概要
本名は「Stephen Vincent Strange」。
ファーストネームは訳者によって、スティーブンとステファンのどちらかとなる。
「ストレンジ先生」と本名+肩書を名乗り活動をしているヒーローではあるが、ファミリーネームとしては珍しい部類に入るため、劇中でも「奇妙な医師」を意味するヒーローネームと勘違いされることがある。
しかし、交通事故によって手に大怪我を負い、精密な手の動きが出来なくなってしまう。
脳外科医の道を閉ざされ、貧困のどん底に落ちたストレンジだったが、ある時「チベットにどんな傷も治す魔術師がいる」と聞きつけ、藁にもすがる思いでチベット(MCUではネパール)へ赴く。
チベットの魔術師エンシェント・ワンは、紛れも無く本物の魔法・魔術を扱う魔術師であった。
ストレンジの中に何かを感じ取ったエンシャント・ワンは、治療する代わりにストレンジに弟子入りを持ちかける。
7年間の修行の末に魔術を会得したストレンジは、魔術を正しき事に使う為「ドクター・ストレンジ」を名乗ってヒーロー活動を開始する。
エンシェント・ワン亡き現在ではマーベルユニバース最高の魔術師(ソーサラー・スープリーム)となっている。また、長い年月をかけて自身の力で能力を培ったために人生経験が豊富であり、良く出来た人格者として様々なヒーローたちの相談相手及び彼らを導く存在として頼りにされている。
能力
魔術系ヒーローであるため、魔術を用いて様々な現象を起こす。それ以外には占星術を用いて近い未来を予知したり、テレパシーによって思念を飛ばす事も可能。また、長年の修行によって不老となった(ただし、不死ではない)。さらに魔法が使えない時の対処法として、ある程度の格闘スキルも身に着けている。
黒魔術
ある意味ストレンジにとっての「禁断の奥義」。
通常の魔法では起こせない程の超常現象を扱う事ができる強力な魔術だが、使用には様々なリスクが付いて回る。なのでストレンジは滅多なことでは使用しないし、本人もこれを嫌っている節がある。
交友関係
魔術の師匠。
実写(MCU)版にも登場するが、性別が女性に変更されている。
ワンの召使い。身の回りの世話のほか、戦闘時は彼のサポートも行う。
MCUにも登場するが、召使いではなく対等な仲間という間柄。
- クレア
弟子であり恋人。実はドルマムゥの姪。
ともにディフェンダーズとして活動もしている。
MCUには第2作のポストクレジットシーンで初登場。
- クリスティーン・パーマー
演:レイチェル・マクアダムス
吹替:松下奈緒、森なな子(アニメ『ホワット・イフ...?』)
MCU版のメインヒロインで、ストレンジの同僚の若き救急救命医。
一応原作に元ネタはおり、「Night nurse」という3人の看護師のうちの1人。
(こちらが原作版)
2007年に刊行した「Doctor Strange: The Oath」と言うエピソードの中でストレンジと恋仲となり、この辺りの設定が今回の映画に使われた。
しかし彼とは性格が合わなかったようで、第2作の冒頭で他の男性と結婚式を挙げた。
その他ヒーロー
彼が中心となって、超自然の驚異からこの次元を守る為に結成したヒーローチーム。
ともにアベンジャーズの助っ人要員であり、アルティメットスパイダーマンのアニメシリーズでもよく絡む。
スパイダーマンの方から超常関係の事件の手助けを求められるのが主なパターンだが、ストレンジの方から協力を求めることも少なくなく、実質的な力関係は厄介事を持ち込み・持ち込まれで割とイーブン。
ヴィラン
暗黒次元(ダークディメンション)を支配する魔神で、ストレンジの宿敵。
MCU第1作でも実質的なラスボスとして登場する。
異次元カオスディメンションの神。
エンシェント・ワン門下、ストレンジにとっては兄弟子だった男であり、最初のヴィラン。
MCUにも登場するが、いくつか設定が変更されている。
実写(MCU)版
演:ベネディクト・カンバーバッチ、日本語吹き替え:三上哲
現状、主人公として活躍する映画2作(いわゆるタイトルロール)を含めた7作に登場している。
なお存在の示唆を含めれば初登場は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年公開)で、「インサイト計画の標的にスティーブン・ストレンジも含まれている」というセリフから、魔術を身に付けていない一般人であっても、その卓越した医療技術がヒドラにとって脅威的な存在であることに変わりはなかったようである。
ドクター・ストレンジ
2016年公開の初の単独作かつデビュー作。ヴィランはカエシリウスとドルマムゥ。
ストレンジが魔術師となる経緯は概ね原作と同じだが、総本山の場所がチベットからネパールになっており、また「カマー・タージ」という名前がついている。
マイティ・ソー バトルロイヤル
地球を守る魔術師として、地球に来たソーとロキを招き、尋問。彼らが父・オーディンを探していると知り、その場所へと導く。
