概要
恐竜探険隊ボーンフリーの次回作で、今作も人物パートはアニメだが特撮パートは実写で表現されている。放送局は前作のNET(系列局)から東京12チャンネル(ほか)に移り、人物パートのアニメ製作は「氷河戦士ガイスラッガー」のオカスタジオが担当した。
「恐竜大戦争」の名の通り、地底から蘇った恐竜の侵略と戦う内容である。サイボーグの兄妹が合体変身することでヒーローアイゼンボーグマンが登場して、ドリルを装着した戦闘機「アイゼンボーグ号」(メイン画像)を操縦して戦いを挑む…
しかし、視聴率不振から大掛かりな路線変更が施され、アイゼンボーグマンが巨大化して戦うアイゼンボーが登場し、恐竜の侵略を背後で操っていた宇宙人も設定され、後半は巨大ヒーロー作品になった。
前作が恐竜保護を題材にしたため、恐竜を退治する戦闘描写に批判があったという反省点(※)や、非人間型のメカニックを主役に据えてヒロイックに描写する演出には限界があったという事情もある。
登場する恐竜はストップモーションアニメから着ぐるみに変更された。
※ただし、本作に登場する「恐竜」は、設定上は「恐竜型怪獣」であり、恐竜の変異体である怪獣であって、正確には恐竜そのものではない(実際、番組前半で登場する恐竜は、その全てが「恐竜型怪獣」であった)。
近いものを挙げるならば、「ファイヤーマン」に登場する原始怪獣が近いだろうか。
しかし、「恐竜型怪獣」が何かという説明が少なく、なおかつデザインが恐竜そのもので、上記にあるように「恐竜との戦闘描写に批判が寄せられた」事は事実である。そのため、20話のギラーを最後に、後半は恐竜からかけ離れたデザインのものが多くなった。しかし、恐竜というテーマから離れてしまった事は否めない。
ストーリー
西暦1996年。絶滅したはずの恐竜たちが超能力を持って蘇った。
事故により瀕死の重傷を受けた立花善・愛兄妹はサイボーグとして蘇り、人類を守るため防衛チーム・D戦隊の仲間と共に恐竜魔王ゴッデスたちに立ち向かっていく。
キャラクター
D戦隊
- 立花善(CV:上恭ノ介)
D戦隊の隊長。劇中の一年前の事故により、鳥居博士にサイボーグ化され蘇生した。
熱血漢だが、冷静な判断力を有し、戦いに際しては常に冷静に状況を見極めて行動する。
妹の愛とアイゼンクロスする事で、アイゼンボーグマンに変身。アイゼンボーグ号の操縦者となる。
両親は、母親は愛の産後に、父親は一年前の事故で、ともに死別している。
サイボーグ体であるために、人間よりも優れた聴覚と、深海の水圧に耐えられるボディを有する。目には赤外線アイ、右手首には通信機を内蔵。
また、体を損傷した状態でアイゼンクロスを行うと強い負担がかかる他、体が強い磁力を帯びるとクロスしても弾かれてしまう。
恐竜軍団との戦いが終わった後、愛と共に宇宙の平和のために旅立った。
- 立花愛(CV:麻上洋子)
善の妹。兄と共に事故に遭い、鳥居博士によってサイボーグとして蘇生した。
勇敢だが優しい性格で、子供や未洗脳の恐竜に対しては慈愛の心をもて接している。
善とクロスすることによってアイゼン号に吸収され、アイゼンボーグ号に内蔵され、その制御回路として機体制御に努めている。
第19話にて、変形の時間制限をオーバーしてウルルと戦ったために、回路に大きな損傷を負ってしまった。第20話で鳥居博士による電気ショック治療を受けた際、事故で大量の電流を浴び、それによってそれまで以上の怪力と高速走行能力、アイゼンボーへの変身能力を得て復活する。
戦いの後、善と共に宇宙の平和のために旅立った。
- 黒沢一平(CV:兼本新伍)
世界を股にかけた冒険野郎で、D戦隊の一員。直情的な性格。過去に一人で北極横断をした経験がある。五郎とともに、アイゼン2号のメインパイロットを務める。
- 神原五郎(CV:滝口順平)
動物飼育のベテランでD戦隊の一員。普段は温厚かつひょうきんな性格だが、第19話では博士に逆恨みの怒りをぶつけた善を一喝している。ネムというナマケモノを飼っている。愛称は「バラさん」。家族は妻の澄子がおり、第29話で息子の太郎が生まれた。
- 鳥居博士(CV:水鳥鉄夫)
生物学の権威でD戦隊のリーダー。立花兄妹をサイボーグとして蘇生させた。
主に基地で指揮をとるが、緊急時には自ら銃を手にし応戦したこともある。家族は妻の春子と藤山高校野球部のエースである息子の直之。第37話には、高校時代からの知り合いの著名な映画監督が登場した。
恐竜軍団
後に「怪獣軍団」に。
