《蜈画姶髫》
「オ前達ニ私ノ心ノ傷ガ分カルカ!?」
データ
身長/194cm
体重/249kg
スキン/燃えるオーラ
概要
サンタクロースの「時代とともに変わった人々に復讐する」という欲望を叶えるために誕生した光モデルのヒトツ鬼。
ベニツ鬼が、機械のディテールが入った仏像を思わせる複数の手を持ったスキン・“燃えるオーラ”を身にまとった姿。如来像や千手観音を思わせるアルカイックスマイルをたたえた黄金の右半身と、阿修羅像や不動明王を思わせる憤怒の表情の黒い左半身に分かれた上半身から五対十本の腕が伸びた構成で、内八本の腕が炎のシルエットを思わせる形状で配置され、残る二本の腕は胸中央で三角形を作る格好で配置される。更に額へは太陽を模した鏡が付き、背中の光背はそのまま炎を象っている。
総じて非常に複雑かつ豪奢な外見になっているが、色合いの微妙な安っぽさやどこか恨みが滲み出ている顔の形相等が仏像に不可欠な神々しさを打ち消しており、結局は宿主のひねくれた感情を具現化した面妖かつ悪趣味な偶像以外の何物でもない。
変貌時にはオーラと共に「蜈画姶髫」(光戦隊)の文字化けと、光戦隊マスクマンのクレストが浮かび上がる。
人を超えた苦労の鬼となり、本気のプレゼントを喜ばない子供達にどんどん気落ちしていった。モンスター化すると歪んだ愛のソルジャーとなり、人々に不気味なプレゼントを贈りつけた。宿主に戦闘経験が無い為基本は逃げを優先するが、戦闘ではメディテーションで一気に浮遊して、生意気な敵をオーラパワーでねじ伏せる。
このヒトツ鬼は他の個体とは異なり、自らヒトツ鬼になったのに加えてヒトツ鬼にしては珍しい復讐というストレートな欲望から生まれた。
活躍
人々の波動で成り立つ世界イデオンは波動のお礼にとクリスマスにサンタとなってプレゼントを配る風習がある。そして今年のサンタは脳人三人衆が務めることになるのだが彼らはサンタクロースを知らない。それでドンブラザーズに教えてもらおうとし、介人からサンタクロースを紹介されるのだが、彼は人々に絶望し食べ残しが付いた缶詰や使い古した歯ブラシ、使い潰して臭くなった靴等のゴミを人々に配る嫌がらせを行うヒトツ鬼へと化していた。
彼等に同行していたサンタを信じる少女の言葉も彼にはもう届かず光鬼へと変貌し逃亡、大任を控える脳人三人衆を特訓に向かわせドンブラザーズがサンタを止めるべく立ち向かう。
ルパンレンジャーアルターとパトレンジャーアルターを合体させてのビーム攻撃を放つドンモモタロウアルターに続いて、ニンジャークソードを手にしたイヌブラザーがアバターチェンジしたニンジャブラックの忍術攻撃、そして最期はゴールドンモモタロウの『抱腹絶桃・フェスティバル縁弩』とドンドラゴクウの『ライトニングドラゴンフラッシュ』の同時必殺技を受けて撃破、元の姿に戻った。
また、撃破時にマスクマンギアがドロップされた様子。
サンタクロース
ドンブラザーズの世界におけるサンタクロース本人であり、五色田介人の友人である老年の男性。本名は不明だが、字幕放送では「リアルサンタ」表記となっている。
かつては介人と共にヒーローである事を誓い合った間柄で、サンタとしての使命を懸命に果たそうとしていた。
また幼少期の桃井タロウも遭遇したことがあったようで、深夜に自室で寝ている際に彼のおもちゃを持って行ってしまったとのこと(それはサンタのフリをした泥棒ではないかとはるかから疑われていたが)。
しかし時代の流れに伴う子供達の趣向の変化を目の当たりにし、徹底的なリサーチを行う事になる。
そして、クリスマスプレゼントにゲームソフトを欲しがる少年のために何とかソフトを確保するが、クリスマス当日にその彼が「兄が欲しい」と言う言葉を聞き、「ワシ自身がお兄ちゃんになることだ」と言わんばかりに家に押しかけた結果、不審者扱いされ、警察に逮捕されてしまった、という悲しい過去を持つ(タロウからは「当然だろうな。それは」と冷ややかにツッコまれていた)。
こうして人々に絶望した結果人が変わってしまい、ヒトツ鬼へと化してしまった。
彼の欲望=心理状態は、「自分の苦労と努力が人々に響かず報われなかった」事への逆恨みが主な半面、「それでも人々に贈り物を届けたい」とのサンタ本来の使命感も忘れていないのを窺わせている。光鬼が恨みで歪んだ慈しみと憤怒の相を併せ持つのは、こうした心理面の矛盾と葛藤を反映したからだろうか。
事件が解決しヒトツ鬼から元に戻った後、恨みの感情を解消されて佇んでいた所でタロウからプレゼントの詰まった袋を手渡される。
実は、先述のおもちゃを持ち去った一件は「配るプレゼントが足りなくなったためおもちゃの寄付を頼まれたタロウが差し出した」、というのが真相であった。そしておもちゃを寄付してくれたお礼か、彼の遊び相手になってくれたのがサンタクロースであった。
タロウに発破をかけられた彼は赤い服に変身しサンタへと復帰。
クリスマスイブの夜、再びサンタクロースは空を駆けるのであった。
はるか(出たー!やっぱクリスマス定番の…このオチかい!!)
