概要
学校の部活動においては、野球部やサッカー部、ラグビー部、バスケットボール部、バレーボール部、陸上部、水泳部、あるいは剣道部や柔道部、相撲部など、スポーツや武道を主な活動内容に据えるものを体育会系と総称する(同義語として運動部系、体育系、運動系などがある)
伝統的に応援団やチアリーディング部などもそのくくりに入れられる
また近年では、吹奏楽部やオーケストラ部、合唱部、演劇部、書道部など従来は文化系と見なされていた部活動の体育会系的側面がクローズアップされることも多い。
またこの体育会系カテゴライズは、伝統校や強豪校、古豪、常勝軍団などと呼び習わされていたり、あるいは全国大会や全国コンクールでの優勝など、明確な目標がある部活動ほどより顕著である。
体育会系とは、それらの部活動に所属するような人たちに見られがちな性格や言動の総称である(必ずしも実際にそれらの部活動に所属している/いた必要はない)。
日本では体育会系出身者は絶対服従されて過ごしてきたという点から、一流企業では非常に望ましい存在として積極的に採用され、現在でも体育会系出身者を優先的に採用する傾向がある(スポーツアスリートの企業所属も同じことがいえる)が近年こそ、不祥事やモラル面などから体育会系学生の優先的採用を取りやめる動きも出ている。
またアメリカ合衆国でもジョック(Jock)と呼ばれ、高校・大学でもアメリカンフットボール部やチアリーディング部がスクールカーストの最上位にあり、文化系がナードと呼ばれて蔑む気質があった。1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件は文化系生徒のふたりがアメフト・チアリーディング部の生徒らからのいじめなどが積もった末に起こした惨劇である。
当たり前だが、体育会系であれば必ずしもスクールカーストの上位にいける訳ではなく、ポジションよりその中でも高い体力やコミュニケーション能力といったスペックが優先される。
ちなみにこの体育会系は多くは学生時代が絶頂期でそのまま終わる者が多いとされている。
むしろ、地元で同世代との人間関係を構築できなかったスクールカースト底辺の文化系学生の方が、都市部へ進学・就職し、経済的に成功する例が多い。
日本における体育会系の場合は進学・就職でも有利に働くため、ここまで極端ではないが、それでも年齢が上がるに連れ長所が目立たなくなり、短所が目立つようになるため、成功した文化系出身者ほどには名を挙げることは少ない。加え、年齢が上がるに従って以下のような問題を起こすようになる傾向もあり、いい企業に就職したものの活躍できず、なんらかの事情によりリストラなどが行われることとなった場合には年齢が上がるにつれ対象者に選ばれやすくなる。
- 理不尽な命令でも絶対服従という精神性で育ってきたため、逆に部下に対し理不尽な命令で絶対服従させようと試みるようになる。結果パワハラ上司やクラッシャー上司として処分される。
- 男女で部活を分ける傾向のある運動部を中心に人格を形成してきたため、不特定多数の異性との交流に慣れていない。このため、悪意なきセクハラをしてしまったり、同性間のマウンティングに拘って全体の信頼を失ったりする。
- 学生時代に同偏差値の学校出身の文化系に比べ、勉強をあまりしてこなかったため、言語力や論理的思考力が相対的に低く、マネジメントができない。特に英語力が致命的に劣るため、海外の取引先などとの交渉ではほぼ使えない。
- やたら大声を出す癖から、顧客を怖がらせてしまうことがある。
- 社会人になると年齢ではなく職務階級がモノを言うようになるため、学生時代のような年上には絶対服従という常識は通じないが、その変化に対応できない。相変わらず年齢を基準にモノを見る癖から、年上の部下に遠慮して適切な指示を出さなかったり、年下の上司に逆らったりするため、仕事が回らなくなる。
- やればできるというポジティブシンキングで全てを乗り越えてきた人生経験から、楽観的で無警戒な判断をしがちである。あえて悲観的に考え、先に起こるリスクを予測しつつ、それを回避する手立てを考えてから実行するという慎重さに欠けるため、最悪の場合労災事故を起こしてしまう。
- 根性論で新人に無理難題を強いる癖がある。結果、その新人の焦りやミスにより重大な不祥事を発生させてしまい、社内調査や第三者による捜査の過程でこうした言動が明るみに出ることとなる。結果、監督責任者としての責任を問われ、処罰を受けてしまう。
体育会系の典型例
- 先輩や上司、監督/コーチなど目上の立場の者には絶対服従
