概要
この企画は2022年8月からニコニコ動画やYouTubeで行われている、ミニ四駆の非公式競技である。ためにならない氏(以下ためおじ)が最初の動画を投稿し、以降アズパカ氏やにわから氏、ユウタ氏等、様々な投稿者が参加している。
その名の通り使用パーツ規格や寸法等一切の制限を設けずに制作したマシンで、ジャパンカップジュニアサーキット(通称「JCJC」)での走行タイムを競う。参加者が増えるたびに元から無いも同然の制限はどんどん緩くなっていき、2023年2月現在のレギュレーションは「コースレイアウトに手を加えない」「コースアウトを直接的に防ぐ細工をコースに施さない(一度ためおじ氏が試したが却って遅くなった)」「その上で3周のタイムを競う」「コースアウトしたら失格」くらいである。
ルール無用ならではの多種多様なアプローチで人気を博しており、どんな発想でタイムの壁をぶち破るかを楽しむ動画群となっている。また、ただ速くするだけでなく、ルール無用と言いつつシャーシの原型を可能な限り保ったり、ダイソーの模造品(パチ四駆)を原型にしたりなど、各投稿者のこだわりと愛も見どころである。
2023年4月22日から30日まで開催されるイベント「ニコニコ超会議2023」のミニ四駆ブースにて「超ルール無用JCJCステージ」という名称で、種目の一つとして採用されることが決定した。発案者含む10人がレースに参戦する予定。なお、日本のベアリングメーカー「日本精工株式会社」が協賛しており(公式の記事)、参加予定のレーサーにミニ四駆パーツとしてベアリングが支給された。
最速記録
ユウタ氏とアズパカ氏が長らく首位を奪い合っている。
レーサー | 達成日(概算) | ラップタイム(秒) | 備考 | |
---|---|---|---|---|
最速 | ユウタ(動画) | 2023年2月10日 | 2.09 | 計測アプリでタイム記録。マシンは前輪駆動・ファン吸引式強制ダウンフォース方式。サーキットに動揺防止対策{フローリングの床に保護マット敷設(参考)、レーンチェンジ橋脚に錘の設置} |
次点 | アズパカ(動画) | 2023年3月26日 | 2.10(+0.01) | 動画解析でタイム記録。マシンは前輪駆動、ファン吸引なおかつ風圧式可動ウィングによる強制ダウンフォース方式。サーキットは畳に直置き? |
※2023年4月12日午前0時現在
なんでもありの挑戦の軌跡
- タイヤをモーターに直接差す(ダイレクトドライブ。尚トルク不足の可能性が発覚している)
- 公式レース使用不可の超高回転モーターや、飛行ドローン用の小型モーター、更には海外から取り寄せたマイクロモーターを搭載し省スペース・軽量化。
- カーボンプレートや3Dプリンター等を駆使してシャーシを自作。
- 動力を高出力のリチウムポリマー充電池に置き換え、軽量化や出力の限界突破を試みる。
- コースに銅テープを貼り疑似スロットカー化する事で、バッテリー車では搭載不可能な超高電力をぶち込む。
- コース側の空気を吸い出すためのファンを搭載、路面と車体の間を負圧にし強烈なダウンフォースを発生させる。
- マイコンを搭載しモーター出力やローラーの食い付きの自動制御を行う。ある意味リアルスピンコブラ。
- 二輪駆動や一輪駆動、果ては壁面駆動などの既存の発想にとらわれない加速形式。果ては車の範疇に入れていいのか悩む形状。
- 業務用扇風機や送風機の風圧でレーンチェンジ時の飛び出し阻止を試みる。
- 車体下部に耐震ゲルを貼り、レーンチェンジの凹凸文字に擦り付けてブレーキとし飛び上がり防止
……などなど。これでも特に目立つものをピックアップした氷山の一角に過ぎない。
余談
- 投稿者ごとに計測方法(動画から解析、計測アプリで測るなど)やサーキットの設置状況、マシンが誘発する振動などによって記録に誤差が生じる。つまりタイムは正確ではない。2023年春現在は測定精度が高いとされる計測アプリ形式が主流。
- マシンの制作はためおじ氏をはじめとした完全手作業(通称『手動3Dプリンター』)勢、フライス盤などを用いる工作機械勢、アズパカ氏等の3Dプリンター勢に分かれる。
- ただ速度を追い求めれば良いというわけではなく、スピードを上げ過ぎたり軽量化しすぎたりするとウェーブセクションやレーンチェンジで簡単にマシンがコース外に吹っ飛ぶ。良い記録を出そうとすると直進性能以外の全てをミニ四駆以上にバランス良く要求される、奥の深い競技でもあったりする。
- 一部の投稿者はコース上を走行しているマシンを安全に回収できるよう、タミヤ公式でも発売しているキャッチャーを使用している。しかし元々改造マシンを想定したツールではないし、加えて高速化の進んだマシンとは相性が悪いためかコースから何度か叩き出されてしまうことがしばしば。
- 休暇争奪戦