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のび太とロボット王国

のびたとろぼっときんぐだむ

『ドラえもん のび太とロボット王国』とは、大長編およびそれを原作とする映画ドラえもんの23作品目。

いっしょが、一番強い

概要

のび太と鉄人兵団のび太とブリキの迷宮に次いで、3番目に作られた、人とロボットの関係をテーマにした劇場版作品である。だが、この2作と変わっている点が1つある。

それは、前2作では、ロボットが人類の敵として登場している(前者は人間をコキ使おうとする種族、後者は人間に反乱を起こしたロボット)のが、本作は、それとは対照的に、ロボットと人との共存がテーマであり、ロボットの立場になって話が描かれている。そのため、のび太の日本誕生以来、主人公であるドラえもんが、内容的にも主役となっている。

また、本作では、のび太とブリキの迷宮で、ラスボスナポギストラー一世を演じた、森山周一郎が、再びラスボスとして、デスターを演じている。

ちなみに、2001年秋のアニメスペシャルで放送された告知映像では、タイトルが『のび太とロボット帝国』(「キングダム」の読みが、「王国」ではなくて「帝国」)となっていた。

なお、本作では、回想シーンではあるが、のび太の夢幻三剣士に次いで、ドラえもん史上一二を争うほど数少ない、人間が死亡する瞬間のシーンが存在する(ただし、ドラえもんと同じく、人気漫画及び人気アニメでありながら、ルパン三世ワンピースのように、シーンが存在する作品とは、対象年齢が違う。そのため、直接的な描写はされていない)。

そして、本作の関係で特に重大な事は、テレビシリーズが、半年後の10月4日に放送された回以降、それまで制作に使用されていたセル画からデジタル画に変更されたため、映画シリーズで、セル画が使用されたのは、本作が最後である。(ただし、当時すでに、セル画の使用が終了しているアニメ作品が多く存在するため、ドラえもんは、そうしたアニメの中では、サザエさんと並び、比較的遅い方である。)

あらすじ

スネ夫に新型のペットロボット「アソボ」を自慢されたのび太は、ドラえもんに「ペットロボットが欲しい」と懇願するが「君には僕と言うネコ型ロボットがいるじゃないか」と拒否され、のび太は勝手に押し入れのスペアポケットから「未来デパートの通販マシン」を取り出し、操作がわからなかったため適当に押してしまい、未来デパートからロボットが大量に転送されてしまい、挙げ句の果てにはのび太の言うことを聞かず脱走して暴れ出してしまう。

町中で騒動を巻き起こしたロボットたちは、ドラえもんによって全て返品されたものの、最後に少年型のロボット『ポコ』が残った。どうやら、そのロボットは地球の技術で作られたものではなく、現代に送られてくる途中で超空間内で紛れ込んでしまったものだという。ポコを元の世界に返してあげるため、ドラえもん達の冒険が再び始まった。

タイムマシンで時空の迷宮へと旅立ち、何とか目的の場所…『王国(キングダム)』に辿り着くドラえもん一行。その世界では、ロボットから感情を抜き取り人間の忠実な下僕へと変えてしまう「ロボット改造命令」が下されていた。少年ロボットであるポコは、ちょうど母親と共に追っ手のドロイド兵から逃げる途中だったのだ。捕まった母親を助けようと飛び出して行ったポコをのび太たちは追いかけるが、ドロイド兵達に見つかり、ドラえもんが拉致されてしまうのだった。

用語

王国(キングダム)

地球より遠くにある星(特殊な装置を取り付けたタイムマシンで向かったので時代も次元も大きく違うパラレルワールドに位置する可能性が高い)にある国。一面荒野の星に別の星から人間とロボットが移住して開拓を進め築いてきた(移住元の星と交流しているかは不明)。王家による君主制を採用し、軍隊と議会も存在しているが後述の計画が国民の反発多々にもかかわらず実行が続けられていることや軍の司令官が王族の代理継承権を持つとはいえそれがあっさり実行に移る辺り議会の力は弱い模様。

