2005年4月16日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズ13作目『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ 3分ポッキリ大進撃』
あらすじ
ある日、いつものように慌ただしい朝を迎えた野原家に未来の時空調整員「ミライマン」が、なぜかシリマルダシの玩具に乗り移り現れた。ミライマンは野原一家に、3分後の世界へ行き、怪獣を倒して欲しいと依頼する。なんでも、3分後の世界へ行って怪獣を倒さないと危機が現実になってしまうという。怪獣が現れるたびに、掛け軸の向こうに広がる世界で戦う野原一家。
しかし、ひろしとみさえはヒーローを演じるうちに自堕落な生活を送るようになる。そんなとき、春日部のデパートが一部崩壊、風間くんのママが巻き込まれて負傷したという知らせが入ってきた。時を同じくして、東京タワーの上空には暗雲が立ち込め、3分後の世界にある筈の怪獣の繭が現れる。もしやと思い、急いでしんのすけが家に戻ると、ボロボロになったみさえとひろしの姿が。
なんと二人が太刀打ちできないほどの強力な怪獣が現れ、その戦いの余波で現在の世界に被害が出てしまったのだ。
野原一家の運命は?そして、戦いの結末は如何に……。
作品の解説
本作の最大のテーマは「真のヒーローとは何か?」そして、「本当の強さ」。
大きく分けて、この二つがメインとなるテーマとして、全編を通して扱われている。
ヒーローになって怪獣と戦うという夢が叶ったら。本作ではそんな願い事が現実になったらということが描かれている。
基本的にヒーローとは、全人類の憧れであり、煌びやかで輝かしい夢の存在として描かれる。
しかし、怪獣はヒーローの都合に合わせて出現しない上、ヒーローが負ければ世界の終わりが待っている。
その為、手のかかる料理や時間のかかる家事をしなくなり、子供すらも放ってヒーロー活動にのめり込む。ヒーローに変身すると、理想の自分になれる上に活躍するとチヤホヤされるためネトゲのようにのめり込んでいく。などのシーンが描かれる事で、野原家を通してヒーローになって悪と戦うという妄想の甘さを打ち砕いていく。
そして何より、強くなっていくのはヒーローだけでなく、悪の側もそうであり、ただチヤホヤされる為だけには戦えない。と言う現実と、悪との戦いは生易しいものではなく、ヒーローも痛みを伴うものであり、それでも最後まで戦わなければいけないと言う事が映画の終盤で描き出されている。
傷つき気力のなくした両親を守るためしんのすけが立ち向かうシーンと、そのしんのすけに勇気づけられ親としての責務を果たすため怪獣と戦うひろしとみさえの戦いは、まさしく、ヒーローは何故戦うのか?ヒーローは何の為に戦うのか?と言う、ある種のヒーローとしての普遍的な問いに対するアンサーであり、そして、ラストシーンのしんちゃんの台詞である「強い人は弱い人を助けるけど、もっと強い人も助けられたら」は、真のヒーローのあり方と、本当の強さに対する、クレヨンしんちゃん式のアンサーである。
まさに、クレヨンしんちゃん流ヒーロー映画としての傑作である。
怪獣との戦闘シーンは変身するヒーローのバリエーションが多彩であり作品の見所の一つ。ただシーンとしては長い、さらに怪獣を倒して終わりというお決まりのため同じことの繰り返しと言われることも。
主題歌
OP曲
ユルユルでDE-O!
