この記事には“モンスターバースシリーズ”のネタバレが含まれます
概要
同シリーズの世界観における地球の地下深くにあるという超巨大な空間領域。劇中では“ホロウ・アース(Hollow Earth)”とも呼ばれている。
劇中でその存在が示唆されたのはシリーズ2作目の『髑髏島の巨神』。
1970年代当時、まだMONARCHの若手研究員だったヒューストン・ブルックスが地下空洞世界の存在を予言していたものの、それを証明できるだけの有益な証拠がなく、学界からはまったく相手にされていなかった。その後、髑髏島の地質調査により、髑髏島の下には巨大な空洞が存在する事が判明し、彼の推測通りにモンスターバースの世界の地球には地下に広大な地下空間が存在していたことが判明した。以後MONARCHは発見してきた数々の巨大生物達が今まで世間に見つからずに生息してこれたのは地下世界を中心に暮らしてきたからと考えそれらの種族が誕生した場所でもあると結論づけている。
それから少なくとも2020年代までには実際にこの世界に続く大穴(ポータル)が発見されている。なお、ポータルに入っていくとスターゲートの様な光の境界が存在し、そこを突き抜け更に先に進むと重力が反転する現象が発生。従来の飛行機だとそれに対応できず、揚力を失ってそのまま地底世界の地面目掛け自由落下の末に大地に激突して御陀仏になってしまう(当然怪獣は落下しても死ぬことはなく、寧ろ落下した後もピンピンしている様子が確認されたことも)。これにより探索部隊に甚大な被害が出たため、長らく地下空洞世界の探索は進んでいなかったが、人類側がこの重力反転現象に対応可能な探査機を開発したことで、この問題点は解消され、以降は少しずつではあるが地下空洞世界の調査が進められている模様。
地下空洞世界は怪獣達”タイタン”の故郷と呼べる世界で、未知の怪獣による生態系が構築された原始的な環境が広がっており、さらに天井にも地上と同じような環境が広がっている特殊な環境となっている。その上と下の大地の境目には二つの世界の重力が干渉しあうことで生じた無重力状態の領域が広がっており、そこを利用することで天井と地上の世界を行き来できるようになっている。
ちなみに、髑髏島も元は地底世界の一部だったが、何らかの原因で地上に浮上した特殊な島であると語られており、現在も巨大生物が生息する環境になっている理由と考えられる。
人類にとっては怪獣の故郷である為過酷な環境と言えるが、イーウィス族のようにこの地に進出して逞しく生き永らえている民族も存在しており、液体金属による化学反応や、莫大なエネルギーを秘めた巨大水晶が生み出す重力場等、原始的ながらも地上とは異なる独自の技術体系を利用した髑髏島の同族以上の高度な文明を築いている(それまでイーウィス族は髑髏島の先住民族と考えられていたが、コングの先祖と同様、元々地下空洞世界で生活していた者たちの一部が、島の浮上と共に地上に再進出したことが明らかとなった)。
また、地球のコアが放つ莫大なエネルギー資源と、それに支えられた海中に匹敵する程多様な生態系は、地上の人類にとっても無限の可能性を秘めた最後の楽園といえる。
しかし、各国の政府は地下世界への進出を画策しており(むしろ人類が被害を被る場合があるとはいえ怪獣の抹殺に固辞してMONARCHを疎んでいる勢力もある)、モナークが防波堤にならなければ、地下の資源の利権をめぐる国同士の紛争や、最悪の場合タイタン達と人類との全面戦争に発展しかねない為、そのバランスは非常に危うい状況にある。
作品ごとの描写
キング・オブ・モンスターズ
ゴジラが海底にある人類が把握していないトンネルを使って世界各地へと移動。
さらにその先にはゴジラを神と崇める古代文明の痕跡が発見され、エンドロールでは怪獣の起源は地底世界にある事が語られている。
ゴジラvsコング
映画の冒頭、南極で発見された地底世界に繋がるトンネルから調査隊が派遣されるも、有益な調査結果を持ち帰れず多くの犠牲者が出ており(下記のネイサンはこれにより共同研究者の兄を亡くしており一度は研究から身を引いていた)、この事態を受けて南極には発進基地が建設され地下空洞への入口は厳重に管理されていた。
作中ではAPEX社が対ゴジラ用の兵器に必要なエネルギーを確保する為、地球空洞説の専門家であるネイサン・リンド博士をガイド役にスカウトし地底世界の調査を画策。
エネルギーまでの道案内に関してネイサンはコングの遺伝子記憶を利用する事を思いつき、種の保存も視野に入れて人類と怪獣の共存計画の一環のため髑髏島からコングを地底世界まで輸送することが決まった。