服装や中世ヨーロッパ、建築はそれに古代ローマの意匠も加わっているがロボットの技術は非常に高く人間と大差ない感情と心を待ち合わせ人間と手を取り合って暮らしている。しかし、現女王ジャンヌの意向で「ロボット改造計画」が進められるようになり、次々とロボットは唯の道具とされている。

ロボット改造計画

感情を持つロボットが社会と同化しているのに反してジャンヌがロボットの感情を持つことに葛藤し実行に移し出した計画。ロボット達を強制連行し感情を司る回路を排除(構成が違うこともあってかドラえもんは痛がる程度で済み一切変化はなかったが)、唯の労働力・道具となるよう再プログラミングされている。

タイムスペースラビリンス

直訳で「時空間の迷宮」とされる空間。異世界とも言える場所へと現実空間から飛ばされた物体が流れ込むことがある。この空間の行き来にはタイムマシンに特殊なセンサーを取り付ける必要がある。

ドロイド宮

国の王族や政府機関が置かれているたこ足状の土台の上に建造物が設置された作りをしている城。舞台の星に移民してきた際の母艦でもあり、着陸したこれがそのまま王宮として使われている。宇宙船だったと同時に巨大なロボットでもあり、自力歩行が可能。更に操縦ブリッジのある塔はロケットにもなり、単体で飛び立たせるのも可能。

鋼鉄バトル

戦闘ロボットを剣闘士として戦い合わせる王国の娯楽の一つ。人型ロボットが手をくっ付けて輪になった形の造形をした闘技場で行われており相手をノックアウト・降参させるか舞台の外の堀に落とした方が勝つ。ここのロボットは検挙対象とされていない(感情のない単純なプログラムの動きは闘技として形にならないのかもしれない)が敗者は即改造工場へと連行されてしまう。

虹の谷

ロボット改造命令に強く反発した者達が政府の目から離れて秘境に築いたロボットと人間が平和に暮らす土地。辺境にある人顔の形をした岩が入り口となっているが王国本土からは作り話だと思われていた。

レギュラーキャラ

ドラえもん

王国へ向かう途中襲ってきたドロイド兵に対抗するが超空間の乱れで攻撃向きの道具を落としてしまう。地球という他所からきたことから興味を持たれ鋼鉄バトルに強制的に繰り出され、多くはない道具を駆使して勝利する。大長編では更に負かして工事に連行されそうになるコングファイターの身を案じ反発されるが「捕まって感情を抜かれたら、そうやって怒ることも出来なくなるんだぞ!」と叱咤、彼の心を動かした。なお、試合に出る前にマリアと同じ独房に入れられ彼女の健在をポコに伝えた。

決戦では単騎でとっておきの武器石頭で特攻、見事敵をノックアウトさせるという全体に渡っての活躍を見せた。

のび太

ペットロボットを持つなら悩んでクラゲ型と言ってみたが皆に笑われ(映画版のみ)、欲しいと言うも検討すらしてくれないママについ文句を言ってしまったがポコを案じる内に頭を冷やす。ドラえもんというロボットの親友がいることからロボット改造命令にとりわけ強く反発を示す。

しずか

ペットロボットはコアラ型が欲しいと語っている。ポコと共にジャンヌを看病し、大長編では更に彼女を叱咤、考え直すのを促した。

ジャイアン

ペットロボットはライオン型を欲しがる。大長編では魔界大冒険と同じくボスキャラに止めを指す役回りを買った。

スネ夫

自身に似せた犬型ペットロボット「アソボ」を皆に自慢するがのび太が転送した一体である医者ロボットの注射で言動をおかしくされてしまった。例によって異世界へ向かうのを躊躇うがドラえもんの代理でタイムマシンの操縦を引き受けたりもしている。

