概要
食用のものでも、例えばジャガイモは芽や極端に小さい芋(わかりやすく言えばだいたいビー玉くらいの大きさ)に毒を含んでいることでよく知られている(ジャガイモ以外のナス科ナス属の植物、例えばトマトやナスの茎や葉も有毒である)し、梅も生の未熟果(いわゆる「青梅」)や仁(種子の中身。「さね」と読む)に毒成分を含むことが知られ「梅は食うとも仁食うな 中に天神寝てござる」ということわざがある。
有毒・無毒の基準はそれを摂取する生物によって違ってくるし(例えば、タマネギやニラなどは我々人間にとってほぼ害のない野菜であるが、犬や猫などにとっては致死製の猛毒植物となりうる)、無毒あるいはそれに近いものであっても過剰摂取すれば大抵は体に悪影響を及ぼすため、厳密にどこからどこまでが有毒植物なのかと決めるのはなかなか難しい。以下の有毒植物一覧には知名度の高いものや低いもの、体質によって中毒することがあるものをまとめた。
有毒植物一覧
(★マークは死亡例のある猛毒植物、太字は一部が食用又は毒抜きすれば食べられる植物、カッコ内は有毒な部分)
ア行
- ★アオツヅラフジ(全草、特に果実)
- アサ(種子以外の全草。麻薬及び向精神薬取締法で栽培が禁止されている)
- アサガオ(種子)
- アジサイ(葉)
- ★アセビ(木本全体)
- アブラギリ(種子)
- アボカド(果実。人間以外の動物には毒)
- アンズ(未熟果、種子)
- ★イチイ(仮種皮以外の全体)
- イチョウ(仮種皮)
- ★イヌサフラン/コルチカム(全草、特に球根)
- イボガ(根。幻覚性の毒)
- インゲンマメ(加熱の十分でないマメ)
- ★ウパス(樹液、矢毒に利用)
- ウマノアシガタ(全草)
- ★ウマノスズクサ(全草)
- ★ウメ(未熟果、種子)
- ウルシ(葉や樹皮、漆も乾燥が十分でないとかぶれを引き起こす)
- エゴノキ(果実。かつては魚毒に利用されたが現在は違法)
- エニシダ(花の蜜)
- エンレイソウ(全草)
- ★オオミフクラギ(木本全体、特に種子)
- ★オキナグサ(全草)
- オトギリソウ(全草、特に茎の汁)
- オニドコロ(芋、ムカゴ)
- ★オモト(全草)
カ行
- カート(別名はアラビアチャノキ、葉に陶酔性あり)
- ★カラバルマメ(種子)
- カロライナジャスミン(木本全体)
- キキョウ(根)
- キャッサバ(根)
- ★キョウチクトウ(樹木全体)
- ★ギンピーギンピー(植物体のトゲ)
- クサノオウ(全草、特に草の汁)
- クララ(全草)
- ★クラーレ(樹木全体、矢毒に利用される。ツヅラフジ科の蔓性木本の「コンドデンドロン・トメントースム」とマチン科の低木の「ストキリノス・トキシフェーラ」のニ種類が「クラーレ」という名称を持つ)
>★グロリオサ(全草、特に根茎)
- ケシ(種子以外の全草、麻薬及び向精神薬取締法で阿片ケシの栽培は禁止されている。ただし、オニゲシやオリエンタルポピーなどの厳格成分がほとんど含まれない品種は栽培可能)
- ケマンソウ(全草)
- ★ゲルセミウム・エレガンス(木本全体)
- ★コバイケイソウ(全草)
- コマクサ(全草)
- ★コヨティロ(木本全体、特に果実。ナツメに近縁のクロウメモドキ科の木本植物だが、家畜や人間に有毒で、摂取から発症まで時間差がある。症状は、異常行動や衰弱を経て、死に至る)
- ★コンフリー/ヒレハリソウ(全草。2004年まで健康野菜として利用されていたが、肝硬変などの症状を引き起こした事例があり、現在は有毒植物として扱われる)
サ行
- ザクロ(果皮)
- ★ザゼンソウ(全草。我が国のものは濃い赤紫色だが、北米のスカンク・キャベッジと呼ばれる黄花の品種は致死性が日本産のものに比べて高い)
- ★サワギキョウ(全草)
- ★シキミ(木本全体)
- ★ジギタリス(全草)
- ジャイアント・ホグウィード(全草。樹液に触れると植物性光線皮膚炎になり跡は数年間残り続け目に入ると失明する。)
- ジャガイモ(葉及び緑化したイモ)
- スイセン(全草、特に葉や球根)
- スギ(体質によっては花粉によるくしゃみなどのアレルギー症状を引き起こす)
- ★スズラン/ドイツスズラン(全草)
- ★ストロファンツス(木本全体、矢毒に利用。経口では毒性を示さないため、矢毒に汚染された肉を食べても問題ない)
- スモモ(未熟果、種子)