歌/野原しんのすけ
作詞/ムトウユージ
作曲/中村康就
ED曲
Crayon Beats
歌/AI
作詞/AI
作曲/AI、日野賢二、DJ YUTAKA
登場人物
アニメ版からの登場人物
映画の登場人物
ミライマン(CV:村井国夫)
時空の乱れから怪獣が現れる事で3分後の未来に訪れる危機を阻止すべくやって来た時空調整員。本体は光る小さな球体のような姿をしている。
野原家宅に迷い込んだ際にシリマルダシの人形に憑依する事で身体を得るも、近くに置いてあったカップ麺の誘惑に負けて無我夢中で貪り食っている所をみさえに見られた結果、怪獣退治を野原一家に任せざるを得なくなった。野原一家がシリマルダシの人形を掲げると、それぞれのヒーローの姿に変身できる変身アイテムの役割をしている。
ポジションは夢のヒーローに近いが、何気に人形で変身という本家筋の展開を先取りしたキャラクターでもある
登場ヒーロー
しんのすけが変身するヒーロー
しんのすけマン
しんのすけが変身するヒーロー。
ウルトラマンのような見た目だが、怪獣波田陽区との戦闘では彼と同じ格好になった。
股間には金色のマークが付いており、尻が露出している。オナラで空を飛び(ガス欠すると飛べなくなる)、攻撃方法も基本的にオナラを用いたものとなっている。
みさえが変身するヒーロー
彼女が変身するヒーローの共通点は魔法の杖を持っていることである。
みさえが変身するヒーローその1。
身体が若返ったからか、この姿では担当声優が変わっているため、ひろしとしんのすけが気づかなかったほど。
メガネをかけたツインテールの魔法少女で、服のパターンは2種類。
星型のプレートに乗って飛行する。
攻撃方法は魔法のステッキから放つ光線や、ステッキを変形させた巨大ハンマー。
余談だが、声を担当した福圓美里は本作の公開から七年後に本物の変身ヒロインを演じる事になる。
緑のツインテール少女という意味では彼女に似ているが、プリティミサエスの方が先である。
みさえが変身するヒーローその2。
服装は妖艶な魔女のような姿とメイド服の2パターンがある。
メイド服の時は巨大な掃除機、魔女のような姿の時はカッターにもなる帽子を投げて戦う。
みさえが変身するヒーローその3。
名前通り人魚の姿になり、水中戦を得意とする。乗り物で飛ぶ他の2形態とは違い普通に空を飛ぶことができる。他の形態同様、魔法の杖を武器とする。
ひろしが変身するヒーロー
野原ひろしマン
ひろしが変身するヒーロー。
服装は白の全身タイツに初心者マークのプレートが付いたもの、筋肉質で胸に「ひ」と書かれたスーパーマンのような姿のもの、青い競泳水着のような全身タイツの3パターンがある。
初心者マークバージョンでは胸元のマークが巨大化して盾になったり、エアーバッグを展開できる他、スーパーマンバージョンでは主に肉弾戦メインで怪力で敵を殴り飛ばしたり凄まじい風を起こす程の息を吹く。青タイツバージョンは最終決戦で一度登場。
残念ながらひろしSUNには変身しない。
ひまわり
ひまわり
ひまわりが変身するヒーロー。特に決まった名前はない。
おまる型の乗り物に乗って空を飛ぶ。
泣き声をメガホンで拡張し、電撃を放つ事ができる。
シロが変身するヒーロー
シロ
シロが変身するヒーロー。特に決まった名前はない。見た目は身体が大型犬程度の大きさになっただけ。
作中ではポチタマタロミケと一瞬対峙しただけで、特別な力があったのかは不明。
本編公開から約14年後、二度目のヒーローになることになった。
登場する怪獣
クリラ
身長72.6m/体重5208t
最初に登場する怪獣で、プリティミサエスと交戦。
ストーリー終盤ではしんのすけの正義の想いに応え、アクション仮面の姿でゴロドロの退治に加勢する。
名前の由来はゴジラの名前の由来になったクジラとゴリラのアナグラム。
ラドンおんせん
身長89.9m(尻尾も含む)/体重3803t
翼竜のような姿をした飛行怪獣。プリティミサエス⇒野原ひろしマンと交戦。
口から青いエネルギーを吐き出す。このエネルギーの怪光線にはラベンダーの香りがするらしい。
元ネタは空の大怪獣ラドン、ちなみに同じ名前の怪獣はこれだけ。
ギュー・ドン
身長78.2m/体重4802t
頭は牛、身体は人間のミノタウロスのような姿をした怪獣。身を解体すると牛丼9万2000人前の量になるらしい。野原ひろしマンと交戦。
牛らしく赤いものを見るとまっすぐ突っ込んでくる。
ババンバ・バン
身長70m/体重9809t