主なゲストキャラ

ポコ

泣き虫だけどとっても優しい少年のロボット。ドロイド兵に追われていたとき、逃がそうとしたチャペック先生の電送マシンで超空間の迷路タイムスペースラビリンスへと送られ、状況が把握できずアソボを猟犬型ロボットと誤認し飛びかかって損傷してしまった。地球のロボットとは部品構成も材質も違うのでドラえもんの手には負えず一行は彼の星へ向かうこととなる。ジャンヌとは遊び相手として共に育った弟同然の存在であり、現在の体制を敷くようになり追われる身にされたにもかかわらず彼女を案じ続けていた。

担当声優は桑島法子

マリア

ポコの母親ロボット。早くに母親を亡くしたジャンヌの養育係も務めており、彼女にも親心に等しい気持ちを持っている。逃亡の末捕らえられるもジャンヌに考え直してほしいと訴えていた。息子とは耳のアンテナで通じることで遠隔の意思疎通・探知が可能。

担当声優は藤田淑子

チャペック先生

ロボット専門の医者。ロボットの修理の他、物体を瞬間移動させることのできる電送マシンなども発明している。

名前の由来は戯曲『ロボット』の作者、カレル・チャペック

担当声優は穂積隆信

クルリンパ

チャペック先生と共に住んでいるオコジョ型のロボットの助手。身体を丸めながら跳ねて移動することもできる。語尾に「ッパ」をつけて話す。

担当声優は野沢雅子

オナベ

チャペック先生の家のお手伝いロボット。ドラえもんの友人実家で働いてるメイドロボに似てる。

漫画版では、食材を口から入れ、腹から完成した料理を出すという能力を持っている。映画版では代わりにネジを食卓に出してきた。

担当声優は愛河里花子

ロビー

アリスの家で働く農作業ロボット。カカシのような姿。型番号はX-01。「ロボット改造計画」により感情を抜き取られてしまうが、デスター捕縛後に感情を返還された。映画のポスターなどにはドラえもん達と共演しているが、実際は単なるチョイ役。

担当声優は銀河万丈

アリス

ロビーが働く家の少女。感情を抜き取られたロビーを見て、ショックのあまり泣き出してしまう。

担当声優は南央美

ドロイド兵

デスターが尖兵として用いる、感情を持たないロボット兵士。一体がポコと共にタイムスペースラビリンスへ飛ばされ王国へ向かう一行に襲いかかった。尻尾がロケット噴射口になり飛べるロボホース(馬型ではなく小型獣脚類型である)を乗りこなし、猟犬型ロボットも従え、槍からレーザーを出したりしており、他のロボット達を圧倒する戦闘力を持つ。しかし人間には危害を加えられないという弱点を持っており、人間が盾として立ち塞がるとロボットも狙えず無力化される。後からジャンヌの命令を聞かなくなった事、超空間という人間が巻き込みかねない場所でドラえもんを攻撃しようとした事以外はロボット三原則に極めて忠実といえる。

担当声優は小杉十郎太及び中嶋聡彦

コングファイター

鋼鉄バトルに出場しているゴリラ型の大きい格闘ロボット。左腕の斧や右腕の鉄球を使用する(大長編では肩のアーマーが射出するカッターになる)豪傑で、300戦無敗という経歴を持つ。映画版は顔以外もゴリラにより似ており、武器は掌と入れ替える形で鉄球は右腕からも出てワイヤーでなく鎖で射出するというスタイルになっている。ドラえもんと戦うが、最終的にくすぐりノミによって敗北する。

(漫画版ではくすぐられて降参しているが、映画版ではその後鉄球を頭にぶつけて自滅する。)

敗北後は改造工場へ連行されそうになるも、原作ではドラえもんに助けられた上に叱咤され、ドラえもん一行を囲んできたドロイド兵を一掃して脱出を手助けした。

一方、劇場版ではズルをして勝ったことを詫びるドラえもんを「そんなことはない」と彼の実力を讃えており、彼に反発して叱咤される場面が無い。最終的にドラえもん一行を逃がす所は一緒。

