- のび太シンデレラ
ドラえもん達が「絵本入りこみぐつ」を使用して『浦島太郎』の世界へ入り込んだ際、お爺さんになってしまった浦島太郎に被せ、若い頃の姿に戻した。
真珠貝を培養するひみつ道具に被せ、本来なら真珠完成まで3か月かかる工程を30分に短縮した。ちなみにこの話のラストでスネ夫も真珠になってしまった。
- 強~いイシ
1年間連続で走り続けることを強制させるよう設定してしまったひみつ道具のタイマーを進行させることで、一瞬の内に機能停止させた。
- みせかけ落がきペン
のび太が1日10円でスネ夫に貸し、彼の母親が小じわを取る為に使用した。
大長編
時限爆弾のタイマーにこの道具を被せてタイマーの時間を戻し、爆発を回避した(正確には、大長編版では風呂敷が偶然タイマーに被さり、映画版ではロップルが風呂敷をタイマーに被せている)。
ドラミが使用し、敵が放った魔法により石化してしまったドラえもんとのび太を元の姿に戻した。また、作中の中盤で燃えてしまい灰になった魔法の絨毯を元の状態に復元した。
映画版
故障してしまった「進化退化光線銃」を修復した(ただし「タイムふろしき」が登場したのは映画版で、大長編版ではドラえもんはタイムふろしきを持ち合わせておらず、進化退化放射線源を工具で修理していた)。
自動停止機能が備わっており、指定した時間まで逆行した際はアラームが鳴り響いて知らせてくれるようになった。
また、水田わさび版アニメでは『恐竜2006』での演出がそのまま引き継がれており、基本的にどのエピソードでも時間を逆行及び進行させる際は、時計の針が動く(ような音が鳴り響く)演出になっている。
それだけでなく、時計の針が動く演出は『STAND BY ME ドラえもん』及び『STAND BY ME ドラえもん 2』、ソフトバンクCM『5Gってドラえもん?』(「未来のしずか登場」篇)でも採用されている。
アニメ版
- 大山のぶ代版アニメ
「気球で世界一周を!」では、破れてしまった気球の一部にタイムふろしきを被せた際、気球全体を瞬時に修復する様子が描かれている。
1991年版「南海の大冒険」では、上記の『恐竜2006』と同様に自動停止機能が備わっている。
- 水田わさび版アニメ
「ジャイ子とドラミに恋人!?」では、故障した「アニメーカー」を修復している。
「ママ、小学生になる」では、ドラえもんがタイムふろしきを洗濯して庭で干していた時に、のび太のママが誤って風呂敷を被ってしまい、のび太と同年代の姿に若返った。
2019年に放送されたアニメのアイキャッチでは、ドラ焼きを食べ切った後の皿に被せてドラ焼きを食べる前の状態に戻すことで、既に失われたドラ焼きをその場に出現させている。
番外編
- ドラえもん 最新ひみつ道具大事典
ドラえもんを耳があった頃の姿に戻す為、のび太が使用。しかし裏表を間違えてしまい、ドラえもんがボロボロになってしまった。
- ドラえもん 大昔大探検
墓荒らしを懲らしめる為、ドラえもんが「ようし、タイムふろしきで生き返らせてやる!」と言いながら、ファラオのミイラに被せて生き返らせた。
ちなみに、蘇った元ミイラは自分が先程まで死んでいたという自覚があるらしく、ドラえもんに「私を生き返らせてくれるとは神の子だ!」とお礼を言っていた。
- ドラえもん 恐竜大探検
『恐竜』及び『新恐竜』同様、化石に被せて生き返らせた。しかしこちらは卵の化石では無く、恐竜の骨そのものに被せた。
- 恐竜島大決戦
『恐竜大探検』同様、恐竜の骨に被せて生き返らせた。
上記の『海底鬼岩城』で破壊された「水中バギー」に被せて修復した。
3巻収録「戦国の覇王」にて豊臣秀吉の顔に被せたのだが、その際は何故か顔が猿人あるいは原人に先祖返りしてしまった(「進化退化放射線源」と同様の効果)。
一方、11巻収録「意外な味方!?」にてフック船長に被せた際は、原作版通り子供の姿に若返る効果を発揮していた。
また『ロボット養成学校編』2巻収録「パニック フリーマーケット」では、タイムふろしきは破片だけでも効果を発揮する様子が描かれている。作中ではビリビリに破れたタイムふろしきの破片を集め、一番大きな破片で残りの破片を包んで元通りの状態に戻している。
クロえもん達の対戦相手がこの道具を使用して大人になり、身体能力を底上げしようとしたのだが、トラえもんが放ったボールにより巻き起こされた風で風呂敷が被さってしまい、裏表が逆だった為に赤ちゃんになってしまった。
関連道具
上記の「タイムふろしき」以外にも、生物及び物体の時間を操作したり、壊れた物を修復出来るひみつ道具は数多く存在する。
- 復元光線
光線銃型のひみつ道具。
壊れた物にこの光を当てると、壊れる前の状態に戻すことが出来る。