余談
- モチーフ戦隊は『光戦隊マスクマン』。また、電子鬼以来ヒトツ鬼ングにならなかったヒトツ鬼となった。
- 「未知の力が秘められていたオーラパワーを鍛え上げた事で無限の力を発揮し、『戦う君は美しい』を体現した」存在と成ったマスクマンに対して、光鬼は「未知の存在のサンタが一度の過ちで落ちぶれてしまい、不気味なプレゼントを押し付ける『美しさとは程遠い』存在へと成り果ててしまった」というこれまた皮肉が効いた存在である。また、過去の出来事で起因してサンタを辞めようとしたのは、原典におけるX1マスクの変身者である飛鳥リョオと境遇が似ている。
- また、双子の兄妹(姉妹)でありながらタケル/レッドマスクを介する形で対立したイアル姫と地帝王子イガム、あるいは醜悪な正体を豪奢な装飾を纏う形で隠していた地帝王ゼーバ/リサールドグラー2世のイメージも複合しているとも考えられる。なおイアル/イガムの双子は、自分らの生まれた一族を守護するイガム竜と共にゼーバの正体を暴き、最終回で地帝王ゼーバによって絶体絶命のピンチに陥ったマスクマンを救出する大役を務め、勝利へ導く大きな役割を果たした。
- リアルサンタを演じた螢雪次朗氏は『美少女仮面ポワトリン』のディアブル役や『牙狼シリーズ』の倉橋ゴンザ役など多数の特撮作品に出演しているが、スーパー戦隊シリーズへの出演は今回が初となる。
- 今回翼がニンジャブラックにアバターチェンジをしたが、今回登場する『忍者戦隊カクレンジャー』のクリスマス回で本物のサンタクロースが登場する回があったのが理由だと思われる。また、マスクマンに登場するイエローマスクは忍者の家系出身であり、何の偶然か名前はハルカである。
- また、タロウがルパンレンジャーアルターとパトレンジャーアルターを使用したのはあのエピソードが由来と考えられる。
- サンタを信じるいたいけな少女アキ役を演じるのは上村結羽。あの『犬塚翼が犬小屋でドックフードを食べる』という衝撃のラストで知られるドン23話にて、犬化した翼を拾った少女である。ちなみに今回もドン23話も渡辺監督。
- 宿主はサンタクロースであるが、サンタクロースは地域によっては悪い子にお仕置きしたり、内臓や石炭をプレゼントする黒いサンタクロースの伝承がある。まさに光鬼の容姿のように二面性を持った存在となっている。ただし仏教系の見た目に対して宿主はキリスト系という真逆の関係となっている。
- 脚本を担当した井上敏樹氏はマスクマン第8・13・16・34・39・42話の脚本を書いていた。
- pixivでは登場以前にオリジナル怪人として光鬼が投稿されていた。
- また、光鬼ングも投稿されている。
関連タグ
海賊鬼:同じくはんぶんこ怪人のヒトツ鬼。
地底剣士ウナス:原典における闇堕ち戦士。
クリスマスオルグ、レインディアサンタ、デーボ・ヤナサンタ:サンタ繋がりの戦隊怪人。
銘功夫:仏像と無脊椎動物をメカ化した外見を持つ、獣拳戦隊ゲキレンジャーの劇場版に登場した敵勢力。
大ムカデ、キレイズキー:本物のサンタクロースが登場するクリスマス回で対峙する戦隊怪人。ただし、光鬼は加害者のサンタに対してこの2体は逆に被害者のサンタである。
シャドームーン:マスクマンと同期のヒーローを歪めた存在、と言うよりそのヒーローのIFの姿。
アナザービルド、アナザーW:はんぶんこヒーローを歪めた存在。
光鬼「金剛螺旋」:名前繋がり。ただし読みは「こうき」。
あはれ!名作くん:サンタに扮した主人公達が紆余曲折あってゴミをクリスマスプレゼントにする話がある。なお、この作品も昔話モチーフ。