担当声優は郷里大輔

トロイ

「ロボット改造命令」に反対し、「虹の谷」で多くの仲間と共に、平和に暮らしている。

担当声優は飛田展男

コニック

トロイと同じ理由で「虹の谷」に暮らしているトロイのパートナーであるロボット。

担当声優はKONISHIKI

ジャンヌ

メイン画像右。

ロボットから感情を抜き取る「ロボット改造命令」を下しているロボット王国の女王。過去の事故で前国王である父親を亡くしており、デスターによって唆されてロボットに感情があるから父親は死んだと思い込み、ロボットから感情(正確には、感情を司る回路)を抜き取る命令を下す(大長編では情を切り捨てるという意味を込めて長髪を切っている)。だがポコ・マリア親子との交流によって非情に徹しきれずにおり、捕らえていたマリアだけは感情を抜く命令を出すことは出来ずにいた。ポコ達を追う最中デスターの命令を受けたドロイド兵に崖に突き落とされたところを当のポコに救い出される。「虹の谷」に匿われ、ロボットと共に生活をしているうちに、ポコと向き合うことやしずかに叱咤されたこと(大長編)で己の非を理解、そして改心し、感情を司る回路を返還するのを決意。「ロボット改造命令」を廃止を宣言しに、ドラえもん達と共にロボット王国本土に向かった。だが、着いた直後に、デスターに利用された事を知り、ドラえもん達と共に戦う事を決意した。

担当声優は新山千春

エイトム

ジャンヌの父である前国王。人間とロボットが共に豊かに暮らせる国を目指し、自ら開拓工事の指揮を執っていたが、重機ロボットが横転する事故が起き、逃げ遅れたロボットを庇って下敷きとなり亡くなってしまった。感情の無いロボットなら庇う必要はなかったのでデスターの言葉自体はあながち間違いではないのは皮肉と言える。

名前の由来は恐らく鉄腕アトムから。

デスター

ロボット王国の軍司令官。鬼のようなマスクと鎧で全身を纏った厳つい容貌をしており、常にジャンヌ女王に付き従っている。

ジャンヌにロボット改造命令を下させた張本人。ジャンヌからは信頼されているが、実はジャンヌ女王に取り入って王国の実権を握ろうと画策する外道で、彼女を利用しているだけにすぎなかった。

ドラえもん一行追跡の際に、ドロイド兵をわざとけしかけてジャンヌ女王を谷底に落とさせて、その後、軍司令官が王位継承権を持つという法律に基づいて王宮を掌握、国王となる。だが、改造命令に反対するロボット達の協力を得たドラえもん一行により追いつめられてしまい、ドロイド宮を巨大ロボとして発進させてドラえもん一行を追い詰める。しかし闘技場のロボットの形をした部分を何でも操縦機で動かし本当に動くロボットとしたのび太によって(結果的に)敗北する。マリアを助けに行ったドラえもんの石頭を喰らうも最後の力を振り絞ってロケット部分を発射、衛星へと飛び立たせ道連れにしようとするが、電送マシンによってドラえもんやマリアと共に送還された。

その正体は金属製の強化服に身を包んだ(大長編ではその大柄さはパワードスーツを纏っていたもの)チャペック先生の双子で、かつては同じ科学者だった兄と真逆の考えをしていた。決別の経緯や王族を利用してまでロボットの感情を奪い去ろうとした理由は不明だが大長編ではチャペック先生には死んだと思われていたらしい(作中での行動から、チャペック先生は《ロボットとの共生》を、デスターは《ロボットの支配》ということになるだろうか)。最終的に改心するまで投獄される事になった。

担当声優は森山周一郎

備考

今作より映画ドラえもんの公式サイトが作成された。

関連タグ

映画ドラえもん セル画 森山周一郎 ロボット

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