地底の大空洞で密かに生息していた恐竜たちが、ガザリヤ星人であるゴッテスの手によって強制的に地球征服の尖兵にされ、地上に現れた軍団。
ゴッテスたちは母星である70光年彼方のレグルス系の惑星ガザリヤ星の水資源が枯渇したため、よく似た環境の地球を植民星にしようと目論んでいた。
恐竜たちは1億年もの間に独自の進化を遂げ、頑強な肉体と、火炎や怪光線を放つなどの超能力を習得している。そのため、これら恐竜は「恐竜型怪獣」と呼称される(当時の児童書などでは、この呼称が用いられていた)。
ゴッテスの尖兵として改造された恐竜は、目が赤い。
更に「カラージュ」と呼ばれる超能力も有する。これは目から光線を放ち、犬やコウモリといった動物を赤く変色・凶暴化させ、侵略の尖兵として操る能力である(強い電気ショックを与えるか、操っていた恐竜が倒されない限り元に戻らない)。
第19話までの恐竜型怪獣は「恐竜」と認識されているが、第20話のギラー、第21話のガルウ以降はより完全な怪獣として改造された設定となった。
最終決戦後、残った全ての恐竜たちは、倒されたゴッテスの支配下から解放されたことに喜びながら大人しく自分たちの世界へと帰り、その出入り口はD戦隊によって塞がれた。
- 恐竜帝王ウルル(CV:滝口順平)
恐竜型怪獣を操る、IQ300のティラノサウルス(型怪獣)。
恐竜軍団のボスとして君臨し、洞窟内から指令を出していた。
ウルルを影から操っていた、ガザリア星人の黒幕。
連敗続きのウルルに最後通告をして、ウルルが敗れた後に出現。真の敵としてD戦隊の前に立ちはだかる。
ゴッテスとともに出現した、ガザリア星人の魔女にして恐竜調教師。
自称・ゴッテスの婚約者。ゴッテス以上に残忍冷酷。
※それぞれの詳細は各項目を参照。
その他
- ムサシ
38話から登場。立花兄弟がパトロール中に出会った正体不明の青年で、胸の十字架型ペンダントから、怪獣ゴールダを呼び出すことができる。
実は宇宙の平和を守るスペリオ星人。ゴールダとともにアイゼンボーグに味方し、自分を犠牲にしてゴッテスを倒すのに尽力する。
メカニック
アイゼン号
D戦隊の主力戦闘車両。中央部で分離し、前部がアイゼンⅠ号に、後部がⅡ号になる。
戦闘車両。アイゼン号合体時は前部となる。操縦者は立花善・愛の兄妹。
アイゼンⅠ号に分離後は、単独の戦闘車両として敵恐竜型怪獣と交戦する。
搭載されている武装は、前部からの鎖付き鉄球アイゼンボール、6連装の地対地ミサイル二基、車両上部からの万能砲(レーザーやネット砲など、様々なものを発射可能)。
また、車両前部のシャッターを開くと、ドリルカッターが内蔵されている。
立花兄妹の合体変身アイゼン・クロスに反応し、大型戦艦アイゼンボーグ号に変形する機能を内蔵している。
支援メカ。アイゼン号合体時は後部となる。黒沢と神原が搭乗。巨大なタイヤを持つ。
主にレスキューを目的とし、飛行も可能。その際には、「オープンジェットファイヤー」で、タイヤを広げた双発ジャイロコプター形態に変形する。
車体前部には、ガレキなどの障害物除去のためのドーザーが装着。機体上部の黄色いコックピット部分は、上方に伸びてレスキュータワーになる。攻撃も可能だが、主に消化弾や冷凍弾などを用いた、消化や救助活動がメイン。
立花善と愛が、コックピット内で「アイゼン・クロス」する事で、アイゼンⅠ号が変形した万能戦闘マシン。アイゼン・クロスした後に、アイゼンボーグマンに変身した善がパイロットとして操縦。愛はコックピット後方の制御回路に内蔵され、機体制御を受け持つ。
機体後部の刃物「アイゼンスラッガー」、両翼先端部の回転鋸「ローリングカッター」、機体前部の巨大ドリル「アイゼンドリラー」などを用い戦う。ドリルやカッターなどの他、アイゼンドリラー先端から「アイゼンビーム」も発射する。
戦闘活動時間は、3分30秒。それ以上を過ぎると、愛の身体に多大なる負担がかかり損傷してしまう。
変形時には、初期にはアイゼンI号の映像上に、残像を伴ったアイゼンボーグ号の映像をオーバーラップさせていた。
後にアイゼンI号のミニチュアを用い、光学合成を伴った大胆なアニメーション的表現で文字通りの「変身」を見せている。
余談だが46年後のグリッドマンユニバースに登場する2代目(SSSS.DYNAZENON)が変身するサウンドラスはこれのオマージュ。
20話より登場。
アイゼン・クロスにより戦闘形態アイゼンボーグマンになった善が、制御回路となった愛と再合体することによって巨大化し、額部分にアイゼン号を装着することで誕生する戦闘巨人。