原作版では割れた壺(TC1巻収録「(秘)スパイ大作戦」、TC37巻収録「なんでもひきうけ会社」、TCプラス4巻収録「みせかけ落がきペン」)を修復しているが、派生作品では半壊した家(水田版アニメオリジナルエピソード「クジラとまぼろしのパイプ島」)、更には崩壊した巨大な建造物(映画版『ひみつ道具博物館』)まで修復している。
上記の「なんでもひきうけ会社」では、壊れた壺に復元光線の光を当てた際、瞬時に綺麗な状態に復元される様子が描かれている。一方、2005年版「(秘)スパイ大作戦」では、復元光線を使用した際、バラバラの破片が集結する形で復元される様子が描かれている。
水田版アニメオリジナルエピソード「世界一のメロンパン」では、ペンキで全身が汚れてしまったジャイアンとスネ夫にこの道具の光を照射したところ、彼らの服と身体の両方をペンキで汚れる前の綺麗な状態に戻している。
上記の『恐竜大探検』では、恐竜の骨の化石に対してドラえもんがこの道具を使用したのだが、その際はバラバラだった化石が元の並びに戻るだけで、生前の姿に戻ることはなかった。
- もどりライト
ライト型のひみつ道具。
この道具の光を浴びせた物は、何でも原料の状態に戻すことが出来る。効き目は30分。ただし原料を丸ごと復元する仕様である為、例えば紙にこの道具を使用した場合は木が丸ごと一本その場に出現することになる。
- ムシャクシャタイマー
砂時計型のひみつ道具。
事前にこの道具をセットしておくと、物を壊してしまった時、この道具の向きを逆転させれば壊れた物の時間を戻して修復することが出来る。ただし使い捨てであり、4回使用した後は効果を発揮しなくなる。
- トカゲロン
薬品型のひみつ道具。
この液体を壊れた物に塗ると、壊れる前の状態に復元することが出来る。それだけでなく、半分に割れてしまった物に対し、この液体をそれぞれの破片に塗れば、物を二つに増やすことも可能。
- なおしバン
絆創膏型のひみつ道具。
壊れた物にこの絆創膏を貼ると、その物を修理することが出来る。しかし、絆創膏を剥がせば元の壊れた状態に戻ってしまう。
ロボットの怪我や損傷を修復することが出来る。詳しくは項目を参照。
- 全体復元液
小さなスポイト型のひみつ道具。
この液体を欠片に垂らすと、欠片から全てを復元することが出来る。欠片さえあればどんな物でも元の姿に戻すことが可能で、作中では食べかけのドラ焼きや破けた漫画の1ページ、玩具の部品や化石の欠片を元の状態に戻している(ただし化石の場合は、あくまでも化石の状態で全てが復元されるだけであり、「タイムふろしき」とは違い生き返らせることは出来ない)。
- 原料ライト
ライト型のひみつ道具。厳密にはドラえもんが取り出した道具ではなく、未来デパートから届いた試供品。
上記の「もどりライト」とほぼ同じ効果だが、こちらは段階を経て原料に戻っていき(のび太がこの道具を使用して紙を木に戻したのだが、その際は紙からパルプに、そしてパルプから木へと変化している)、作中での描写を見る限り効き目は永続する(先述の木を裏山に植えたのだが、のび太としずかが「タイムトンネル」を使用して10年後へ向かった際、その木は大木に成長していた)。
- 年月圧縮ガン
光線銃型のひみつ道具。
この道具から照射される「年月圧縮光線」を物体や生物に浴びせると、数百年~数千年以上の時間を一瞬で経過させることが出来る。それだけでなく「逆光線」を浴びせると時間を戻すことも可能。ドラえもん曰く「長い年月がかかる現象を手っ取り早く完成させる道具」とのこと。
作中ではドラえもんがこの道具を使用して太平洋プレートの動きを素早くし、日本とハワイをボートにより数分で往復出来る程の距離まで縮めていた。
- 復元ライト
大山版アニメオリジナルひみつ道具。上記の「復元光線」の完全上位互換。
基本的な効果は復元光線と同じだが、「タイムふろしき」及び上記の「全体復元液」と同様に、失われた部分も含めて完全な状態に復元することが出来る。
それだけでなく、一度復元した物を復元前の状態に戻すことも可能で、更には特定の部分のみを復元するという細かい調整も行える(ドラえもん曰く「お好み復元」という機能らしい)。
作中では野比家に保管されていたレコードが2つに割れてしまった為、ドラえもんがこの道具でレコードを新品の状態に戻す。しかしパパが「昔はこのレコードに傷がついていたお陰で、音楽が同じところで繰り返しになったから、いつまでもママと2人で踊ることが出来たんだ」と言った為、ドラえもんは再びこの道具を取り出し、上記の「お好み復元」に設定して使用することでレコードそのものは新品の状態を維持しつつ、元々レコードについていた傷だけを復元した。