- 出された指示/命令はどんな理不尽な内容でも必ず実行
- いかに困難な状況も気合や根性などの精神論で解決
- 向上心が強く非常に負けず嫌いで、勝つためにはどんな苦労や努力も厭わない
- 愛の鞭、指導などと称する体罰やいじめが横行する
- 集団行動/連帯責任を好み、単独行動/個人責任を認めない
- 帰宅部や文化部を弱者と見下し、最悪の場合は苛めに走る可能性も
- 挨拶や返事は基本大声
- とにかく元気で明るくポジティブ
なお、現実社会で体育会系組織の究極として存在するのは、
ヤクザやブラック企業、徒弟職人、落語家一門、演劇・映画、プロスポーツチーム、 消防士・警察等の一部の公務員 、そして軍隊である。
創作世界における体育会系キャラクター
そもそもスポーツや武道を主題にした漫画やアニメに出てくるキャラクターの大半は体育会系なメンタルを持っているわけだが、そうでない場合でも、ストーリーにスパイスを与える存在として、特に学園系の物語には必須の名脇役である。
あるいは生徒会や風紀委員会などの委員会系組織が、体育会系を含む学校内すべての部活動を従えるさらに上位の体育会系的組織として君臨している場合もある。
年長者に存在する場合
兄貴や番長、あるいは師匠など一種独特のカリスマ性を持った人物として、主人公の成長や人格形成に多大な影響を与えることがある
単に先輩や上司としては、主人公をパシリ扱いしたり無理難題や厄介事を強制的に押しつける迷惑な存在として描かれることが多いが、その実人一倍主人公のことを目に掛けるツンデレタイプだったりもする。
主人公を宿敵と見なし喧嘩を売るが時には共闘する。
同年代に存在する場合
主人公が文化系や一匹狼、天才だったりする場合、集団の和を乱す存在と見なし毛嫌いする組織の構成員として出てくることが多い
あるいは主人公をリーダーとして信奉する集団として存在する場合もある
年少者に存在する場合
主人公のいうことなら何でも聞く可愛い後輩ポジションに収まっていることが多く、主人公のアドバイスを忠実に守って事を成功させたりと、主人公の株を上げるのに一役買う
弟分で主人公を尊敬している
主人公には敬語を使うが、だらけていると見下して慇懃無礼な態度をとる
また、性格面での長所と短所が両極端に強調される傾向にある
長所が強調された場合
- 気合や根性、ポジティブさが熱血へと昇華され、芯があって頼れる存在に
- 強敵と対峙しても精神的に後れを取ることがなく、それが結果として攻略の突破口に
- 仲間のため、共通の目的遂行のため、自ら進んで捨て石になったりする
- 小賢しい作戦を実行する敵キャラを正面から正攻法で撃破するヒーローに
短所が強調された場合
- 間違った命令も(時に集団で)疑うことなく実行するため、総じて軽んじられがち
- 理論的に物事の解決を図る文化系の主人公に対して、精神論一本槍で臨むかませ犬に
- 活発さやポジティブさが、粗暴や野蛮、無神経といった負の属性に置き換わり、非行に走っている者も多い
- 自分より立場の弱い存在にパワハラ扱いされて訴えられる
また、外見的に判りやすく体育会系と認識させるために、
制服指定があるはずなのに常にジャージやユニフォームといった服装で学校を歩き回る、
特訓好きでなにかというとすぐ竹刀を振り回すなどのキャラクター付けがされる場合もある
なお、しばしば並べて語られる脳筋とは必ずしも一致しないことに注意。
集団意識から規則や良識に厳しい体育会系に対し、個人レベルの脳筋キャラは細かいことを気にしない大雑把な性質のため、むしろ善悪問わず常識にとらわれない脳筋に体育会系が食ってかかるパターンもある。もっとも、体育会系組織には「とにかく鍛えろ」「根性で乗り切れ」といった脳筋的な思考が文化として深く根差していて、これを成員に規律や権威をもって強制することはよく見られる。
テスト等の成績が低いとスポーツが多少なりとも制限される場合もあり、学力も帰宅部よりも高いという意見も少なからず見られる。
スラムダンクの登場人物で例えた場合、赤木剛憲は優等生だが、逆に桜木花道は脳筋という二極化する場合もよくある。
ただし…
実はこの体育会系は20代まではまだいいが、30代に入ると様々な問題に直面する。まず絶対服従に慣れきったままの場合は完全に指示待ちになってしまい創意工夫ができなくなってしまう。
親が過干渉の場合、必然と体育会系の人格に育ちやすいが、マイナスのところばかりが目立つことが殆どで、それが原因で落ちぶれる危険性もある。
また、内面に積もり積もった理不尽への鬱屈が限界を迎えて肉体ならびに精神に影響を及ぼしてうつ病に至るというケースもある。