既に魔術師としての風格を備えている。
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
ニューヨークのサンクタムに落下してきたブルース・バナー / ハルクからサノスの脅威が迫っていることを聞き、ヴィジョンのマインド・ストーンの安全を確保するためトニー・スターク / アイアンマンと会う。その直後、サノスの部下エボニー・マウに奮戦空しく拉致され、トニーやピーター・パーカー / スパイダーマンとともにサノスの故郷・タイタン星へ連れていかれる。現地で知り合ったガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとともにサノスと戦うも、四つのストーンを揃えたサノスには勝てず、最後には自らタイム・ストーンを渡してしまう。そして地球に行ってマインド・ストーンを入手したサノスの指パッチンによって消滅する。サノスとの戦いの直前には、タイム・ストーンを使って1400万605通りの未来を観察し、勝利を収められるのはその中のたった一つしかないと告げた。
今作では『ドクター・ストレンジ』での傲慢な性格が復活し、「タイム・ストーンを守る」という方針を巡って、特にトニーとは互いにそりが合わなかった。
アベンジャーズ/エンドゲーム
生き残ったアベンジャーズの活躍により復活し、共にタイタンで消滅した面々と地球に帰還。
ウォンとも再会し、各地から駆け付けた魔術師仲間とともにアベンジャーズの一員としてサノス軍と戦い、勝利を掴み取る。
戦いの末に自身が観た「たった一つの勝利の未来」を実現させる事に成功するが、それでも払った代償は決して小さい物では無かった。そして戦いの後、その代償によって傷心していた者達が更なる悲劇に見舞われ、不幸にもそれが新たな事件の引き金となってしまう。
奇しくも事件に関わったストレンジは、収拾に動き続ける事になる。
ホワット・イフ...?
第4話に登場。
正史と異なり、交通事故で両腕ではなく、恋人のクリスティーンの命を失ってしまう。
その後は正史通りにエンシェント・ワンに弟子入りし、魔術師となったが、クリスティーンを失ってから2年後に、どうしても彼女を諦めきれず、タイム・ストーンで事故の直前まで時を巻き戻してしまう。
しかし、事故の原因となった無茶な運転を控えるも、結局事故が起こってクリスティーンを失う。その後、何度も時を巻き戻し、選択を変えても、クリスティーンの死を回避することはできなかった。
事故直後の時代にて絶望するストレンジの前に(この時代では出会う前の)エンシェント・ワンが現れ、クリスティーンの死はこの世界の絶対点であり、回避不可能であることを教えられる。諦めきれないストレンジはエンシェント・ワンと魔術をぶつけ合い、古の魔術師カリオストロの書庫へと転移する。書庫の番人オー・ベンの協力を得たストレンジは、不可能を可能にする方法として、魔物を直接取り込んで魔力を得るという狂気の方法を取る。
やがてストレンジ・スプリームとなったストレンジは、エンシェント・ワンと魔術をぶつけ合ったときに自分と「クリスティーンの命を諦めたストレンジ」に分離したことを知り、もう一人の自分を手元に転移させ、魔術戦の末に彼を吸収し完全体となる。
そして望み通りクリスティーンを蘇生させるが、絶対点を破壊してしまったがため、世界自体が崩壊。自分を見続けていたウォッチャーに助けを乞うも断られ、クリスティーンも消滅し、ひとかけらの宝石のように小さくなった世界の中で己の所業を嘆き続けるのであった。
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
ミステリオの策略により殺人容疑の汚名を着せられ、周りの人にも危害が及んでいたピーターに頼まれて「全世界の人間から自分がスパイダーマンという記憶を消す」という危険な魔術を使うことに。しかしその途中でピーター本人に邪魔をされ、別の宇宙から「スパイダーマン = ピーター・パーカー」であることを知る人物(=過去シリーズに登場したヴィランたち)を呼び寄せてしまう。
さらに彼らのうち3人が元の世界で死ぬ運命であることをピーターに教えた結果、彼らを助けたいピーターに暴走した魔術を抑え込んでいた匣を奪われ、ミラーディメンションに閉じ込められてしまう。
最終決戦の中盤に帰還したが、魔術の暴走はもはや全マルチバースに影響する段階まで来ており、それを解決するためにピーターの頼みである魔術を行使。一旦は状況を収めることに成功した。
今作ではピーター、MJ、ネッドら若者に振り回される苦労人の描写が多い一方、ピーターの最後の自己犠牲を躊躇するなど、優しい一面も見せた。
なお自身が消滅していた『インフィニティ・ウォー』から『エンドゲーム』の間に、ソーサラー・スープリームの称号がウォンのものになっていたことが判明する。