肝心の目的地までの移動方法は、APEX社の反重力エンジン搭載の最新式空洞飛行探査船、HEAV(ヒーヴ)を使用する事により、初めて人類が到達することとなった。
そしてそのコングとの旅の果てにコングの一族が築いたと思われる神殿と玉座、そこに放置されたゴジラの背鰭と骨で作られた斧が発見される。
この神殿には玉座の周囲に斧を置くと地球の核が放つ地底世界を支える強大なエネルギーと斧が反応して玉座を囲む様にエネルギーが広がり、そこにウロボロスの様なゴジラの姿が浮かび上がって斧にエネルギーを注ぎ込む仕組みが隠されていた。
このエネルギーはゴジラの力の源でもあり、コングが斧を使ってそこに干渉した結果、地上でそれを察知したゴジラが地下空洞世界のコング目掛けて地殻をも貫通して届く穴を空ける程の熱線を放って牽制し、結果的に彼を地上に誘い出してきた。そうして因縁のあるゴジラとコングの二大怪獣の決戦の火蓋が切られる事になった。
激闘の末、人類の負の結晶を倒した後地下空洞にはコングの監視基地が設立され、ゴジラは地上世界の王に、コングは地下空洞世界の王として君臨する事となった。
ゴジラxコング:新たなる帝国
世界各地に地下世界に通じるポータルが発見され、モナークの管理の下、人為的にゲートを開いて最新型ヒーヴで行き来が可能となったが、未知の資源や生態系に溢れた『別世界』故に、その解析も全体の5%しか進んでいなかった。実際、未探査エリアに発見されたポータルを怪獣達が使用した際、出口として繋がっていた地上の認知されていない箇所に出ることとなり、当然そこで怪獣の出現など想定していない現地政府・住民は避難の手配も追いつかず混乱に陥っていた。
実はコングの同族であるエイプ達は現在も地下空洞世界にて生き延びていたものの、その群れはスカーキングという狂暴なアルファ個体に支配されており、同世界の奥地に築かれた帝国で酷使されていた。
同族のエイプ達と彼らを虐げるスカーキングの存在を知ったコングは、勇敢にもスカーキングに戦いに身を投じることとなる。
地下空洞関連の怪獣
タイタン
元は地上で暮らしていたが、ペルム紀末に起きたP-T境界事変の際に地下空洞世界へと棲息権を変えて生き延びたとされている。
この生態系ではどんな立ち位置だったのか不明な点があるが、怪獣の故郷を支えるエネルギーを武器としている為他の怪獣よりも特別な存在と言える。
また裏設定によると、地下空洞の生物たちはどれも「ゴジラ方向の進化」を遂げているらしく、ゴジラの形質を一部引き継いでいるという。
棲息地である髑髏島自体が、地殻変動で地下空洞世界から地上へと隆起したらしく、彼らの起源もここにある。
神殿の様な施設を築いた跡やゴジラの背鰭製の斧等から、地下空洞世界で王として君臨していた可能性が高い。
『髑髏島の巨神』の後日談『Skull Island:The Birth of Kong』にて、遥か昔に発生した地殻変動によって髑髏島へと進出したことが明かされている。
ずんぐりした容姿のワニのようなオオトカゲの怪獣。正式名称は「タイタヌス・ダグ」。
劇中では僅かしか出ておらず、元々名前も無かったがファンが呼んでいた「ダグ」という愛称を公式が正式名称にした。裏設定によるとゴジラの近縁種らしい。
『Kingdom Kong』にて登場した地下空洞から出現した蝙蝠の怪獣。
日光を嫌い、嵐などの天候を操る能力を持つ。小型の同族を複数従えている。
『キング・オブ・モンスターズ』と『ゴジラ:ドミニオン』にて登場した海蛇の怪獣。
休眠場所であったジョージア州・ストーンマウンテンから目覚めた後は、コングの先祖の一人が住んでいた地下空洞のとある洞窟を縄張りとしていた。
『新たなる帝国』では、北極海で太陽風により滞留されていた膨大なエネルギーを摂取しながら眠りについていたが、そのエネルギー源をスカーキングの戦いに備えた自身の強化のために奪いに来たゴジラと戦闘となり、結果ゴジラに敗北し北極海の藻屑と化す憂き目に遭った。
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』に登場したドラゴン(ワイバーン)型の獰猛な怪獣。
地上で活動していたが、怪獣を誘導する装置によって地上世界と地下空洞世界の間に存在する空間「世界軸」に姿を現した。
コングの同族である類人猿型のタイタン。『ゴジラvsコング』で存在が示唆され、『新たなる帝国』で初登場した。
人類の調査が及んでいない未踏破のエリアにスカーキングと呼ばれるアルファ個体に支配された群れが集団生活を送っていた。