- セロリ(体質によってはセロリを食べたあと、痛みを伴う酷い日焼けをすることがある。また、傷んだ部分を素手で触っても類似の症状が起きる)
- ★ソテツ(木本全体、特に種子)
タ行
- ダイズ(加熱の十分でないマメ)
- タガラシ(全草)
- タケニグサ(全草)
- タバコ(全草。喫煙用のタバコ栽培は免許を取得してからでないと違法である。また、一昔前に栽培が解禁された観賞用のハナタバコ、いわゆるニコチアナという園芸名で知られる品種も喫煙用タバコほどではないものの有毒成分を含む。)
- タマネギ(人間にとっては食用野菜だが、犬や猫には猛毒である。他のネギ科の野菜も同様)
- ダリア(球根)
- チューリップ(全草、特に球根や草の汁、毒の無い食用種も存在する)
- ★チョウセンアサガオ類/ダチュラ(全草、キダチチョウセンアサガオ、いわゆるブルグマンシアも同様)
- ツタウルシ(木本全体)
- ツツジ類(花の蜜)
- ディフェンバキア(草の汁)
- ★デスカマス(全草)
- テッポウウリ(果実)
- デルフィニウム(全草)
- ★トウゴマ(種子)
- ★ドクウツギ(木本全体)
- ★ドクゼリ(全草)
- ★ドクニンジン(全草)
- トマト(未熟果、熟した果実以外の全草)
- ★トリカブト(全草)
ナ行
- ナス(果実以外の全草)
- ナンテン(葉)
- ニガカシュウ(芋、ムカゴ)
- ニガヨモギ(全草。陶酔成分を含んでいて、蒸留酒として名高いアブサンの原料として知られる)
- ニチニチソウ(全草。茎の汁が肌に触れると軽い痛みが走ることがある)
- ニワトコ(果実。生食では有毒なのでジャムや果実酒にする)
- ヌルデ(樹皮。ウルシほどひどくはないが、触ると皮膚がただれて痛む)
- ノウルシ(全草)
ハ行
- ★バイケイソウ(全草)
- パイナップル(未熟な果実を食べるとひどい下痢を引き起こす)
- ハッカクキリン(樹液)
- ハシリドコロ(全草、特に新芽)
- ハズ(巴豆、種子)
- ハリエンジュ/ニセアカシア(葉、果実、樹皮)
- ヒカマ(種子)
- ★ヒガンバナ(全草。球根が一番危険)
- ヒョウタン/ユウガオ(果実。ウリ科特有のククルビタシンという有毒成分が含まれ、数年前にカボチャやズッキーニでもククルビタシンによる中毒症状が出ている)
- ヒョウタンボク(果実)
- ★ヒヨス(全草)
- ビンロウ(果実。果実をキンマ(コショウ科)の葉や石灰とともに噛み続けると陶酔感を覚えるが、摂取し続けると癌になるリスクが高まる)
- ★フクジュソウ(全草)
- フジ(藤、種子)
- ベニバナインゲン(加熱の十分でないマメ)
- ★ベラドンナ(全草)
- ペヨーテ(全草、幻覚性成分のメスカリンを含むサボテンであるが、日本の多肉植物専門店や園芸店で扱われているものにはほとんど含まれない。一名を烏羽玉という)
- ホウチャクソウ(全草)
- ポインセチア(樹液。1914年にハワイで少女がこの植物で中毒死したという記録があるが、現在ではごく弱い、樹液に触れると皮膚が痒くなるくらいの毒性しか含まれていないとされる)
マ行
- マダガスカルジャスミン(木本全体、ただし中毒例の報告はなし)
- ★マチン(種子)
- マムシグサ(全草)
- マユミ(種子)
- マンゴー(ウルシアレルギーを持つ人は、マンゴーの木の幹を触ったり、果実を食べたりすることでウルシの樹液や葉に触ったときと似たような症状が起こる。同じウルシ科のカシューナットノキでも類似の症状例がある)
- ★マンチニール(木本全体、特に果実や幹)
- ★マンドレイク(全草。その強力な毒性から様々な伝説が生まれた)
- ミトラガイナ(葉、葉をチューイングガムのように噛み続けると一種の陶酔や興奮を覚える。日本では数年前に法規制がかかり始めた)
- モモ(未熟果、種子。また、体質によっては果実表面の産毛に触ると皮膚に痒みを覚えることがある。)
- モロヘイヤ(種子)
ヤ行
ラ行
- ★ラットベイン(モノフルオロ酢酸塩という非常に珍しい致死性の高い毒素を含む。この植物を食べた動物が死んだ後も毒素が体内にとどまり、捕食者が動物を食べると、捕食者が毒を受けるなどの食物連鎖が続く)
- ラナンキュラス(草の汁)
- ランタナ(全草)
- レンゲツツジ(花の蜜)
- ★ローレルジンチョウゲ(全草)