番外:スパイダーマン2
MCUとは関係ないが、名前だけは登場していた。
と言っても、ビューグル社内で「事故の影響でヴィランと化したオクタヴィアス博士」を記事にする際どんな呼称で書くか話し合ってる時に案の一つとして挙がっただけである(結局お馴染みの呼び名に決まった)……要するに制作陣のお遊び。
そして約17年後、上記の通り『ノー・ウェイ・ホーム』でその彼本人と共演し、さらに『2』の監督であるサム・ライミは『マルチバース・オブ・マッドネス』を手掛けることになる。
マルチバース・オブ・マッドネス
2022年公開の単独作第2弾。
『ノー・ウェイ・ホーム』においてマルチバースの扉を開いてしまったことで、異世界からの脅威が襲来。ウォンやワンダ・マキシモフ / スカーレット・ウイッチ、マルチバースを行き来できる能力を持つアメリカ・チャベスとともに立ち向かう。
本作ではこれまでのストレンジ(主人公の「アース616」の彼)とは別宇宙の同一人物が3人登場する。以下区別のため、彼本人は"ストレンジ"とし、3人は一部媒体での呼称を用いる。
- スプリーム・ストレンジ
- シニスター・ストレンジ
- カマー・タージにも禁術として伝わる、マルチバースに干渉できる魔導書「ダークホールド」に手を出し、結果自らの宇宙を崩壊させる「インカージョン」を引き起こしてしまったストレンジ。
- 前宣伝で"宇宙最大の脅威"とされており、その姿から上記のストレンジ・スプリームと同一人物という予想も多かった。
- ディフェンダー・ストレンジ
- 序盤にチャベスと行動していたが、謎の怪物との交戦で死亡。遺体はチャベスとともにストレンジの世界に来た後、ビルの屋上菜園に埋葬された。
ストレンジはディフェンダーが死ぬ経緯を夢として見ており、その翌朝にクリスティーンの結婚式に出席していたが、ガルガントスに襲われていたチャベスを見て式を抜け出し、彼女をウォンとともに助ける。
彼女から事情を聞いた後はその身柄をカマー・タージに預け、自身はアベンジャーズとして共闘したワンダに助けを求める。
しかし、ワンダこそがガルガントスを遣わしてチャベスを狙っていた張本人であった。
『ワンダヴィジョン』を経てダークホールドに手を出し、既に欲望に取りつかれていたワンダはストレンジが『ノー・ウェイ・ホーム』でピーターのために危険な魔術を使ったことを引き合いに、犠牲は致し方ないとチャベスの引き渡しを要求するが、彼の自己犠牲を理解していたストレンジは拒否。戦いに発展し、多くの犠牲者を出す形でカマー・タージを破壊されてしまう。
だがウォンの機転により、土壇場でチャベスの転移能力を利用してアース838に移動。イルミナティの施設に連れていかれ、研究員として勤務しているクリスティーンからマルチバースについて説明される。
さらにモルドやプロフェッサーXら幹部から、スプリーム・ストレンジがダークホールドに手を出してしまい、サノス打倒後に自ら処刑されたこと、彼のようにインカージョンを起こしかねない危険な存在と見なされ、これからその裁判を始めることを告げられる。
しかし時を同じくしてチャベスを狙ったワンダが施設を襲撃。これに乗じてモルドを出し抜き、チャベスを牢から出したクリスティーンと合流。スプリームが遺した、ダークホールドに唯一対抗できる書物「ヴィシャンティの書」がある空間へ向かうが、最終的にチャベスをワンダに連れていかれ、クリスティーンとともにシニスター・ストレンジの宇宙へ飛ばされてしまう。
そこでシニスターと戦い勝利。彼が持っていたダークホールドを奪い、他宇宙の自分を操るドリームウォークの呪文で、半ば白骨化したディフェンダーの肉体に憑依。
悪霊に取り憑かれるアクシデントが起きたがそれすらを利用する荒技で行使して、ワンダゴア山の遺跡でチャベスから能力を奪おうとするワンダと戦い、チャベスの覚醒もあって死闘の末にようやく彼女の目を覚まさせる事に成功する。
しかし過ちを悔いたワンダはダークホールドの原書の元である遺跡を破壊し、崩壊の中で行方知れずとなってしまった。
ドリームウォークの際に助けてくれた838のクリスティーンとも別れ、兎にも角にも平穏な日々を取り戻すが、程なくして額に第三の目(※)が出現してしまった。
※原作ではパワーアップ後の特徴なのだが、今作ではシニスターと同じ特徴であり、一時的にでもダークホールドを使った代償の可能性が指摘されている。
今作では未熟な若者の成長を見守る一面が見られ、特にチャベスに対する姿勢が『ノー・ウェイ・ホーム』でのピーターに対する態度や、ワンダに利用されるくらいならとチャベスを処理しようとしたディフェンダーと対比されている。
ポストクレジットシーンでは、突如現れた謎の女性・クレアとともに、インカージョンを修復するべく別の宇宙へと旅立った。
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Dr.ストレンジ - 表記ゆれ。