アイゼンボーグ号から変身するため、2分20秒という活動限界が存在する。
その原理は不明だが、20話のナレーションで「(第19話で)ウルルとの戦いで重傷を負った愛を緊急手術した際。高圧電流を浴びせたことが原因で、愛が超能力を得たため巨大化が可能になった」と語られている。
主な武器は弓状の双剣アイゼンボウ、光の剣(必殺剣)、右手首をローリングカッター状に変形させたアイアンフックカッター、飛び道具である光線のアイゼンボー・ビッグファイヤー。
また、必殺アイゼンキック、ボースピン、ジャイロキック、分身テレパシーといった技も有している。
- ([キャリーボーイン]]
アイゼン号を輸送する大型VTOL機。D戦隊基地よりアイゼン号を搭載し発進、現場に到着した後、着陸する事無く空中に浮遊したままで、ワイヤーによりアイゼン号を下ろす事が可能。戦闘用ではないが、攻撃用装備は搭載している。
各話リスト
余談
OP曲には、当時の児童向け恐竜関連の書籍に良く登場した、恐竜たちの名前が歌詞に入れられているが、恐竜以外の海棲爬虫類、翼竜も登場する。
中には、本作には登場していない種もあったりする。
歌詞中に登場している古生物は以下の通り。
一番は剣竜と角竜、二番は海棲爬虫類、三番は翼竜縛りとなっている)。
ただし、一番の歌詞は「剣竜、角竜」だが、二番は「海竜、雷竜(カミナリ竜、竜脚類)」、三番は「翼竜、鳥竜(とり竜、鳥脚類)」と歌われており、作詞者がそれぞれ首長竜および翼竜と混同しているようにも感じられる。
※当時は首長竜や翼竜なども「恐竜の一種」とした作品も多かったため、致し方ない状況ではあった。
:一番
- ステゴサウルス:もっとも有名な剣竜。
- トリケラトプス:同じく、最も有名な角竜。
- モノクロニウス:一本角の角竜。
- スチラコサウルス:所謂「スティラコサウルス」の別表記である。当時はトリケラトプス同様に、モノクロニウスともども児童向け恐竜関連書籍ではよく取り上げられていた。
:二番
- プレシオサウルス:有名な首長竜。当時の児童書などでも良く取り上げられていた。
- モササウルス:所謂海トカゲ竜の一種。首長竜でも魚竜でもない。現在ではジュラシック・ワールドに登場して知名度が大きく上がった。
- イクチオサウルス:魚竜の中でも知名度は高い。
- エラスモサウルス:プレシオサウルス同様に、有名な首長竜。
:三番
- プテラノドン:最も有名な翼竜。
- ランフォリンクス:プテラノドンと同様に有名な翼竜。
- デモルフォドン:大型の頭部を有する翼竜。児童向け恐竜図鑑には、特異な翼竜としてよく掲載されていた。
- ニクトサウルス:特異なトサカを有した翼竜。当時の一部児童向け書籍に掲載されていたこともあったが、上記翼竜に比べややマイナーだった。
ちなみに劇中の恐竜型怪獣は、二番で歌われている首長竜・魚竜、およびカミナリ竜の類は登場せず、三番のディモルフォドンとニクトサウルスも登場はしていない。
海トカゲ竜は、9話にチロサウルス(ティロサウルス)が登場。
プテラノドンは2話のテラノ、5話のテララ、13話のプテラが登場。ランフォリンクスは8話のランホが登場している。
また、鳥竜は8話のトララ、トラコ(トラコドン)、9話のパラサ(パラサウロロフス)、11話のイグナ(イグアノドン)、12話のゴロロ(トロオドン、ステゴケラス)と、多く登場している。
中東での人気とまさかの復活
このように日本ではマイナーな本作だが、中東・サウジアラビアでは何と国民的人気作品として広くその名が知られており、2017年12月15日にサウジアラビア皇太子の政策である『Saudi Vision 2030』の元、現地の強い要望で、新撮映像を加えたドキュメンタリー『帰ってきたアイゼンボーグ』が製作され、後に日本でもYoutubeで配信された。
特に新撮部分は円谷プロ側から提唱された現代風アレンジのアイゼンボーではなく、オリジナルのアイゼンボーが使われているという徹底ぶりである。
2021年12月には、アメコミ版『レッドマン』も手掛けたマット・フランク氏によるコミカライズ版がフェーズシックス出版よりリリース。第一巻には『仮面ライダーSPIRITS』の作者村枝賢一が推薦文を寄稿している。
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メカバレ:立花愛の描写からフェティシズムに目覚めた人も少なくない