ゴジラのような見た目に頭から角が生えた怪獣。野原ひろしマンとしんのすけマンが交戦。首からエリマキ状の電撃を放ち、攻撃を防いでくるが、途中参戦したしんのすけマンが投げつけたひろしの靴下をくらい、あまりの臭さに悶絶した。
ストーリー終盤ではカンタムロボの姿でゴロドロの退治に加勢する。
元ネタはネロンガ…というより彼の流用元であるバラゴンを流用した怪獣の要素が多い。(エリマキ云々の元ネタはガボラ辺りか。)
ファ・イヤーン
身長79.3m/体重728t
全身が炎に包まれた怪獣。4万8028℃の熱球を放つ。野原ひろしマンと交戦。
正体は細いトカゲのような見た目の恥ずかしがり屋の怪獣だった。
2960
身長29.6m/体重2960t
フクロウのような身体に人型の頭をした怪獣。ひまわりと交戦。
マッハ6の速度で飛行できる。
元ネタは恐らく漫画版イナズマン。しばしばフクロウが正体とされる蛾人間モスマンはたぶん関係ない。
カトリーヌ三世
身長82.4m/体重1294t
鳥と虫を合わせた怪獣。延びる触手で敵を掴む。京都タワー前でプリティミサエスと交戦。
バルタン星人やキュラソ星人を合体させたかのような姿をしているが元ネタは不明。
キリキリマイ
身長52.3m/体重3203t
キャンディの様な殻を持ったカタツムリのような見た目の怪獣。ひまわりと交戦。
元ネタは恐らくゴーガ。
ポチタマタロミケ
身長92.6m/体重2200t
赤い犬の頭と緑色の猫の頭を二つずつ、計4つの頭を持つキングギドラのような見た目の怪獣。其々の頭は独立して脳が有り、行きたい場所が4本とも異なる為仲が悪いらしい。シロと交戦。
かの宇宙化猫より生まれは先である。
ラビビーン関根
身長72.3m(耳も含む)/体重1010t
兎のような姿をした怪獣。野原ひろしマンと交戦。耳からは8200万ボルトの電撃を放つ。因みに柳田理科雄によるとこの電撃は16m40㎝までしか届かないとの事(人間の大人が40cm先しか攻撃できないのと同じ)らしい。
ストーリー終盤ではぶりぶりざえもんの姿でゴロドロの退治に加勢する。
名前の由来はラビット関根。
カマデ
身長12.25m/体重2880t
ムカデのような身体に竜のような頭をした怪獣。セクシーみさえX(メイドバージョン)と交戦。両手の鋭い鎌で攻撃する。
ピースくん
身長93.2m/体重5202t
巨大なカニ型の怪獣。7万8000人分の蟹味噌を含んでおり、味は美味らしい。セクシーみさえX(魔女バージョン)と交戦。
元ネタは恐らくエビラ。
サバシオ
身長68.75m/体重3840t
魚の怪獣。マーメイドミサエリアスと交戦。海でイケメン達が乗ったボートを襲っていた。理由はイケメンが嫌いだかららしい。
タナ・シ
身長75.6m/体重923t
ネコとひよこのような見た目に風船のような身体の合成怪獣。強力な風圧で敵を吹き飛ばす。しんのすけマンと交戦。
身長不明/体重不明
ギター侍こと波田陽区が怪獣としてゲスト出演。しんのすけマンと交戦。
持ちネタの「斬り!」で瞬時に周りのビル(&野原家)を真っ二つに切断した。
最後はしんのすけマンの白刃取りならぬ尻刃取りでギターを折られ敗北(切腹)した。
ゴロドロ
身長測定不能/体重測定不能
あらゆる攻撃を無効化する上に目から光線を放つ脅威の強さで野原一家を苦戦させたが、悪臭が弱点で悪臭を受けると緑色に変色する。
最後は怪獣達が姿を変えたアクション仮面とカンタムロボの協力を得たしんのすけマンの渾身のオナラ攻撃の前に敗北した。
元ネタは恐らくヘドラ。でもどちらといえばベトベトンに似ているかも。
にせしんのすけマン
身長不明(画面上での身長はしんのすけマンと大体同じ)/体重不明
最後に現れた怪獣。
この世界で最も強い存在=しんのすけマンの姿をコピーしているが、カラーリングは黒とグレーの反転になっており、股間の金玉も真っ黒。口調もしんのすけと同じものとなっている。
自分が最強の存在となるべくしんのすけマンに襲いかかるが、ひろしの靴下とカンタムのカンタムパンチによる連係プレーで東京タワーに激突、そのまま地面に落下しかけたところをしんのすけマンに救出される。
「強い人は弱い人を助けるけど、もっと強い人も助けられたら」というしんのすけの言葉に改心の兆しを見せるが、最後はみさえのグリグリ攻撃によって敗北、「最強の上には最強がいたゾー!」と断末魔の叫びをあげながら光の粒子となって消滅した。
関連タグ
SHIN-MEN アクション仮面 カンタムロボ ぶりぶりざえもん 東京タワー
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