かつては平穏な種だったが、スカーキングによる支配、そして地上へ進出しようとする野心からゴジラと敵対する事になり、最終的に火の国という溶岩地帯へと追いやられていた。
実はイーウィス族の守り神であり、地下空洞のイーウィス族がモスラを崇め、「髑髏島のイーウィス族の巫女によって目覚める」という内容の予言が残されていた。
またイーウィス族とは共生関係にあるようで、本編のラストでは、彼らの生存圏を守護する防壁を修復していた。
地下空洞に存在する伝説の氷の古代怪獣。
その気になれば氷河期を引き起こし、星を滅ぼす事も可能な恐るべき存在。
しかし、タイタンの中でも珍しく非常に温厚な性格。
だが、スカーキングに無理矢理従わされ、地上制圧の切り札として運用されてしまう。
激戦の後は、束縛を解いてくれたコングを信頼し、彼に従いながら共に火の国に帰還した。
その他、神殿内でコングアックスが突き刺さっていた怪獣の頭蓋骨はゴジラのものより大きく、グレイト・エイプ達の住む火の国へと向かう通路兼橋としてコングが小さく見える程非常に巨大な怪獣の骨格が登場しており、古代には既存のタイタンよりも遥かに巨大な怪獣が存在していたことがうかがえる。
超種(SuperSpecies)
- マーダーフィッシュ
『ゴジラ:ドミニオン』にて登場した、古代魚ダンクルオステウスに酷似した魚の怪獣でありタイタンの下位亜種(参照)。
崩壊したゴジラの神殿を経由して地下空洞から現れ、大量の群れでゴジラに容赦なく襲いかかったが、群れの主キングマーダーフィッシュがえげつない方法で倒されたことで群れの統率を失い、そのまま熱線で地下の入り口もろとも焼き尽くされた。
地下空洞世界で最初に登場した翼で飛翔する蛇の怪獣。
非常に獰猛であり、巨体を活かした締め付け攻撃に加え皮膜で顔を覆って窒息させる等知能も高い。群れを成して獲物を襲う。
こちらも非常に獰猛。暗闇に適応し感覚器官が優れているため「捕まるくらいなら死んだほうがマシ」とされている位には危険。
髑髏島にも棲息していた翼竜の末裔。
地下空洞においても大量に生息しており、『キング・オブ・モンスターズ』のラストでもその一部が地上に出現していたほか、以降の作品でもほぼ皆勤賞となっているほど地下空洞でありふれた生物となっている。
地下空洞の岩場に生息する新種の甲殻生物であり、正式な名称もまだ付けられてない。
生態系では下位の存在であり、岩に擬態してダグなどの捕食者たちの目をくらましている。
- ブランブルボア
『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』に登場した大きく裂けた口と身体から牙のような植物が大量に生えるイノシシの怪獣。
地上と地下空洞の中間にある世界「世界軸」の森に生息する。
- スパインプラウラー
『Godzilla x Kong: The Hunted』にて登場した凶悪な面構えとトゲの生えた尻尾が特徴的なタイタン並に巨大なネコ科猛獣の怪獣。
獰猛ながらもつがいで我が子を育てる親子愛がある。
巨大な犬やアンドリューサルクスに似た肉食獣の怪獣。
大量の群れを成して獲物を執拗に襲うが、地下空洞を新たな縄張り(故郷)にするようになったコングにとってはただの餌でしかない。
魚のような鰭が生えたカエルの怪獣。
喉袋を非常に膨らませて他の怪獣の咆哮を鳴き真似することができる。
4枚の翼と巨大な背鰭が特徴的な巨大翼竜。
モナークの調査で生態が周知されており、怒らせない限りは大人しい性格だが、防衛手段として体から強力な電撃を放つため肉食獣も手出しが出来ない。
地下空洞世界の未探査エリアにある大湖に潜む長大な海蛇怪獣。
湖に不用意に近づいた生物に襲いかかり、例えグレイト・エイプであっても容赦なく水中に引きずり込むほど凶暴。
- ツリーミミック
地下空洞世界の森の中に生息している肉食生物。その姿は一見すると何の変哲もない木(倒木)だが腐肉の臭いを放っており、それに誘き寄せられたり何も知らずに近くを通りかかってきた獲物を一瞬で呑み込んで喰らうという待ち伏せ型の狩りを得意としている。ただし、本物の木と同じく根本を地面に固定しているため自力での移動や獲物を追跡する事が不可能で、近寄りさえしなければ餌食になる心配はない。
劇中ではトラッパーによりその存在を察知されるも、その忠告に耳を貸さず不用意に接近してきたミケルを背後から丸呑みにして咀嚼しながら捕食した(彼が所持していた銃などの消化できない無機物はすぐに吐き出していた)。